The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

トリプルX、トリプルH(ハゲ)、トリプルドム! ワイルド・スピード SKY MISSION

 5月3日は地上波で「バトルシップ」が放送されるとあって、ツイッターのTLでは好きな人(バトルシッパーというらしい)で盛り上がっていたのだけれど、御存知の通り僕はどうにもあの作品が苦手でバカ映画としてネタ消費することも辛い。もちろん好きな人は胸を張って好きなモノを好きと言っていいと思うけれど、ちょっとした祭り状態は興味のない人間にはちょっと辛い。放送はもちろん、ツイッターを見なければ済む話ではあるのだが、自宅で自由な状態だと、つい見てしまうだろう、ということでその喧騒から逃れるべくその時間帯にちょっとした避難措置として劇場へ。そんなんだから何を観るかは劇場についてから決めたんだけど、今回はこれまで全くと言っていいほど手付かずだったシリーズへ挑戦。「ワイルド・スピードSKY MISSION」を観賞。

 原題は「FAST & FURIOUS7」ということでシリーズ七本目。このシリーズ、キャスト的にはヴィン・ディーゼルミシェル・ロドリゲスジョーダナ・ブリュースターと僕好みの役者が出ていたのにどうにもこれまで興が乗らなかった。TVで放送された時も一応見たはずなのだが、ながら見だったせいかあまり入り込めなかったのだ。車両強奪犯グループを検挙するために潜入した捜査官が公道レースなどをしている内徐々に犯人グループと友情を育み…みたいな話だっただろうか。
 そしてあれよあれよとシリーズが本数を重ね、ロック様(ドウェイン・ジョンソン)が参加した時にはもう今さらおいそれと参入出来ないな、という感じだった。だから本来はこの7作目もスルー予定ではあったのだが、前述のような理由で劇場鑑賞。だからこれまでのストーリーもキャラクターもほとんど分からない状態での観賞だったのだが、これが何の問題もなかったです。

 物語は某国の病院から始まる。重症でベッドに寝ている男の兄と思われる人物の後ろ姿。これがジェイソン・ステイサム。そして重症の男がルーク・エヴァンス。どうやらルーク・エヴァンスは前作の悪役らしくこのシーン以外では出てこないのだが、前作のラストで重症を負い、その復讐に兄であるステイサムが乗り出す、という展開。男性の美男役者にキャーキャー言うのは自分が男でも女でもあんまり変わらないのだが、もちろん好みはあって、ルーク・エヴァンスライアン・ゴズリングはどうも僕にはイマイチその良さが分からない俳優だった(もちろん美形んであることは十分認めています)。ただルーク・エヴァンスは「ホビット」や「ドラキュラZERO」など出演作品を多く見ることで最近はその魅力が分かってきた感じ。ライアン・ゴズリングはまだちょっとよく分からないなあ。
 ステイサムは悪役だが神出鬼没でFBIのオフィスに突然現れたり、ドバイの高層ビルのパーティーに突然出現したり、事態が停滞した時にそれをぶち壊すべく現れる悪のワイルドカード
 そんなわけで一応物語は前作「ユーロ・ミッション」を引き継いではいるようなのだが、特に分からなくなることはなかった。特に説明くさいわけではないが、必要最低限の情報は与えてくれる。ミシェル・ロドリゲスが記憶喪失になっているとか前述のルーク・エヴァンスが前作の悪党で今回はその兄が敵役であるとか。ただ犯罪者であるはずのドム(ヴィン・ディーゼル)がFBIのホブス(ロック様)と普通に接しているとか、多少はシリーズ観ていないとわからない部分もあるけれど、まあ大きく障害になることは無いだろう。
 この映画ヴィン・ディーゼル、ロック様、ジェイソン・ステイサム(おまけでタイリース・ギブスンも)と登場人物の大半がハゲ。よく考えるとかなり豪華なキャストではある。

 この映画ジャンルとしては現代アクションであるが、なんでかSF映画からのオマージュ的なシーンが多かったように思える。タイリース・ギブスンが出ているからか、アゼルバイジャンで自動車ごと飛行機から飛び出して(邦題の「スカイミッション」の元になっているのは主にこのシーンだろう)、パラシュートで降り立つシーンやその後の森のなかのカーチェイスは「トランスフォーマー:リベンジ」を連想。またこの作品に出てくるクルマたちはそのほとんどがワンシチュエーションで大破するが、にも関わらず(あるいはそのおかげで)まるで生きているような魅力を放っている。
 そして、今回はカート・ラッセルが登場するのである!カート・ラッセルカート・ラッセル出演映画に外れなし!もう!出てるなら早く言ってよ!そうと分かってたらもっと早く観に行ったのに!というわけでカート・ラッセル諜報機関に所属する偉い人で役名は「ミスター・ノーボディ」。登場直後からかなり胡散臭い役柄だが、きちんとアクションもこなし、最後はなんだかよくわからないけれど格好良く退場する。個人的にはカート・ラッセルを観るだけでも価値があると思います。ちなみにカート・ラッセルが登場する直前にジェイソン・ステイサムデス・プルーフ仕様のクルマでヴィン・ディーゼルの搭乗車と激突するシーンがあるのだけれど、この辺もカート・ラッセル出演の「デス・プルーフ」のオマージュかもしれない。

 多分最初のシリーズとはかなり内容も変わってきているんだと思うんだけど(時間軸も一直線じゃないんだっけ?)。本作はそれこそヴィン・ディーゼル出世作トリプルX」やドバイの高層ビルが舞台というだけの共通点だけど「M:I GP」とかを思い起こさせるスパイアクションでもあって、ただそのアクションの殆どにクルマが大きく絡む。
 頭のいい緻密なアクションと度胸一発!大胆なアクションが一体化していて、とても見応えがあります。ラストの特定の人物を走りながら乗り換えさせ、戦闘ヘリからの攻撃を避ける、という部分などきちんと計算された部分が生きたアクション。かと言ってラストはロック様がガトリングガンを手で持ち上げて撃ちまくるという力技だしその辺のバランスがいいですね。ロック様「メタルギア・ソリッド」映画でヴァルカン・レイヴン役やらないかな。
 監督は「死霊館」「インシディアス」のジェームズ・ワン。この2つや僕は見てないんだけど「ソウ」シリーズなどで有名なのでてっきりホラー専門の人なのかと思ったらアクションでも大丈夫なんだね。まあ「インシディアス」とかいわゆる心理ホラーというより如何に驚かせるかという感じではあるので、アクションやっても全然不思議ではないけれど。

 主役であるポール・ウォーカーが撮影中に交通事故(撮影によるものではなくプライベート)で亡くなったことでシリーズやポール・ウォーカーのファンには特別なものとなっただろう。映画を見ている限りおそらくラストシーン以外特別その死による強い影響は感じられない。僕はシリーズにもポール・ウォーカーにもほとんど思い入れはないが、シリーズとしての完結編的な意味も手伝って感傷的にはなってしまう。ラストの急にヴィン・ディーゼルのモノローグになり、運転するヴィン・ディーゼルの車にポール・ウォーカーが横付けし、また別れる(別々の道を行く)ところは多分ポール・ウォーカーにセリフがないところから死後に合成か何かで撮影されたシーンなのだと思うけれどちょっとうるっとはきました。

 普通にアクション映画としても面白く、シリーズを観ていないクても十分楽しめるし、シリーズを見ていれば更に楽しめるのだろう。オススメです。