The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

クロニクル・ミーツ・ブレックファスト・クラブ!パワーレンジャー

 前回の「キン肉マン総選挙2017」の記事を書いた割と直後、はてなダイアリーからアクセス解析機能が削除されました。まあもうあんまりアクセス数などは気にしていないのですが(全盛期に比べると更新数が減ったこともあり大分アクセス数も減りました)、それでも全く反応が分からなくなるのは意外とやる気に直結していて、見れないと逆に気になる。時々パーンとアクセス数が膨れ上がることとかもあってそういう時はだいたいどこかで過去に感想書いた映画が放送されたりした時なのですが、例えばTVで長谷川博己が「ピラニア3D」に言及したらしく、それでアクセス数が爆発したなんてこともありました。

 そういうわけで無きゃ無いで困るので、Google Analyticsなる機能も試してみたんだけどなんだか上手くいかなくて、それで、思い切ってブログを「はてなダイアリー」から「はてなブログ」に引っ越しすることにしました。「小覇王の徒然はてな別館」と同時に存在するんじゃなくてリダイレクトというやつで今後は全部新しい方に移動する設定にしましたので全引っ越しですね。

 で、新しいブログタイトルは「The Spirit in the Bottle」としました。以前に旧ブログ「小覇王の徒然なるままにぶれぶれ!!!」引っ越しの際にも書きましたが、元々はジャンルごとに2つのブログを使い分けるつもりで「別館」と題しましたが、結果はてなダイアリーの方のみに注力することになりました。「小覇王の徒然はてな別館」という名前に愛着がないわけでもないですが、思い切って大幅変更!この「The Spirit in the Bottle」はドイツのお伽話が由来です。まあまだまだマイナーチェンジすることもあるとは思いますが、今後は「The Spirit in the Bottle」でよろしくお願いします。

 というわけで心機一転最初の記事はもう公開終わって久しい「パワーレンジャー」です。

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物語

 アメリカの地方都市エンジェル・グローブ。アメフトの選手として将来を嘱望されていたジェイソンは不祥事から選手生命を絶たれ補習を受けることに。そこで知り合ったのはビリーとキンバリー。ビリーをいじめから守ったことで親しくなったジェイソンはビリーの頼みで一緒に町外れの金鉱跡に遺跡発掘に行くことに。そこにはキンバリーの他に転校生のトリニー、不良のザックもいた。ビリーの爆破によって現れたのは謎の5色のメダル。それぞれが手にとったところで警察が集まり、5人はパトカーを振り切ろうとして貨物列車に激突していしまう。

 気づくと自宅にいるジェイソン。怪我もなければその後の記憶もないが、超人的な身体能力を手に入れたことに気づく。再び鉱山に集まる5人。常人をはるかに凌ぐ跳躍力などを堪能するが、渓谷の奥底に謎の遺跡を発見。そこにいたのはアンドロイド、アルファ5。アルファ5は肉体を失った過去のレッドレンジャーゾードンを意識だけ蘇らせ、5人に新たなパワーレンジャーとなるように要請する。過去にゾードンらパワーレンジャーが宇宙の平和を守っていたが、レンジャーの一人リタ・レパルザの裏切りによって壊滅、ゾードンは自身の力と引き換えにリタを封印した。しかし再びリタが蘇ろうとしており、そのために新たなパワーレンジャーが必要なのだ。力を使いこなさなければレンジャーのスーツは装着できない。5人のパワーレンジャーとしての特訓が始まった。

 ご存知日本の誇るスーパーヒーロー実写ドラマ「スーパー戦隊」シリーズのアメリカ版。この作品は1992年の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」をもとにした「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー 」のリメイク作品。コンセプトは継承しつつリアリティも重視し日本のスーパー戦隊とも従来のTVシリーズの「パワーレンジャー」ともまた違った趣の作品となった。

 僕が最初に「パワーレンジャー」の存在を知ったのは1996年頃だろうか。バイト先のレンタルビデオ店に入荷したのを見たのが始まり。もちろんそれ以前から情報自体は知っていたと思う。「ジュウレンジャー」の方は正直もう中学校に入っていて、大ぴらにこの手の番組を見るのは恥ずかしい年頃だったのでリアルタイムでは見たり見なかったり。ただその前のトレンディ戦隊「鳥人戦隊ジェットマン」が割りと大人向け路線だったのに対してファンタジーの低年齢向けに戻した作品で日本でもシリーズ中興の祖と言って良いだろう。巨大ロボットがロボットそのものではなく意思を持った神様、という設定になったことでこの後の設定の幅が大きく広がった。また後述するが追加戦士が登場しその後の定番となったのもこの「ジュウレンジャー」から。

 そんな「ジュウレンジャー」を元にした「パワーレンジャー」だが基本的にアメリカオリジナルの物語・設定で、特撮部分を流用して作ると言う形をとった。後続のシリーズでは日本のオリジナルの設定を極力そのまま使用して作品を作るようになったが、この時点では特撮部分以外はほぼ別物と言っていいだろう。ただ、第一話を見た時は結構衝撃だった。多人種で構成される戦隊(日本では男性だったイエローが女性になっていたりもする)、テンポが良くなって話がぐんぐん進む展開。そしておそらくアメリカではあまり馴染みのないであろう実写の巨大ロボ。「これはヒットするわ」と思ったものである。

 日本のスーパー戦隊との大きな違いはシリーズが基本的に全部つながっていることで、日本では「電子戦隊デンジマン」と「太陽戦隊サンバルカン」、それまでの全部の作品とつながっている設定の「海賊戦隊ゴーカイジャー」以外は基本的には一作で完結。のちに「VSシリーズ」なども作られるがあくまでイベントという感じで独立している(最近はそうでもないのだが)。「パワーレンジャー」は全部がつながっていて、特に最初の「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」から1998年の「パワーレンジャー・イン・スペース」までは明確にドラマが連続する一大スペースオペラともなっていて、キャストも一作きりではない。

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 そんな「パワーレンジャー」は過去に2回映画化されていて、一作目「パワーレンジャー・映画版」はTVシリーズとは同一キャストによるがパラレルな物語。復活した悪の権化アイバンウーズを倒すためにレンジャーたちが奮闘する(劇中でカクレンジャーっぽくなる)物語で、のちにTVシリーズでもこの映画版に相当するエピソードが作られた。

 もう一作は「パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!ターボパワー」でこちらは明確にTVシリーズの「パワーレンジャー・ジオ(オーレンジャー)」と「パワーレンジャー・ターボ(カーレンジャー)」の間をつなぐ物語でここで登場した敵キャラクターはそのままTVシリーズでも登場した。

 今回は1作目の「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」のリメイク。5人の名前や役割もかなり忠実に受け継いでいる。最初の「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」は5人が高校に通うティーンエイジャーというのが「ジュウレンジャー」との大きな違いで(日本ではすでにターボレンジャーで高校生戦隊が実現しているがジュウレンジャーは十代どころか古代の人)、アメリカらしく多人種構成となっていた。いわゆるPCに配慮した作品の先駆けといえるかもしれないが、当時は今ほど洗練されておらず、わりと不自然だった*1が、その辺もシリーズを重ねるごとに洗練されていって、黒人やヒスパニック系のレッドも誕生している。

 最初にティーザーを見た時はまるで「クロニクル」みたいだな、という雰囲気でとても暗め、およそ「パワーレンジャー」とは思えない感じだったが、後続の予告編で徐々に内容が明らかになるにつれて、「アイバンウーズが出てくる最初の映画版とあんまり変わらないんじゃないか?」と思ったりもした。実際に脚本の一人マックス・ランディスジョン・ランディスの息子!)は「クロニクル」の脚本家。他にもアシュリー・エドワード・ミラーとザック・ステイツは「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」の脚本家コンビだったりしてスーパーヒーロー映画としてキャリアのある人物が参加している。

  この映画を観るときに大きく2つの見方があると思っていて、日本のスーパー戦隊がハリウッドで映画化!という日本の特撮を下敷きにして観る見方や、すでに「パワーレンジャー」シリーズを知っていて、そのTVシリーズとどのように差別化しているのか?というのを確認する見方。そして、全くの初心者として観た時にどう評価するか。僕の場合、後者の見方は出来ないわけだけど(スーパー戦隊はもちろん、パワーレンジャーもある程度新作はチェックしています)、それでも従来のスーパー戦隊パワーレンジャーとは大分異なる作りをしていることは分かるし、逆に従来のもののパワーアップ版を期待すると肩透かしを食らうと思う。

 実は最初のパワーレンジャーはすでにTVシリーズのほう「パワーレンジャー・メガフォース」と「パワーレンジャー・スーパーメガフォース」で実質リメイクされている。この2作はスーパー戦隊での「天装戦隊ゴセイジャー」と「海賊戦隊ゴーカイジャー」にあたるが天使と海賊というアメリカではあまり向いてない題材だったのか、最近のパワーレンジャーとしては大幅に日本版と設定を変えてきていて、ゴセイジャーにあたる5人は高校生となり、最初の「パワーレンジャー」を思い起こさせる高校学園モノとなっている。「スーパーメガフォース」はそのままメガフォースの5人が新たにパワーアップした姿、言ってみればこの作品はシリーズ最初の作品をリメイクしつつ、(ゴーカイジャー同様過去のレンジャーにチェンジするので)、集大成ともなっている作品。今回の映画はいわば二度目のリメイクだ。

 

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  レンジャーたちは特に(日本では)名を知られていない新人たち。名前はオリジナルそのままに、でも各所属するグループの理想的なトップクラスが何故か仲良し5人組だったオリジナルと違って、異なるグループに所属する(そしてそこからもドロップアウトした)各人がなぜ出会い、共に戦うようになったかを描く。「クロニクル」ミーツ「ブレックファスト・クラブ」。オリジナルとは人種設定も変えてあり、レッドとピンクこそそのまま(白人)だが、ブルーは黒人、イエローはインド系、そしてブラックが東洋人(中国系?)となっている。ブルーであるビリーが「黒のほうが良かった」みたいな事を言うシーンもあるが、オリジナルの東洋系はイエロー、黒人はブラック、というまんまだったところからは脱却している。

 各レンジャーのスーツは基本的に(特にヘルメット部分は)ジュウレンジャーの物を踏襲しているが、印象はだいぶ違う。最初の劇場版の時もジュウレンジャーのスーツを鎧にアレンジした感じだったが、今度はもっと生物的なアーマーという感じか。実際装着シーンも日本の変身シーンのような転送されて着装!というよりスライム的な物質が徐々に体全体を覆っていく、というスパイダーマンのシンビオート(ヴェノム)っぽい感じ、やっと変身できたぜ!という苦労に見合った感動はあるが、格好良く変身する爽快感は少ない。

 アクションシーンもいわゆる怪人はリタと戦闘員のゴーレムしか登場せず、そのゴーレムはCGによる岩石モンスターとい感じなのでTV版のような爽快感は薄め。

 ただそういうアクションシーンでのTV版の踏襲、様式美の部分はあえて封印しているように感じた。個人的には序盤から中盤にかけての「クロニクル」や「ブレックファスト・クラブ」的な部分が割りと刺さったので、この雰囲気を最後まで保持するには必要な演出だったと思う。

 ブルーレンジャーの役名はビリー・クランストンだが、このクランストンという姓はオリジナルから受け継がれていて、名の由来はブライアン・クランストンブライアン・クランストンはオリジナル当時、怪人の声を幾つか担当していて、今回はついに司令官(そして元レッドレンジャー!)役へと大出世!ゾードンはオリジナルでは巨大なチューブの中に投影される巨大な顔、という状態だったが(多分モデルは「オズの魔法使」のオズの大魔法使い)、今回は壁から3Dのように出てくる。冒頭ではレッドレンジャーだった時のレンジャー姿やその正体である異星人としての姿も出てくる。このゾードンも最初は自身が肉体を取り戻すために若者たちを利用する、という側面もあるのだが、最終的にジェイソンたちを認め、自身でなく彼らのために協力するようになる。

 シリアスな雰囲気が全体を占めるが、その中でのマスコット的というかユニークな一面を担当するのがアルファ5。碁を嗜む人口知能…ではなくゾードンに替わりパワーレンジャーとなる若者たちを直接指導するアンドロイド。このキャラクターが一番オリジナルとの解離が少ないキャラかも知れない。アイヤイヤイヤイヤー。

 スーパー戦隊パワーレンジャーを他のスーパーヒーロー作品と隔ていている大きな要素が巨大ロボ戦、パーワーレンジャーでいうところのメガゾードなのだが、こちらは以前の映画版に続きCGで描かれている。映画版では「カクレンジャー」の隠大将軍がCGとなって登場したが、やけにメタリックで過渡期とはいえデザインも動きももっさりしていて正直魅力的ではなかった。今回は基本的な意匠はオリジナルのメガゾードバトルモード(大獣神)と同様だが、あえて人が入っていないことを強調するデザイン。正直おもちゃになることを考えた場合はあまり魅力的ではないけれど、映画の中では良かったと思う。

 ここのゾードは特に元となる動物の造形にこだわってはいないようでトリケラトプスが6本足になっていたり、プティロダクティルスは普通に戦闘機という感じ。特にマンモス(マストドン)は鼻に当たる部分は角のようになっていて、6本足で黒光りしているのでマンモスというよりカブトムシのゾードという感じ。もうちょっと元のモデルとなる動物に似ていたほうが良かったかなあ(設定的にはそもそも地球外の生物に似せて作られたゾードなのかもしれない)。この辺はトランスフォーマーに比べるとちょっともったいないです。

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 敵となるリタ・レパルサはエリザベス・バンクス。このリタ・レパルサこと魔女バンドーラこそ日本の、そして世界のヒーロー史上特筆する悪役で、特撮部分のみの流用でキャストは総とっかえだったパワーレンジャーにおいてなお、唯一演じた曽我町子のシーンがそのまま使われ、英語吹替も行い、なんなら新規シーンさえ撮り足したという伝説の悪役である。ちなみに曽我町子は「電子戦隊デンジマン」でベーダー一族の首領、ヘドリアン女王を演じているが、このヘドリアン女王のデザイン上のモデルとなったのがマーベルコミックスマイティ・ソー」のヘラで、今度の新作「マイティ・ソー バトルロイヤル」でヴィランとしてケイト・ブランシェットが演じますね。この辺の日米で影響しあってる感じとても興味深い。

 曽我町子のリタ・レパルサはさすがに途中から若返ったということで別の役者に変わってしまうが、最終的に「ミスティック・フォース(魔法戦隊マジレンジャー)」のミスティックマザー(天空大聖者マジエル)は善の魔術師になったリタ・レパルサということで曽我町子が演じている(日米共にこれが曽我町子の遺作)。

 オリジナルのリタ・レパルサはゆったりとした衣装に身を包んだ年配の魔女として描かれているが、本作ではもっと身体にフィットしたスーツを着ている。あるいは今回のリタ・レパルザは元グリーンレンジャーでゾードンら他のパワーレンジャーを裏切ったという設定(これは本作独自)なので、そのスーツは元を正すとレンジャーのスーツと同様なのかもしれない。

 どちらかというその姿はシリーズではこの後に出てくるディバトックスやアストロネマ、トラキーナといったパワーレンジャー独自に作られた女性幹部に近い。今回は一回限りの作品ということもあり毎回怪人を送り込むのでなく、直接レンジャーとやりあうから、という部分もあるだろう。エリザベス・バンクスはこういうコミック的な役柄を嬉々として演じる姿が素晴らしい。リタ・レパルサそのものは人気キャラクターなので今後もしシリーズが続けば再び登場することもありえるだろう。

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 映画は一応単独で完結するが、多少続編への含みはあって、敵側ではゼッド卿(ロード・ゼッド)の存在を匂わせ、レンジャー側ではトミー・オリバーがエンジェルグローブ高校に転入してきた(登場はしない)と知らせて終わる。続編ではゼッド卿が登場し、リタの復活とグリーンレンジャーをめぐる物語になるのだろうか。

