The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ギリシア怪獣総進撃! タイタンの戦い

 ギリシア神話で一番の英雄といえばご存知ヘラクレスだが、具体的にどんな奴だったっけ、と考えたら個々のエピソードは思いつくが時系列的に曖昧だったり。後は時折ヘラの電波を受けて周りを大虐殺したりするんだよな。で、漢(おとこと呼んでください)の中の漢「300」のスパルタ王レオニダスの先祖がヘラクレス。まあ、我が国のやんごとなき方達も神話の神様が先祖だったりするのでよろしいのではないでしょうか。後は「グラディエイター」で有名なボンクラ皇帝コンモドゥスヘラクレスのコスプレした彫像残してたり(馬鹿だったのは間違いないようだコンモドゥスは残された彫像見ただけでボンクラぶりがうかがい知れる稀有な皇帝)するぐらいか。
 その他女に酷いテセウス(対ミノタウロス)とかが思いつくが彼らに比べると比較的まともで話も良く知られてるのが今回の主役、ペルセウスの話と思われる。
 「タイタンの戦い」を鑑賞。

 例えばグラフィック・ノベル(まあ劇画のことだね)が原作の「300」は史実だけどトロイ戦争を描いた「トロイ」は神話だ*1。「トロイ」を観て一番不満だったのはそこに神々の存在を感じ取れなかったことだ。トロイ戦争の発端(女神のミスコン)からこの話には神々が密接に関わっているのだがその辺をばっさり排除していたのがつまらなかった。木馬を街の中に入れるのを批判したラオコーンがアテナの怒りを買って蛇に殺されるシーンとかね。
 その点、今回の「タイタンの戦い」は神々や怪物たちがふんだんに出てくるので嬉しい。話自体はギリシア神話に忠実なわけではない。確かメデューサを倒す話とアンドロメダを救う話は直接的につながりはなくメデューサを倒して帰る途中にたまたま出くわした、という感じだったと思う。
 大体クラーケンはギリシアじゃなくて北欧神話の化け物じゃなかったか?ギリシア神話じゃ化け鯨だろ。くじら座って星座になってるし。まさかあれか、昨今の捕鯨事情をかんがみて変更したのか?
 

レイ・ハリーハウゼン

 答え合わせ。実は本作は1981年の「タイタンの戦い」のリメイクでした。だから化け鯨がクラーケンになってるのもオリジナルでそうなってるからなのである。オリジナルはストップ・モーションアニメの大家、レイ・ハリーハウゼンの最後の作品。

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 実はオリジナルの映画は観ていないのでなんともいえないのだが途中で一瞬出てくるブリキのフクロウはオリジナルに出てきたキャラクターだそうだ。

 
 この新作は話自体は本当、RPGのようで、ペルセウスが都合のいい「神の子パワー*2」でレベル上げの必要がないけれどいわゆるクエスト方式で途中でアイテムを手に入れたりしながら突き進んでいく。
 

怪獣紹介

 ハーピー
 初っ端でゼウスの像を倒して調子に乗るアルゴス兵士達を蹴散らす鳥人間。合体してハデスになる。そもそも神々に宣戦布告するためにゼウス像(一般にポセイドン像として知られてるヤツ)を倒すのだが八幡和郎(馬鹿)なら
「ゼウス像を残していれば将来観光客を呼ぶためのモニュメントになっただろうに」
とほざくところだ。
 
 カリボス
 ジャギ様。ゼウスに寝取られた妻とその子供(ペルセウス)を海に投げ捨てた怪力君。某国の王様だったが発狂。ハデスのパワーで化け物化した。
 
 スコーピオンズ
 巨大蠍。妙に表情がある。ハデスの血で化け物化したはずだが、砂漠の民には家畜化されている。家畜化されたときの動きは鈍い。
 
 ペガサス
 神話ではペルセウスが切り落としたメデューサの首から誕生するが、映画ではゼウスからのプレゼント。白いその他と黒い黒王号がいる。
 
 グライアイ
 一つの目を3人で共有する3姉妹の老婆。たしかゲーテの「ファウスト」にも出てきた。眼を奪われペルセウスの脅迫に屈した。
 
 メデューサ
 ギリシア神話でもミノタウロスと並んで有名な怪物。ギリシア神話は神より美しいのがあだになって酷い目にあう女性が多いがメデューサもそんな1人。大蛇な下半身はインド神話のナーガを思わせる。弓を使う。目と目が合ったらご愁傷様。メロメロの実の能力者。
 
