The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

美少年・・・じゃない!?

 NHK大河ドラマ平清盛」もあと残すところ数回。最初から色々とケチがついたせいか否か視聴率的には芳しくないそうですが、個人的にはここ最近では突出した出来だと思っています。源平合戦物でも主役は清盛なのでどこまで描くかわかりませんがとりあえず平家滅亡までは描くでしょう。そしてその平家滅亡のキーパーソンになるのが源義経です。 
 過去に様々な美男子俳優(個人的には野村宏伸が「炎立つ」の他日テレの年末時代劇でも義経を演じていて印象が強い)が演じている義経ですが、「平清盛」では「桐島、部活やめるってよ」でもお馴染みの神木隆之介が演じています。彼は大河ドラマ義経」で滝沢秀明の主人公義経の少年時代を演じていたということで話題になっていますが、僕はこのキャスティングは今までで一番義経っぽいのではないか、と思ったりしています。なぜというと本来義経は決して美少年という容貌ではないらしいのですな。美男子すぎず、でもそれなりに爽やかで*1と言うわけで今回は歴史上の人物で美男子などとされているけれど本来はどうなの?という人物を何人か取り上げてみます。まずは当然・・・

源義経


 兄の源頼朝、従兄弟の木曾義仲などは当時から美男子として知られていたようですが、義経はどうも伝説や物語の中では美男子として語られていますが実際は異なるようです。この肖像画も戦国時代から江戸時代辺りに描かれた物。実際は色白ではありますが背は低く前歯が出ている御面相のよう。とはいえ、京の都では女性にはモテたようですし、おそらくその人懐っこい部分や俊敏な動きなどが見かけの容姿以上に人を惹きつけたのではないかと思われます。

 兄の源頼朝肖像画として知られる神護寺三像の一つ。似絵の傑作として知られている物で知性と意思の強さを感じさせ、今でも十分美男子として通用します。現在はこれは頼朝ではなく足利直義を描いたもの、という説が有力のようですがまあここは同じ源氏ということで。しかし頼朝は美男子で義経が違うとなると源氏の美男子は男系なのかもしれません。母親の常盤御前は絶世の美人とされていますがはてさて。

沖田総司

 そして、ぐっと年代は下がって、幕末。新選組の美男子天才剣士と言えば沖田総司。ちなみに「オキタソウシ」と濁らない方が格好良く感じるのかそういう呼び方をするものもありますが「総次」「総ニ」などの署名もあるようなので「ソウジ」が正しいですね*2。で、この人も義経同様若くして死んだ天才美少年、という印象がありますが実際はどうなのか。ちなみに幕末ともなると実際に写真も残っていて鬼の副長土方歳三はこちら。

 うん、文句なしの色男ですね。とにかく京都で女性にもてまくったというのも納得です。そして局長近藤勇

 こちらは意志の力を感じさせる力強い御面相。さて、それでは総司くんはというと、残念ながら写真は残っていないのですね。伝えられるのは姉のミツが孫をモデルに描かせたという肖像画です。それがこちら。

 ・・・これは、

こちらよりも

こちらに近いような。まあ言えるのは義経にしても沖田総司にしても実際の容姿以上にその人柄で愛されたようですし、おそらくじっとしていて美しいと言うよりは動いていて魅力のある人物だったのだと思います。

銀魂 シーズン其ノ弐 10 [DVD]

銀魂 シーズン其ノ弐 10 [DVD]

ビリー・ザ・キッド
 アメリカ西部開拓時代の代表的なアウトローリンカーン郡戦争などで活躍し21歳で死ぬまでに21人(メキシコ人やインディアンは含まず)を撃ち殺したと言われています。が実際は9人だったとか。この人も若くして死んだため、単なる荒くれ者の評価を超えてヒーローとなっていますが実際は粗暴なチンピラといったほうが良いようで。そんな彼の姿はこちら。

 この写真が出回ったため左利きであったと言われていますがこの写真は裏焼されたものであるため実際は右利きだったようです。射撃の天才という部分に関してはあながち間違いではないようで色々と伝説が残されています。

 
ここからはちょっと趣向を変化。

楊貴妃

 楊貴妃は唐の時代に玄宗皇帝の寵妃として有名ですね。従兄弟の楊国忠などが権勢を奮い安禄山の乱を引き起こしたとして傾国の美女の代表とされています。実際、他に傾国の美女の代表とされる妲己(殷の紂王の寵姫)と褒姒(ホウジ。周の幽王の寵姫)が半ば伝説に属する人物であることを考えると実際の傾城としてはこの人が代表といっていいでしょう。現在でも日本ではクレオパトラ小野小町と並んで世界三大美女などといいますが、まあこれは日本で言ってるだけですね。実際クレオパトラも言われるほど美人というわけではなくむしろその才知がローマの権力者を魅了したようですし、更にいうならクレオパトラ楊貴妃は実際にその容貌が歴史に影響与えているけれど小野小町はそういうわけでもなくこの二人と並び称されるのがよくわかりません。とりあえず外国で小野小町が「世界三大美人の一人」とか言っても通用しないですからね。
 で、その楊貴妃ですが美人だったことは間違いないようです。ただし当時の基準で。どうもかなりのぽっちゃり体型で陰毛が凄い長かったとか現在だと首を傾げる部分も多い。どうも全体的に一般人の食生活が貧しかった時代、太っているというのは必ずしもマイナスでは無かったのかもしれません。ただ、彼女の場合もクレオパトラ同様、ルックスだけでなく音楽や舞踏に才能を発揮していたことも魅力だったようですね。
 

洪武帝

 最後は明の太祖、洪武帝朱元璋という名でも知られていて、この人は元をモンゴル高原に追い返し漢民族の王朝を再び立てた人、また江南から興って中国を統一した唯一の王朝の創始者であったりとまごうかたなき中国の偉人の1人。しかし同時に大粛清をして、清代の歴史家張翼に「一身において聖賢、豪傑、盗賊を兼ねた才物」と言わしめた人です。その評にふさわしく肖像画も複雑で、この人には2つの対照的な肖像画が残されています。ひとつはいかにも中国の皇帝という堂々たる姿を描いた肖像画
 
 そしてもうひとつはネジ曲がった口元にホクロだらけの貧相な姿。
 
 おそらく後者が実際の姿に近いのだろうと思うけれど、謎なのは息子の永楽帝肖像画は最初の方の肖像画に似てるんですよね。

 
 というわけで色々美男子とされる人物などを紹介してみましたが、とりあえず美醜の基準は国、時代によって違うのでなんとでも言えることと、人間動かない状態の容姿より実際に動いてなんぼなわけで外見だけでは一概に評価できないということですね。

*1:これは「桐島」で神木くんがオタクっぽさを中和しているのとも共通しますね

*2:昔の人はあんまり漢字そのものにはこだわらなかったのか同音異字で署名したりしていて読みを判断するいい材料です。一般に「ヤマナミ」で知られている山南敬助も「三南」「三男」表記があるため「サンナン」が正しいようです