 ご存知のようにオリジナルの「パワーレンジャー」は「恐竜戦隊ジュウレンジャー」がもととなっていて、そこでの追加戦士ドラゴンレンジャーの出演は数回に過ぎない。しかし「パワーレンジャー」の方はシリーズの最初から追加戦士が登場し、絶大な人気を誇ったためちょっと日本とは違った展開を迎える。日本では5人(作品によっては3人とか)の集団ヒーローで全員が主人公ともいえるが一方でその中でも中心となるメンバーはやはりレッドだ。必ずしもリーダーではないが*2主役的存在はレッドである。パワーレンジャーでもジェイソンが一応主人公的立ち位置なのだが、まだその認識が確立される前にグリーンレンジャー=トミーが絶大な人気を得てしまったために必ずしもレッドが中心じゃなくてもいいんじゃないか?という感じになってしまった。これはシリーズが続きトミー自身がレッド(オーレッド)になるまで続くこととなる。

 ちなみにジェイソン・デヴィッド・フランク演じるトミー・オリバーはシリーズの中でグリーンレンジャーを始めとしてホワイト(キバレンジャー)、レッド(オーレッド、レッドレーサー)、ブラック(オアバレブラック)となっているのであともう一色何か演じれば一人戦隊が可能。「動物戦隊ジュウオウジャー」のジュウオウバードか「宇宙戦隊キュウレンジャー」のホウオウソルジャーあたりで是非トミー・オリバーの復活を願う。

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  そして、ジェイソン・デヴィッド・フランクとキンバリー役のエイミー・ジョー・ジョンソンは今回の映画にもゲスト出演しています。この二人は(劇中で)恋人同士となり、シリーズが続く中で別れてしまったが、今でもパワーレンジャーシリーズ全体でのベストカップルだろう。


Power Rangers Official Trailer #1 (2017) Bryan Cranston, Elizabeth Banks Action Fantasy Movie HD

 もうすでに公開は終わってしまったのでソフト待ちの状態だと思うけれど、意外と普通に青春モノとしてよく出来ています。逆にハリウッドでパワーアップした戦隊物、という期待が過ぎるとちょっと物足りないかな。でも予想した以上によく出来ていて個人的には満足です。日本のスーパー戦隊、TVのパワーレンジャー、ともどもこの劇場版シリーズも見守っていきたい。

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susahadeth52623.hatenablog.com

*1:同時期の同じ手法で制作された「マスクド・ライダー(仮面ライダーBlack RX)」により顕著で、主人公が居候する家庭が白人の夫と東洋人の妻、黒人の息子という構成だったりする

*2:カクレンジャーではホワイト=鶴姫が女性リーダーでかつ最年少、メガレンジャーではブラックが部長=リーダー、タイムレンジャーではピンク=ユウリがリーダーである。ただカクレンジャーは(あえて言うならシンケンジャーの姫レッドも)血筋重視だし、逆にタイムレンジャーは西暦3000年の未来からやってきた人なので現在を基点とする戦隊ではまだ女性リーダーはいない、ともいえる。一方悪の組織の女性進出は著しいがそれはまた別の話

将軍様にひれ伏せ!キン肉マン超人総選挙2017!!


 みんな!「キン肉マン」の新章はもう見たか!感動の最終回を迎えた「完璧超人始祖編」のあとでこんな衝撃が待ち構えていようとは!?新たな敵に動けない主力超人たち。立ち向かうのは引退したはずのウルフマン、そこへ駆けつけたのはティーパックマン、カレクック、ベンキマン、カナディアンマンの4人。こんな展開誰が予想したであろうか。最初は死相が見えていたウルフマンですが(もしまた死亡すれば死亡回数4回でロビンマスクと並んでシリーズタイ記録)この援軍を迎えてちょっと希望が見えてきました。読切パワーで活躍しそうなカレクックとベンキマン(この二人が普通に格好良く見えてくるから困る)、旧シリーズの時に比べて偉いマッシブになったティーパックマン(単にデザインの変更なのかそれとも見合ったパワーアップをしているのか)に比べると相変わらずカナディアンマン*1はダメそうですが(自分のことしか言ってないからなあ)、これは今後の活躍が見逃せない!

 というわけで、そんな新章を迎えてさらに盛り上がる「キン肉マン」ですが、今年もやってまいりました「超人総選挙」。今年は新シリーズ再開以来の「完璧超人始祖編」が終了したのを迎えての総選挙。結果発表自体は7月1日だったのですが、正式な公式ページでの発表を待ってこの時期に。これまでの2回ともまた違った結果となりそうです。
 前回、前々回はこちら。

 ルールは前回までと一緒。事前登録をした上での一人3票。今回はスクショするのを忘れてしまいましたが、僕の3票は2人は新シリーズでの殊勲賞的な超人に。残り一票は永遠のあこがれあの人に。というわけで自分の入れた3人はロビンマスクブラックホール、ジャンクマンの3人でした。ロビンマスクはもう不動の1位なのでこれは永遠に変わらず。そして、完璧超人無量大数軍相手にまさかの2連勝という前人未到の結果を残したブラックホールと悪魔六騎士のなかでもいちばん人気がなさそうであったのに完璧超人始祖相手に勝利したジャンクマン。ブラックホールはさすがに始祖相手にはせず負傷したザ・ニンジャを連れてリタイア。それでも悪魔超人イチのタフネスを誇るだけに負傷しながらも体力的にはまだ行けそうでした。ジャンクマンは悪魔六騎士の中でもアシュラマン、サンシャイン、ザ・ニンジャの人気超人3人に対しスニゲーター、プラネットマンとともにどちらかと言えば不人気超人といえるでしょう。しかもプラネットマンとスニゲーターはキン肉マンシングルマッチをしているのに、ジャンクマンはキン肉マンと試合をしていないので接点も少ない。デザイン的にも両腕のスパイクは分かりやすいものの顔はラーメンマンをさらにやっつけにしたような感じだし。実際僕も以前の記事では負けるだろうな、と予想していました。でもこのジャンクマンが見事に勝利するんですよ。愚直にジャンククラッシュ一本で攻めていく姿勢も良かったです。相手のペインマンも良い超人でした。

 それでは順位を見ながら簡単な感想を。まずは10位から1位。

  1. 悪魔将軍(ゴールドマン)
  2. キン肉マン
  3. キン肉マンソルジャー(キン肉アタル)
  4. ロビンマスク
  5. ウォーズマン
  6. シルバーマン
  7. バッファローマン
  8. ザ・ニンジャ
  9. アシュラマン
  10. ブロッケンJr.

 というわけで10位以上は相変わらずの面々です。前回のテリーマン、前々回のラーメンマンがはずれ、替わりにシルバーマンがランクインしたのが唯一の変化でしょうか。後は同じ面々で順位の変動が合った形ですね。悪魔将軍とアタル兄さん、そして超人師弟コンビの4人はほぼ上位の固定。悪魔将軍は主役のスグルを差し置いてシリーズの最終試合を制した大殊勲。元々悪役としては旧シリーズでも人気の超人でしたが、新シリーズはほぼ主役と言って良い立ち位置。今回は過去も明らかにされ、前身であるゴールドマンとしても人気を得ました。悪魔超人の開祖であり、完璧超人始祖の一人。弟のシルバーマンが正義超人の開祖でキン肉族の先祖であることが明かされたので実はキン肉マンと悪魔将軍も遠い親戚ということに。何はともあれ、今回はシリーズの幕引きをした悪魔将軍が1位というのは全員納得でしょう。
 一方、相変わらず旧シリーズの人気だけでランクインしたのがキン肉マンソルジャーことアタル兄さん。超人血盟軍の回想などでちらっと登場することはありましたが本人自体は登場せず。そんな中でも超人血盟軍(今回も全員10位内にランクイン)を下位に従えてそのトップに君臨。そしてみなさん朗報です!新章が始まる前の箸休み企画であるゆでたまご嶋田先生と中井先生のフィギュア対談によると、新章でアタル兄さんが登場するのは間違いないそうです!ついに本命中の本命が満を持して登場!
 そして主人公ながら毎回この手の人気投票では1位になれないキン肉マンは今回は2位。試合も2試合しかしていませんが、その2試合が全て負けたら自死するのが掟である完璧超人相手に相手をただ倒して終わるのではなく、きちんと分かり合うために戦う、という正義超人の立場をきちんと示した勝利を収めているのがさすが主人公。ピークア・ブー(89位)もネメシス(19位)も(更に言うならネプチューンマン(17位)も)完璧超人としての立場こそ変えませんでしたが、さらなる高みを目指すために負けても死なないという新しい価値を見出したのは相手がキン肉マンだったからこそでしょう。悪魔超人はもちろん正義超人で勝利したものの相手を死なせること無く勝利したのはキン肉マンだけ!(最終戦の悪魔将軍やグリムリパー相手のバッファローマンなど例外はあるけれど)
 超人師弟コンビももう実際の劇中の活躍とは別に不動の人気を確立した感があります。ロビンマスクはネメシス相手に死亡してしてしまい、超人墓場での復活システムが崩壊したので今のところ再登場の目処は経っていません。ただ超人墓場以外でも超人強度のパワーの譲渡など復活する手段は他にもあるので何らかの復活を期待しましょう。ウォーズマンはそのロビンマスクの後継者としてキン肉スグル(キン肉星第58代大王)とはまた別の正義超人の(ラーメンマンも認めた)新リーダー。これまで精神的に脆いところもあったウォーズマン(この辺は師匠譲り)ですが、今後はそのあたりも克服し正義超人の要として活躍していくことでしょう。
 今回新しく10位内に入ったのがシルバーマン。銀のマスクですね。あごひげも生やし男臭さ満開の兄ゴールドマンに比べると元々が防御を得意とする「平和の神」であり「黄金のマスク編」で悪魔六騎士が正義超人のパワーを吸収した時は生命維持カプセルを与えるなど慈愛の象徴としての印象が強い存在でした。アニメでは銀のマスクの時の声が松島みのりミートくん(33位))だったこともあり、女性的な印象も強いです。今回はそんな銀のマスクが一試合分だけのパワーを得て(残りは黄金のマスクが悪魔将軍として復活するために使用)、イチ超人として登場。正義超人の開祖であり、キン肉族の先祖であることも判明しました。あれですね、キン肉族は生まれてすぐマスクを着用し、家族以外に素顔を見せてはいけない、もし見られた場合は死ななければならないという過酷かつ奇異な風習があるのですが、劇中で判明しているスグルの素顔は黒髪の(どうやら美青年)地球人に似た容姿っぽいのですが(キン肉星人全体がシルバーマンの子孫だとすればビビンバやホルモン・ヤーキを見る限り一般的な地球人スタイル)、ゴールドマンとシルバーマンはあれ、マスク着用じゃなくて素顔っぽいんですよね。何億年も経て他の種族の血が入ったりして変化していったのでしょうか、それともそのへんも超人のなせる奇跡?今回はその「平和の神」の異名に相応しくない完璧超人始祖・弐式(パーフェクト・セカンド)時代の「虐殺王」と呼ばれた過去も明らかになり、神話時代の兄ゴールドマンに勝るとも劣らない強豪超人としての姿を見せました。特にキン肉族三大奥義の一つ、マッスルスパークの原型にしてその威力はマッスル・スパークをはるかに上回るアロガント・スパークは衝撃の技でした。確実に相手を殺す技から、相手を倒しつつ命は奪わない技としてマッスル・スパークが生み出されそれを完成させたのがスグルということになります。シルバーマンはわずか一試合だけの登場でしたが、そこで見せた強さと理想と優しさ、そしてライバルであり親友でもあったサイコマンとの愛憎入り乱れる様が強烈な印象を残したので6位も納得です。
 7〜10位は安定の超人血盟軍。ただグリムリパー、ガンマンと倒したバッファローマンを除くといずれも健闘はしても大活躍とはいえない印象もあります。やられて絵になるザ・ニンジャとブロッケンJr.はともかく完膚なきまでに叩きのされた(死んではいなかった模様)アシュラマンはもうちょっと頑張ってもらいたかったかも。いずれ新章でキン肉マンソルジャーが登場すれば再びその下で超人血盟軍が勢揃いする姿も見れるかもしれません。
 
 さて、ここからは11位〜100位の間で気になった超人を幾つかピックアップ。まずは全体として新シリーズになってから登場した新超人、特に完璧超人始祖の上位ランクインが目立ちますね。10位以内に入ったのこそ始祖を抜けた金銀兄弟だけですが、まずシルバーマンの恋の相手(違)サイコマンが11位に、金銀兄弟の首を(結果として)はねたジャスティスマンが15位、そしてラスボスであった超人閻魔始祖・零式ザ・マンことストロング・ザ・武道が21位に入っています。前回11位につけたガンマンは25位ですが前回は「変身などしなーい!」が話題となってのネタ的な位置づけでの上位ランクインだったのに比べると純粋に物語の中の人気で今回は25位なのではないかと思われます。その下には26位のペインマン、48位カラスマン、54位ミラージュマン、58位シングマン、64位アビスマンと全員が入っています。前回までは何人か新シリーズで登場の超人も入ってはいましたが、やはり基本となる人気超人(特に敵役となるような超人)は旧シリーズの登場超人が多かったのですが、今回は現役で活躍した超人が多く入ってきたのも、「キン肉マン」という作品が過去の人気だけで成り立っているのではなくまさに現在進行形の人気によって成り立っていることが証明されているのではないでしょうか。
 ラーメンマン(12位)とテリーマン(18位)はちょっと不本意な感じでしょうか。僕も前回はテリーマンに1票入れ、そのせいか否か、10位に入る健闘でしたが、今回は僕が入れなかったせいか18位まで落ちてしまいました。活躍ぶりは他の人気超人に勝るとも劣らないと思うので次のがんばりに期待したいです。
 僕も1票入れたブラックホールとジャンクマンはそれぞれ16位と34位。ブラックホールは前回同様の16位で、中堅どころとして安定し人気。ジャンクマンは、結構以外なことに前々回31位、前回28位なので今回が一番低いですね。というかこの30位前後立ち位置で安定していたのか。もっと下だと思っていた。
 キン肉サダハルことネメシスが19位なのに対して似た容姿のキン肉マンスーパー・フェニックスが13位。運命の5王子も(味方としての)再登場が期待されているので、そのリーダーとしてはこの位の人気は欲しいか。
 ネタ超人の雄、レオパルドンは28位。35位〜100位の中にはキン肉タツノリ(36位)、ビビンバ(41位)、二階堂マリ(42位)、中野和雄(46位)、与作(50位)、翔野ナツコ(55位)、キン肉小百合(59位)、キン肉真弓(60位)、タザハマさん(76位)、吉貝アナウンサー(77位)といった正義超人の身内だったり人間キャラだったりが続きます。ちなみにハラボテ・マッスル(委員長)は71位。正直真弓と委員長の「昔とったる杵柄コンビ」はもっと上位でも良くないですか?
 さて、では新章で衝撃的に再登場した5人の順位を見ましょう。5人の中でもアイドル超人の末席ではあったウルフマンは44位。読切では引退の模様が描かれましたが(そういや断髪式やったのに新章では普通に髷結ってるな)、怪我を押しての復帰戦。アイドル超人としては低い順位ですが(ジェロニモ(30位)より低い)、ここでの頑張りによっては次はもっと上を狙えるかも!ウルフマン同様の読切コンビ、ベンキマンとカレクックは49位と52位。この二人にタイルマン(81位)を加えた3人は新シリーズ冒頭でザ・マンの「零の悲劇」によって超人パワーを奪われ人間にされてしまいましたが、どうやら無事超人に戻れた模様です。読切での二人の姿が格好良すぎたのでなぜだろうものすごい強豪超人に見え、勝てる気がする!ちなみに今回参戦した5人はそれぞれ超人オリンピック決勝トーナメントまで残った間柄、ということですが、第20回超人オリンピック決勝トーナメントBグループは実は牛丼(キン肉マン)、ラーメン(ラーメンマン)、カレーライス(カレクック)と日本人の国民的食事決定戦であったのです!(毒ガスブロッケンマン(47位)はほっとけ)
 ティーパックマンは73位。さすがにウォーズマンに惨殺されたぐらいしか印象がなかった超人なので妥当でしょう。全く誰も予想していなかったものなあ(ウルフマンとともに活躍できる正義超人としてはジェシー・メイビア(70位)とシシカバ・ブー(90位)あたりを予想していました)こちらも今後の頑張りで次回上位が狙えるかも。
 そしてヘタレ超人界の下っ端、カナディアンマンは55位。上位でもなければ下位過ぎるわけでもないつまんねえ順位だぜ。ちなみにビッグボンバーズの相棒スペシャルマンは63位。

