「龍馬伝」は「弥太郎伝」だった!
先日無事NHK大河ドラマ「龍馬伝」最終回を迎えたわけですが、その最終回「龍の魂」が色々と突っ込みどころ満載(というか突っ込みどころのみで構成されてたかのよう)な出来だったので昨日はてなハイクの実況の方に僕が投稿したのを基にしながら最終回、ひいては「龍馬伝」そのものを振り返ってみたい。
前回の「天地人」に比べると重厚さや映像のリアルさでは段違い。全体的には非常に面白かった。福山雅治の飄々とした演技は坂本龍馬に合ってたと思うし、何より岩崎弥太郎演じる香川照之がすばらしかった。
ただ、当然のことながら人物描写は一方の価値観に偏ってるし、実は幕末は現在にもつながる政治的志向が見て取れるので僕が個人的に嫌だなあ、と思ったものも少なくない。何度か書いているが武市半平太は僕にはとても肯定的には捉えることは出来ないし、他には久坂玄瑞や池田屋事件で死んだ攘夷派の連中も肯定してはいけないと思う。まあ、その辺は幕末物の難しいところですね。
以前「龍馬伝」について書いた記事
で、寺田屋遭難のシーンについて
もちろんここで重要なのは「お龍が裸」ということで是非ともドラマでは真木よう子に頑張ってもらいたい。もちろん全裸といっても画面のこちら側では見ることはできないだろうがせめて劇中ではきちんと全裸なんだということで。できれば尻のや胸の谷間を見せてくれればもう言うことはないです。
と書いたのだが、残念ながらそれは果たせず。ただ、濡れた薄い和服で胸を揺らしながら走る、という別の意味で素晴らしいシーンを見せてくれたので不問としよう。
なんかこの回、第4部以降龍馬が妙に達観してしまい、超人的になってしまってあんまり感情移入できなくなってしまったが代わりに後藤象二郎と岩崎弥太郎が暑苦しさ全開で頑張ってくれた感じだ。
では最終回。
オープニングは岡田以蔵や武市半平太と夢の中で出会うシーンから。既に死亡フラグを立てまくっている。他に望月亀弥太や近藤長次郎もいるがあれ?平井収二郎は?今回なぜかお笑い芸人がたくさんゲスト出演してるが宮迫博之は?完全に忘れられた?龍馬の記憶の中ではいらない人なの?
目覚めるとそこには子猫が!この子猫が今回一番の見所。可愛い。
そして、越前藩主松平春嶽公と会うシーンで異変が!龍馬が春嶽に上座に座れてと言われて、龍馬が座るシーンで「和歌山県知事選 現職の仁坂吉伸氏 当選確実」のテロップが!
↑ちょうど龍馬の顔にテロップかかってやがんの。ちなみにTV画面を直接撮ったのでフラッシュの光点が画面に写ってます。以下も同様。
このシーンは「一旦権力の座につくと人はしがみついて離れないもの。でも龍馬は違うよ」というシーンなのに。これはいろは丸事件で龍馬に賠償金払わされた紀伊藩の嫌がらせテロに違いない。まあ、実際あの事件は龍馬による保険金詐欺みたいな一面もあるし、紀伊藩は龍馬暗殺の黒幕の候補の一つであるけどね。ドラマの中では御三家に対抗する弱小海援隊凄い、みたいな描写だったけど。
でその後、龍馬と弥太郎のボーイズ・ラブ的な描写があって、その後薩摩藩邸で中岡慎太郎がまさかの「新政府重職に徳川慶喜を就ける気なら俺が龍馬を斬る!」宣言。
そして中岡と新撰組の立ち回り。一通りちゃんばらした後でなぜか見逃してしまう近藤勇。他の隊士がいないときならともかくずらっと引き連れてる時に見逃しちゃダメでしょう、近藤さん!そしてそれをじっと見守る京都見廻組。
で、その龍馬の隠れ家を探るべく弥太郎と接する見廻組。
次々と黒幕候補を挙げていく弥太郎。ちなみにここで今井信郎を演じている市川亀治郎と香川照之は従兄弟同士。
龍馬が新政府人事案*1を肴にここまで死んで行ったものたちと酒を飲みながら語り合う。龍馬の死はあくまで突発的な事故(病気とかではない)なのにまるで死ぬのが分かっているような描写である。この辺の死亡フラグ立てまくりなところは色々突っ込まれてたなあ。そしてここでも平井収二郎は忘れられている!龍馬酷い・・・
中岡が龍馬の元にやってくる。しっかり見廻組に後を尾行されて!
