The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ファントム・オブ・・・ 小覇王の選ぶ音楽映画ベストテン!

 また間が空いてしまいました。年に何度かこういう時期があります。さて前回、間が空いた時はワッシュさん(id:washburn1975)の恒例企画の番外編「おっぱい映画ベストテン」で再開しましたが、どうせなら今度もそこに乗りましょう。年末恒例「男の魂に火をつけろ!」のベストテン企画。今年は「音楽映画」です。

 前回の「おっぱい映画ベストテン」と昨年の「アニメ映画ベストテン」はこちら。

 あ、去年も更新の間が空いた後にワッシュさんの企画で再開しているんだなあ。

 さて、音楽映画です。ワッシュさんからの条件は「ドラマ、ミュージカル、ドキュメンタリーなどのジャンルは関係なし。音楽が重要な役割を果たす映画で作中の人物たちに音楽が聞こえているもの(音楽が劇中実際に存在するもの)」という感じでしょうか。
 で、色々考えたのですが、一つだけ自分でつけた条件が。それは「ミュージカル映画の場合」ですね。
 ミュージカル映画は劇中で登場人物がセリフの代わりに歌って感情を表現します。作品に拠っては通常の台詞のやりとりは一切なくすべて歌で進行する作品もあるぐらいです。当然すべてのミュージカルは音楽映画であるのですが、今回はミュージカル映画の中でも音楽やショービジネスが主題としてあるもの」を選びました。なので大好きなミュージカル映画でも「ウエスト・サイド物語」や「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」、「ロッキー・ホラー・ショー」は外しました(最もロッキー〜なんかは多少ショーの要素はあるのですが)。最初は「ミュージカルはミュージカルとして今回は選ばず、いずれ来る「ミュージカル映画ベストテン*1」にとっておこうか?などとも思ったのですが、ドラマだけでなくドキュメンタリーやライブの模様を映画化した作品もあるのにミュージカルを選ばないのはおかしい、とも思い入れました。

  1. ファントム・オブ・パラダイス(1974年 アメリカ ブライアン・デ・パルマ監督)
  2. ムーラン・ルージュ(2001年 オーストラリア/アメリカ バズ・ラーマン監督)
  3. マイケル・ジャクソンTHIS IS IT(2009年 アメリカ マイケル・ジャクソン&ケニー・オルテガ監督)
  4. glee/グリー・ザ・コンサート3Dムービー(2011年 アメリカ ケヴィン・タンチャローエン監督)
  5. メタリカ:真実の瞬間(2004年 アメリカ ジョーバーリンジャー&ブルース・シノフスキー監督)
  6. バーレスク(2010年 アメリカ スティーヴ・アンティン監督)
  7. スウィングガールズ(2004年 日本 矢口史靖監督)
  8. ロックンロール・ハイスクール(1979年 アメリカ アラン・アーカッシュ監督)
  9. オペラ座の怪人(2004年 アメリカ/イギリス ジョエル・シュマッカー監督)
  10. ムーンウォーカー(1988年 アメリカ ジェリー・クレイマー&コリン・シルバース監督)

 とこんな感じでしょうか。ミュージカル3本、ライブコンサートの映画やドキュメンタリー系が3本、ドラマが3本、なんだかよくわからないのが1本、という感じでしょうか。「ファントム・オブ・パラダイス」とか多少ジャンルがまたがってる作品も有りますね。
 それでは作品ごとに簡単に。例によってすでに感想を記事として書いている作品は詳細はそちらを見ていただけると助かります。

ファントム・オブ・パラダイス

 ブライアン・デ・パルマのロックンロール・ミュージカル(ただまったく音楽と関係ないところで唄うシーンはなかったようにも思うのであくまで劇中で歌ってるシーンが有るドラマとも言える)。後で出てくる「オペラ座の怪人」をベースに「ファウスト」「ノートルダムのせむし男」「ドリアン・グレイの肖像」など古典文学が題材なのにこの上なく現代的(1974年当時)な音楽映画となった。ファントムことウィンスローのマスクの造形は三浦建太郎ベルセルク」のグリフィス(というか転生したフェムト)に流用されている。多分今回のベストテンで総合一位になるのはこの作品だと思うけれど、自分もやはり大好きな作品。日本公開当時は「ロッキー・ホラー・ショー」と同時上映する劇場が多かったらしいですね。2つの作品似てるようで微妙にファン層が異なる気もするけれど、かなり羨ましいゴールデンラインナップ。

ムーラン・ルージュ

 バズ・ラーマンミュージカル映画。19世紀末のフランス、実際に存在するキャバレームーラン・ルージュを舞台にユアン・マクレガーニコール・キッドマンが愛の歌を披露。物語は「タイタニック」や「シザー・ハンズ」などと共通する古典的な定番の愛の物語だけれど、それを見せる力づくの演出が凄い。使われる楽曲はすべて既存の音楽ながらチグハグ感は全くなく雰囲気は統一されています。この映画については「どんな変化球が来るか待ち構えていたら超豪速球で呆然と見送るしかなかった作品」という言い方を僕はしています。