 最後に「完璧超人無量大数軍編」「完璧超人始祖編」におけるベストバウト5を挙げて終わりたいと思います。新シリーズは旧シリーズでの最長だった「キン肉星王位争奪戦」より長いんですよね。でも試合のテンポが良かったのでそれほど長くは感じない。

 まずは「キン肉マンVSピーク・ア・ブー」。こちらはキン肉マンの復帰戦となります。実はこの試合は「キン肉マンVSジェシー・メイビア」を再現したものともいえるものでこの試合はそれまで「神がかり的な運の強さ(byラーメンマン)」と根性(大和魂)だけで戦っていたキン肉マンが初めてちゃんとした師匠プリンス・カメハメ(27位)のもとで体系的なレスリング技術を手に入れ挑んだ試合となります。相手の技術を真似して技術を吸収する急成長超人ピーク・ア・ブーと返し技の達人であるジェシー・メイビアも共通するところです。超人レスラーとしての本格的なデビュー戦と大王として引退したキン肉マンの復帰戦、大技でなく基本的な技の組み合わせである風林火山勝利するところも共通。まさにキン肉マンの新シリーズ復活にふさわしい一戦でした。
「悪魔将軍VSザ・マン」はシリーズのラストを締めくくる一戦。超人界でも最高峰の二人による全力の試合。互いに悪魔将軍はゴールドマン、ストロング・ザ・武道はザ・マン(超人閻魔)と正体はもうこの時点で判明しているのにマスクの破損で互いの素顔が見えそうになるシーンの緊迫感は見事。
ブラックホールVSジャック・チー」これはもうブラックホールがめくれ上がってペンタゴン(22位)になるシーンに尽きますね。インパクトではピカイチ。
キン肉マンVSネメシス」、「悪魔将軍VSザ・マン」が超人界の長老による過去の因縁に決着をつける試合だとすれば、この試合は超人界の今後を背負う者同士による試合。とはいえ同時にキン肉王族によるけじめの試合でもあります。完璧超人としての挟持からあえて自分に負担になろうとより威力のあるアロガント・スパークをかけようとするネメシスと、正義超人としての誇りからマッスル・スパークで勝負をつけるキン肉マン。名試合でした。
 そういえば今回は特にアナウンスされていないのですが、多分29位になった超人にはまたなにかあるのでしょう。そして今回29位の超人はアトランティスです。そのアトランティスの試合は両者死亡にによる引き分けとなったマーリンマンとの試合。こちらもかつての「ロビンマスクVSアトランティス」の再現。そして名台詞。さあご一緒に!

新章も楽しもう!

*1:カナディアンマンは身長265cm体重218kg超人強度100万パワーとアイドル超人と比べても遜色ないスペックなのでよりヘタレ具合が際立つ。相方のスペシャルマンは173cm86kg超人強度65万パワーと超人としては割と小柄

原作漫画とアニメと実写の理想的なあり方 銀魂


 と驚いたのが約一年前。少女漫画以外の特に非現実的な世界が多い少年漫画の実写映画化は死屍累々たる様子なのであるが、もちろん全部が全部失敗というわけでもない。「るろうに剣心」3作はいろいろ言われてるが概ね成功といえるだろうし、異能力バトル漫画そのものではないが業界ものと言うよりはバトル漫画の亜種であった「バクマン。」はなんなら原作より良く出来ていた。日本だけでなく日本のコンテンツをもとにした海外での実写映画も多く作られるようになりいまや漫画の実写映画は数多く作られている。今回の「銀魂」はその独特なギャグと同時にSF、剣戟としても読まれていて僕も大好きな作品である。だから最初に聞いた時は「おいおい大丈夫なのか?」と思ったのもたしか。ただその不安は監督が福田雄一である、ということで期待に変わった。「HK変態仮面」2作やTVシリーズ「勇者ヨシヒコ」など多くの作品を楽しんでいて、僕自身「銀魂」と福田雄一作品の感性は似ているのでは?と思っていたからだ。というわけで初日に鑑賞したのだった。空知英秋原作、福田雄一監督による「銀魂」を観賞。漫画及びアニメの「銀魂」の実写化、そして福田監督作品の新作としてもほぼ完璧な出来ではないかと思います。もちろん元々の題材や監督の作風が人を選ぶものなので万人向けとは思わないけれど、原作ファンはほぼ満足できるんじゃないかな。

物語

 江戸時代。ペリーの黒船…は来なかった!代わりにやってきたのが天人と呼ばれる異星人たち。天人は強引に開国をさせ、攘夷志士と天人たちの間で攘夷戦争が繰り広げられた。やがて攘夷戦争は攘夷志士たちが敗れ、江戸幕府は天人の傀儡政権として存続、社会が急速に発展するとともに廃刀令が出され武士はその力を失っていった。
 攘夷戦争からおよそ20年後の大江戸かぶき町。かつて攘夷戦争で白夜叉として恐れられた男坂田銀時は今は「万事屋銀ちゃん」をのんべんだらりと営んでいる。従業員は落ちぶれた剣術道場の跡取り志村新八と宇宙で傭兵種族として知られる夜兎の少女神楽。そこに新八の姉、妙や攘夷戦争時代の仲間桂小太郎とそのペットエリザベス、さらに江戸の治安を守る真選組などが加わって、彼らとダラダラした日々を過ごしていたのだった。
 ある時、銀時は刀鍛冶の村田兄妹から盗まれたという名刀紅桜の探索を依頼される。紅桜は持ち主を不幸にするといういわくつきの妖刀。さらに江戸で頻発する辻斬りに桂が巻き込まれ、エリザベスから桂探索も頼まれる。やがてこの2つの事件は一つになり、そこには桂や銀時のかつての同士高杉晋助鬼兵隊の影があった…

 原作の空知英秋の「銀魂」は僕は先にTVアニメの方で知って*1、アニメにしても結構時間が経ってから触れたのだが(それでももう10年近く前だ)、その設定とタブーを恐れぬギャグでファンになった。単行本は全巻持っているとはいかないが、好きなエピソードが収録されている巻は何冊か持っている。
 原作からパワーの有る作品だが、それに輪をかけてアニメが頑張っている作品で、サンライズ製作なのだが自社パロディも他社パロディも辞さないし、原作で紙媒体であることを活かしたギャグをちゃんとTVアニメ媒体のギャグに変換していて飽きないようになっている。ちなみにアニメの方のメインライターは大和屋竺の息子で、浦沢義雄の弟子でもある大和屋暁。今回は直接関わっていないが、実写だからこそより不条理ギャグが活きるという作劇は影響を与えていると思う。
 この作品はワーナー製作の邦画だが、やはりワーナー製作でジャンプ掲載作品の映画化である「るろうに剣心」と共通点があって、「幕末の開国から20年後ぐらいを舞台にした剣戟アクション」だ。もちろん作風から何から全然違うのであるが、この辺外国資本であるワーナーから見て魅力的な題材なのかもしれない。「ラストサムライ」もほぼ同じ時代を舞台にしているしな。
 キャストは脇にいつもの福田組とでも言える常連俳優を配置しつつ、メインどころは実に豪華。主要三人は坂田銀時小栗旬。新八に菅田将暉、神楽に橋本環奈という布陣。

 小栗旬は原作・アニメのほうでも小栗旬之助として出演済み(セリフ無し)だが、今回は主人公坂田銀時として。外見は原作をそのまんま再現し、でも割りとコスプレでなくきちんと劇中に実在するものとして自分のものにしていると思う。ちなみに小栗旬之助は劇中で良い奴として描かれてました。銀時は死んだ目なキャラクターだが、小栗銀時は割りと生気にあふれていたかな。でも熱い桂とニヒルな高杉の間でその虚無感は割りと出せていたと思う。小栗旬は普段のやる気のない銀さんといざというときの格好いい銀さんをきちんと使い分けていてよかった。予告編とかでも使われている「ちわっ」ってところはちょっとつらかったけれど。
 新八はフィリップこと菅田将暉。そっくりです。以上。
 神楽役の橋本環奈。いわゆる「1000年に一人の美少女」さんですね。僕はこの橋本環奈さんは以前所属していた九州のアイドルグループ「Rev.from DVL」のリリースイベントで観て、ついでに握手会にも参加したことがある。この時点で彼女だけが注目を浴びていたこともあるが、他のメンバー(もちろん皆美少女)に比べ彼女だけ明らかに話し方や佇まいがプロとして頭ひとつとび抜けていた印象が強い。その後グループが解散し、彼女は女優として独り立ちしたわけだが、まだ18歳。背が低く童顔なこともあって、年齢設定13歳の神楽として違和感はなし。以前に出演したやはり少年漫画の実写作品「暗殺教室」では自律式固定砲台通称律ちゃんを演じていたけれど、あの時は外見はともかくハスキーな声はあまり似合っていなくて、声だけアニメ声優が吹き替えたほうが(劇中の設定的にも)良かったんじゃないか、と思ったりしたのだが、今回はそのハスキーな声も役柄にピッタリ似合っている。神楽といえばタブー破りのヒロイン。ゲロを吐き鼻をほじり、毒舌を振りまく。果たしてあの美少女橋本環奈がそこまでするのか?というのは話題になっていたのだがきちんとやります。しかもそういうシーンで不快にならないのは素晴らしい(アニメで平気でも実写にしたら不快になる描写などたくさんある)。

 最初は銀時と新八の出会いのエピソード(原作第一話)から始まるんで不安になるんですよ。もしやこのテンポでずっと進むのか?って。それぞれのキャラクターのオリジンや出会いを馬鹿丁寧にイチから見せるんじゃないだろうな?って。でもそっからすぐにギャグモードというかかぶき町の日常に突入。新八や神楽は特に何の説明もなく万事屋にいるし、真選組とはすでに腐れ縁になっているし。この辺の「すでに存在している世界観に客を投げ入れる」「人物相関図に必要以上の説明は入れない」感じはすごく良いです。後はこの後の「カブト狩り篇」でのテンポがギャグだけでなくシリアスモードでも維持されていく。
 映画を観るときに、全く傷のない完璧な作品などというのはそうそうなくて多かれ少なかれその傷を観る側がどのように捉えるかで作品の評価というのは変わってくると思う。例えばたった一つ、あるシーンの描写が許せなくて他はほぼ良い出来だったとしても総体として嫌いになる作品もあれば、傷はたくさんあるけれど、たった一つでも自分の感性とピシャリと合うシーンがあれば他がどうあろうと総合的に好きになる作品というのもある。これは明確な基準と言うものはなく、自分でも曖昧であるのだけれど、僕の場合福田雄一作品は明らかに後者で、客観的に見ても、なんなら贔屓目に見てもダメなところはたくさんあるけれど、最終的に好きか嫌いか問われれば僕は好き作品なのだ。
 今回も福田唯一監督の脚本によるが、原作の「紅桜篇」を底本にしていて、ギャグシーンが幾つかアップデートされていたり、キャストに絡めたりしている以外はほぼ物語の流れは忠実。映画における福田脚本ははっきり言ってオチが弱い。「HK変態仮面」は設定こそ原作付きであったが、物語はほぼオリジナルで中盤の盛り上がりに対してラストはいきなり巨大ロボが登場して無理やり決着をつけている。この辺り単発で完結させねばならない映画より連作でつながられるTV出身らしいところではある。今回は物語から「紅桜篇」をそのまま使っているのでそういう意味での物語のオチの弱さはない。桂を助けるために駆けつけた攘夷党の面々の替わりに真選組になっているなど、真選組が終盤まで関わってくるところぐらいが映画オリジナルの部分で後はほぼ原作に忠実な流れ。

 ギャグシーンはそりゃ好き嫌いは分かれると思いますよ。アニメがサンライズだからガンダムネタがあったり、かと思えば同じジャンプだから「ONE PIECE」ネタがあったり。そこまでなら十分許容範囲だが最終的にはジブリネタまである。キャストの過去の出演作に絡めたギャグなんかも多く、その意味で明らかに全く事前知識なしで楽しめる作品ではないと思う。ただ、原作、そしてアニメの「銀魂」の精神は確実にこの実写映画の中にも生きている。佐藤二朗演じる武市変平太のロリコンネタとか今どきどうなの?と思うものもないではないが、これは原作からあるネタなので。
 でも一発で分かるビジュアルのギャグと、その後に台詞のやりとりで繰り広げられるギャグはやはりアニメのままと言うよりはきちんと福田作品となっていて、特に佐藤二朗ムロツヨシの出演場面はほぼ「勇者ヨシヒコ」なので免疫があるかどうかが問われそう。
 今年は少年漫画の実写映画化がたくさん公開予定で、多分その中ではこの「銀魂」が一番予算が少ないんじゃないかと思える(より少ないのがあるとすれば同じ福田作品の「斉木楠雄のΨ難」か)。もちろんこれまでの「変態仮面」やそもそも予算が少ないことを売りにしていた「勇者ヨシヒコ」に比べると予算は多いのだろうけど。その辺はどちらかと言うと美術よりも原作の再現と豪華キャストのほうに注いでいるか。天人の造形も特殊メイクを駆使してとかじゃなくて本当市販のパーティグッズのマスクをかぶせているだけのような感じ。でもそれが作風にマッチしているのだからいいのだ。
 例えば数多くの漫画実写映画を手がけていて、このあと「ジョジョの奇妙な冒険」の公開も控える三池崇史監督作品だと美術に過剰な作り込みをし画面は常に暗く重くなることが多い。それに比べると福田監督作品は美術に過剰な作りこみはせず、あくまで背景としてのみ捉えている気がする。クライマックスは宇宙船(ぱっと見は木造の船)の甲板での戦闘だが、その背景はまるでベタ塗りのセル画のようなピーカンの青空だ。背景が心理描写の手助けをしたり場面の雰囲気を演出することがない。その分画面が重くなることもない。

