The Spirit in the Bottle

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終わりよければ全て良し! バイオハザード ザ・ファイナル

 2017年の1月ももう後半。1日に「ローグ・ワン」(2回目)を観てからまだ全然新作を劇場では観てないわけですが(ジュウオウジャーVS。ニンニンジャー観ました!)、後半は話題作が続々公開されるのでいっぱい観る予定ではあります。そしてその前に年末に見た映画の感想を。「バイオハザード:ザ・ファイナル」を観賞。

物語

 人類のほとんどが死滅した世界。アリスはアンブレラのレッドクイーンから48時間以内に抗ウィルス剤を散布しなければ全人類が全滅することを告げられ、それを阻止するため、すべての始まりの地ラクーン・シティーへと向かう。途中でアイザックス博士に襲われるがラクーンシティーに辿り着いたアリスはクレアと再会。人類を救うため再びハイブへの侵入を試みる……

 一応ね、シリーズ全作品劇場で鑑賞しているわけですよ。それで、前作あたりはもうワーストに選ぶくらい正直つまんなくて、さすがにもう劇場鑑賞はいいかな…と思ってたんですが、これで最後!ってアナウンスされてるじゃないですか。そうすると最後まで付き合ってみるか、ということで初日に観賞。シリーズは2作目、3作目こそ違う監督が担当したりしていたけれど、後半はほぼポール・W・S・アンダーソンの独占市場。さらにこのシリーズの撮影を通して主演のミラ・ジョヴォヴィッチと監督が結婚してしまったものだから、「いかに自分の嫁を魅力的に描写するか」に尽力したシリーズだったりもする。そして日本での日曜洋画劇場でのヘヴィーローテーション!いやもともと日本のゲームが原作だから日本で売れないことにはどうしようもないのは分かるけど、ちょっと放送し過ぎだよ!というぐらい定番となっていて食傷気味であった。あれだね、TV局が映画製作に携わることの功罪ってあって、それはおいておくとしても例えば日テレの「金曜ロードSHOW!」ならジブリ名探偵コナンルパン三世なんかは日テレが関わってるから放送回数が多くなるのは分かる。テレ朝でも「相棒」なんかは同様。でも別に「バイオハザード」シリーズってテレ朝関わってないですよね?
 で本作。これが以外なことに面白かったのです。前作の最後、ホワイトハウスのウェスカーに招かれて、建物の周りをモンスターがうじゃうじゃしてる状態で「さあ!最終決戦だ!」みたいな終わり方をしたんだけど、この辺はあっさり無かったことに。アリスたちはワシントンD.C.でウェスカーの罠に嵌って全滅。アリスはその唯一の生き残りという具合。一応ゾンビ(正確には口から触手みたいなの出すのはゾンビじゃないんだっけ?)も出てくるけれど、もうゾンビ映画というよりは「ゾンビも普通に出てくるアクション映画」という感じ。ドラゴンみたいなモンスターも出てきます。
 前半の廃墟のワシントンからロードムービーを経て(途中装甲車バトルあり)ラクーンシティーに着いてからは1作目を踏襲。全部で6作ある実写映画シリーズのうち予襲復讐として最低限見ておいたほうがいいのは1作目だけで十分だと思う。

 物語的にはこれまでもクローンだったことが示唆されていたアリスの正体が明かされ、手際よくこれまでの謎解きが進んでいく。アリスは元々アンブレラの創始者であるマーカス博士の娘アリシアのクローン。アリシアは細胞が異常な早さで老化する「プロジェリア」という病気を患っていて、その対処法として開発されたのがT-ウィルスであった。T-ウィルスの危険さを指摘したマーカス博士は共同創始者であるアイザックスに殺されたが、現在ではアリシアもアンブレラの最高責任者である。アリスは生物学的なコピー、そしてレッドクイーンはアリシアの記憶を受け継いだ人工知能であり、若くして老婆となったアリシアの過去と未来がレッドクイーンとアリスであった。アリシアはもちろんミラ・ジョヴォヴィッチが演じているが、さらに今回のレッドクイーンはミラと監督のポール・W・S・アンダーソンの娘であるエヴァ・アンダーソンが演じていて、もちろん単なる親バカ、家族愛からのキャスティングと見ることもできるが、その辺でもアリスとレッドクイーンがアリシアの過去と未来という設定を補完していると思う。
 途中で生き残っている人間たちと合流。お馴染みのクレア(アリ・ラーター!生きてた!)と再会する。ここで日本からローラが出演。元々派手な顔立ちだけど、英語のセリフも違和感なく目立ちすぎず地味すぎず、きちんと印象を残してあっさり退場するのでこの手の出演では良く出来たほうだと思う。
 ハイブに侵入してからは「バイオハザード1」を踏襲した展開に。レーザービームによるサイコロステーキ製造機なんかも再登場。
 全体としてシリーズの中でも面白く、特に前作とは格段に良くなっていたのだけれど、時々変な演出があるのも見どころといえば見どころ。アリスとアイザックスが対峙するときに、目に入った小道具で攻撃する、それに対向する、みたいなのを実際に行う前にシミュレーションするところがある。これは例えば「シャーロック・ホームズ」や「捜査官X」なんかであったような演出なのだけれど、ご丁寧にこれを何度もやる。小道具が3つアレば3つ全部見せる。監督正気か?と思わず叫びそうになったぐらい。
 アイザックス博士は二人いてオリジナルとクローン。共にイアン・グレンが演じていて過去に出てきたアイザックスも(特に3)クローン。クローンのほうが自分がオリジナルと信じてたのに!、みたいな部分はありがちではあるが良いアクセント。
 そしてシリーズきっての木偶の坊ウェスカーは今回も木偶の坊。ゲームの方のウェスカーの出来の悪いコスプレみたいな格好で何度も出てきたウェスカーだが、今回は輪をかけて特に何もせず。もはや人間なのかロボットなのかと言うレベル。レッドクイーンはアンブレラの幹部を攻撃できないようにプログラミングされていて、もうお分かりですね、オチは「ロボコップ」です。アリシアにウェスカーは解雇され、それによってレッドクイーンにやられます。
 
 一応、原題から「THE:FINAL CHAPTER」となっているし、物語的にもこれで本当に終わりっぽい感じ(続けようと思えば続けられる終わり方ではあるが)。あんな乱暴に抗ウィルス剤を撒いただけで、一気に事態が終息するのはご都合主義に思えるし、全人類が5,000人切った状態からの復興は難しそうとかいろいろ思うところはあるけれどとりあえずシリーズを追いかけてきた身には満足できる最後かと。

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シリーズ前作。

 とりあえず、ポール・W・S・アンダーソンとミラ・ジョヴォヴィッチ夫妻にはご苦労様、と言いたい。監督は次は普通にミラ・ジョヴォヴィッチ主演のラブコメでも撮ってください(この人フィルモグラフィーはほとんどSFやホラー、スペクタクル大作とかだけど、普通にラブコメとかのほうが合ってると思う)。