The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

史上最も躊躇しないトム! ザ・マミー/呪われた砂漠の王女

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 ユニバース!

 というわけで、世はまさにユニバースの時代。先鞭をつけたマーベルコミックスの「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」に始まり、DCコミックスの「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」、ゴジラキングコングが大暴れする「モンスターバース」!そしてある意味ではこの手の世界観を共有する作品の元祖であるかもしれない、ユニバーサル・モンスターが一堂に会する「ダーク・ユニバース」がついに始動!第一弾はトム・クルーズ

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物語

 軍の任務の途中でちょこっと私腹を肥やそうとしたニック。案の定無計画がたたってイラクの町で武装集団に襲われることに。無事にやり過ごしたものの町の中に巨大な地下空間が現れる。考古学者のジェニーとともに地下に降り立つニック。そこは5000年前のエジプトの王女で追放されたアマネットを封印した遺跡だと知る。慎重に事を進めようとするジェニーを無視して勝手に棺を引き上げるニック。

 アマネットの棺を輸送するその最中同僚のヴェイルがおかしくなり乗員を殺し始める。躊躇なくヴェイルを撃つニック。輸送機はイギリスに墜落しニックも死んだ!

 ニックは何故か生きていて、ヴェイルの幽霊を見たりする。その頃復活したアマネットは墜落現場に来た救急隊員の生気を吸ってちょっとづつ元気に。ふらふらやってきたニックたちをセトのダガーで殺そうとするが失敗。ニックたちを救ったのは謎の武装集団「プロディジウム」だった。プロディジウムはロンドン自然史博物館の地下に本拠地を構える対モンスター組織。率いるのはヘンリー・ジキル博士。ジキル博士によるとニックはすでに呪われているという。アマネットも捕らえられるがジキル博士の体に変化が起き、ニックと乱闘している混乱に乗じてアマネットは脱走。いろんな奴らがニックを狙う。ニックの明日どっちだ!?

 1932年の「ミイラ再生」のリメイク作品。この作品は何度かリメイクされていて、僕自身は1999年からのスティーブン・ソマーズ監督による「ハムナプトラ」シリーズがリアルタイム。原題はすべて「THE MUMMY」だがやはり日本語(英語でも?)の語感として「マミー」は「お母さん」というイメージを持つ言葉なためこれまで邦題は原題片仮名ではなく「ミイラ再生」「ミイラの幽霊」「ハムナプトラ」と言う感じに。今回はそのまま原題をカタカナにした「ザ・マミー」だがやはりそれだけだと弱いと思ったのか「呪われた砂漠の王女」という副題が付与。もっとも舞台の大部分はイギリスなのでそれほど砂漠な感じはないけど、まあこれは「ハムナプトラ」とかもそうだからね(3作目の舞台なんてエジプト関係ない中国だったし)。

 今回はまず舞台を現代にしていることが特徴。「ハムナプトラ」は1923年という過去が舞台だった。そして一番大きな特徴はこの「ザ・マミー」はユニバーサル映画のモンスターたちが同じ世界に属する「ダーク・ユニバース」映画の第一弾ということだろう。一般にユニバーサル映画というと1931年の「魔人ドラキュラ」を始めとするベラ・ルゴシボリス・カーロフロン・チェイニーといったスターたちが演じたモンスターたち。これらはもちろん原作も違っていれば映画も別世界だったのだがそれらを一つの世界に持ってこようという企画。今後はハビエル・バルデムフランケンシュタインの怪物を演じる「フランケンシュタインの花嫁」やジョニー・デップ主演の「透明人間」なんかが予定されている。その世界をつなぐのが今回登場する「プロディジウム」で、ロバート・ルイス・スティーブンスンの「ジキル博士とハイド氏」の登場人物で二重人格の代名詞ともなったヘンリー・ジキル博士が率いる。

