The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

相棒JK(東映は関係ありません) メン・イン・ブラック3 

 ウィル・スミス。個人的には余り好きな俳優ではないのだが、それでも彼がここ21世紀に入ってから最も活躍したスター俳優であることは否定出来ない。更に言うなら、僕個人の好みと彼の出演する映画のジャンル、というか趣味はかなりかぶる。にも関わらず、好きになれない、というかむしろ嫌いでもあるので不思議なものである(具体的にどこが嫌いかと言われてもそれはそれで説明は難しいのだ)。
 そんな彼の最新作「メン・イン・ブラック3(以下MIB3)」。当初はスルー予定だった。しかし「ティム・バートンカメオ出演している」「TOHOシネマズで3D上映で観れば上映終了後に『アメイジングスパイダーマン』の6分間のフッテージ上映がある」という情報を聞いて本編以外の部分に興味があって観てきたのであった。後は地上波でそれぞれ前作、前々作の放送があったのも後押しした(「2」の方は深夜だったけれど)。で、結果から言うとなかなか面白い佳作でした。今回は当然「字幕3D」で鑑賞。

物語

 重犯罪を犯したエイリアンを収容する月面ルナマックス銀河刑務所。そこから40年間服役中のボグロダイト人ボリス・ザ・アニマルが脱獄。地球へと逃亡した。
 一方その頃今日も今日とて違法エイリアンを取り締まる”メン・イン・ブラック”の捜査官、エージェントJとKは中華料理屋に偽装したエイリアンの店を捜索。そこで見つけた違法食材はボリスの好物だった。Kこそ40年前にボリスを逮捕した本人だったのだ。KとJはボリスを追い詰めるがボリスは逃亡。
 翌日Kの姿は消え、J以外誰もKのことを覚えていない。ボリスがタイムトラベルをして過去のKを殺したのだ。本来ならありえないボグロダイト人の地球侵攻を前にJはボリスを追って40年前の過去1969年にタイムトラベルする!

 シリーズは一作目は劇場で見て、2はレンタルか何かで鑑賞した。監督のバリー・ソネンフェルドはよく見ると「ワイルド・ワイルド・ウェスト」までは全部劇場で見ている。当時は「アダムス・ファミリー」だったり「メン・イン・ブラック」だったりコミックスの映画化が多かったり作風がダークだったこともあってポストティム・バートンのような位置づけの監督と認識していた。でも今だとリチャード・ドナーのような職人監督という感じかなあ。この人「MIB2」の後は日本未公開の映画を一本撮っただけで日本での公開作は「MIB2」以来なんですな。とはいえプロデュースはしており、ディズニーの「魔法にかけられて」もこの人のプロデュース作品。

魔法にかけられて [Blu-ray]

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 物語はシリーズ通してキーになるのはトミー・リー・ジョーンズ演じるエージェントKの方でウィル・スミス演じるJがその秘密を探る形なんだけど、この「MIB3」でも同様。40年前29歳のKが重要なキーとなりそこにJが絡む。ウィル・スミスは他の作品では自信満々な様が鼻について嫌なんだけど、このシリーズでは常にKという年齢もキャリアも上な相棒と一緒にいるためかその辺が抑えられてて嫌味ぽくない*1。あと今回は彼に対してヒロインが用意されていないのだな。その代わり、タイムトラベルならではの感動シーンが用意されていて、この展開は読めたものの普通に感動できた。
 トミー・リー・ジョーンズはすっかり日本ではエイリアン取締官というより「お前がエイリアンだろ!」という某缶コーヒーCMの印象が強いのだが、ここでは苦虫を噛み潰したような表情で黙々と任務を受けるプロフェッショナル。ただ日本におけるプロモーションはもっぱら彼とウィル・スミスが担当していたけれど、物語を通して活躍するのはむしろJのタイムトラベル先、1969年で活躍する若きK、ジョシュ・ブローリン演じるヤングKだ。

 ジョシュ・ブローリンはここ最近「トゥルー・グリッド」などで注目されてきた感じがするが実際には「グーニーズ」のマイキー(ショーン・アスティン)の兄ブランド役でデビューしたキャリアの長い俳優。ゴリラみたいな険しいルックスにふさわしく、「トゥルー・グリッド」「ジョナ・ヘックス」といった西部劇ではその容貌を生かした演技で活躍している。
 で、彼がトミー・リー・ジョーンズの若いころを演じているのだが、これが見事。例えば「トロン・レガシー」などでCGによって俳優を若返らせた技術があったがあれらが多少気持ち悪さを感じさせるのに対してものすごく自然に若いころのKを演じていて、一発で「これはKだ!」と分かる。普段のトミー・リー・ジョーンズジョシュ・ブローリンがそれほど似ているわけでもなく、かと言って過剰な特殊メイクをするわけもなく、純粋にジョシュ・ブローリンが(トミー・リー・ジョーンズそのものではなく)Kに似せているのはすごいと思う。今回は文句なしに演技的には彼が見所である思う。

↑今回イチオシのエイリアンはこの危うくサラダにされかけたトゲトゲエイリアン(おそらく赤子)。カワイイ!
 
