The Spirit in the Bottle

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蝙蝠侠:黒暗騎士 ダークナイト

 タイトルは前回同様、中國語題から。「ダークナイト ライジング」公開直前(無事先行公開のチケットゲットしました!)だけど、その直前ということで劇場で「ダークナイト」を観てきました。劇場公開時に7回か8回、IMAXでの再公開時に1回観ていて当然ソフトでも何回も見直しているけど、やはり劇場でやる、となれば駆けつけてしまう、そんな作品。まあ一生ものだよね。

 とはいえ、この作品については様々なところで語られているし、僕自身、何度も記事を書いたので改めて作品そのものに付いて書くことも特に無いのだが、ちょこっと。

 孤児であるブルース・ウェインには複数の父親代わりが登場する。執事のアルフレッド、警官のジム・ゴードン(映画では分からないがブルース・ティムのアニメ版ではゴードンとブルースの父親であるトーマス・ウェインは同い年という設定だった)、そしてウェイン・エンタープライズの社長で発明家でもあるルシアス・フォックス。ブルースはこれらの人たちと擬似親子関係を築きあげている。余談だが僕がもっとも理想とする両親像というのは「スパイダーマン」のベン&メイのパーカー夫妻と「スーパーマン」のジョナサン&マーサのケント夫妻なのだが、二組とも子供は実子ではないところが興味深い
 バットマンとしての活動を当初からがっつり支えるアルフレッド(故に「君が黒幕だというつもりだよ」というギャグが機能する)、ブルース=バットマンと知らないままバットマンを支えるゴードン(同時に彼は自分の家庭における良き父親でもある*1)に比べるとフォックスのスタンスははっきりしない。「ビギンズ」の途中で明らかにブルース=バットマンと気づいているがそれでもアルフレッドほど積極的に関わろうとしない。象徴的なのが香港においてフォックスがブルースに高周波のパルスを発信し反響時間で相手の建造物の構造を探査する機械の説明の際、ブルースが超音波を反射させて位置を探ることをコウモリに例え「それはちょうど、コ(ウモリ)・・」と言いかけてたところを遮って「潜水艦のようにです」と終わらせてしまうところだろう。フォックスはあえて積極的にバットマンの活動に参加しようとはしない。ある一定の距離を置いている。だからクライマックスでブルースが(香港での機械の技術を拡大応用して)ゴッサム市民の携帯電話をすべて盗聴してジョーカーの居場所を探る機械を観た時にかれはたとえバットマンの正義感でもそれは倫理に反する、と言う。このようにある意味で理想的な民主社会の人物として描かれているのがフォックスなのだ。バットマンは一度きりだとし、すべてが終わってフォックスの名前を入力すると機械は破壊される。かつてバットマンよりもデントのほうが真のヒーローだと言ったように*2ブルース=バットマン自身本音では自分ではなく民主主義と法治主義の信奉者であるフォックスこそが正義の体現者と思っているのでは無いだろうか。
 ブルースがバットマンとしての正体を現そうとした際、レイチェルとともにフォックスにも類が及ばないよう配慮しているのもその現れだろう(一方アルフレッドは一蓮托生の仲といえる)。

 もう一つはやはりジョーカーである。ジョーカーの傷の理由は劇中で彼によって二度ほど語られるが、ひとつは父親による虐待によるもの。もう一つは妻を慰めるために自分でやったというもの。明らかにどちらも嘘、その場でのつくり話なのだが*3二度の理由に左右両方の傷ということでこれを信じている人も結構な数いるようだ。ジョーカーのラストシーン、バットマンに向けて3度めの傷の理由を言えばさすがにつくり話だと分かるだろうが。
 ここからは僕の妄想。多分、ジョーカーは「ビギンズ」以前にそれほど名のしれた犯罪者では無い。おそらくギャングたちの使い走りのチンピラ。あるいはアーカムに収容されていたような少し病んでいた犯罪者だったのではないだろうか。それが「ビギンズ」のクライマックス、ナローズ島でスケアクロウの恐怖ガス(スケアクロウによってゴッサム中に撒かれ、ラーズ・アル・グールによって気化された)を吸って恐怖に震えつつもハイになったところでバットマンを目撃し「こりゃ、凄え!オレもあんな風になりたい!もう半端してられねえ!」とサクッと自分の口角に勢い良くナイフを入れてしまったんではないだろうか。この僕の妄想がどこまで製作者が想定しているジョーカーのオリジンに近いかはともかく、「ビギンズ」ラストでもゴードンの口から語られている通り、今までの組織犯罪とは別種のコスチューム姿の犯罪者とでも言うべき新種を生み出したのはほかならぬバットマンなのだ。ジョーカーの誕生はそのようにバットマンと対になっていると考えたほうが良い。
 ジョーカーの部下は若い愚連隊やアーカム出身者たち。ジョーカーはカリスマで彼らを支配する。


 さて結果として「ダークナイト」と「ダークナイト ライジング」を連続して観ることになってしまったた。2008年公開時の8月9月はずっと劇場では「ダークナイト」しか観てなかったがさすがに今年は他にも面白そうな映画もたくさん公開されるのでずっとということはないだろうけど(何と言っても8月半ばには「アベンジャーズ」がある!)、字幕で二回、吹き替えもあるようなので吹き替えで一回、最低三回は観たいですね!いよいよ明日だ!

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*1:原作におけるゴードンは不倫、離婚、再婚、死別と波瀾万丈な家庭生活を送っている

*2:そのデントですらバットマンを認め、シーザーを肯定し、後にトゥーフェイスに変貌したように彼の正義感については危ういところがあった

*3:一度目の際よく見るとジョーカーの目が上を向いていて即興のつくり話だと推察できる