The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

アクションよりラブコメを バイオハザードV リトリビューション

 ゲームの映画化としては(興業的には)成功作とされる、「バイオハザード」シリーズの第5弾「バイオハザードV リトリビューション」を公開初日に鑑賞。僕自身は一応これまで全作劇場で鑑賞してるから、というかなり消極的な半ば義理に近い鑑賞だった。

物語

 アリスは再び、アンブレラに捕まっていた。洗脳されたジル・バレンタインに拷問を受けるが突然のセキュリティシステムのダウンの後、独房の扉が開く。脱出するとそこは東京を模した街並み。再びゾンビたちを退治し逃れるとそこにはエイダ・ウォンという女性がいた。彼女はかつての仇敵ウェスカーの命令でアリスを救いに来たというのだ。レオン達援軍もやってくる中、アリスたちは無事施設を脱出できるのか?!

 前作の感想はこちら。

最早ゾンビ映画とはいい難いが… バイオハザードⅣ アフターライフ

 以前も書いた通り、僕はゲームの方は「3」で止まってるんですね。なので最近はもっぱら映画のほうでしか「バイオハザード」は知らないんですが、それでもうーん、どうなんだろう、という感じ。例えば今回のポール・W・Sアンダーソン監督も一応名を連ねている「エイリアン」シリーズは毎回、前作の余韻をぶち壊すところから始まる。それでも監督ごとに個性が強く発揮されて一作ごとに独特の作品になっていることや作中の年代が大きく変化することでそれほど気にはならない。この「バイオハザード」シリーズも大概前作の余韻をぶち壊すオープニングで始まるのだが、このシリーズはアンダーソンの意向が強く反映されているため連続してるのにぶち壊し感が半端ない。
 今回は前作の直後から始まり、逆再生をスローで見せてくれるオープニングは面白かった、がそこで出てくるクリスやクレア、Kマートなどがどうなったのかは全くその後語られない。今回せっかくジルやレオン、バリー、エイダといったゲームのキャラ(カルロスもか)が出てくるので出来ればクリスやクレアと勢揃して欲しかった。
 ポール・W・S・アンダーソン監督の作品は前作「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」は凝りに凝った予告編を劇場で長い期間に渡って見せられ、公開間近の終盤にはもはや観るのも嫌になっていたので本編は劇場では見ていない。あれだね、予告編もあんまり早くから展開すると逆効果だね。

アリスとカルロスのラブラブ家族生活


 ハリウッドに限らないが女優と結婚した映画監督だといかに自分の奥さんを魅力的に撮るかという事に全力を尽くす場合が多々ある。例えば「アンダーワールド」「トータル・リコール」のレン・ワイズマンとケイト・ウィンスレットケイト・ベッキンセールの間違いでした。コメント欄にてとむさんよりご指摘いただきました。ありがとうございます)、古くは「バーバレラ」のロジェ・ヴァディムジェーン・フォンダなど。このポール・W・S・アンダーソンとミラ・ジョヴォビッチもそういうカップルだろう。ミラの場合、以前にリュック・ベッソンと結婚していた時もベッソンはそういう感じがあったなあ。
 本作もとにかく、いかにミラを魅力的に格好良く映すかということに全力を注いでいる作品である。個人的には本編よりも予告編でも観られた「アリスとカルロスが幸せな結婚生活をしていて娘もいる。そこに突然ゾンビが襲いかかり・・・」という部分の戦士じゃない、主婦としてのミラがとても魅力的でこの展開が長く続いても良かったなーと思う。この一連のシーン、ザック版の「ドーン・オブ・ザ・デッド」の冒頭を思わせる。ミラのアクションもさすがに食傷気味であったのでこの展開が新鮮。
 今回は売りの一つとしてこれまで出てきて死んだキャラが再び登場、というのがあるのだがこれはクローンとしてなんですな。カルロス(オデッド・フェール)やレイン(ミシェル・ロドリゲス)などが出てきます。ふたりとも洗脳された戦士バージョンと逃げ惑う一般人バージョンが用意されていて二倍の魅力が味わえます。
 前半30分ぐらいはとても楽しいです。ただ、肝心のアクション部分が単調で下手に銃撃の音が響くものだから、むしろ単調なドラマ部分よりたるい。人間不思議なもので劇場で眠くなる時って静かに語るシーンより銃撃や爆発音がバンバンなるシーンのほうが眠くなるのだな。今回も中盤深い睡魔に襲われた。もちろん、僕が体調万全で臨まなかったのも悪いのであるがそれでも単調すぎて売りであるはずのアクションシーンがこれでは・・・という感じである。
 物語的にも、施設のいろんなところ(東京だったり、モスクワだったり、NYだったりを再現)をクリアーしていく、といういかにもゲーム的な展開なのだがこれまた単調であった。
 ラストのウェスカーの登場とかなあ・・・。
 今回は久々に「ダメな方のポール・アンダーソン」というフレーズが終始脳裏をよぎっていた。実はこの人アクションはそんなにうまくないんじゃないかな。ここは一旦切り替えてミラ主演のコメディ映画を撮るといいよ。さすがに次は観ないかもしれないです。

 あと例によってパンフレットが大判だったので今回は買いませんでした。音楽は良かったです。ただ字幕版で見たのだけれど、ラストに中島美嘉(出演もしてる)のバラードがもっさり流れたのは拍子抜けでした。この手の風潮もタレント吹き替え同様、誰得という感じなのでできるだけすみやかにやめていただきたいです(たまにピッタリ来るのもあるし、そもそも元の公開版でもそうなんだよ、というのは別だが)。
 
 アリ・ラーターとKマート殺したのは許さねえからな!