 登場するエイリアンはボスキャラのボリスが巨漢の豪快なタイプで40年前はハーレーダビッドソン風のバイクに乗ったりしている。この外見や絶滅した最後のボグロダイト人という設定などから僕はDCコミックスのロボを思い出した。最後にプレデターちっくな正体を一瞬だけ晒すけれど(上の赤子に似てた気がしたがが?)基本は人間態。手のひらから飛び道具がわりに刺を発射する。シリーズ歴代の悪役と比べてもなかなか格好良かった。このボリスも40年前と現代と二人登場するのだが(演じている人は同じ人)40年前が若干、若造になってるのは良かったね。演じているのはジェマイン・クレメントという人。余談だが、このボリス、劇中では「Borris the Animal」と呼ばれていてボリス本人が「アニマルと呼ぶな!ボリスとだけ呼べ!」というセリフが何度もあるのだがそのたびに「アニマル・ボリス」と字幕が出る。固有名詞に関しては耳から聞こえる言葉と字幕で目に入ってくる言葉で異なると僕の場合非常に違和感を覚える。吹き替えだとこういうことはまず起こらないのだけど。ちなみに字幕は戸田奈津子氏。
 後は一番の設け役はグリフィンという不思議なエイリアンを演じているマイケル・スタールバーグという人だろう。純粋な憎めない感じ。またどことなく中性的で暴力的なボリスとの対比にもなっている。
 その他、アンディ・ウォーホルが実はエイリアンのMIB捜査官で(潜入捜査中)数々の彼の作品〜キャンベルスープの缶並べたやつとか〜は嫌々のやけっぱち仕事だったことが判明とか69年という時代を元にしたネタも良かった。ウィル・スミスが盗んだ車を白人警官に見咎められ、「いいか、黒人が高級車に乗ってるからって盗難車だとは限らないだぞ。いやこれは盗んだんだけど・・・」という人種差別ギャグも彼が演じてる限りに置いて面白い。
 シーンシーンでは面白かったが全体としてはパッとしなかった「MIB2」に比べると10年ぶりにして復活したとさえ言えるだろう。良作。

 音楽はダニー・エルフマン。最近は昔のようにテーマ曲を前面に押し出す分かりやすい曲調ではなく劇伴に徹した作り方をしている印象があるがこの作品に関してはシリーズ作品ということもあってテーマ曲を前面に出した分かりやすい、覚えやすいスコアになっている。後はトミー・リー・ジョーンズがなぜかJAY-Zを歌ったりするところも見どころか。
 あ、ティム・バートンはMIB本部でモニターに映っていたのでやはり彼の正体はエイリアンのようです。
Men In Black 3

Men In Black 3

 
 で、映画本編の後には約6分間の「アメイジングスパイダーマン」の特別映像が流れた。まあちょっと長い予告編といったところ。今回はヴィランリザードなのだけれど、キャラクターとしてはこのリザードになるコナーズ教授はサム・ライミの3部作にも皆勤賞だったのでちょっと残念。後はベン叔父さんがマーティン・シーン、メイ叔母さんがサリー・フィールドだということを今更になって知りました。
 「MIB3」本編終了間際、ちょうど地球が救われた!って辺りで結構大きな地震があって劇場でもそれは感知できたのだけど、そのせいか一つ席を置いて隣の客が「MIB3」のエンドクレジットで携帯をつけ始め、そのまま「アメイジングスパイダーマン」の時もずっと携帯のバックライトが迷惑だった。通常ならこういう客はすぐに席を立つのでいいのだけれど、この時はずっと携帯をいじってたのでかなりむかついたな。なんのために上映前にマナー啓蒙映像が流れると思っているのだろう。遠足は家に帰るまでが遠足です!映画はエンドクレジットが終わるまでが上映中です!

*1:それはキャリア的にJより下のはずの若きKとのコンビであっても変わらない