 その他のキャストでは、まずお妙役の長澤まさみ。一説には「銀魂」世界最強説もあるキャラクターだが、今回はほぼ動きはなし。演じているのがスタイル抜群の長澤まさみなのでいざ戦闘になれば凄いだろうな、とは思わせるもののアクションがないのは残念。とはいえギャグ部分では十分活躍。個人的には料理してダークマターを生み出すシーンがないのと神楽との絡みがないのが残念かな。
 孤高の攘夷志士桂小太郎を演じているのは岡田将生。同じ攘夷戦争の仲間だった銀時や高杉と比べると役者の中ではちょっと若いがそのスラっとしたスタイルの良さと育ちの良さそうなルックスが桂にはよく似合っている。何よりこの岡田将生大河ドラマ平清盛」で源頼朝としてナレーターを務めたこともあるくらい声が良い。今回もその安定した癒しのイケボイスで我々を楽しませてくれる。「ヅラじゃない桂だ」などの定番セリフや、実は「紅桜篇」において一番の印象的なセリフではないかと思われる「いつから違った、俺たちの道は」も桂があのいい声で聞かせてくれる。全体的に真面目であるがエリザベスがらみのちょっとお馬鹿なやりとりも普段が格好良ければ良いほどギャップで魅力が増すパターン。
 真選組の面々は本来「紅桜篇」では出てこないキャラであるが、本作では大活躍。近藤、土方、沖田の3人が主として登場。ほぼ原作のまま。近藤のイメージは僕の中では照英なのだが、今回は中村勘九郎。はちみつ塗って全身金色になったりお妙のストーカーをしたり、どのキャラでも基本シリアスとギャグがある中ほぼギャグのみです。あと脱ぎ担当。カメラに映らなかったりモザイク処理されたりしている部分は実際に脱いでいたそうな。
 土方は最近すっかり福田組になってきた柳楽優弥柳楽優弥がそれほど格好良い、という印象も無かったのだが、ここでは格好いい土方十四郎を演じている。柳楽優弥はあれだね。豊田エリーと結婚した時は私生活で不安定な部分が見られたんであんまり良い印象なかったんですよ。豊田エリーのそれなりにファンだったこともあって不幸な結婚にならなきゃいいな、って余計なお世話を抱いたものです。でも「アオイホノオ」を経た今は柳楽優弥自身が好きな俳優の一人になっているので今なら素直に結婚を祝福出来ます。おめでとう。
 沖田総悟仮面ライダーメテオこと吉沢亮。こちらもそっくりかつ違和感なし。福田監督作品は初とのことだけど妙に馴染んでいてこの後は「斉木楠雄のΨ難」でも出演します。ちなみに近藤が全裸で素振りするシーン。沖田はアイマスクしてるので見れてないそうな。

 敵役となる鬼兵隊はまず高杉晋助KinKi Kids堂本剛堂本剛というと役者としては初代「金田一少年の事件簿金田一一役。後は「人間・失格」なんかか。以降は僕なんかは正直役者というよりもバラエティの印象のほうが強い。役者としてみても、なるほどルックスはジャニーズだけあって美形だけれど背はそれほど高くなく、スタイルもそれほど良いというイメージもなかった。攘夷戦争の同士でもある銀時、桂、高杉を演じる3人の中では一番の年上でもあり、あんまり高杉に合うイメージは浮かばなかった。でもその美貌は妖艶にして繊細。大きな満月をバックに三味線を奏でる姿は美しく、語られるセリフも正直何言ってんだかよくわからないけど情念にあふれたものとなっていて高杉にぴったりでした。
 高杉の部下で鬼兵隊の幹部が菜々緒演じる来島また子と佐藤二朗演じる武市変平太。菜々緒はその美しいスタイルと攻撃的な美貌が神楽のどちらかと言うとちょっとムチムチした体型&童顔と対比になっていた。佐藤二朗はもういつもの佐藤二朗です。
 妖刀紅桜に取り憑かれた人斬り、岡田似蔵にはこれこそ「死んだ目の役者」として僕が一押しの新井浩文。今回は全くギャグシーンがなくクライマックスなんて突っ立てるだけだったので正直苦痛だったそうな。
 他、ムロツヨシ安田顕といった福田組常連が登場。安田顕の村田鉄矢はとにかく一定の調子で常に大声で喋るという役。これとか近藤がはちみつ塗って全身金色になるやつとか、面白いと思うかつまらないと思うかは自由だけど、まず原作にある設定やシーンで原作からこのエピソードをチョイスした以上外せない部分であることは理解したい。同じネタでもこう演出したほうが、ってならともかくネタ自体がダメだってのは原作の否定だからね。

 ちなみにエリゼべスの中の人はこの人(舞台挨拶では本当に中の人やってたけど、劇中は声の出演だけみたい)。エリザベスはもしもふなっしーブーム以前に映画化されてたらオールCG(今回だと定春みたいな感じ)での出演になってたかもしれないけど、ふなっしーを経て我々に着ぐるみを着ぐるみとして受け入れる心の余裕が出来たからこそのエリザべス。


 今回他の漫画実写映画化作品と違って素敵だなと思ったのは、アニメと映画が別物となっていないところ。通常漫画原作だとアニメ作品と実写映画作品とは複雑怪奇な権利の理由により別々のTV局、制作会社によって制作されることが多く、原作の掲載誌ぐらいはともかくTVなどではきちんと連動していない(できない)ことがあった。今回は映画の予告編のナレーションは長谷川さん(立木文彦)だし(ただし長谷川さん自身は映画には登場せず)、原作69巻の発売告知をアニメのキャストが自虐混じりで実写を背景にやってたりする。こういう原作、アニメ、実写映画のある意味理想的な制作体制が本作ではなされているのではないか?と思う。

 何度か言ってる通り、原作にしても監督の作風にしても人を選ぶ作品。ただこれだけ原作がメジャーなんだから「(原作通りなのに)原作読んでないけどあのシーンはダメでしょ」みたいな意見はどうかと思う。ほんのちょっとでも読めばいいのに。
 そしてこの映画は原作の「銀魂」ファンならまず間違いなく満足できる作品ではないかと思う。個人的には少年漫画の実写映画としては過去最高。原作ファンは観て欲しい。原作やアニメを知らんならまずは少しだけでも原作を読んでその上で自分で劇場へ行くかどうか決めると良い。

*1:週刊少年ジャンプは30年以上ほぼ毎週読んでいるが(大きな声では言えないが買うのは年に数回でほぼ立ち読み)、かと言って掲載作品全部読んでいるわけではなく、すでに知っている作者の作品なら新連載からチェックするけれど(新人の作品を連載1回めからチェックしたのって「ONE PIECE」の尾田栄一郎と最近では仲間りょうの「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」ぐらい。堀越耕平の「僕のヒーローアカデミア」も一回目から注目したけれどその前に連載作品があった模様)そうでない作家の作品はある程度連載が溜まってアニメになったり人気が爆発してから読み始めることが多い

頑張れ宇宙のおまわりさん! スペース・スクワッド

 先月観たばかりの作品がもう発売!というか正確には発売前に劇場でも公開しますよ、というものだった模様。というわけで本日発売になった東映宇宙刑事シリーズとスーパー戦隊のクロスオーバー作品「スペース・スクワッド」2作。「ガールズ・イン・トラブル」と「宇宙刑事ギャバンVS特捜戦隊デカレンジャー」の2本を観賞。一応前回の記事で簡単に感想書きましたが、もうちょっと踏み込んで。
 この2作は宇宙と警察もの、と言う共通点があって、以前からこの2作のクロスオーバーはファンの待望でもあった。もっとも「デカレンジャー」放送時のヒーローショーでの共演はすでにあったようだが。その後「ゴーカイジャー」でスーパー戦隊の(限定的とはいえ)世界観がつながったことや、その「ゴーカイジャー」の劇場版でギャバンが復活したこと。更にはギャバンが一条寺烈から十文字撃へと世代交代したこと、デカレンジャーのほうも放送から10年経ってことでその後のデカレンジャーを描く「10Years After」がオリジナルとして発売されたことなどで両作品復活の期待が高まり待望の映像作品での共演となった。僕も「宇宙刑事ギャバン」はじめメタルヒーローシリーズはその初期から見ていたし、「特捜戦隊デカレンジャー」も近年のスーパー戦隊の中では大好きな作品なので楽しみであった。今回の作品には「10Years After」の続編としての要素も多く、それを見ていないとちょっと物語理解に苦しむかも(僕自身今回の映画を観てからチェックして疑問だった部分を解消した次第)。

ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッドEPISODE ZERO

 宇宙警察地球署所属の刑事ジャスミンが目覚めるとそこは謎の独房であった。なぜそこにいるのかも記憶が無い。そこに現れたのは謎の怪物。ジャスミンは部屋を飛び出目してウメコと出会うが間もなく怪物にやられてしまった。
 再びの覚め。やられた記憶はあるがまたイチからのスタート。何度も怪物との対決と死を繰り返しながら、やがてシェリー、タミーといった銀河警察の刑事と合流しちょっとづつ怪物攻略を進めていく。どうやらここには宇宙の女刑事ばかり集められていいるらしい。怪物の正体は?そして彼女たちをここに集めた黒幕の正体は?

 こちらの「ガールズ・イン・トラブル」が本編「宇宙刑事ギャバンVS特捜戦隊デカレンジャー」の前日譚で限定された空間を舞台に登場人物も限定されるということで舞台劇のような印象も受ける。
 映画は基本的にジャスミン(日渡茉莉花)の視点から始まる。ジャスミンはTVシリーズではその独特な台詞回しが特徴だったのだが、久しぶりだったため観てるこちらがそのキャラクターに復帰するのにちょっと時間がかかるかも。どーんと行ってみよう!ジャスミン役の木下あゆ美デカレンジャー以降もちょくちょく特撮系番組には出ていて最近はキョウリュウシアンでもあった。ジャスミンはとにかく格好いい女性で女性が二人いる戦隊の場合、どちらかがキュート系でもう一人がクールビューティー系というのが定番だが、そのクールビューティ系でも個人的決定版。更には独特のギャグセンスを持つキャラクターでもある。今回はいつの間にか結婚して子供もいるのだが(名字も礼紋から日渡に変わっている)、その辺の事情は「10Years After」の方で。
 デカピンクこと胡堂小梅(ウメコ)はあまりTVシリーズと変わらず。結婚式を控えているが、まだセンちゃんと結婚していなかったのか!という。演じる菊地美香は歌唱力が半端ない人で、今回もそうだが、TVシリーズでもエンディングテーマ(今回のタイトルの基ともなっている「ガールズ・イン・トラブル・デカレンジャー」)をジャスミンとのユニット「ツインカム・エンジェル」として歌っていたが、はっきり言って二人で歌う部分ではジャスミンの声が打ち消されるほど。
 そして僕としてはジャスミンともう一人この作品を観る目当てだったのが「宇宙刑事ギャバン」のギャバンの相棒の女刑事シェリー役の森田涼花(すぅちゃん)。すぅちゃんは「侍戦隊シンケンジャー」の花織ことはとしても有名だが、今回は宇宙刑事。コム長官の姪という設定でギャバンの相棒を務める。ほかにシャイダーの相棒であるタミー役の川本まゆ。そして前半は直接かかわらないがシャリバンの相棒であるシシー役の桃瀬美咲。この5人が主役グループという形になる。劇中には他にも何人か女刑事が出てくる。その中で佃井皆美が重要な役で出演。佃井皆美は「仮面ライダー鎧武」での湊耀子=仮面ライダーマリカとして出ていたのでこれは茉莉花ジャスミン対決でもあったのだな。

 冒頭から黒幕として姿を表し、その容姿(インコのような頭に普通の身体)からホラーガールと思わせていたのが実はホルス星人の銀河連邦警察の刑事部長であるバーディ。さらにコム長官亡き後オリジナルビデオの「宇宙刑事NEXT GENERATION」で不祥事で逮捕されたゴードン長官に替わって新しく銀河連邦警察の長官になったのがソフィで演じているのは遊井亮子。ちなみに今回の設定では銀河連邦警察は宇宙警察の中で組織犯罪対策部門という位置づけになっっているようだ。つまり基本的には同じ組織。
 敵となるのは元宇宙刑事の紅牙とヘルバイラ。紅牙は宇宙忍者でもあり敵側の「ガールズ・イン・トラブル」と「ギャバンVSデカレンジャー」をつなぐキャラクター。演じているのは原幹恵で「仮面ライダーフォーゼ」でのインガ・ブリンクを踏まえたキャステイングであると思わせる。原幹恵さんはあんまりアクション俳優として評価されてないっぽいのは残念ですな。
 ヘルバイラは元々「時空戦士スピルバン」のキャラクターで「ギャバンVSデカレンジャー」で出てくるマッドギャラン同様他のメタルヒーローシリーズからの流用。かつて「フォーゼ」の映画版で「宇宙鉄人キョーダイン」や「大鉄人17」、「アクマイザー3」などがキャラクターだけ借りる形で出演し物議をかもしたが(ヒーローが悪役になっていたりしたため)、本作での出演もそれに近いものかとおもいきや…
 当時場人物が一部を除くと女性しか登場しないためちょっと特殊な作品とは言えます。あくまで本編前の前日譚。とはいえ生身のアクションということではむしろこちらのほうが見応えはあるかもです。
 で、ですね。僕はこの作品をジャスミンとすぅちゃん目当てで観に行ったんですが思いがけずもう一人のヒロインに一目惚れしてしまいましたですよ。それがタミーさん役の川本まゆ。実際空手などの実力者だそうで、武田梨奈系のアクション女優。そして写真などで観る限りはすごい美人というわけでもないんですが、これが動くと凄い魅力的。もちろんジャスミンとすぅちゃんも素敵なのですが今回はタミーさんが優勝でした。タミーさんの凶暴になる純愛キャラってのも良かったな。相手は伊達さんだしな。

スペース・スクワッド 宇宙刑事ギャバンVS特捜戦隊デカレンジャー

 宇宙の隅々にその触手を伸ばす新たなる悪の犯罪組織が登場。教祖フメインを頂点とする邪教団・幻魔空界である。幻魔空界には十二使徒と呼ばれる幹部が存在し、それぞれがまた別個に犯罪組織を抱えている。宇宙刑事ギャバンこと十文字撃は相棒のシェリーとともに十二使徒の一人マッドギャランが現れる犯罪取引現場を発見、応援を待たず攻勢をかけたギャバンであったがマッドギャランの強さの前に敗れ去るファイアー・スクワッドが到着した時にはすでにマッドギャランは去り、更にシェリーも行方不明に。
 捜査からから外されたギャバンは長官のコンピューターからサイコメトリーの能力を持つ刑事ジャスミンの存在をしり地球へ向かう。一方地球でも連続吸血ま事件を捜査していた。ウメコとセンちゃんの結婚式のその時、ギャバンが突然現れジャスミンに共に捜査するよう促す。ジャスミンを利用しつつデカレンジャーとの共同捜査は拒否して爆走するギャバン。再びマッドギャランと戦うも再び敗れ、レーザーブレードを折られてしまう。ギャバンは再び立ち上がることができることができるのか?そしてデカレンジャーは事件を解決できるのか?

