The Spirit in the Bottle

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21世紀はつらいよ オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

 いえーい!おかげさまでTOHOフリーパスでのタダ映画充を送っております。それでちょっと感想が追いつかなくなっておりますので、1つあたりの感想は短めで!普段はあんまり観ない映画を観たり、気に入った映画を複数回観たりしているのですが(それでも観ない映画は観ないけど)、今回の作品の監督ジム・ジャームッシュもあんまり得意ではない監督なので通常ならスルーしていたかもしれません。それでもトム・ヒドルストンティルダ・スウィントン主演の吸血鬼モノ、ということで興味はそそられたので観て参りました。「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」を観賞。

物語

 アダムとイヴの二人は永遠の時を生きる吸血鬼。アダムは表に出ないロックミュージシャンとしてデトロイトで暮らしている。厭世家である彼は人間をゾンビと呼んでいるがイアンという何でも調達屋や血液を提供している医者のワトソンなど一部の人間とは付き合わざる負えない。
 あるとき、夫婦であり愛し合っているが今は別れて暮らしているイヴが会いやってくる。つかの間の逢瀬を愉しむ二人。しかしそこにやはりヴァンパイアでありながら隠れて暮らす二人と違って奔放に生きるイブの妹エヴァがやってくる・・・


 うん。やっぱりジャームッシュ苦手だなあ、というのが最初。それでも比較的面白く観れたほうだとは思います。「アベンジャーズ」「マイティー・ソー」の奸智の神ロキを演じたトム・ヒドルストンや「ナルニア国物語」シリーズで白い魔女を演じたティルダ・スウィントン(53歳!)の彫刻のように美しい容貌と佇まいはまさにヴァンパイアというにふさわしい。特に、芸術家気質のアダムに対して(設定上はわからないけれど)イヴの程よい姉さん女房っぽさは観ていて微笑ましかった。ただ、もうこの二人は世間や人間、彼らの言うところのゾンビと積極的に関わろうとはしていないのだな。その辺の隠居した老人ぽい部分と、それに相反する見た目の若々しさみたいなものの共存はよく表現できていたと思う。トム・ヒドルストンはまだ32歳でティルダ・スウィントンとは20歳も離れているけれど夫婦、恋人同士として全くその辺は感じなかったのは凄い(もちろん先述した通り雰囲気として何事もイブのほうがリードするタイプの夫婦なのかなあ、という感じはする)。
 オープニングのクレジットで主演の二人以外にミア・ワシコウスカアントン・イェルチンジェフリー・ライト、そしてジョン・ハートの名前を見つけて意外な豪華さにびっくりしたのだけれど、それぞれイブの妹エヴァ、調達屋イアン、Dr.ワトソン、そして実はヴァンパイアだったクリストファー・マーロー(シェイクスピアでもあった?)を演じている。ミア・ワシコウスカは今年はなんといっても「イノセント・ガーデン」にとどめを刺すのだけれど、あれはまるでヴァンパイアのような普通の人間、という感じだったのに対し、こちらは普通の人間のようなヴァンパイアという感じ。日本で言うならまるでコギャルのような感じでいまどきの女の子。今まで見たワシコウスカの役柄の中でも一番明るかったんじゃないだろうか。ともあれ、彼女は21世紀になっても不用意に感情のままに人を殺しそれがアダムとイヴの慎ましやかな生活が崩壊するきっかけとなる。おそらくイヴとエヴァはそもそも同じ由来の名前だし聖書のアダムとイヴにおけるイヴのキャラクターを分けあっているのだろう。
 アントン・イェルチンはイアン・・・なのだが、実は最後まで彼だと気づかなかった。イアンは長髪にひげの容貌で「スター・トレック」などまだ幼いイメージがあったためかオープニングクレジットでアントンの名前を確認し、イアンは結構最初から出ていたのにエンドクレジットを見るまで彼だと気づかなかったのであった。
 ジェフリー・ライトはアダムに血液を提供する医者を演じている。21世紀の現在、ヴァンパイアが実際の吸血行為を犯すとすぐに警察に見つかって大変なことになるので(昔は良かった!)今はこうして血液のみを入手しているのだな。ちなみにジェフリー・ライトは「ハンガー・ゲーム2」でも活躍してるよ!どうでもいいが日本版Wikipediaジェフリー・ライトの項目は写真をもうちょっとイイものに変えてあげてほしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
 そしてジョン・ハートはクリストファー・マーローだったり、シェークスピアだったりした文豪でイヴに血液を提供する役柄。推測だけどどうやら見た目は老人だけど転化したのはアダムとイヴより後っぽい。アダムとイヴがヴァンパイアになったのはいつなのかは語られないが、相当長く生きていることは予測できる(まさか本当に聖書における人類の始祖アダムとイブではあるまいが)。その上で彼らの会話の中で歴史上の有名人と友達だったよ、みたいなことが語られるのがジャームッシュぽいと思う一方で僕個人としては非常にダサく思える。そういうのは明確に名前を出さず匂わせる程度が良いと思う。マーロー一人はまだともかく。

 ヴァンパイアが出てくる映画ではありますが、ホラーでもモンスター映画でもないです。最近の作品で一番近いのは「ビザンチウム」かなとも思うけどあちらのほうがまだスペクタクルな演出もあったりしたかな。個人的には特に吸血鬼という設定じゃなくても成り立ちそうな物語だと思ったりしました。とはいえ、主演の二人はとにかく美しく撮られているので、二人のファンにはオススメです。ヌードもあるよ!

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 でもやはりトム・ヒドルストンの演じるロキは別格だ・・・