The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

コララインとボタンの魔女 3D

 「かいじゅうたちのいるところ」と並んでどうしても観たかったヘンリー・セレック監督作品「コララインとボタンの魔女 3D」を鑑賞。去年の4月に書いたときの内容はこちらを参照。
 仕事帰りにレイトショーで観たんだけど3Dだったので料金は2000円。3D作品は3DCGアニメを中心に何度か見たけど、僕がメガネをかけているというのもあって専用のメガネが微妙に付けづらい。今後本格的な普及には色々課題はあると思う。 

物語


 築150年のピンクパレス・アパートに越してきたジョーンズ一家。その一人娘コララインは11歳のおてんばな女の子。仕事に忙しい両親は全然構ってくれないし、新居の周りの住人は皆変人ばかり。
 大家の孫、ワイビーから自分そっくりの人形をもらったコララインは壁に封印された不思議な小さな扉を見つける。真夜中ねずみに起こされて追いかけていくとその小さなドアへと逃げていった。ドアを開けるとそこには昼間はない通路が存在し、家とそっくりの別の世界が広がっていた。そこには目こそボタンだが、現実と違いコララインを大事にする両親がいた。夢のような世界を楽しんだが目が覚めるとそこは現実の世界。
 すっかり向こうの世界が気に入ったコラライン。しかしその裏には大変な事実が潜んでいた・・・

 デフォルメ具合が絶妙なコララインのデザインが最高。横に伸びた顔とか表情も最高にかわいい。
 原作は作家でアメコミ原作者でもあるニール・ゲイマン。代表作は「サンドマン」とか「スターダスト」とか。ちなみに「サンドマン」は二代目でDCコミックスにはいわゆるヒーローな初代サンドマンも存在する*1。本作はさしずめニール・ゲイマン版「不思議の国のアリス」といったところか。子供向けの「ジョン・マルコビッチの穴」という趣も。

おまえにトビネズミが伝言じゃと。
言っとたぞ。「小さいドアを通るな」と。

ヘンリー・セレック

 監督のヘンリー・セレックはストップ・モーション・アニメーション「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「ジャイアント・ピーチ」などを監督した。ただ、これらは製作のティム・バートンのほうが先にたってあまりセレックの作品とみなされることは少ない。実際「ナイトメアー〜」では、重要なことはバートンとダニー・エルフマンが決めてしまいセレックは現場監督としての活躍だったそうだ。だから、この2作品ではどこまでがセレック本人の感性によるものなのか分かりにくかった。勿論、バートンとセレックは共通する感性を持っているのだろうが*2
 だが、長編3作目(にして初の実写映画)「モンキーボーン」をみて驚いた。確かにティム・バートンと似た物があったがある意味ティム・バートン以上に病んでいたからだ。
 本作でもドアの向こうの世界のガーデンが綺麗でにぎやかなのだが、食虫植物が中心だったりとても趣味が悪い(褒めてます)。
 監督だけでなく製作、脚本、プロダクション・デザインまで兼ねているのだから本作のビジュアルは紛れもなくヘンリー・セレックのものだ。

吹き替え

 今回は近場の劇場ではどこも吹き替え版しか上映していなかったので、吹き替え版で観たのだが、キャストは主人公コララインに榮倉奈々、黒ネコ(ドアの向こうの世界では人語を喋る)に劇団ひとり。ママとボタンの魔女に戸田恵子
 これを観ても分かる通り、いわゆるタレント吹き替えという奴である。勿論、戸田さんは声優としてもベテランなので何の問題もない。そして榮倉奈々だが、そんなに悪くない。実はこの手のタレント吹き替えの場合若手アイドルはそんなに悪くない仕事をする。ベテラン芸能人のほうが吹き替えにおいては始末に負えなかったりする。劇団ひとりは微妙なのだがまあ、黒ネコの喋る出番はそう多くないからよしとするか。脇を固める人たちはみんな安心して聞いていられるしね。ちなみに原語版ではコララインの声はダコタ・ファニングロイス・レーンことテリー・ハッチャーなんかも出てます。
ストップ・モーション・アニメーションは怪獣映画などにおける特撮技術としては最早CGにとって変わられた感があるけども、本作のような単独作品としてはまだまだ現役。CGには出せない味がある。長編となると莫大な時間がかかるけどまた是非みたい。


 

*1:ROMAさんよりコメント欄にて指摘がありました。ゲイマンのサンドマンは4代目だそうです

*2:この二人はカルアーツ時代の同級生で友人