 デカレンジャーの宇宙警察とギャバンの銀河連邦警察所属の宇宙刑事の違いは捜査の対象が同じ宇宙人か異次元人かという違いであると基本的には思っている。デカレンジャーに出てくる犯罪者アリエナイザーは基本的には地球人以外の犯罪者をさすがそれでも同じこの宇宙の住人。それに対してマクーやマドー、フーマと言った組織は異次元からの侵略者である。このより強力な敵を相手にするのが宇宙刑事(英訳がSPACE SHERIFFであり宇宙の保安官)。当然権限や装備も宇宙刑事のほうが強力。一方で未知の相手のためほぼ単独捜査であるのも宇宙刑事のほうだろう。
 ただ、今回は両者の設定を擦りわせてた結果、銀河連邦警察は宇宙警察の中の組織犯罪対策を主とした部門という形になっている。ただ両組織の上下関係は銀河連邦警察のほうが上位ぽくもあるのだが。
 敵組織幻魔空界は今回はチラ見せ程度。だが宗教組織でもあるという形から不思議界フーマを連想させ、やはり黒幕は異次元からの侵略者なのではないかと思わせる。幹部の十二使徒で登場するのは「ガールズ・イン・トラブル」に出てきたヘルバイラとこちらで登場するマッドギャランマッドギャランは「宇宙刑事」シリーズのあと同じメタルヒーローではあるけれど世界観は連続していない「巨獣特捜ジャスピオン」のキャラクター。最初はキャラクターの流用という形のかと思ったが劇中でちゃんとジャスピオンにも言及され、きちんと「ジャスピオン」ともつながった世界であることが判明。今回のマッドギャランはかつてジャスオピオンと死闘を繰り広げたマッドギャランの名前と装備を受け継いだ二代目ということになる。「ジャスピオン」は見ていたけれどもう細かい内容は覚えていなくてマッドギャランもどういう感じのキャラだったかあまり覚えていないのだけど、見た目からはハカイダーのような主人公のライバル、と言う感じ。今回もTVの時に担当していた春田純一が変身後の声を演じているが、ちょっと人間態の時が悪役と言っても卑怯で嗜虐性の高い、要するに悪役としてもあんまり格好良い人格ではないのがちょっと残念。
 デカレンジャー側としては地球署の署長は変わらずドギー・クルーガー。そして副署長に姶良鉄幹(デカブレイク)。バンがファイアー・スクワッドの隊長になっている。ジャスミンは「10Years After」では結婚/出産を経て半ば引退していたようだが、本作では通常勤務。ウメコも同様。
 一番出世欲(というか上昇志向)の強かったホージーと参謀として得難い能力を持つセンちゃんがヒラの刑事として現場で頑張っているのは意外と言っちゃ意外だがこれは「10Years After」でのドギーの冤罪事件の影響もありそうだ。

「ガールズ・イン・トラブル」からのつなぎ役として原幹恵の紅牙が再登場。
 映画は最終的に対幻魔空界のための部隊スペース・スクワッドを創設することが示唆されて終了。今回は登場しなかったがシャリバンシャイダー宇宙刑事、ジャスピオンとスピルバン、「世界忍者戦ジライヤ」「「特捜ロボジャンパーソン」「ブルースワット」など宇宙と縁が深いメタルヒーローシリーズ、更には「超新星フラッシュマン」「地球戦隊ファイブマン」「星獣戦隊ギンガマン」といったやはり宇宙に縁深いスーパー戦隊などが映像で言及され、対幻魔空界としてこれらの宇宙ヒーローが一斉に共演することが期待される。ちなみに現在放送中「宇宙戦隊キュウレンジャー」はすでにギャバンデカレンジャーと共演済みだが劇中でちゃんと「別宇宙の話」とされてしまったのでいわゆる同じ世界観」ではないようだ。
 というかあまりに壮大な話になっているが、本当に続編やるのか?それともとりあえず風呂敷広げるだけ広げただけか?個人的に「スーパーヒーロー大戦」がダメだったり仮面ライダーと他のヒーローとのクロスオーバーはあまりうまく言っていない印象があるけれど、今回は全部八手三郎原作だけあってうまくつながっていたと思う。

スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー [DVD]

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 ギャバン(と宇宙刑事シリーズ)は映画で復活した後は映画、オリジナルビデオ、戦隊へのゲスト出演などがあるがまだ新しいTVシリーズでの放送はない。それでももう5年ぐらい経っているわけでオリジナルからの人気の強さを感じさせる。
 一方デカレンジャーも10年たった今も人気があり、こうして続編が作られている。互いになんなら世代交代しながらずっと続けられる設定でもあるので(基本は刑事ドラマだからね)、スーパー戦隊シリーズの中の一本という位置づけとはまた別に単独で長く続いて欲しい作品である。
 あ、監督は両作とも坂本浩一監督です。今年は監督がTVで関わった「パワー・レンジャー」の映画版が公開されたりなにかと坂本浩一監督の関連作が多い。僕が大好きになったタミーさんとか明らかに監督の趣向が反映されていると思うので(それを除いても)監督の個性も強い作品。
 どちらかと言うと今の子供と言うよりはオリジナルのギャバンだったり10年前にデカレンジャーを見ていた子供だったりというちょっと上の年代が対象の作品だと思うけれど楽しんで見れる作品です。
 きっとまた彼らに会える。未来へ向かって!
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 新生ギャバン一作目。

2017年上半期に観た映画!あとベストヴィランも

またしても間が開いてしまいました!

土下座しているようで実は説教している怪物さん。

 いやまた諸事情でブログ更新できない事態が起きて、6月下旬ぐらいには大丈夫になったんですが、ブログ更新の気力がすっかり失せてしまっていました。その間にも劇場で観て感想書いてない映画は増えていき、「キン肉マン」も最高潮の中で物語が終了して、今は新しい物語に突入!6月はまるまる一ヶ月更新できず、すっかり放置状態になっていました。
 とは言えその間にも時間は進み、映画に関しても素晴らしい作品も幾つか出会えてたのでとりあえず2017年上半期の劇場で観た映画のリストと簡単な感想、上半期ベスト5ぐらいを挙げてリハビリしたいと思います。
まずはリスト。月は鑑賞日ではなく日本公開月です。以前の2016年の映画鑑賞リスト製作時に参考にしたこちらを今回も参考しました。

  • 1月

劇場版 動物戦隊ジュウレンジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ fromスーパー戦隊
沈黙−サイレンス−
ザ・コンサルタント
マグニフィセント・セブン
ドクター・ストレンジ

  • 2月

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
相棒-劇場版Ⅳ-首都クライシス 人質は50万人!特命係最後の決断
トリプルX:再起動
ラ・ラ・ランド

  • 3月

アサシン・クリード
アシュラ
モアナと伝説の海
哭声/コクソン
SING/シング
キングコング:髑髏頭の巨神

  • 4月

レゴバットマン ザ・ムービー
バーフバリ/伝説誕生
美女と野獣
ワイルド・スピードICE BREAK

  • 5月

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー:リミックス
皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

  • 6月

LOGAN/ローガン
怪物はささやく
キング・アーサー
ジーサンズ はじめての強盗
ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッドEPISODE ZERO
スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー

  • 7月

リヴォルト
 もう半分以上感想書いてない状態ですが一応観てないと言いつつ、週一ぐらいのペースで劇場鑑賞してはいるでしょうか。例年にも増して複数回劇場で観る、というのも増えている感じで、「ドクター・ストレンジ」「SING」「キングコング」「美女と野獣」「ワイルド・スピード」「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」あたりを複数回(たいていは字幕と吹替を一回づつ)観ています。6月は「ローガン」を公開初日に観た後一気に間が空いて、他の作品は下旬に観ている感じ。「リヴォルト」は7月1日公開ですが、「ジーサンズ」とはしごしたし、特にこれといって特筆する感想もないのでここでまとめちゃいます。
 それでは各作品ごとに簡単な感想を。すでに感想記事を書いているものに関しては詳細はリンクから。

  • 1月

劇場版 動物戦隊ジュウレンジャーVSニンニンジャー 未来からのメッセージ fromスーパー戦隊

 恒例スーパー戦隊VSシリーズ。人間ではないジューマンと個性の強い目立ちたがりの忍者に挟まれて常識人大和(ジュウオウイーグル)が苦労する物語。まーた矛盾してるなあと思わせて(かなり強引だけど)ちゃんと整合性を付けてくるところも見事。ニンニンジャーのキャッチコピーは「忍ばずわっしょい!」「忍どころか暴れるぜ!」なのだが、あの世界ニンニンジャーに限らず忍者がきちんと職業として認知されていて、ニンニンジャー以外にも普通に忍者が出てくるのでそもそも忍んでいないのはニンニンジャーだけではないのだ!

沈黙−サイレンス−

 遠藤周作キリスト教文学をマーティン・スコセッシが約30年越しの思いで映画化した作品。キリスト教が禁教とされた江戸時代初期の日本を舞台に、棄教して転向した師匠を追って二人の宣教師が日本に密入国。そこではキリシタンに恐るべき拷問が行われていて…。棄教を迫る日本側の描写が割りと理詰めで迫ってくるので「宣教師側が悪い」とかいう感想も見受けれたが、そう単純な物語ではない。リーアム・ニーソンのフェレイラやアンドリュー・ガーフィールドの若い神父が苦悩するが、その中でまるで純粋悪のように立ち塞がるイッセー尾形が圧倒的な存在感で迫る。

ザ・コンサルタント

 後述するある作品を観るまでは今年の1位。もちろん今でも上位に来るであろう痛快作。スターベン・アフレックが見た目普通、でも凄腕殺し屋(便宜上)を好演。自分が付けた「死の天使」映画、という呼称が割りとウケたのも良い。「死の天使」映画ではキアヌの「ジョン・ウィックチャプター2」が公開中!(近日鑑賞予定)。

マグニフィセント・セブン

 大好きな映画「荒野の七人」のリメイク。リメイクと言ってもオリジナルの「七人の侍」を西部劇に移しつつも筋立てや登場人物の設定はかなり忠実だった「荒野の七人」に比べると同じ西部劇だけどだいぶ変えてあります。普通に現代製作の西部劇として面白かった。ただ、客観的な作品の評価とは別に僕は「荒野の七人」に対する思い入れが深すぎるのでリメイク作品として比べた場合はやはり「荒野の七人」には及ばない、という評価に落ち着きます。

ドクター・ストレンジ

 今年のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)第1弾にして新ヒーロー。ベネディクト・カンバーバッチ演じるオカルトヒーロードクター・ストレンジの活躍を描きます。現時点ではあまり他のMCU作品との関連性は薄いけれど、特徴的な映像が観るものをトリップさせます。ラストのおまけではソーとの絡みもあり早ければ11月公開の「マイティ・ソー:バトルロイヤル」で共演あるのかな?

  • 2月

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

 ティム・バートン最新作。亡くなった祖父の思いを受けてある島に赴くとそこには特殊な能力を持ったこどもたちが同じ毎日を繰り返していた。彼らを守るのがミス・ペレグリン
 原作付きですがティム・バートンのファンタジー系映画では「アリス・イン〜」や「ダーク・シャドウズ」と比べてもティム・バートンらしさは強く発揮されたかな?と思います。何度か言っているけれど、最近は盟友であるジョニー・デップとのコラボ作品じゃないほうが面白い作品が多い気がしますね。

相棒-劇場版Ⅳ-首都クライシス 人質は50万人!特命係最後の決断

 人気TVシリーズ「相棒」の新相棒冠城亘を迎えての劇場版4作目。今回はかなり大規模に都市部でのテロをモチーフにしています。舞台は銀座、となっていますがロケ地は北九州だそうです。映画自体はなかなかおもしろかったのですが、「相棒」と言う作品の特性上致し方ないのか物語のクライマックスの後、右京さんの説教タイムが10分(体感)ほど続くので興奮がすっかり冷めた状態で終わりを迎えるのが難点ですね。上手くこの説教をアクションの中に組み込んでクライマックスを迎えたらその興奮を維持したままエンディングに繋げられると良いのですが。鹿賀丈史北村一輝などがゲスト出演で好演。予告編観た時は蒼井優だと思った人は山口まゆという新人さんでした。ミッチーも出てるよ!

トリプルX:再起動

 今年何度も出会っている俳優ヴィン・ディーゼル出世作の最新作。ドニー・イェントニー・ジャーなどを迎えてとにかくアクションが先にあって、それをつなぐためにストーリーがあるんじゃないかと思わせる快作。ただそんなんなので物語は単純、登場人物も笑顔が素敵な奴は良い奴だし、冷たそうな奴はやっぱり悪い奴というわかり易さだけれど、観ていて余計な引っ掛かりがほぼ無いのでストレスゼロで観れる作品でもあります。

ラ・ラ・ランド

 今年大ヒットしたエマ・ワトソンライアン・ゴズリング主演のミュージカル。ただ個人的には相性が悪い作品でした。今のところ今年のワーストかなあ…。

  • 3月

アサシン・クリード

 マイケル・ファスベンダー主演の人気ゲームの映画化作品。僕はゲームの方はプレイしていないのでどんな作品かよく分からず(中世を舞台にしたメタルギアソリッド、というイメージだった)挑んだのだけれど、これが単に中世ヨーロッパが舞台の作品ではなくて、現代人の遺伝子から先祖の記憶を再現、子孫がその先祖の記憶を追体験して先祖が隠したであろうマクガフィンの居場所を探る、というSFだったのですね。話としては「ミッション・8ミニッツ」に近いです。現代に生きる子孫とその先祖で凄腕のアサシンをマイケル・ファスベンダーが演じています。この作品の感想では「わけが分からなかった」というようなものも多く見かけたけれど、個人的には割りと分かりやすい方だと思います。ただ作品は割りと淡々として派手さがなく、物語的にももう一波乱あるかな?と思ったらそこで終わってしまったのでちょっと消化不良ではありました。
 ちなみにこの作品を観た後劇場の外でエホバの証人から冊子を渡されそうになりましたが、気分はアサシンだったので受け取りませんでした。

アシュラ

 韓国のノワール。「新しき世界」のファン・ジョンミンが悪徳市長。その義理の弟で忠実な部下となっている刑事にチョン・ウソン。市長を捕まえんとする検事との板挟みで苦しむ刑事を描く。とにかく悪人ばかりロクデモナイのに魅力的、特にファン・ジョンミンの極悪人なのに人懐っこくて魅力的、という演技は「新しき世界」ともつながっている。ウソンは「グッド・バッド・ウィアード」のグッド良い奴。あの時はイ・ビョンホンソン・ガンホに比べるとハンサムだけど人間としての魅力にはまだ欠けるかな、という感じだったけれど、あれから約10年、こういう善悪の間で苦悩する役にピッタリになりました。
 映画の中での描写なので、現実の韓国警察がどうなのかはわからないけど、悪徳警官でも容疑者を逮捕する時はきちんとミランダ警告(お前には黙秘権がある、弁護士を呼ぶ権利があるみたいなやつ)を読み上げるんですな。「棒きれ」というネーミングは酷いけどセンスの良さしか感じない。

モアナと伝説の海

 今度のディズニー映画はサモア系の伝説を元にした海洋ミュージカル!ハワイの神話を元に途中は海のマッド・マックスもあり痛快アクション映画にもなっている。モアナの相棒で伝説の暴れん坊マウイをロック様(ドウェイン・ジョンソン)が演じている。ロック様としては元々サモア系であるし自分のルーツともつながる役を演じたこととなる。ただマウイのデザインはロック様より親戚のアノアイ家のリキシ・ファトゥや祖父のピーター・メイビアに近いどっしりした体格。日本語吹替では尾上松也が演じていて、ロック様と対照的にまだ若く声の透明度が高いのでヤンチャな少年という感じ。ロック様のマウイはサモア系でもあるロック様のルーツが背景にありつつロック様特有の善悪を超越した我が道を往くオレサマという感じ。割りと声質は全然違うけれど、どっちのマウイもオススメなので両方見るといいよ。他のキャストも良かったです。

哭声/コクソン

 アシュラと一部キャストが共通するオカルト映画。日本から國村隼が出演。その独特の存在感で韓国の田舎町を混沌とさせる。観た人の数だけ答えがありそのどれもが正解であり間違いでもある、というような不思議な映画。ファン・ジョンミンの祈祷家の悪魔祓いはあれ、韓国の伝統的に正しい描写なんでしょうか。

SING/シング

 イルミネーション・エンターテイメントの新作。同じ擬人化された動物による文明社会の物語として昨年のディズニー映画「ズートピア」と共通するが、こっちはかなりおおらか。歌の映画ではあるがミュージカルではない。とにかく勢いがあるので観てる時は割りと圧倒される作品。エンターテインメントとしては今年最高峰。個人的にはこの作品と「美女と野獣」が「ラ・ラ・ランド」を遠くに追いやりました。

キングコング:髑髏頭の巨神

 2014年の「GODZILLA」につながるモンスターヴァースの中の1編として制作された新しいキングコング。僕はオリジナルの「キング・コング(1933)」が大好きすぎるのでリメイクとして観た場合には「マグニフィセント・セブン」同様辛口評価になっていまうけれど、客観的評価としては素晴らしいと思います。作品はラストでゴジラモスララドンキングギドラの存在を匂わせて世界観を広げて終わります。ゴジラとも戦うぜ!

