The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

青と赤、点と面 スカイライン -征服-

 大体地球侵略にやってくる宇宙人というのは大雑把に2種類あって、一つは怪獣連れてきて暴れさせたり、しまいにゃ宇宙人自ら怪獣化して地道に破壊活動するタイプと宇宙母船に戦闘機を大量に搭載して一気に攻めるタイプだ。大体TVの宇宙人なんかは前者が多い。まあウルトラマンに出てくる侵略宇宙人は個人経営だったりするので物量がないのかもしれないがスーパー戦隊の宇宙人なんかは第一話は全面攻撃してきたりするのに次からは毎回怪人を送り込む戦力の逐次投入。今やってる「海賊戦隊ゴーカイジャー」も最初は大艦隊で攻めてきたのに、そして今も大艦隊で来てるのに怪人(行動隊長)を一人づつしか送り込まないし。
 で、今回出てきた「スカイライン星人(便宜上こう名づける)」はその侵略計画は点と面の中間を行っていると思われる。話題の映画「スカイライン-征服-」を観た。今年の夏は地球侵略が大流行する予定だがその第一弾とでも言うべき作品*1

物語

 LAに住む友人テリーのパーティーのためNYからやってきたジャロッドとエレイン。コンドミニアムでのパーティーの翌朝、青い光がLAの町に無数に降り立った。部屋にいたレイが光を見つめたまま消えてしまい、ジャロッドも光に囚われ動けなくなるがテリーたちに救われる。やがてLAの街に巨大な宇宙船が現れ人々を吸い込んでいく・・・一度は部屋からの脱出を試みるが巨大な怪獣や蛸のようなドローンに襲われてしまう。やつらは人の脳を欲している!地球は彼らのものになってしまうのか!

 僕がこの作品を見てざっと思いついた作品は「マトリックス」「宇宙戦争スピルバーグ版)」「クローバーフィールド」「ミスト」「ID4」「第9地区」「アバター」「顔のない悪魔」「ファイナルファンタジー(映画でもゲームでもどちらでも可)」といったところ。つまりオリジナル度は低い。監督は「AVSP2」のストラウス兄弟。「AVP2」は・・・(でもこれ2008年の元旦に見た映画だったりする)。元々VFXマンで数々の作品のVFXを担当していたりするらしい。
 低予算らしく基本舞台は高級マンションから出ない。また視点がジャロッドからほとんど動かない。この辺は「宇宙戦争」と共通している。ただあちらトムの視点からはみ出さない代わりにトム自身が目的を持って移動するが、こちらの場合移動しようとしては戻ってくる、の繰り返し。
 また、後半部屋に篭城するとお決まりのように指導権の取り合い。部屋を出てLAを出るべきだというジャロットと篭城して助けを待つべきだというおっちゃんが指導権を争う。この辺は「宇宙戦争」のティム・ロビンスとの争いや「ミスト」のカーモディー夫人を思わせる。まあ、あれらほど深刻ではないけれど。
 実はスカイライン星人は登場しない。その尖兵としてのドローンと怪獣軍団が登場したりする。ジェフ・ダローがデザインしたようなこれらのクリーチャーは有機的な兵器であり、おそらく人間の脳みそをLSIチップのような形で利用している。
 

青い光、赤い光

 ジャロッドとエレインは人間をさらうための青い光を見つめながら間一髪逃れる。そのおかげかジャロッドはちょっとしたスーパーパワーを手に入れる。反発するおっちゃんを片手で首を掴んで持ち上げたり、蛸ドローンを素手で倒したり。しかしラストにはエレインとともに宇宙船に囚われてしまう。そこでは人体から脳みそを取り出す作業が行われていた。脳と脊髄が一緒に取り出された姿はまるで「顔のない悪魔」。エレインは妊娠していたため別室に連れて行かれるがジャロッドは哀れ脳を取り出されてしまう。で、ここまでで十分青い光は悪い光だと見せ付けられているわけだけど普通の脳みそは青く光るのに対してなんとジャロッドのそれは赤く光る。通常(青色)は人型の有機体にセットされるとそのまま任務に就くのだがジャロッドのを移植されたそれは叛乱を起こしエレインの元へ。エレインも最初はおびえるがお腹を触ってくるモンスターを見て「ジャロッド?!」。
 でここでと唐突にBANG!とエンドクレジットに突入!フィギュアを撮影したような静止画が挿入されながら終了。思わず劇場で文字通り口があんぐりと開いてしまった。
 いろんなところで言われてるけど打ち切り漫画の「「さあ、俺達の戦いはここからだ!」ストラウス兄弟の次回作にご期待下さい」って感じである。
 まるでゲームのような分かりやすい表現でこの辺、「FF」辺りの影響も受けているのかなーと思う。
 ぶっちゃけこの手の映画はストーリーや内容を無視してクリーチャーが動き回っているのを見るだけでも楽しいもの。ただ低予算にしてはCGはしっかりしてるほうなのかもしれないがストップ・モーションと違ってどうにもそれだけではときめかないのも確か(ノスタルジーが入っているのは認めよう)。
 ドラマ部分ははっきりいって安い。金持ちの美男美女が妊娠したとか、浮気したとかそういうのを枕にしている。ジャロッド役の人はどこかで見たことがある、と思ったのだがパンフによると「テキサス・チェーンソー」で食人一家の犠牲になった一人だった。結構特徴的な顔つきではあるが次の映画を見れば忘れるでしょう。個人的にはテリーの浮気相手(?)の女の子がレイチェル・ワイズっぽくて好み。
 
 と、散々に書いてはいるが好きか嫌いかでいったら好きな作品。なんというか低予算ならではのユルさがいとおしい。ただ、僕は続編は作って欲しくない。唐突な終わり方もパンフによれば最初に考えたプロットの前半部分だから、ということなのだが、続編で予算も潤沢になって例えば今回説明不足だったことが解明したり、きっちり完結しても逆につまらなそう。あのエンディングを今後も存分に楽しむには続編は無いほうがいいと思う。
 
 さて、この夏の地球侵略ものだと「トランスフォーマー ダークサイド・ムーン」と「世界侵略:ロサンゼルス決戦」。「スカイライン」がバイオ系だとすれば「LA決戦」は機械的なミリタリー路線か。超ロボット生命体が出てくる「トランスフォーマー」はその中間って感じか。しかし、最近のアメリカ人の考える宇宙人は触手が好きだね

*1:本来なら「世界侵略:ロサンゼルス決戦」が最初のはずだったが東日本大震災延期になった