The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

偉大なるヒース! Dr.パルナサスの鏡

 「パブリック・エネミーズ」に引き続きジョニー・デップが「ダークナイト」キャストと競演するテリー・ギリアム監督作品「Dr.パルナサスの鏡」を鑑賞。

 
 ヒース・レジャーは2008年の1月22日に死去しているが何を持って遺作とするかは色々と意見もある。撮影が全て終了していたのは「ダークナイト」だがポストプロダクション中に死去している。ヒースが実際に見れた完成部分は冒頭のジョーカーの銀行強盗シーンだけだという。
 本作「Dr.パルナサスの鏡」はヒースが途中まで撮影を終えたところで急逝してしまう。だからずっと「ダークナイト」がヒースの遺作とされてきた。そのおかげ*1といっては何だが「ダークナイト」は大ヒットし、またその演技が死の原因とまでいわれてしまう。例えばいまだにドラッグのオーバードーズが原因で死んだとか、ジョーカー役にのめり込むあまり神経をすり減らしたのが原因とか信じてる人もいるのではないかと思うがそれは真っ赤な嘘*2。「ダークナイト」の撮影終了からは大分経っており飲んだ薬も合法的な風邪薬や睡眠薬でいわゆる麻薬などによるものではない。日本だと事件が起きたときのセンセーショナルな記事は流してもその後のフォローはしないことが多いので一応。
 で、亡くなったヒースの代わりに代役を立てて完成したのが本作。だから本作こそヒースの遺作というわけだ。
 テリー・ギリアムといえば製作中のトラブルで過去にも「バロン」や「未来世紀ブラジル」で大変なことになっている。ジョニー・デップとも「ドンキホーテを殺した男(仮)」が製作中止になるなどトラブルは後を絶たない*3
 ここ最近でも「ブラザーズ・グリム」と「ローズ・イン・タイドランド」が両方ともこけ、大変だったはずである。それでもまた新作を作らせてもらえるのは凄いが。ジョー・ダンテなんて・・・(涙)
 以下ストーリー、

物語

 悪魔ニック(トム・ウェイツ)との賭けに勝ち(実は悪魔の罠)、不死の命を手に入れたDr.パルナサス(クリストファー・プラマー)は老いと苦しみの中生きていたが一人の女性に恋をし、死と若さを手に入れるためニックと契約を結ぶ。娘ヴァレンティナ(リリー・コール)が16歳になったらニックに差し出すことを条件として・・・
 忠実なる小人パーシー(ヴァーン・トロイヤー)と娘に恋する青年アントン(アンドリュー・ガーフィールド)とともに客の欲望をかなえる世界を見せる見世物をしながら旅をしている。
 ヴァルの16歳の誕生日が近づいたある日、首を吊っていた青年トニー(ヒース・レジャー)を救出して仲間に入れる。トニーには秘密があって・・・

 Dr.パルナサスには彼が瞑想することで人の欲望を具現化して見せる力とその具現化して見せた世界への入り口となる鏡(普段はペラペラの紙みたいなもの)がある。本来は一回に付き一人で入るものできちんとルールを守れば危険なことはない。ヒースはその鏡の外の出来事の部分を全て撮影した段階で死亡した。ジョニー・デップジュード・ロウコリン・ファレルの3人は、鏡の中のトニーを演じる。客と一緒に鏡の中に入った時、客の理想とするトニーがデップ。ロシアン・マフィアに追われた時、トニー自身が他人に化けるための姿がロウ、ヴァルと一緒に入った時のヴァルの理想がファレル、という具合だ。それぞれヒースの演技を基にしつつアレンジを加えている
 鏡の世界は「モンティ・パイソン」時代のギリアムのアニメを実写化したような感じ。ギリアムとは別だが、スカートはいた警官が歌を歌うシーンとかまんまモンティ・パイソン軍服にスカートのグレアム・チャップマンとか女装癖の木こり(になりたい床屋)マイケル・ペリンとかを思い出した。
 ヒロインのリリー・コールクリスティーナ・リッチデヴォン・青木をたして2で割ったようなルックス。なんかどこかで見た記憶があるんだけどパンフのフィルモグラフィーには覚えがないのでCMかなんかに出てたのかも。
 ミニ・ミーことヴァーン・トロイヤーが出てて小人をねたにした台詞が多いのは楽しい。
 
 多分、ギリアムのヴィジョンを映像化するのに昔ほど予算はかからなくなってると思う。CGやら何やらで昔より容易にはなってると思うのだ。だから、今回予想外のことでお蔵入りになるところだったが無事完成して良かった。
 とりあえず、本作を持ってヒースの出演作品は最後となる。一応ヒースが「Dr.〜」の後に出演するはずだった企画「ツリー・オブ・ライフ」はブラッド・ピットで進行中らしいが。だから「恋のからさわぎ」から見てきたヒースの雄姿はこれで最後だ。
 
ヒースは写ってないけどこっちのポスターも捨てがたいので載せる。 

 1月はちょうどヒースの2周忌。だからこの文(および過去に「ダークナイト」について書いた文)をヒース・レジャーに捧ぐ。

ヒース・レジャーHeath ledger
1979〜2008
R・I・P

*1:もちろん作品自身の力もある

*2:もちろんゼロとは言わないが

*3:この企画も再び動き出したようだ