  • 4月

レゴバットマン ザ・ムービー

 レゴ・ムービーにも出てきたバットマンの単独主演レゴ版。「レゴ・ムービー」ではレゴの世界にバットマンもいるよ、という感じだったけれど、今回はバットマンの世界をレゴで表現したよ、という感じ。実写の人間も出てこない。各実写映画のバットマンをパロディ化しつつ、意外と正統派のバットマン映画になっているとも思います。ジョーカーのバットマンへの愛憎ということではこれまで映像化されたバットマンの中でも一番かも。後半はいろんな映画のパロデイもありつつ、バットマン映画では珍しい明るいハッピーエンドへ。

バーフバリ/伝説誕生

 インドの史劇。話自体はオリジナルだそうだけど、どこかで聞いたこともあるような壮大な神話的な物語。インド映画なので長いのは覚悟の上で鑑賞したのだけれど、これでも前後編の前編。テンション高い英雄活劇があって、体感的にはもうこの時点で2時間は経ってる盛りだくさん具合。それで話的にはまだまだ終わりそうにないので、後編に続くのかな?と思ったらそこから映画もう一本分ぐらいのボリュームのある密度の高い史劇が始まったのでありました。でもトータル上映時間は2時間半もないという、コストパーフォーマンス的にはピカイチかも知れない。後編も楽しみ。

バーフバリ 伝説誕生 [Blu-ray]

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美女と野獣

 ディズニー中興の祖とでも言うべき作品の実写リメイク。僕はアニメ映画「美女と野獣」の方はそれほど好きじゃなかったんだけど、この実写化はドはまりしました。実写化する際に下手な小細工をせず真正面からてらいなく挑む、というのは(もちろんディズニーの資金と技術があってこそだけど)意外とこれまで無かったんじゃないかと思います。

ワイルド・スピードICE BREAK

 ヴィン・ディーゼル主演シリーズ第8作。僕はこのシリーズは前作「SKY MISSION」がシリーズ観賞の最初だったんだけど、今回は全作観賞の上で挑戦。結果としてシリーズ集大成的な部分もあるのでそれが正解。シリーズは続くし、いろいろ不穏な噂も聞こえてくるけれど、続きが楽しみな作品。

FAST & FURIOUS 8: THE ALBUM

FAST & FURIOUS 8: THE ALBUM

  • 5月

ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー:リミックス

 MCUの異端児作品第2弾。前作と比してもギャグは増え(悪ノリも)、逆にMCU他の作品との関連は薄くなったので意外と人を選ぶ作品かも知れない。カート・ラッセルが自分の父親だったらいいな、という世界中の男の子の夢を叶えつつ、でもそこからの脱却を示唆する映画(そうか?)。次こそは地球のヒーローたちと合流する模様。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス・VOL.2(オリジナル・サウンドトラック)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス・VOL.2(オリジナル・サウンドトラック)

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

 イタリア製ヒーロー映画。永井豪原作の「鋼鉄ジーグ」にオマージュを捧げ、ふとしたことでスーパーパワーを手に入れた一人のチンピラが鋼鉄ジーグのようなスーパーヒーローとして覚醒するまでを描く。「鋼鉄ジーグ」は「マジンガー」「ゲッターロボ」両シリーズに続く永井豪原作のロボットアニメ。一連の永井豪アニメがヨーロッパで大人気というのは知っていたけれど、この「鋼鉄ジーグ」は僕はほぼ未見。リアルタイムではないというのもあるけれど、それでもマジンガーゲッターロボは全話でなくても要所要所の重要エピソードなどは見ているが「鋼鉄ジーグ」はゲームの「スーパーロボット大戦」経由で設定や物語を知っている程度。ただ、主人公がロボットに搭乗するのではなく一旦サイボーグに変身してその後ロボットの頭部に変形、身体や腕のパーツと合体して巨大ロボとなる、というのはかなり斬新(トランスフォーマーのヘッドマスターズのアイデアの源泉とも言われている)。今回この作品の監督がモチーフにマジンガーでもゲッターでもなくジーグを選んだのは、もちろん監督自身の思い入れもあれど、搭乗するのではなく、その直接ロボットの一部分になる、という皮膚感覚が作品にピタリだったからではないかと思う。
 主人公は割りと冴えない中年だが、ヴィランとなる若いギャングのボスがルックスもキャラクターも最高で悪役として素敵でした。
 ちなみにこの「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」というちょっと機械翻訳っぽいけど強い印象を残す日本語タイトルは、日本側で考えたものではなく、最初からイタリアの制作側で考えられたもので、昨今話題になる邦題論争はもう日本側でなくオリジナル製作国側で最初から用意してもらえば決着でいいんじゃなかな?とか思いました。

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

鋼鉄ジーグ VOL.1 [DVD]

鋼鉄ジーグ VOL.1 [DVD]

  • 6月

LOGAN/ローガン

 ヒュー・ジャックマンによるウルヴァリン最終作。一応20世紀FOXの「X-MEN」シリーズに連なる作品だけれど、時系列上は過去のどれともつながらず本作のみでひとつの世界観を成す。とはいえ過去の「X-MEN」や「ウルヴァリン」によって築き上げた世界観の上に成り立っていることも間違いなく、本作は厳密にスーパーヒーロー映画とは言いがたいが、それも過去のシリーズで観客が世界観を了承していればこそ。プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアとしてパトリック・スチュアートが演じているがこれがもう素なのか演技なのか判断に困るぐらい「お爺ちゃん夕ごはんはさっき食べたばかりでしょ」という感じの本当の痴呆老人なのではないか?と心配するレベルで妙な緊迫感もある。パトリック・スチュアートって「新スタートレック」のピカード艦長で見かけた時から初老のイメージだったけれどあの当時はまだ40代だったのだな。今は76歳。でも当時も今も60歳ぐらいのイメージ。
 ラストは涙なしでは観れぬ。こちらも「デッドプール」同様R指定だけれど、全然印象は違いますね(当たり前だ)。

Logan - O.S.T.

Logan - O.S.T.

ウルヴァリン:オールドマン・ローガン (MARVEL)

ウルヴァリン:オールドマン・ローガン (MARVEL)

怪物はささやく

 年に一本あるかないかの確率で「これはオレの映画だ!他の誰がなんと言おうとオレだけは全力でこの作品を肯定する!」と言うような作品に出会うのだけれど、今年はそれがこれ。イギリスを舞台に死期が近い母親とその子供の物語。これに関してはあらためて感想書きます(他の作品も書くのもあるかも)。とにかく現時点で今年の1位で、多分2017年全体でも1位だと思う。

怪物はささやく (創元推理文庫 F ネ 2-1)

怪物はささやく (創元推理文庫 F ネ 2-1)

怪物はささやく

怪物はささやく

キング・アーサー

 当初邦題に「聖剣無双」の副題が付いていて、ふざけんな!となったのかどうかその副題は無くなったのだけど、見終わると「あの副題付けたままでよかったんじゃねえか」ってなる作品。アーサー王伝説を元にゲームのような映像が続く。ガイ・リッチー作品で「シャーロック・ホームズ」とかと似た造り。主人公をずっとチャニング・テイタムだと思っていたけれどエンド・クレジットでチャーリー・ハナムだったことに気づきました。「クリムゾン・ピーク」の時も「ヘムズワースの三人目か?」とか思ったし御存知の通り「パシフィック・リム」も個人的にイマイチ(主人公ハナムは全く印象に残らず)だったので僕とチャーリー・ハナムとの相性は良くないようだ。作品自体は面白かったです。

King Arthur: Legend Of The Sword

King Arthur: Legend Of The Sword

ジーサンズ はじめての強盗

 マイケル・ケインモーガン・フリーマンアラン・アーキンの年金暮らしの3人が務めていた工場の合併とそれに伴う年金の廃止に憤り銀行強盗を企む!もう主演三人とその設定の時点でつまらないはずはないと確信していたのだけれど、主演三人以外にもクリストファー・ロイドジョーイ・キングジョン・オーティスといった大好きなキャストが好演していて端的に最高。
 マイケル・ケインモーガン・フリーマンは「ダークナイト」3部作や「グランド・イリュージョン」などで共演してきたけれど、その二人の共演作の集大成という印象も。プライベートでも仲良かったりするのかしら。

ジーサンズ はじめての強盗

ジーサンズ はじめての強盗

ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッドEPISODE ZERO

 本来はオリジナルビデオ作品(もうすぐ発売)何だけど劇場公開もされた「宇宙刑事ギャバン」と「特捜戦隊デカレンジャー」のクロスオーバー作品。こちらはその前日譚的な作品で各シリーズの女性キャラが大集合。僕はすぅちゃん(森田涼花シェリー)とジャスミン木下あゆ美)を目当てに観たのだけれど、新たに新しい「宇宙刑事シャイダー」における女性相棒タミー役の川本まゆさんにしてやられたのでありました。

スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー

 で、その本編。元々共通点の多い作品だった「宇宙刑事シリーズ」と「デカレンジャー」のクロスオーバーで本作を基点としてメタルヒーローシリーズと(主に宇宙を主要テーマとした)スーパー戦隊シリーズに作品世界は広がる模様。この2作は客観的にはいろいろ粗い作りの作品だと思うんですが、両シリーズの何でもありな部分も存分に発揮されていて好きです。

  • 7月

リヴォルト

 前情報は洋画でSFらしいということぐらいだけで観た作品。主演も始まってスランドゥイル様(リー・ペイス)だったことを知る。映画は「世界侵略LA決戦」と「モンスターズ」2作を合わせた割って水で薄めたような侵略SF作品で決して面白いとは言いがたい感じ。メタルギア月光そっくりな兵器が大量に出てくるところはちょっとおもしろかったかな。


 以上2017年上半期に観た作品です。観たかったけど観れなかった作品もいっぱいあるし、現時点でも「ハクソー・リッジ」とかなぜだか足が向かいません。SF大作系はなるべく見逃したくないんだけどなあ。とはいえ夏に入って大作がどんどん公開されるのでなるべく見逃しなく、そして観たら早めに感想書くを心がけて下半期を過ごしたいと思います。今後共よろしくです。
 
では一応上半期ベスト5(ぐらい)を。

  1. 怪物はささやく
  2. 美女と野獣
  3. ザ・コンサルタント
  4. スペース・スクワッド
  5. LOGAN/ローガン

 といったところでしょうか。ちなみに悪役ベスト5(順位不動)は

清々しいまでに悪役!自分大好き!な面々。

星の王子さま故郷に還る? ガーディアン・オブ・ギャラクシー リミックス

 早いもので2017年も、もう5月が終わり半分に達しようとしている。よく6月に入った途端に「もう今年も半分過ぎた!」って焦る人がいるけれど、焦りすぎ!6月が終わって半分経過ですよ!とはいえ夏に入ると今年は例年にも増してアメコミ、ヒーロー映画とでも言えるものが多く公開されて、明日、6月1日は20世紀FOXX-MENシリーズの最新作にてヒュー・ジャックマンの演じるウルヴァリン最後の作品「ローガン/LOGAN」が公開、7月は日本発のスーパーヒーロー「パワーレンジャー」の映画版最新作が公開、そして8月に至っては「スパイダーマン:ホーム・カミング」「トランスフォーマー最後の騎士王」「ワンダー・ウーマン」がほぼ一週おきに公開される!大体これらの作品はよほど出来が悪くない限りは複数回観ると思うので(可能なら字幕と吹き替えで一回づつ)財布的には嬉しい悲鳴ですね。他には日本の漫画の映画化では福田雄一監督の「銀魂」なんかは少し気になっていたりします*1
 さて、そんなアメコミ、ヒーロー映画を引っ張っているのはご存知「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)」。去年は傑作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」1作だけだったが、今年はその反動か一気に4作が公開(予定)。うち1作は1月公開の「ドクター・ストレンジ」で新しいヒーローの登場であったが、今回はあのお騒がせチームが再登場。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」を観賞。そういやちょっと福田雄一ぽい描写もあったよ。

物語

 ロナンの野望を阻止し、ノヴァ軍から新しい宇宙船をもらったピーター・クイルたち「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の面々。それから少し後、今彼らはソヴリンから貴重なアニュラックス電池を警護する仕事を依頼されていた。迫り来る宇宙怪獣から見事電池を守ったGotGは報酬としてソヴリンの捕虜となっていたネビュラを貰い受ける。ガモーラの義理の妹で宇宙のお尋ね者だ。彼女をザンダー星に連れて帰ろうとしたその矢先、突然彼らはソヴリン軍の攻撃を受ける。実はロケットが(あまりに盗みやすいのでつい)電池を盗んでいたのがばれたのだ。ソヴリンの大軍勢にピンチに陥ったガーディアンズだが、そこに謎の宇宙船が現れソヴリン軍を一掃。近くの惑星に不時着したガーディアンズの前に現れたのはエゴとなのる男性で、彼はクイルの実の父親だという。かつてヨンドゥに地球から息子を連れてくるように依頼したがヨンドゥはクイルを拉致こそしたがエゴのところへは連れていかなかった。インフィニティ・ストーンである「オーブ」を素手で持っても耐えられた男スターロード=ピーター・クイルの噂を聞いて、自分の息子であると確信、探していたという。半信半疑ながら惑星に宇宙船の修理を行うロケットとベビー・グルート、捕虜であるネビュラをおいてエゴの宇宙船で彼の惑星に向かう一同。
 エゴの惑星において、クイルはエゴが強大な力を持つ「セレスティアルズ=天人」であり惑星そのものでもある事を知る。彼は何万年もかけて宇宙を旅しその中でクイルの母親メレディスと出会い愛を交わしたという。その力はクイルにも受け継がれている…父親との出会いと自分の力に有頂天になるクイルだったが、エゴの従者でもあるマンティスはドラックスに恐ろしい秘密を打ち明けようとしていた。
 一方その頃、留守番のロケットたちの前に、ソヴリンの女帝アイーシャの依頼を受けてヨンドゥたちが現れた。しかし何かとクイルに甘いヨンドゥに業を煮やした部下たちが反乱を起こし、ロケットたちはヨンドゥとともに囚われの身になってしまう。そしてその反乱に手を貸したネビュラはラヴェジャーズから手に入れた宇宙船で一路エゴの惑星を目指す。姉であるガモーラを殺すために!宇宙のはぐれものたちの明日はどっちだ!?

