追悼・怪奇の二大巨人1922〜2015
映画の感想を貯めといて恐縮ですが、今日は追悼のエントリーを挙げたいと思います。
水木しげるさんに関してはもう5年も前になりますがNHK朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」が終了した時に一度エントリーを書きました。
この時と重なる部分もあるとは思いますが、水木サンについて少し書きたいと思います。
僕自身がリアルタイムで楽しんだ漫画と言うと当然自分が生まれて以降の主に1980年代のジャンプ作品などなのですが、それ以前、1960年代からすでに大物だった人たちが大御所扱いですね。手塚治虫を別格としても、それで人によってはハマった漫画家が藤子不二雄だったり、石ノ森章太郎だったり、赤塚不二夫だったり(余談ですが今季一番ハマっているアニメは「おそ松さん」だったりします)するのでしょうが、僕の場合はそれが水木しげるでした。後に横山光輝も並ぶくらい大好きになりますが*1、子供の頃最初に作者を意識して追いかけた漫画家は水木しげるだったような気がします。
80年代、全国的な妖怪ブームがあった…かどうかは分からないのですが、僕の中では妖怪ブームでした。「ゲゲゲの鬼太郎」の第3期ですね。アニメを見て妖怪大百科を買ってもらったり。当時はアニメ「機動戦士Zガンダム」と放送時間が重なり兄がガンダムを僕が鬼太郎を見たがり喧嘩になった…と言うのは以前も書きましたね。「ゲゲゲの鬼太郎」は60年代以降各年代でアニメ化されていて(最初の60年代のものと70年代のものは正続の関係)それぞれ各年代を代表する作品となっています。僕が子供の頃に見て自分の妖怪ブームが起きたのは戸田恵子さんが鬼太郎の声を担当し、夢子ちゃんという人間のヒロインもレギュラー登場、他の作品と比べても鬼太郎のヒーローとしての側面が強い第3期ですが、個人的にはその辺の怪奇ホラーとしての側面と悪い妖怪退治というヒロイックな側面のバランスが取れていた一番の傑作は第4期だと思っています。
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また以前の記事でも書きましたが、少なくとも僕含め多くの人が妖怪の絵を思い浮かべる時にそれは水木しげるの絵を思い浮かぶことが多いです。元になった鳥山石燕の絵などがあるとはいえ、これは実は凄いことなのですね。例えば僕より下の世代なら妖怪マンガといえば「地獄先生ぬ〜べ〜」があったり現在の子供なら「妖怪ウォッチ」の妖怪が先に浮かんだりするのかもしれませんが(妖怪ウォッチの妖怪なんかほぼ創作妖怪ぽいけれど)、多く浸透しているのは水木しげるがビジュアル化した絵。
また水木しげるは世代的には手塚治虫(1928年生まれ)より少し上で、太平洋戦争に従軍し、腕を失ったことでも知られています。その頃を描いた自伝マンガや戦記漫画も当時の空気を伝える貴重な作品です。最近の戦前を美化する風潮にも異論を唱えていました。実際の体験だけが至上とは思いませんが、経験した人だけが語れる凄みもあります。
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1922年生まれの怪奇の巨人
実は今年はもう一人水木サンと同じ1922年生まれでやはりホラーや怪奇と言ったジャンルを主戦場とした方が亡くなりました。ご存知イギリスの俳優クリストファー・リーです。亡くなったのは6月7日です。本当はその時にも記事を書きたかったのですが諸事情で断念。実際にハマー・フィルムのホラー作品を観たのはもっと後になってからなのですが、ビジュアルとしてのドラキュラのイメージはクリストファー・リーで子供の頃から固定されていました。「ゲゲゲの鬼太郎」などに出てくるドラキュラはベラ・ルゴシの方でしたが。彼は007シリーズの原作者イアン・フレミングの従兄弟で「Dr.NO」のドクター・ノオのモデルでもありました。映画の方では「黄金銃を持つ男」で殺し屋スカラマンガを演じています。また一大叙事詩「指輪物語」の映画化「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでは白の魔法使いサルマンを演じていますが、実際に生前のJ・R・R・トールキンと親交があった人でもあります。同時期には「スターウォーズ」シリーズでも暗黒面に堕ちたジェダイ騎士ドゥークー伯爵も演じていました。90歳を越えてなお積極的に映画出演をしていて、「最も多くの映画に出演した俳優」としてギネスにも載っています。最近はティム・バートンやマーティン・スコセッシの作品にも出ていましたね。
長身のハンサムでありながらどこか異形さを漂わせる特異な俳優でした。僕の一番好きな出演作品は「ウィッカーマン」でしょうか。
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水木しげる
Christopher Lee
R.I.P(1922〜2015)
ちなみにやはり1922年生まれで世間一般的な業績でも、僕に対する影響という意味でも先の二人に負けない人物にマーベルマスター、スタン・リーがいます。いつまでも長く健やかにいてほしいと願ってなりません。