The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ひょんなことから戸籍を見たら私は養子だった!ガーン!←こういう展開もうやめないか?

 NHKの朝の連続ドラマ小説は「ゲゲゲの女房」が面白くて、時間帯的に見れないことも多いのでビデオに撮って毎日見ている。このシリーズ実家で暮らしてた時は親と一緒に見ていたが(というか半強制的に見せられてる感じ)さすがに一人暮らしになってからは見てなかった。
 このシリーズってたまに例外はあるけど大体半年ごとに東京と大阪のNHKが交代で製作してる。で、東京の方は
地方出身の主人公が東京で頑張る話
というプロットが多いのに対して大阪製作の話は
地元(主に関西)で頑張る話
が多い。僕みたいな地方出身者はどうしても東京製作の方が感情移入しやすい。大阪製作は視聴対象を関西周辺在住の人に限定してるような気がする。ましてや昔のドラマなんかは平気で「標準語を使う冷たい悪人」とか出してたからなあ。
 で、次回作の「てっぱん」も大阪製作。ストーリーは、

広島県の東部、瀬戸内海に面した歴史の町・尾道で生まれた村上あかりは、造船所の下請け鉄工所を営む父とおおらかな母、二人の兄に囲まれ天真らんまんに育ちました。高校の吹奏楽部でトランペットを担当するあかりは、弱小野球部の試合で演奏を忘れて歓声をあげるような熱血応援少女。思いこんだら一直線、周囲から“ガンボ”とあきれられる男まさりの性格です。
ところがある日、祖母・初音が尾道を訪ねてきたことで、あかりは自分が村上家の養子だったという事実を知り、一方の初音も自分の娘、つまりあかりの生みの母親が既にこの世にいない事を知ります。
実母の形見のトランペットをめぐって初音と衝突を繰り返すうち、あかりは祖母の存在を「乗り越えねばならない人生最大の壁」と考えるようになります。そして初音の暮らす町で自分を試そうと大阪の食品会社に就職。あかりは初音が営む小さな下宿屋に転がり込むのです。(後略)
公式サイトより

 僕が「またか!」と思ったのこの部分。

ところがある日、祖母・初音が尾道を訪ねてきたことで、あかりは自分が村上家の養子だったという事実を知り、一方の初音も自分の娘、つまりあかりの生みの母親が既にこの世にいない事を知ります。

 日本のドラマではよくある展開。高校生ぐらいになった主人公が何らかのきっかけで自分は養子で両親の実の子供ではない事を知る。こういう展開はいい加減、もうやめませんか?
 「てっぱん」に関してはこの設定はあくまで導入部に過ぎないようだし、まだ予告特番見ただけなのでどういう感じなのか分からないけど、ドラマでこの展開見るたびなんかムカムカするんだよね。
 例えばアメリカでの養子の扱いを見るとその差に愕然とする。もちろん日本でもアメリカでも実際の養子がどういう感じに扱われてるのかは僕には分からないのであくまでドラマの中だけど。
 例えば「HEROES/ヒーローズ」。主要キャラの一人であるクレア(不死身の肉体を持つ少女)は養子であることを認識しているし、両親(この場合は育ての親)も隠したりはしていない。家庭内には両親の実の息子である息子もいるがそのことで家庭が不和になったりする描写はない(もちろん別の要素でこの家庭には様々な障害が襲いかかかる)。ストーリー上はクレアの実の両親も関わってくるものの少なくとも養子であることが家族不和の原因である描写はない。
 あるいは「スーパーマン」の高校時代を描いた「スモールヴィル(邦題「ヤング・スーパーマン」)。ジョナサン&マーサ・ケント夫妻に拾われた最後のクリプトン人であるカル・エルはクラークと名を付けられて二人の子供として育てられる。原作の方ははっきりしないのだが、このドラマの中ではクラークは自分が養子であることを認識している。自分が超能力者であることに悩んだりしてルーツを求めたりするが養子であること自体に不満を持ったりする描写はない。
 そして、「スパイダーマン」。主人公ピーター・パーカーは幼い頃、両親を亡くし伯父夫婦に育てられている。この伯父夫婦はあくまで伯父であり養子にとっているわけではないがその家庭は円満そのものだ。互いにいつくしみあいピーターも伯父夫婦を愛している。最初の段階でなんでスタン・リーがこんな設定にしたのかは謎*1だが少なくともピーターが孤児であるということに対して引け目やそのことで伯父夫婦に不満を感じてる様子はない。映画版ではさらに隣のMJ・ワトソンやオズボーン家の不和の様子を描いていることでいっそうパーカー家の円満な様子が際立つ。
 もちろん、養子であることに悩む、という描写もないわけではない。「ビバリーヒルズ高校白書」シリーズでは度々そのような描写が登場する。とはいえ日本の諸ドラマほどではないだろう。
 日本のドラマで嫌なのはこの設定が時に近親相姦を肯定するために使われたりする事もあるからなんだよね。愛し合う兄妹が実は本当の兄妹ではなかった!めでたしめでたし、みたいな。
 
 そろそろ、日本でも小さい頃から養子であることを認識しているドラマが現れてもいいのではないか?実の子供でなければ愛情を注げないなんて嘘っぱちだしどうせいずれはばれるという展開ならそれこそが児童虐待みたいなものだ。僕はもうそんなドラマは見たくない。
 もちろんこれは全てドラマの作劇上の問題であって実際の養子家庭でどういう風になってるかは分からない(日米ともに)。でも下手に隠すよりはきちんと小さいうちから打ち明けて、その上で愛情を注ぐ方がより建設的だと思うのだ*2

*1:最初は読みきりとして始まっており物語上、別に実の両親でも問題ない設定ではある

*2:今回、日本の江戸時代とかの養子縁組の風習についても書こうと思ったのだがあんまり関係ないのでドラマに絞りました