悪童たちの歌声 ジャージー・ボーイズ
ええ、実に鑑賞後2ヶ月以上放置していた作品です。「ファーナス 訣別の朝」と同じ日に観てその後、ブログ更新が途絶えたのでなんだか感想を書くタイミングを逸してしまいました。しかし、劇場で観た作品の感想だけは必ず書くのがこのブログ唯一のルール。新年を迎える前に書いてしまいましょう。今年の汚れは今年のうちに!(スイマセン、作品は全然汚れなどではないです!)クリント・イーストウッド監督作品「ジャージー・ボーイズ」を観賞。
物語
ニュージャージー州。フランキーは悪友のトミーとニックの兄弟とともにバンドを組む。そこにフランキーの歌声に惚れ込んだボブが加入し、フォー・シーズンズとしてデビュー。メジャーデビューすると彼らは一躍スターとなる。しかし金銭問題や忙しさによる家族との関係悪化など様々な障害が彼らの関係を危うくしていく…
作品観賞がもう2ヶ月以上前なのでどうしても細部を覚えておらず、ちょっと適当な部分があるとは思うし短めの感想となると思います。ご了承を。
クリント・イーストウッドと聞いて華やかなブロードウェイやロックンロールを連想する人は中々いないだろう。イーストウッドといえば西部劇!刑事アクション!男の中の男!とそういうイメージの方が強いと思う。それこそ今月になって訃報が連続した高倉健や菅原文太のような寡黙なイメージさえあると思う。しかし彼はプライベートではジャズ愛好家として有名で造詣が深く、一部作品では自ら作曲もしている。また彼の息子カイル・イーストウッドは音楽家として父親の作品の音楽を担当していたりもする。もちろんこれも父親の影響は強いのだろう。また初監督作品の「恐怖のメロディ」(実は「ダーティ・ハリー」と同年の作品)では自身の役柄をラジオDJにしていたり、音楽への思いは強い。数少ないミュージカル出演作に「ペンチャーワゴン」があるがその他にもイーストウッドが監督する、とずっと言われている「スタア誕生」の何度目かのリメイクなど実は音楽との関わりは映画でも深いのだ。
本作は元はブロードウェイ作品ということで、「マンマ・ミーア!」何かを連想したりもしたのだが、あちらがアバの楽曲に基づいたフィクションなのに対してこちらは実在のフォー・シーズンズというグループの経歴に基づいたストーリー。おそらく舞台の方はもっと歌やダンスの部分がちゃんとミュージカル担っているのだと思うが、映画の方は歌の部分はミュージカル処理ではなくきちんと劇中でも歌われている、という扱いで厳密にはミュージカルではなく音楽映画という趣の方が強い。ラストのクレジットを除いて決してミュージカルではない。
ただ、登場人物がスクリーンを越えて観客に語りかけるいわゆる「第四の壁」を突破してくる。その辺で純粋なドラマとも異なったりはする。
僕は不勉強にしてフォー・シーズンズというグループを知らなかったのだが、無問題。出てくる楽曲はいずれもどこかで聞いたことのあるものばかりだった。むしろ、誰のものとも知らず親しんでいた数々のヒット曲が今回改めて「彼らのものだったのか!」と知ることとなった。
音楽家や芸能界の出来事を描いた作品だが役者は有名どころはクリストファー・ウォーケンを除いて殆どおらず、ほぼ(日本では)無名の若者たち。あるいは業界ものだからあえて有名でない役者を揃えたのかもしれない。ウォーケンは地元のギャングの親玉でフォー・シーズンズ、中でもボーカルのフランキー・ヴァリのパトロンとなる人物を演じている。ただ役者は無名でも演じた役は超有名なわけで僕はフォー・シーズンズこそ知らなかったが他にも有名な人物が出てきたりする。一番笑ってしまうのはやはりジョー・ペシで彼の若いころが出てくるがこれがそっくり。といっても僕は「リーサル・ウェポン」シリーズや「グッドフェローズ」とかの中でしか知らず、若い頃やプライベートの様子などは分からないだが、それでも言われれば一発で納得するジョー・ペシっぷりであった。
フォー・シーズンズのメンバーでは最初に出てくるのはルックスもよく喋りも上手いトミーだが、彼がいわゆる厄ネタとなりグループに問題を巻き起こしていく(彼だけではないが)。多分音楽の才能ではトミーが一番劣っているが、目立ちたがりやで、また自分がフランキーを見つけ音楽の道へ誘い込んだという自負があるためこだわりも強い。
主人公に当たるのはフランキー・ヴァリ。彼はあの「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」のアーティスト。僕は実はこの曲が大好きだったのだけれど、誰が歌っているのかとかついぞ気にしたことがなかった。それがここで判明。彼の家族だけが詳しく描かれ、ショービジネスの世界で生き、中々家族と過ごせない寂しさも描かれる。
他にトミーの兄でやはり不良出身だったニック。彼はホテルなどでの弟の乱行と家族とのすれ違いに苦慮してグループを抜ける。やはりフランキーの歌声に惚れ込んで加入したボブ。彼が主にフォー・シーズンズの楽曲を担当する事となる。
10代の若いころから、最近までおよそ50年分の人生を役者を変更することなく老けメイクだけで通している(といっても中心となるのは60年代)。もっともフランキーの人(ジョン・ロイド・ヤング)は童顔でさらに童貞喪失あたりから描かれるのでずっと若く見えてしまったり。
どこまでが実際の出来事に基づいているのかは分からないけれど誰もが知っている、でも誰が歌っているか分からない(僕の場合)楽曲の成り立ちが分かってそれだけでも見たかいがありました。イーストウッドには是非「スタア誕生」のリメイクも頑張ってもらいたい!
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