死よ、我とともに歩け　ウォーキング・デッド

　先日は横浜はキャプテン翼CAFEというところでバーベキューに参加して来たのだった。今回は「アベックパンチ」の古澤監督、THE KAWASAKI CHAINSAW MASSACREのdoyさんとその娘さんで今や人気ブログ、小学生映画日記のマーリーちゃんが文フリでご挨拶はしたことがあるものこういう形では初対面。肉をつつきながら、濃ゆい映画談義に花が咲いたのだった。特に古澤監督には作り手ならでは話が非常に興味深かった。普段はあーだこーだ言っているけどやはりそれは無責任な一観客としてだからなあ。こういう話が聞けるのは貴重です。まあ、普段めったに出来ないトビー・フーパーとかティム･バートンの話が出来るだけでも幸せなのです。
　詳しくはこちらで、

ビアガーデンでバーベキューだったメモリの藻屑　、記憶領域のゴミ

　で、今回はそこでdoyさんに借りた海外ドラマ「ウォーキング・デッド The Walking Dead」の感想である。

　ゴールデン･ウィークぐらいに僕が「glee」にはまって色々とtwitterでつぶやいていた頃、TLを賑わせていたのがこの「ウォーキング・デッド」であった。ＴＶドラマで描くゾンビ物、ということで面白そうではあったのだがその時点ではレンタルはなくCS放送だけだったので見ることはできなかった。doyさん、ありがとうございます！

物語

　アトランタ郊外の田舎町で保安官を務めるリックは勤務中、銃弾を受け入院して昏睡状態に。目覚めるとそこは「ウォーカー」と呼ばれる生きた死体が歩き回る文明が崩壊した世界に変わっていた。妻と子供は行方不明になっており、避難地になっていると思われるアトランタを目指す。しかし、既にアトランタもウォーカーで溢れていた。リックは少数の生存者と出会い、彼らのキャンプへ向かう。そこには妻と息子が待っていた・・・

　今回見たのは第1シーズン全6話、とのことなのでシーズン自体でパイロット版といっていいのか、あるいはミニシリーズという感じなのではないかとおもう。
　最初、（ゾンビとはいえ）少女の脳天を銃で撃ち抜く、という衝撃のシチュエーションで幕を開ける。この描写はTVは勿論映画でも本来なら相当難しいと思うので、アメリカでもネットワーク系（いわゆる地上派）ではなくてケーブルTVでの放送ならではなのだろう。そのほかゾンビ・ウォーカーのメイクがTVシリーズとは思えないぐらい気合が入っている。それも一律一緒ではなく、ゾンビによって腐敗度合い等できちんと分けてあるのだ。
　監督、製作総指揮は「ミスト」のフランク･ダラボンでキャストのうち幾人かは「ミスト」からそのまま引き継いでいる。特に、アンドレアを演じるローリー･ホールデンは「ミスト」で演じた教師役とかなりイメージが被る。個人的に彼女は「サイレントヒル」の女性警官役が印象深いけど。
　そう、ダラボンが監督をしているということで極限状態における人間ドラマも濃密だ。まだ平和だった頃、リックが同僚のシェーンに妻と上手くいっていないことをぼやいたりするのだが、そのシェーンはリックの家族がいる生存者キャンプのリーダーとなっていて（リックが死んだと思っている）妻のローリと男女の関係になっていたりする。当然そこにリックが戻ってくるので微妙な空気になる。他にもこういう事態ということで家事一切を女性陣にまかせて男共は何もしないので女性陣に不満が溜まるのだが、中に南部的（といっていいのか分からないが）DV夫がいたり（またこいつの奥さんが酷い目に逢っているのに典型的な耐える妻なのだ）、レッドネック的な兄弟がいたりする。はっきりいってDV夫がゾンビに襲われるシーンは「ざまあみろ！」である。
　レッドネック兄弟の兄貴メルルは特に厄ネタでこんな魔女っ子みたいな名前だが演じているのが「スリザー」「スーパー！」のマイケル・ルーカー。最近この人よく見ますね。リックはこいつをアトランタのビル屋上に手錠で身動き取れないようにしてしまい、いざ脱出の際に仲間の不手際から置き去りにしてしまい、改めて助けに行くも既にメルルはどこかへ消えてしまっていた・・・この所在はこの1stシーズンの中では判明されないため2ndシーズンが待ち遠しい。　
　襲われた人間がゾンビになるプロセスは描かれるがそもそもの原因、他の世界はどうなっているかなどは明かされず、次へ持ち越し。
　ゾンビは普段はゆっくり動き、どうやら匂いと音で獲物を判断するらしく、人間を認識しない限りは襲いかかってこない。しかしいざ襲いかかかるというときにはすばやい動きになる（少し走っている描写もあった）。これほど恐ろしいものもあるまい。後他にあまり見慣れない描写としてこのドラマのゾンビは人間以外の動物も襲うんだよね。劇中では馬や鹿（バカ？）が襲われます。安心して狩猟も出来ないよ！
　また、完全に脳みそを破壊しない限り動き続け、それは体が千切れたり、頭だけになっても変わらない。第一話で登場する上半身だけのゾンビが恐ろしいながらも少し滑稽で哀れで、そしていとおしくなるような存在だ。
　これはアニマトロニクスかなんかかなあ。動きも哀愁を漂わせて可愛い。