マイケル・ジャクソンTHIS IS IT

 2009年に亡くなったキング・オブ・ポップマイケル・ジャクソン。彼がロンドンで行われる予定だった公演のリハーサルの様子などを映画化した作品。公演直前に亡くなってもう6年経つわけですが、今まだ愛されていますね。この映画はコンサートそのものではなくあくまでリハーサルなのですが、それでも楽曲やマイケルのパフォーマンスは圧倒するものがあります。また死ぬ直前は奇人変人という扱いが主だったマイケルが改めて人間として素晴らしかったことを示す作品でもあります。

後述の「ムーンウォーカー」含め過去のマイケル・ジャクソン関連の記事はこちらから。

glee/グリー・ザ・コンサート3Dムービー

 TVドラマ「glee」の映画版。と言ってもただの劇場版じゃありません。キャストたちが全米をコンサートツアーした様子を描いたものです。時間経過としては第2シーズンが終わったところ。途中「glee」に勇気づけられた人たちも描写しつつ圧巻のライブパフォーマンスが。面白いのは出てくるキャストたちはパフォーマンス中はもちろんバックヤードでもあくまでレイチェル、フィン、カートなど役柄を全うしてるところですね。その約と役柄が一体となった様子も楽しいです。スー先生が出てこないのは残念だけどグウィネス・パルトローも出てくるよ!

メタリカ 真実の瞬間

 メタリカの2003年発売のアルバム「セイント・アンガー」の制作過程の様子を描いたドキュメンタリー映画。ベースのジェイソン・ニューステッドの脱退から制作のボブ・ロックがかわりにベースを担当、そして新しいベースロバート・トゥルージオの加入。ガタイの割に小心なジェイムズ・ヘットフィールドのアル中克服。かつてのバンドメンバーで素行不良でクビにしたメガデスのデイヴ・ムスティンとの再会とかヒリヒリするシーンの連続。メタリカは「スルー・ザ・ネヴァー」もライブと暴力的な混沌としたシーンが渾然一体となった傑作。

こちらは「スルー・ザ・ネヴァー」の感想です。

バーレスク

 クリスティーナ・アギレラ初主演映画。田舎から出てきた主人公がシェールがオーナーを務めるバーレスクで仕事を見つけやがてそこのトップパフォーマーとなる。こちらもドラマなのかミュージカルなのか判然としないところはあるんだけどアギレラとシェールの圧巻のパフォーマンスは見どころ。

スウィングガールズ

 邦画からはこちら。ちなみに今回唯一歌が主題ではない作品でもある。ひょんなことから楽器と出会った山形の女子高校生(+男子高校生1名)たちがビッグバンドジャズを組む。上野樹里貫地谷しほり本仮屋ユイカなど今をときめく女優がまだこの作品から羽ばたいたと言っても良い。文化系部活映画は結構好きなのが多いんだけど一番好きなのはやはりこの作品かな。眞島秀和も出てるよ!

スウィングガールズ [Blu-ray]

スウィングガールズ [Blu-ray]

ロックンロール・ハイスクール

 ラモーンズが高校にやってくる!というワンアイデアを突き詰めたコメディ。ちょっと「ぼくらの七日間戦争」っぽいところもあるけれど、基本は緩いコメディ。ラモーンズが本人役で出てくるというそれ一本で推したい。

オペラ座の怪人

 先の「ファントム・オブ・パラダイス」のベースとなったガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」の何度目かの映画化。これまでの映画化作品と一番違うところはこれがアンドリュー・ロイド・ウェバーのブロードウェイ・ミュージカルの映画化であるということ。作品を見たこと無くても聞いたことはあるようなおなじみの楽曲がパワーアップして劇場のスクリーンに。ジョエル・シュマッチャーの趣味全開ながら元々確固たる世界観が確立された作品のためそれほど悪趣味にも感じない絶妙な雰囲気に。普通にハンサムじゃね?と思ってしまうレオニダス王ことジェラルド・バトラーや最近はもっぱら性格俳優になった2代目ナイトオウル、パトリック・ウィルソンなんかが出演。特にパトリック・ウィルソンは今と全然雰囲気が違う爽やかな王子様という感じ。個人的所感だとこの頃からアメリカ映画で「主人公の恋のライバルだけど嫌味なジョックスではなく爽やかで人格も優れたイケメンライバル」というキャラが多く出てきたような気がします。
 この作品に関しては日テレで放送された劇団四季による歌の部分も全部吹き替えたバージョンの吹替もオススメです。

ムーンウォーカー

 最後はもう一度マイケル・ジャクソン。アルバム「BAD」の楽曲を中心にライブ映像やドラマ、ミュージックビデオ、ミュージカルなど様々な要素がごちゃまぜになったかなりカオスな映画。音楽部分の圧巻はやはり「Smooth Criminal」か。マイケルには「スリラー」というこれまた傑作な映画と言っても差支えのないMVがあるけれど(監督はジョン・ランディス、特殊メイクはリック・ベイカー)、それに匹敵しますね。

ムーンウォーカー 通常版[Blu-ray]

ムーンウォーカー 通常版[Blu-ray]


 「ムーンウォーカー」をちょっと例外とすると2つのファントムで挟む形になりました。やはりあの手の怪人の造形には感情移入しちゃう……
 今回は音楽映画であって映画音楽ではありませんが、そういう企画も面白そうですね。ちなみに僕はジェリー・ゴールドスミスジョン・ウィリアムズならジェリー・ゴールドスミス派です!

*1:というか以前に似た記事は書いていました。こちら(http://d.hatena.ne.jp/susahadeth52623/20110326/1301139611)を参照。