ヒーロー不在のアーカム シャッター・アイランド
胡蝶の夢、ディック的世界。「マトリックス」に「トゥルーマン・ショー」。オレがオマエでオマエがオレで。最後のはちょと違うか。
もしかしたらこの世の中は誰かの見てる夢なのではないか?あるいは自分以外の人間は本当に存在するのか?などといった空想(妄想)は昔から問われ続けてきた。最近はそれにSFや精神病というロジックが加わって一ジャンルと化している。僕も小さいときは自分以外の人間は全てロボットなのでないか、という妄想に取り憑かれたりしたこともある。だって結局他の人の感情なんて推測するしかないでしょ?本当に他の人が感情を持って喋ってるかなんて結局の所分からない。
また、やけにリアルな夢を見たとき、起きた瞬間、どちらが現実なのか分からなくなることがある。この場合のリアルってのは現実的と言うだけでなく夢の法則でリアルということ。ちなみに僕の最近見たリアルな夢はエライ臭いものを嗅いでそのあまりの臭さに目が覚めた、というもの。思わず枕元を30分あまり探索しちゃったよ。
というわけで本題。「シャッター・アイランド」を観た。
物語
俺、刑事プリオは第二次大戦では東部戦線で活躍し、戦後は連邦保安官を務めてるイケてる男だ。
今俺は新しい相棒と一緒にとある島に向かっている。そこは犯罪者用の精神病院になっていてそこで1人の女性が行方不明になったというのだ。だが、警備員、職員そしてビッグファイア博士やDr.ストレンジラブ、みんなが何かを隠しているようだ。
実は俺にはもう一つの目的があった。俺の愛する妻、ドロレスを焼き殺した放火犯がここに入所しているというのだ。そしてそれをつかむ過程でロールシャッハから聞いた話だとここでは対共産主義のためになにやら怪しげな人体実験が行われてるらしい。
嵐が島を襲い俺を頭痛が襲う。びしょ濡れになった服を職員の物で代用したのがどうやら間違いだったらしい・・・
マーティン・スコセッシとレオナルド・ディカプリオのコンビ4作目。スコセッシというとどうしても「タクシー・ドライバー」という超傑作があるため未だに僕の中では「既知外が人を殺す映画を撮らせればピカ一の人」という認識なのだが、今回もおおむねその認識で十分です。
冒頭、錯覚がどうのこうのと前説が出るがあれはいったいなんだったのかな〜。全然関係なかったよな〜。まあ、僕が見逃してただけで関係あったのならすまんけど。
この作品はあんまり事前情報を仕入れずに見に行ったんだけど観る前の想像としては
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で、当然映画にはバットマンが出てこない。バットマンはおそらくDCコミックスでも最強のヒーローだと思おう*1がその一方で悩み深きヒーローでもある。
ディカプリオは誰もが認める美男子だと思うがその一方でいつまで経っても大人の男には見えない。昆作の舞台は1954年なのだがわずか60年ぐらい前を舞台にしてもディカプリオには合わない*2。そしてそんなディカプリオが延々顔をこわばらせたり、悩んだりする顔を見せられるのだからたまらない。仮にディカプリオを目的で観に行った人は後悔するでしょう。個人的にはミスキャスト。ただそれ以外はいいと思う。マックス・フォン・シドーってまだ生きてたんだね。「エクソシスト」の頃からおじいちゃんなイメージだからてっきり亡くなってると思ってました。後はロールシャッハことジャッキー・アール・ヘイリーがいい味出してる。元はかわいらしい子役だったというのに「リトル・チルドレン」以降こんなん役ばっかりだね。次回作は「エルム街の悪夢」フレディ。
ところでどこまでネタばれをしていいのか悩むのだが「シックス・センス」のオチが分かる人にはすぐ分かったようにこの物語も途中でオチが読める人は読めると思う。だから詳しくは書かないがこれだけ書いておこう。
と。
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奴らは俺を狂っていると言い、俺は奴らを狂っていると言ったが、ちくしょうめ、奴らのほうが俺より票数が多かった。
―17世紀の劇作家ナサニエル・リーが精神病院に入れられた際の抗議の言葉