 前作の感想はこちら。

 前作が1988年のクイル少年のアダプテーションから26年後(2014年)が舞台だが、今回は1980年の地球から始まって34年後(2014年)が舞台なので前作からそう、間は開いていない設定の模様。少なくとも「シビル・ウォー」より以前の出来事という形になり、それでほんのちょっとだけ矛盾がある(がこの辺はスタッフの遊びなので特に問題はなし)。
 タイトルは原題が「GUARDIANS OF THE GALAXY VOL.2」で文字通り続編なのだが、邦題はVOL.2ではなくリミックス。安易に「2」を使いたくない(続編というのを前面に出すと前作見ていない客が敬遠する可能性があるからか?)のか分からないが、あまり良くない改題。というのも「リミックス」からは続編というより「元の作品を再編集したりVFXを補強したりした特別編」というイメージがあるからだ。音楽における「リミックス」はそんな感じだろう。続編につけるタイトルというよりはディレクターズ・カット版だったり、3D仕様にした特別編だったりに適した題。純然たる続編につけるタイトルではない、と思う。後はこの邦題をつけるにあたって、勝手に日本配給側が監督に「日本のファンにも好評なんですよ」みたいなこと言ってたらしいので(本当は好評も何もファンは関わってない)その辺もなんだかなあ、という感じ。MCUがユニバーサルからディズニーに変わって以降、こういう「余計な一手間」が多くなって、あんまり良い印象はないですね*2
 個人的に文章みたいな長い原題だったり、社会派・恋愛映画とかは独自の日本語邦題もいいとは思うけれど、アクション映画だったりアメコミヒーロー映画の類は基本的に原題をカタカナにしただけの邦題で良いと思います。
 さて、本編。前作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」はこれまで地球を主な舞台として展開してきたMCUの中では広大な宇宙そのものを舞台とし、またいわゆる「コスチュームを着たヒーロー」が登場しないことで、ずいぶん趣を変えた作品であった。それでもコレクター(「マイティ・ソー ダーク・ワールド」のラストで登場)が出てきたり、サノスが出てきたり、キーアイテムである「オーブ」がこれまで語られてきた「インフィニティ・ストーン」の一つ(ほかは4次元キューブやエーテルなど)であることが明かされたりMCUの他の作品と地続きであることは示されてきた。最終的には地球のヒーローたちと合流もするはずで、今回は前作よりももっとMCUの他の要素との関連が強調されるかな?と思ったりしたのだが、結果としては前作以上に独立性の強い作品であった。それでは例によってキャラクターごとに。

スターロード

 本名ピーター・クイル。1988年にヨンドゥ達によって地球から誘拐され、そのままラヴェジャーズの一員として育った宇宙の自称プレイボーイ。前作のラストで彼の父親が宇宙人で、どうもヨンドゥはその正体を知っている風であることが示されたが、本作で正体が明らかに。宇宙のはぐれもの集団の(一応)リーダーとして頑張るが、彼以上に個性的な仲間を統率するのはとても大変な模様。
 父親がエゴと判明し、それが神にも等しい存在で、しかも自分にもその力があると知って調子に乗るが最終的には真の家族=仲間の元へ帰る。今回の物語は血統上の家族か、それとも血は繋がっていなくとも絆によって結ばれた本当の家族か?みたいなのがテーマとしてあると思う。
 ガモーラとはほぼ相思相愛ながら決定打には至っていない模様。
 クイルは父なしの子どもとして過ごしたので、地球にいた頃は「オレの親父はデヴィッド・ハッセルホフだ」とホラを吹いていたらしい。それが実はカート・ラッセルだった!これは日本で言うと「オレの親父は千葉真一だ!」って言ってたら本当の父親藤岡弘、だったみたいな感覚だろうか。そりゃカート・ラッセル父親として名乗りを上げたらクイルでなくとも有頂天になるよね。この二人は元々マーベルとは縁が深く、ハッセルホフはTVでシールド長官ニック・フューリーを演じたことがあるし、カート・ラッセルの代表的な役である「ニューヨーク1997」「エスケープ・フロム・LA」のスネーク・プリスケンの少なくとも外見のモデルの一つとしてニック・フューリーがあると思うのでカート・ラッセルとデヴィッド・ハッセルホフがマーベル映画に出てる、というだけでも感慨深い。

 前作のラストの彼が特別な宇宙人の血をひいていた、それゆえにオーブのエネルギーに耐えることが出来た、という結末に対し、「なんだよ結局血統かよ」「仲間との絆で耐えられたんじゃないのかよ」みたいな不満が少しあって、今回はその辺に対するアンサーでもあるのかもしれない。結局クイルの持つ特別な力が、今回以降どうなるのか分からないが、決して彼の魅力はその力にあるわけではないのだなあ。
 演じるのはMCU三番目のクリスことクリス・プラット。キャラクターとしてはほぼ変化はなく飄々とした余裕ある様はあまり地球のヒーローたちには見れらないところ。はやく他のクリス(キャップ&ソー)達との共演が観たい!
 ちなみに今回も「スターロード」とはほとんど呼ばれません。

ガモーラ

 サノスの養女、ネビュラの姉。肌の色が緑で一応ヒロイン。姉御。肌の色なんかについてはこの映画、青かったり緑だったりピンクだったり金色だったりといわゆる地球人の肌の色をしている人種のほうが珍しいくらいなので全然気になりませんね。幼い頃からネビュラと戦わされてて、負けると罰を受けたり肉体改造されていたのだが、まったく空気を読まずネビュラに連勝を続けた人。その辺でネビュラの深い恨みを買っている。
 演じるのはゾーイ・サルダナ。「スター・トレック」の方ではウフーラを演じ、「アバター」では青い肌のネイティリを演じていたので、これで「スターウォーズ」なんかにも出た日にはもうスペースオペラ全制覇といってもいいのではないか。

ドラックス

 破壊王。前作では妻と子供をロナンに殺された男としてロナンへの復讐に取り憑かれていて、そんな彼が新たな家族=ガーディアンズを得る話でもあった。比喩表現が理解出来ない人、としてコメディリリーフでもあったが、今回は更に明るいキャラと変貌を遂げ、比喩表現ではなく、婉曲表現が出来ない人へと進化。結果としてマンティスと「お前は恐ろしいほどに醜い外見だがいい奴だ」みたいなことを言い合う仲に。後はマンティスがサイコセラピーとして触れた相手の感情を和らげたり、それを応用して睡眠導入の手助けをしたりしている、と聞けば「オレに試してみてくれ!」と率先して実験台になりたがる人でもある。
 というかですね。今回このドラックスのキャラクターはほぼヨシヒコなのですよ。福田雄一監督の「勇者ヨシヒコ」シリーズの主人公、山田孝之演じるヨシヒコそっくり。外見の美醜を全く悪気なく連呼したり、メレブ(ムロツヨシ演じる魔法使い)の新魔法に率先してかかりたがる。
 演じるデイヴ・バウティスタはご存知WWEの元スーパースターバティスタ。前作からの間には「007/スペクター」の敵役も経てすっかり俳優業も板についてきた。まだロック様ほどの演技の幅はないけれど、今回は前作にも増してコメディリリーフとしての活躍度が高いので、今後はいわゆるアクションと関係ない映画とかでも重宝されそう。ガタイが良くて強面、でもよく見りゃ人懐っこい容姿というのは素晴らしい。

ロケット

 凶暴アライグマ(に改造された人…らしい)。今回もトラブルメーカーとして大活躍?普通にいろんな面で優秀なところを見せるけれど、どうしても一波乱起こさずには要られない。今回も物語の発端となる電池を盗むのに始まり、クイルやヨンドゥと口喧嘩しながら物語をかき乱します。しかしその裏には異形ゆえに排他され、けど実は人一倍寂しがり屋でもあるという本音が存在する。わざと問題を起こしてそのことで起きる自分への対応で立ち位置を常に確認しているという感じか。
 声の演技はブラッドリー・クーパー。いずれご本人もなんらかの形で姿をあらわすと良いな。

ベビー・グルート

 私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。私はグルート。*3

ヨンドゥ

 ラヴェジャーズのリーダー、と前作ではなっていたが、ラヴェジャーズはもっと大きな組織で、その中でヨンドゥのグループは組織の掟を破ったことで爪弾きされていた模様。幼いピーター・クイルを拉致ったのはエゴの依頼を受けて、でもエゴの正体(というかそれ以前に連れて行ったエゴの子供たちの末路)を知ってクイルをエゴの元にやらず自力で育てた、育ての親。その口の悪さと相反してクイルに愛情は確か。荒くれ者揃いで更に嫉妬深いラヴェジャーズの面々からはあまりのクイルへの甘さについに反乱を起こされる。一時は絶体絶命の危機の陥るが新型フィン(頭のトサカ部分にあたるマシンでこれを装備することで口笛で矢を操る)を装着して裏切り者を一掃!前作でも見せたが口笛を吹いた時の彼は無類の強さを誇る。
 演じるのはマイケル・ルーカーである意味今作の主役。
 他のラヴェジャーズに反乱の首謀者テイザーフェイスやヨンドゥの忠実な部下ながらそれ故にクイルへの嫉妬で反乱に加担するクラグリンなどがいる。クラグリンは前作でも出てきたが演じているのはショーン・ガン。ジェームズ・ガン監督の弟です。

エゴ

 カート・ラッセル父親だったらいいな、という人類誰もが持つ願望を叶えた存在。元々は巨大な脳みそだったが、長年宇宙をプカプカ漂っているうちに自身を核として惑星を形成。さらに自分の分身として人型のカート・ラッセルを創りだしいろんな星に子種(カート・ラッセルがその星の住人と作った子、及び惑星エゴの分身みたいなものをその星に植えつける)を蒔いてきたが、唯一父親の性質を受け継いだまま成長したのがクイルであった。惑星エゴの地下には父親の性質を受け継がなかったため栄養分となった幾多のエゴの子どもたちの死体が存在し、最終目的は宇宙自体をエゴそのもので満たすこと。しかしクイルのウォークマンを壊し、目的のためにわざとメレディス(ピーター・クイルの母親でエゴの恋人だった)を死なせたことが判明し、クイルの怒りを買ってしまうのだった。
 演じるのはカート・ラッセル(とデヴィッド・ハッセルホフ)。吹替だと一瞬のハッセルホフのセリフでちゃんとささきいさおになっているのが偉い(後述するスライの出番と一緒に収録したんだと思うけど)。

マンティス

 エゴの従者。見た目は触覚の生えた黒目の東洋人美人と言った感じだが、幼虫だった時期があるようで昆虫に近い生体をもつ宇宙人の模様。エンパスで触れた相手の感情を読み取ったり、その感情を変化させたりすることができる。その応用でエゴの睡眠を手助けする。ドラックスと意気投合するが互いにルックスは全然タイプでない(というか嫌悪感さえ覚える醜さであるらしい)。エゴのこれまでの悪行も知っていて最終的にエゴを裏切りガーディアンズに着く。
 演じているのはポム・クレメンティエフという人で韓国系の父とロシア系の母の間にフランス人としてケベック州(カナダ)で生まれる、という経歴。ちょっとステレオタイプな東洋人女性の印象もある。

ネビュラ

 サノスの養女、ガモーラの義理の妹。幼い頃から姉と戦闘訓練では負け続け、結果として全身改造のサイボーグとなった。それ故姉と父に対する恨みは半端無く、執拗にガモーラを狙う。最終目的はサノスの死。しかし父親に対する恨みと姉に対する恨みは微妙に違い、姉に対してはもっとお姉ちゃんとして振る舞って欲しかった、という感じで最終的には仲直り。ガーディアンズとして仲間にこそならなかったが、今後も関わりあっていくのでしょう。
 演じるのは前作に引き続きカレン・ギラン。特殊メイクでよく分からないけれど普通に美人です。ちなみに今年のアカデミー賞を賑わせていた「ムーンライト」(観てない)のポスターを見ると、どうしてもネビュラを思い出してしまう。

アイーシャ

 全身金色のソヴリンの女帝。ソヴリン人は精神も肉体も完璧にデザインされ、生殖でなく人工的に生み出される種族、とのことなのだが、いやむしろかなり精神的には不安定じゃねえの?って感じ。無人の戦闘機を操縦するのだけれど、その様子や先にやられた操縦者が生き残った操縦者の後ろに立って応援しているシーンとか完全にゲームセンター。精神が完璧どころかプライドだけは高いティーンエイジャーしかいない社会なんじゃねえか?
 その中でもアイーシャは執拗にクイルを狙いラヴェジャーズに依頼、後には自ら出張る。しかしそれにも失敗しソヴリンの指導者としての地位を危うくするのであった。
 演じるのは「華麗なるギャッツビー」「コードネームU.N.C.L.E.」の長身美女エリザベス・デビッキ。今回もその整えられた鉄面皮の中に時折見せる歪んだ感情が魅力です。クイーン・オブ・高飛車!

 今回は前作以上にギャグシーンが多く、ちょっと辟易した部分も。コメディ映画はその辺で客を選ぶ。ただ、より監督のジェームズ・ガンの個性は出ていると思う。後は先述した通りMCUとして他の作品とのつながりは前作以上に希薄。サノスがセリフの中に出てきて、ウォッチャーとかハワード・ザ・ダックが劇中の物語に影響ない部分で登場する程度。劇中時間経過は前作から一年も経っていないので「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」以降「シビル・ウォー」以前だと思われる。一応エゴが地球に植え込んでいた星の種子が成長し暴走するシーンで他の惑星と並んで現在(2014年現在)の地球も登場するのだけど、このブロブみたいなのが町を飲み込んいく事態においても特に他のヒーローが出動したということなく、MCUとしてはかなり独立した作品ではある。
 前作より順当にパワーアップした作品だけれど、前作を踏まえて、という描写も多く、その意味で邦題を「リミックス」にしてしまったのはやはり残念。
 音楽方面はスコアの他は相変わらず70年代音楽がメイン。しかし!本作ラストで古いウォークマンに替わり一台に1000曲ぐらい収録されてる携帯型デジタル・オーディオプレイヤーをクイルは手に入れたので今現在の地球のヒット曲も聴くことでしょう。これで地球に来る準備はバッチリだ!

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス・VOL.2(オリジナル・サウンドトラック)

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス・VOL.2(オリジナル・サウンドトラック)


 ゲスト出演者は多く、ラヴェジャーズの真のリーダーとしてシルベスター・スタローンが登場。一緒に出てくる全身クリスタル状の男はマイケル・ローゼンバウム(アニメ「ジャスティス・リーグ」のフラッシュや「ヤング・スーパーマン」のレックス)、分かんないよ!ラスト近くに出てくる女海賊といった感じのキャラはミシェル・ヨー。先述したハワード・ザ・ダックは声がセス・グリーン。彼らは続編でもまた出てくるかも。
 そして毎度おなじみスタン・リー御大も当然登場。今回は宇宙飛行士の格好でウォッチャー相手に話をしている老人、という形で何度か登場。このウォッチャーはマーベル宇宙の神様みたいなキャラの一人で(ギャラクタスなんかと同類)、宇宙のあらゆることを見届け記録する人。で、MCUで登場するスタン・リーは時代も場所も様々でとても同一人物とは思えない(というかその時々のゲスト出演だから、出てくるスタン・リーが同一人物である必要はないんだけど)。そんな次元を超えて存在できるキャラといえばウォッチャーであって、実はMCUに登場するスタン・リーはウォッチャーなのではないか?というファンの間でまことしとやかに広まった都市伝説を逆手に取ったものが今回の登場シーン。ここでは「配達員をしていたこともある」と「シビル・ウォー」でのゲスト出演を話すが、先述した通り、今回の物語は時間軸上では「シビル・ウォー」より前の出来事なので、矛盾する。が、まあ誰も気にしちゃいないよね。
EXCELSIOR!

 エンドクレジット後のおまけはガーディアンズに敗れてすっかり意気消沈したと思われたアイーシャの姿。しかし彼女はまだ諦めておらず、新たな戦士を生み出そうとしている。その名はアダム。というわけでアダム・ウォーロックの誕生を匂わせて終了。アダム・ウォーロックは「インフィニティ・ガントレット」などで活躍するヒーロー。決して宇宙の敵になるキャラではないはずで「インフィニティ・ウォー」での活躍が期待される。個人的にはネイサン・フィリオンあたりに演じてもらいたいです*4

GUARDIANS OF THE GALAXY WILL RETURN.