 この「ダーク・ユニバース」に近いクロスオーバー企画というとアラン・ムーア先生原作の「リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」とその映画化である「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」であったり(ドラキュラ(ミナ・ハーカー)、透明人間、ハイド氏あたりが共通)、やはり「ハムナプトラ」のソマーズ監督作品の「ヴァン・ヘルシング」などがある。「ヴァン・ヘルシング」はアニメなどで続編があったが、結局映画としては単品で終わってしまった。ここで出てくるヴァン・ヘルシングが属する組織などはそのまま「プロディジウム」の前身ともいえるし、それこそ作品自体が「ザ・マミー」はじめとする「ダーク・ユニバース」の先駆けという感じだろう、実際、この作品のリブート企画に関わっていたアレックス・カーツマンが本作「ザ・マミー」の監督でもあるので、もしかしたらいずれ「ダーク・ユニバース」の一作として「ヴァン・ヘルシング」が再び登場するかもしれない。

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 さて、本作は以上のようにかなり独特な世界観を持った映画であり主役は人間よりモンスターという感じのであるが、にも関わらずやはり紛うことなき「トム映画」である。トムが自由に動き映画を支配する。本作のトムはかなり精神的にも若い印象。メインどころの出演者の中ではおそらくいちばん年上(劇中でラッセル・クロウがまるで父親かのようにトムと話すシーンもあるがトムのほうが2歳年上)。しかし外見の若さもあるが、何より行動が若い。多分過去のトム映画史上今回のトムはもっとも躊躇しない。考える前に動く。ヴェイルがおかしくなった時、他の軍人が射殺しようとするが友人であるトムはそれを止める。しかしいざ自分がやばくなると驚くべき早さでヴェイルを撃ち殺す。それも何発も打ち込む。これ以外にも今回のトムは、事前に考慮して動くということがほぼ無くその場の勢いで動く。よく言えば決断が早く、そのおかげで物語のテンポは早い。とにかく今回のトムは55歳とは思えぬ思慮の浅さを全開!でもそれによって引き起こされるトラブルが全て「若さゆえの過ち」と許せる不思議な感じ。

 今回のトムは「キング・オブ・エジプト」でもおなじみ、邪神セトが現代で蘇ろうとする為の依代でもあった。終盤、最後まで躊躇しないトムはそのおかげでアマネットの意表を突き、セトを宿すが精神はトムのままというデビルマン(悪魔人間)になる。ジェラルド・バトラー(GoEのセト神)の力をトムの身体に宿し、心はトムのままというデビルマン・トムは今後も「ダーク・ユニバース」のキーマンとなるのだろうか。

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 表題のミイラになるのはソフィア・ブテラ。「キングスマン」の女殺し屋だったり「スター・トレックBEYOND」の白い顔のエイリアン、ジェイラだったりこの世ならざる雰囲気の美貌の持ち主故かあまり普通の人間は演じてきていないが、今回も野心に燃えるエジプトの王女でありミイラ女。いろんな状態のアマネットを演じている。「ミイラ再生」のボリス・カーロフほど枯れた感じでもなければ「ハムナプトラ」のアーノルド・ヴォスルーほどアグレッシブでもない感じ。というか「ハムナプトラ」でいうとヴォスルー演じるイムホテップよりパトリシア・ヴェラスケスが演じたアナクスナムンに(外見上もキャラクター的にも)似た感じ。

 今回は第一弾ということで具体的に他のキャラクターは言及されず。おそらく全シリーズに登場するMCUにおけるニック・フューリー的な立ち位置としてラッセル・クロウのジキル博士がいるのであろう。

 ダーク・ユニバースとしては「魔人ドラキュラ」「フランケンシュタインの花嫁」「透明人間」「大アマゾンの半魚人」などのユニバーサル作品のリメイクが予定されていて、さらに直接モンスターものではないものの「オペラ座の怪人」「ノートルダムのせむし男」などもこの世界の一作として予定されているという。後者2作などその時代設定から重要になるのだが、どのようにアレンジされるのだろう。そういや一応「キングコング」もユニバーサルモンスターなんだよな。すでに「モンスターバース」の方に行ってるけど。


THE MUMMY Trailer + No Gravity Spot (Tom Cruise Blockbuster Movie - 2017)

 本作に限れば映画は第一弾だけあって特に事前知識を必要としないし、面白かったです。さすがにトム色は弱いのかな、と思ったらむしろトム全開だったし。

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アグレッシブなセト神が出てきます。

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