中岡は最初龍馬が徳川一門を新政府に起用することを反対するが、のらりくらりと龍馬に騙される感じ。そして最後は納得したというより「こいつ、何言ってもダメだ、こりゃ」という感じで飽きられる。
そして暗殺シーン。なんと今度は「愛媛県知事選 新人の中村時広氏 当選確実」のテロップが!なんだコリャ?龍馬暗殺シーンで聞かれたという「こなくそ!」という伊予松山方言の正体はこいつだったのか?タイミングよすぎるぞ(最悪という意味で)。てかさ、天変地異が起きたとかまた、朝鮮半島で戦争が起きたとかじゃなければ別に急ぐ必要のないニュースでしょ。1万歩譲って同日行われた沖縄県知事選ならまだともかく。しかも和歌山と愛媛って狙ってただろこれ。
そして、史実だとあっさり死んでいるぽいのだが、その後もうだうだ喋って、まだかまだかと煽ってやっと死亡。見廻組も確認しろよな。
現在、龍馬暗殺の実行犯は見廻組ということでほぼ確定している。問題はそれを手引きした黒幕は誰かということでこのドラマの中での解釈を期待したのだがしかし、ドラマの中では黒幕が分からず、完全にすべて見廻組の単独ということになっている。余談だが幕末は剣豪が活躍した時代でもあるが個人的に最強は集団なら新撰組、個人なら見廻組の佐々木只三郎だと思う。
土佐にいるお龍さんの下に龍馬の亡霊が現れ乙女姉やんが迎えに来て終了。ちなみにお龍さんと乙女姉やんは史実では仲が悪かったらしい。
そして、最初の明治になっての岩崎弥太郎のインタビューシーンにエンドクレジットがかぶる。最後までツンデレぶりを発揮しながら弥太郎も死亡。
えっ?・・・何これ?
どう見ても怪死じゃん。悶絶してるよ。ショッキングシーンでラストを締めるなよ。ホラーだよこれは。一応この時点ではまだ死んでおらず、次に顔のアップになって口元がヒクヒクしてるのだが、これは怖い。最初に見たときはどう見ても死んでるようにしか、それも毒殺か何かされたかのようにしか見えません。
ラストには船に乗る龍馬の後姿を映すがどう見ても弥太郎の死に姿しか記憶に残りません。最初のころ、弥太郎の貧乏描写に三菱からクレームが来たらしいけど、むしろこっちの方が三菱的に悪印象じゃないかなあ。後半「死の商人」宣言とかしてたし。
あれ、最後だというのに後藤象二郎とか山内容堂とか勝海舟とか出てこないね。なんで?
というわけで最終回に限って言えば突っ込みどころが満載だったのだが、なんだかんだ言って一年間ずっと見てたので面白かったのは間違いない。
例えば、高杉晋作=過激派、桂小五郎=穏健派、というのが一般的な感覚だと思うけどこのドラマでは逆のイメージ、桂こそが倒幕のためになりふり構わない過激派になっている。実際そうだったのでないかとも思う。桂役の谷原章介は前半と後半で人が変わったような桂を見事に演じてたと思う。
ただ、結局岩崎弥太郎がすべて持っていった感があるなあ。
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そして来週は「坂の上の雲」第2部。今年のはじめの頃は病弱な正岡子規が突然豪快な岩崎弥太郎になって戸惑ったものだが、今度は逆に正岡子規に弥太郎のイメージを被せてしまうなあ。