 ラストは再び「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは帰ってくる」の字幕。一応今後予定のMCU作品は8月に「スパイダーマン:ホームカミング」11月に「マイティ・ソー バトルロイヤル」と続き、再び「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の面々が登場するのは2018年の「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」二部作となる予定。今度こそMCUの他の面々との共演が待っている!(その後、「GUARDIANS OF THE GALAXY Vol.3」も予定されている、が2020年ぐらいの話なので当分先と思っておこう)。
 今回の物語は家族と仲間が前作以上に重要視されている。奇しくも「ワイルド・スピード ICE BREAK」とキャスト・テーマ的に共通する作品だった。特に実の父親が出てくるからこそ養父であるヨンドゥやガーディアンズの仲間たちとの絆が強調されていた。ギャグや世界観でついていきにくい部分はあるかもしれないけれど、テーマは普遍。是非劇場で観て欲しい一作。

*1:アニメの「銀魂」が相変わらずの悪ノリで現在「よりぬき銀魂さん」を放送中なのだが、実写映画版もネタにしつつ、映画の情報番組としても成立している。どうせ「よりぬき」でやるなら、例えば実写版のキャストにアニメ版の過去のエピソードを吹替させて公開までの間に違和感を多少でも解消、逆に実写版のアニメキャストによる吹替版も公開!とかなれば互いにWin-WInだと思う。銀魂なら行けそうな気もするのだが…

*2:11月公開の「THOR:RAGNAROK」が「マイティ・ソー バトルロイヤル」という荘厳さとはかけ離れた邦題になってしまって頭を抱えている。予告編を観るとそりゃ「移民の歌(ブルーザ・ブロディの入場テーマ)」をバックに最終的にはローマ・コロッセオ風の闘技場でソーとハルクが一騎打ち!というものなのでプロレス感というかバトルロイヤル感は確かにあるけれど、最終的にどうなるか分からないし、「ラグナロク=神々の黄昏」はそれほど日本人にも馴染み薄い言葉というわけでもないだろうし、変えるにしても何故そうダサい方へ変えてしまうのか日本の配給会社の考えることはよくわからない。

*3:最終兵木。前回仲間を助けるためにその身を犠牲にして、結果今回は残された若木からベビー・グルートとして登場。前作のエンドクレジット間のおまけではまだ鉢植えでジャクソン5に合わせて踊るフラワーロック状態だったが、今回は冒頭から動きまわっている。ベビーというのは単にまだ小さい状態の外見だけでなく、どちらかと言えば老成していたような前作のグルートに比べて精神的にも幼い。前作のグルートと今回のベビー・グルートが全く同じ人格かというと必ずしもそうではなくて、一応、人格、記憶などを受け継いでいるけれど微妙に別人なのかも(と僕は判断)。「ドラゴンボール」でいうピッコロ大魔王(青野武)が死ぬ間際に自分の分身として卵を産んで、そこから産まれたピッコロ大魔王(古川登志夫)がピッコロ大魔王(青野武)の記憶・人格を受け継ぎながらも別人、というのに近いのかも。声は完全に子供の声に加工されているがヴィン・ディーゼル。セリフはお馴染み「I am GROOT.(私はグルート)」のみ!でも「スターウォーズEP7」のアストロメク・ドロイドBB-8がその子供さ故に感情が分かりやすかったのに似て、前作のグルートよりはどんな感情で「私はグルート」と言っているのか分かりやすかったように思います。マスコット的にガーディアンズからもラヴェジャーズからも可愛がられているベビー・グルートだが、ちょっとそのあざとさは鼻についた感じも。でも次はもうちょっと成長、反抗期のグルートが出てくるはずなので次の活躍にも期待だ!

*4:ネイサン・フィリオンは今回もカメオ出演したようなのだがカット。これはより重要な役でMCUに登場させたい、という思惑なのだと好意的に解釈したい

ファミリーの集結・散会・再集結! ワイルド・スピード ICE BREAK

 例によってお久しぶりでございます。まあこの間新作はほとんど観ず、ルーク・エヴァンスカート・ラッセルヴィン・ディーゼルの3人のうち誰かがで出てる作品しか観ていない、観る気がしない状態だったので仕方がないですね。ちょっとここ最近真面目な映画を見る気力が減退してて、ただただ楽しい映画にうつつを抜かしていたのです。
 というわけで、ルーク・エヴァンスカート・ラッセルヴィン・ディーゼルの3人が3人共出演している「ワイルド・スピード ICE BREAK」を観賞。

物語

 キューバでハネムーンを過ごすドムとレティ。そこへ謎の美女が現れ、ドムを自分の部下へ誘う。一方、ホブスは電磁パルス砲(EMP)がドイツの反体制派に奪われたため、それを取り返す任務を与えられ、ドムたちをを招集する。作戦は成功し、簡単に任務を終えたと思った矢先、ドムが突然裏切りEMPを略奪、ホブスも現地警察に捕まってしまう。
 刑務所に収監されるホブスにミスター・ノーバディが現れ取引を持ちかけられるがホブスはこれを拒否。地力で出ることを誓う。ホブスの独房の前にはかつての敵デッカード・ショウがいた。ホブスの独房の扉が開き、混乱に生じてショウが脱獄、ホブスもこれを追うが全てはノーバディの仕組んだことだった。
 ドムを裏切らせたのは国際的ハッカーであるサイファー。かつてデッカードの弟オーウェンにナイトシェードの奪取を命じて、そして見捨てた女でもある。ノーバディはドムのファミリーとホブス、そして自分の部下であるリトル・ノーバディを加えさらに宿敵であったはずのデッカードも加えたチームでドムとサイファーを追う。ゴッドアイを使いドムの居場所を探るとそこは今いる基地。直後、ドムとサイファーが襲撃を加えゴッドアイを略奪。果たしてサイファーの目的は?そしてなぜドムはファミリーを裏切って彼女に従っているのか?

 前作の記事はこちら。

 前作の時点ではシリーズをほぼ見ていない状態で挑み、結果として凄え楽しかった!という感じだったのだけど、今回はちゃんとシリーズ全部見てから行きましたよ。で、過去にTVでやっていた時にながら見、していた事もあって、見ていたもの、見ていなかったものあったのだけど、結果として全部面白かったです。一応、最初の3作と後半の4作ぐらいの感じで分けられて、劇場公開時にもエンドクレジットの後の次作への含み映像はあったそうなので、もう4作目の「ワイルド・スピードMAX」から「SKY MISSION」までは連作と言っていいのだろう。
 前作の感想で、「SKY MISSION」でシリーズ最後、みたいなことを書いていたけれど、これが何か映画の記事を読んだのか、それとも作品の終わり方を持って勝手に自分でそう判断したのか、ちょっと思い出せないのだけど、元々シリーズは続く予定で、でも主演のポール・ウォーカーの不慮の死亡事故で、制作するかどうか一時停止状態だった、というのが真相らしい。結果としてポール・ウォーカーの意思を存続させる、ということもあってシリーズは続行。この「ICE BREAK」と始めとして新たに9、10作目を制作し、全10作で完結させる予定らしい。本作もこれまでの集大成であるとともに、続編への含みを残します。
 で、これまでシリーズを見てきた人には常識なんだろうけど、にわかファンとして、一応シリーズの時系列を整理しておきたい。というのも前作「SKY MISSION」はシリーズ初見の僕が観ても、特に困ること無く見れたが、逆に本作はある程度シリーズを俯瞰しておかないと理解が難しいところがあるからだ(もちろん観てなくても楽しめるとは思うけど物語、キャラクターの設定的に理解不足が起きると思う)。
 シリーズは順番に1から8まであるが(間に短編もあるようだが未見)、1→2→4→5→6→3→7→8(本作)という形で4〜6でファミリーとして活躍したハンが6で恋人(ガル・ガドット=ワンダーウーマン!)を失った後、東京に行き、そこでの物語がシリーズ外伝的な扱いの「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」。そして3本編中で事故死するが実はこれが事故ではなく弟の敵を討とうとするデッカード・ショウの仕業であったことが6のエンディング、7の冒頭などで明かされる。ちなみにハン(サン・カン)、シリーズ中で一番格好いいキャラクターだと思う。3のラストで主人公ショーンにドムが会うがこのシーンの続きも7の中に挿入されている。
 ドウェイン・ジョンソン(ロック様)の演じる外交保安部のホブスが出てくるのは5作目「MEGA MAX」で、今回重要な役割を果たすエレナもここで登場。前作ではカート・ラッセルミスター・ノーバディと凄腕ハッカーラムジーも加わり今回に続く。なおポール・ウォーカーのブライアンとその妻でドムの妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)は劇中では引退したということで名前は出てくるけれど、決してその平穏を壊してはいけない、ということで仕事には呼ばれない。劇中では亡くなってはいないけれど、演出的にはポールに捧げるような感じ感傷的な感じになっているし、シリーズが続くなら出てこないのは不自然なので死亡したことにしないときつそうではある。

 さて、本作は邦題が「ICE BREAK」となっていて(原題は「The Fate of the Furious」と「Fast & Furious 8」の二種類あるようだが、本編で出てきたのは「Fast & Furious 8」の方)、これは後半のシベリアの氷原を舞台にしたシーンからとられている。ただ作品自体は常夏のキューバから始まり、ベルリン、ニューヨーク、と世界を股に掛ける物語である。ただその全てに自動車が深く関わっているのが本シリーズの特徴。今回も氷の上をスーパーカーが走ったりする非現実的なヴィジョンの他にも様々な自動車が活躍します。
 主人公ドムはヴィン・ディーゼル。今年は「トリプルX:再起動」の他に「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー:リミックス」もあり、本作含めいずれも血のつながりだけではない絆によって結ばれた擬似家族「ファミリー」もの、ってあたりヴィン・ディーゼルの天性のキャラクター性を感じさせる。本作では更に、わけあってファミリーを裏切ることで、リディック(「リディック」シリーズ)のような冷徹な凄腕の姿も垣間見せることでヴィン・ディーゼルの集大成ともなっているような気もする。公の法よりも自分ルールを優先し、しかしそれを厳格に守る、という意味でも、ザンダー、リディック、ドム(そしてグルート)は共通するものがあるしね。
 本作でドムがファミリー裏切る理由は、もうひとつのファミリー、エレナとその息子のため。この辺、シリーズを見ていないと分かりづらくて、エレナは「MEGA MAX」で初登場し、その時はホブスの部下だったが、ドムと付き合うようになる。ところが「MAX」で死んだと思われたドムの恋人レティが生きていたことが判明する(EURO MISSION)と自ら身を引く。「SKY MISSION」では再びホブズの部下として活躍したが、この時にはドムの子供を出産していたことに。そして今回息子と共にサイファーに拉致され、ドムを操るための人質とされる。ちなみに初登場時は武井咲の声でした。
 ロック様ことドウェイン・ジョンソン演じるホブスもシリーズを重ねるごとに主役に近い活躍を見せるようになっていくが、今回はそのセリフ回しから、過去に出演したどの作品よりも一番WWEのリングあるいはバックステージでのロック様に近い印象。最初の娘のサッカーチームのコーチの時から捕まってのデッカードとのやりとりとかほぼロック様って感じだった。ロック様はサモア系とアフリカ系のハーフだが、ホブスは娘のサッカーチームに試合前にハカをやらせているところをみるとマオリ系という設定なのかな。ちなみに左腕のサモア伝統の刺青はもちろん、右腕の眉を上げたブラマ・ブル(聖なる牡牛)の刺青もそのまま消すことなく(作品によっては当然消されることも多い)活躍。製作中にはヴィン・ディーゼルとの不仲も語られたりしたし、実際はどうなのか分からないが、少なくとも劇中そんな素振りは感じられず。あれかな、ドムが裏切ってホブスに冷たい視線を浴びせるシーンがあったりするのでその辺の役の関係性が誤解を生んだのかな、と良いように解釈したい。
 美人ハッカーラムジーをめぐる恋のライバルでもあるローマンとテズのやりとりも毎回楽しい。ローマンは毎回、「あれ?こいつムードメイカー以上の役にたってる?」って思ったりもするんだけど彼がいるといないとで作品の雰囲気もずいぶん変わるよね。ん?やっぱりムードメイカーか?とはいえ今回は囮になったり氷のしたの水に沈んだり活躍します。
 退場するメンバーも居る一方で毎回新しくファミリーに加わるキャラクターも。前回はハッカーラムジーが加わり、ファミリーという感じではないが謎の人物ミスター・ノーバディが登場した。今回はなんとデッカードがそこに加わる。一応ハンを殺した張本人なので、ドムたちにとっては不倶戴天の敵であるはずだが、弟のオーウェン・ショウと違って組織を組んで戦った感じでもないためか、どこかカラッとした関係ではあった。今回は復活したオーウェンの他に二人の母親も登場し、擬似ではない本当のファミリーとしての絆も見せる。ルーク・エヴァンスオーウェンはクライマックスで登場し、デッカードとともにサイファーの移動基地でもある飛行機を制圧するが、そこでの登場のみ。さすがに「EURO MISSION」観るとデッカードと違って犯罪組織の長としてレティ他に酷いことしているからちょっと顔をだすのは辛いかな。
 そして二人の母親がヘレン・ミレンで、もう出てくるだけでこの母親にして息子あり、という説得力。どうやら裏社会(登場したのはNYだがイギリスの裏社会?)の実力者でもあるようで犯罪一家の肝っ玉母ちゃんである。スピンオフとしてこの家族の物語も観たい!もうなんとなく二人の父親も妄想してしまう。候補は二人いて、一人はアンソニー・ホプキンスでこの場合、英国政府の大物。もう一人はブライアン・コックス。こっちの場合はともに別の犯罪組織のボスで今も昔も敵だったっリ味方だったり、みたいな。
 
 カート・ラッセルが出てる映画に外れなし!というわけで本作にも出ているカート・ラッセルミスター・ノーバディ。彼自身は前作で少しあったアクションも今回は無く、代わりに加わるのが彼の部下であるリトル・ノーバディ。このリトル・ノーバディってのはローマン(タイリース・ギブスン)がバカにした言い方が定着役名になったもので正式な本名は不明だが、やる気も能力もあるがまだまだ青二才である、ッて感じ。ポール・ウォーカーが退場して、ファミリーにほぼ白人がいない状態で若い白人担当といったところだろうか。ローマンと口喧嘩シーンが多いのもポール=ブライアンの代理ぽくもある。演じているのはスコット・イーストウッドで名前で分かる通りクリント・イーストウッドの息子。ちょっとした表情は父親によく似た精悍さだが、どこかお坊ちゃんっぽい甘さが見えるのも2世ならではか。クリント・イーストウッドの息子をカート・ラッセルが鍛えているってのも愉快な構図で映画という虚構を越えた面白さ。アクションもしっかりこなした上、ローマンとの漫才ではコメディ演技も魅せてくれたのでシリーズ次作でも活躍するだろうし、他の映画でも今回のリトル・ノーバディ役が活きるだろう。
 今回の敵はシャーリーズ・セロンサイファー。一応5以降の敵の黒幕だったということになっている。彼女自身はアクションはしないが、本作でも生き残り次作でもまた出てくるろうことが示唆される。「ワイルド・スピード」といえば自動車、そしてシャーリーズ・セロンといえば「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」。ウォータンクを運転していたフュリオサである。なので今回は黒幕にとどまって彼女が運転する、アクションするシーンが無かったのは残念。その辺は次への楽しみとしていこう。

 アクションとしてはもうシリーズ最初の頃のカーアクション、という趣とは完全に別物で潜水艦に追われたり、NYではゾンビカー(運転手のいない、あるいは運転手の意思と関係なく自動車がサイファーのハッキングで勝手に文字通り「自動車」となり役目を果たす)とかほぼSFなんだけどあんまり作品の雰囲気と離れていないというか、一応このシリーズSFではなく現代アクションに分類されるけど、マイケル・ベイ版の「トランスフォーマー」とか「TMNT」とかあるいはスティーブン・ソマーズの「G.I.ジョー」とかとクロスオーバーさせても違和感がない感じはしますな。
 他にも冒頭キューバでやりあった相手が密かにドムの手助けしたり、6、7では出てこなかったテゴとリコがちょっとだけ出てきたり、キャスト的にも集大成。最初のほうでも書いたけれど、今回はシリーズを見てから観たほうが良いと思う。ミシェル・ロドリゲスが冒頭でドムとの子供を欲しがるが、ラストでは新たにドムの子供をレティに紹介し、新たなファミリー(その席にはホブス親子やミスター&リトル・ノーバディ、デッカードもいる)と食事をするいつものラストシーン。息子に付けられたファーストネームは「ブライアン」(エレナが付けたミドルネームはマルコス)。

 今回はエンドクレジット後などに直接続編に続くオマケ映像はなし。ただ9,10作目の製作はもうアナウンスされているようだし、先述した通り、黒幕サイファーは逃げおおせた。「X3 TOKYO DRIFT」の主人公ショーン(ルーカス・ブラック)なんかもファミリーに加わるはず。より一層のパワーアップした活躍をきたいしたい。
FAST & FURIOUS 8: THE ALBUM

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