 クラーケン
 オマエは北欧神話の登場人物だろ!何で地中海にいるんだよ!という突っ込みもものともしない巨大怪獣。ハデスが創造しゼウスの命によって暴れる。しかしあんなに巨大なのだからアンドロメダ1人食ったところで食欲は満たされないと思う。「パイレーツ・オブ・カリビアン」ではカリブ海にも出没してた。
 

人間様

 ペルセウス
 ゼウスと人間の女の間に生まれた半神半人の英雄。元は鳥羽一郎並の海の男だが主人公パワー&神の子パワーで剣術もあっという間にマスター。演じるサム・ワージントンは「ターミネーター」「アバター」に引き続き「半分人間」を演じる。長髪が流行の世の中でクールカットを貫くアンドロメダを捨てイオに走った独特な価値観を持つ男。
 
 イオ
 神の怒りを受け永遠の命を持つようになったおそらく元ニンフ。死ねないため愛する人の死を多く見てきた女性。ペルセウスの守護神。正直顔は微妙だが、砂漠でアクションをするさまは色っぽい。誰もがビックリしたまさかのヒロイン。後に生まれ変わってボンドに抱かれる。
 
 カシオペア
 最も見つけやすい星座になった人。Wの悲劇。アルゴス王妃(神話ではエチオペアだったと思う)。娘を自慢したら神の怒りを買って(ギリシア神話はこのパターンが多い)あっという間におばあちゃんになってしまった(生死不明)。後に生まれ変わって極東の島国で電車になる。
 
 アンドロメダ
 日本では「兄さ〜ん」で有名なヒロイン。母親と違って自分をよく知っている。神々に勝る美しさと呼ばれてるけど正直いつも後ろに控えてる侍女のほうが美人だと思う。後に生まれ変わってアメリカはメイン州でスーパーのレジ打ちになるが、異次元昆虫に刺されて膨れて死んだ。ヒロインと思いきや違った。
 
 アルゴスの戦士
 主要戦士が序盤でバンバン死んだので後方任務メインの人たちで構成される若葉軍団。結構持ったがメデューサの前にほぼ全滅。南無。
 

神様

 ゼウス
 おそらく世界で一番有名な浮気人で恐妻家。その女好きは最早説明無用。基本は動物に化けて近づき、相手が心を赦したところで本性を見せるのが手口。とはいえ作ってしまった子供は基本大事にする太っ腹。今回も馬をあげたり、剣をあげたりいたせりつくせり。っていうかこの人は人間を滅ぼしたいのか助けたいのかどっちなんだ。愛の人らしいです。別の宇宙ではジェダイになった。
 演じるは師匠役者のリーアム・ニーソン。威厳のあるゼウスを演じてる。
 
 ハデス


「兄より優れた弟などいねえ!」

 冥界の王。ゼウスやポセイドンの兄貴なのにくじで負けて一番損な役回りを受け持つことに。オリンポス山に住んでないので12神にも入れてもらえない(入れる場合もある)。神々と人間の確執を煽ってゼウスの地位を狙っている。
 本来は別に悪神ではないのだがギリシア神話モチーフの物語では悪役になることが多い。
 後に生まれ変わってナチス収容所所長になったり悪の魔法使いになったりした。
 
 リーアム・ニーソンレイフ・ファインズは「シンドラーのリスト」で共演してたコンビ。
 
 そのほか、一応聖衣をまとった*3オリンポス12神が登場するがポセイドンとアポロン以外台詞らしい台詞はなし。ただ、一瞬だが「スタートレック ディープ・スペース・ナイン」のジュリアン・ベシア役、アレクサンダー・シディグが神様の役で出てる!エンドクレジットで確認したところヘルメス。ヘルメスはそのスマート振りから現在なら人気ナンバー1神様だろうな。シディグはアラブ系イギリス人*4で「ドゥームズ・デイ」ではイギリス首相だったが今回は遂に神にまで上り詰めたぜ!

日を分けて書いたら前半と後半でテンションが変わっちゃった・・

*1:トロイ戦争自体は史実としてあったらしいがアキレスとかオデュッセウスとかは神話

*2:ペルセウスはゼウスと人間の子

*3:明らかに「聖闘士星矢」の影響受けていると思う

*4:父親スーダン人、父方の叔父に元スーダン首相がいる。母親はイギリス人で母方の叔父にマルコム・マクダウェルがいる