体制は内部からは変えられない

　ここ数日盛り上がった話題で、履歴書における印鑑の捺印の仕方、写真の貼り方等を巡る論議が興味深かったので既に話の賞味期限は切れてると思うが書いてみる。

　元になった記事はこちら

Togetter - まとめ「印鑑を斜めに押してたり写真をまっすぐに切れてない履歴書を作る人たちは本当に採用して欲しいと思っているんだろうか？？by @matsuotakuma（エヌプランニング代表取締役��
Togetter - まとめ「印鑑を斜めに押したり〜中略〜-ゲーム業界編」

　
　まあ、僕の意見としては最初の記事のブコメに書いたとおりで、

どうせ面接で顔見るんだから指名手配みたいな「死んでる」写真などいらんだろう。単に情報なら手書きである必要はないし、印鑑に至っては斜めとかまっすぐとか以前に現状ですら何のために捺印するのか理解不能。

に尽きる。さらに言うなら実に日本的。悪い意味で。履歴書を持って入社試験を兼ねる、というならともかく（その場合はその旨を告知しておかなければならないが）単に応募者の情報以上のものではないだろう。どうせ面接の時に本人と会うのだから顔（それも証明写真みたいな生気の無い）写真なんていらないと思うし、応募者の情報なら手書きよりも読みやすいパソコン印刷の方がいいと思う。ましてや印鑑に至っては何で必要なの？訂正印じゃないんでしょ？
　僕は実は就職活動をしたことが無いので詳しくは分からないが、人によっては何十社も受けたりするらしい。それを全部手書きで書け、と。間違ったら最初から書き直せ、と。あほらしい。
　とはいえ僕もバイトや何かで何度か履歴書は書いている。プリンタとか無いから手書きで。でもそこに心なんて一切こもっちゃいないよ。間違わないように気は使うけど。そして間違った時は二重線を引いて訂正印。最初から書き直すなんてのはよほど間違いまくった時しかやらない。それでいいと思ってるし、それで落すならそれまで、ということ。
　「心がこもってる」か否か、を判定する根拠は薄いよね。字が上手くて普段から文とか書きなれてる人は心にも無いことをすらすら書ける人もいると思う。あるいは一生懸命書いてもどうしても字は汚い、という人もいるだろうし*1。こういう言霊信仰的な何かがいまだにまかり通っているのは非常に恐ろしい、特にゲーム業界な。ちなみに海外の場合だとあんまりこういうの無いみたい。
　今はどうか知らないけど昔は面接で平気で支持政党とか信仰の有無とか聞いたりしてたんでしょ。サイテー。
　採用の基準として内密にこういうのがある、とかまではどうこう言えないけど、少なくとも今後も続けるつもりなら安易に表に出すべきではない（出すならきっちり応募要項に書いとけ）。
　
　で、こういう風に世間の常識（とされる）や風習に異を唱えると決まって出てくるのが
「文句を言うならまずはその通りやって、内部に入って偉くなったら変えてみろ」
とか言う意見が出てくるが、断言してもいいが一度体制に取り込まれて出世した奴がいざ、変えることのできる立場になっても変えることはほとんどない。かつて、自分が通った道を若者にやすやすと通られるのに腹が立つのか、自分の苦労を正当化したいのか。「踊る大捜査線」で室井さんが頂上まで上り詰めても、警察はなんら変わらないだろう。
　だから、本当に変えたいのなら外から切りくずしかないのだ。