敵は大量、味方は少し アイアンマン2
ハリウッドでは真剣な脚本不足、リメイクとコミックの実写化ばかりだ、などと(批判的な文脈で)言われて久しいが、やっぱりアメコミを実写化されると単純に嬉しいぜ!当たり外れは激しいけどな!というわけで今年公開のアメコミ映画の中では一番楽しみな「アイアンマン2」を鑑賞。
その前に前作の紹介
流れとしては「アイアンマン」→「インクレディブル・ハルク」→「アイアンマン2」と続くマーベルスタジオの映画版マーベルユニバース。前回は兵器会社の天才社長トニー・スタークが仕事仲間に担がれアフガンで誘拐されるも洞窟でトンテンカンテン、パワードスーツを作って脱出、正義に目覚めアイアンマンとしてデビュー。黙ってろといわれたのに、その場のノリで正体公表しちゃった、という話。その後ハルク捕獲に失敗したサンダーボルト・ロス将軍が酒場で飲んだくれてるところに登場して
「やっぱ生物より鉄だよ!」
と言ったりしてた。
DVDやブルーレイで前作を鑑賞してもよいがこんなのも出てる。
- 作者: ピーター・デヴィット、ほか(作),シーン・チェン、ほか(画),光岡三ツ子,石川裕人
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: コミック
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では本題。
前作ではロバート・ダウニーJRという才能がありながら麻薬などでそのキャリアを潰しかけた俳優が自分に似たキャラクターを演じている、ということで話題になった作品だった。とはいえ原作におけるトニー・スタークアル中エピソードは映画ではないんだけど。今回はそれに敵役としてやはりその才能を評価されながらスキャンダルなどでキャリアを潰しかけたが自分の人生とダブらせた役柄*1で復活したミッキー・ロークが加わり、似た者同士である二人の激突が見所だ。
それじゃ、ネタばれアリでいくぜ!
登場人物紹介
ヒーローたち
「私がアイアンマンだ!」
アイアンマン
本名トニー・スターク。前作で兵器産業から足を洗いアイアンマンとしての正体を明かしてから半年。胸のアーク・リアクターの動力源パラジウムの中毒で徐々に命を細らせる日々。パラジウムに代わる新元素を探索中。だけどスリルと目立ちたがりな日々は止められないぜ!フューリーのアベンジャーズ構想には興味津々だが当面は単独の方が気楽でいいや。
ロバート・ダウニーJR再び。役柄は完全に物にしてます。とはいえ本当の敵、「ボトルの中の悪魔」つまりアルコールと戦うシーンはまだ無い(少し酔っ払うシーンはある)。
彼絡みの会話はいちいちウィットに富んでいて楽しい。
登場するスーツは主に3種類。全般にわたって活躍するのは前作最後のマーク3を改良したマーク4。
モナコでウィップラッシュと戦う時に装備したスーツケース型の携帯用がマーク5.前面に銀が背骨のように走っているのが特徴。モナコでの一戦のみでオシャカ。
最後が父親の遺産を元に発見した新物質をリアクターに組み込んだ三角に胸が光るマーク6がラストバトルに登場。
ペッパー・ポッツ
スタークの秘書、なんだけど会社を押し付けられてもう大変。身長は社長と一緒。
演じるは前作に引き続きグウィネス・パルトロウ。今回はスタークと衝突する一面も。いわゆるヒロインで、今回は後述のスカーレット・ヨハンソンとヒロインの座を二分するが両者はまったくタイプが違うので大丈夫(性格的にも外見的にも)。僕は彼女の方がいいです。
ウォーマシーン
本名ジェームズ・ローズ。通称ローディ。アメリカ空軍中佐。スタークと軍のパイプ役。今回トニーのダメッぷりのあまりマーク2のスーツを強奪ハマー社に改造させウォーマシーンとして装着。
役者が前作のテレンス・ハワードからドン・チードルに変更されている。脚本的なこともあるがそのせいか前作のどこか飄々としたローディに比べ今回は生真面目で神経質な印象。
マーク2を基にしたウォーマシーンのスーツは重火器が充実している。シルバーを基調としてごつく重厚なイメージ(とはいえアイアンモンガーやクリムゾンダイナモほどではない)。
ブラック・ウィドー
本名ナターシャ・ロマノワ(ロシア人は性別で姓が変わる)。東京でモデルの経験もある語学力多才な美女。ナタリー・ラッシュマンの名でスターク・インダストリーズの法務部に務めるがペッパーの後釜に抜擢される。正体はシールドのエージェント、ブラック・ウィドー。驚異的な身体能力で敵(といっても警備員)をばったばったとなぎ倒すぜ!
ブラック・ウィドーというと昔読んだ「X-MEN」では第二次大戦中にウルヴァリンとキャプテン・アメリカに助けられたザ・ハンド(忍者傭兵集団)に囚われた少女が後にブラック・ウィドーになる、という設定だったと記憶するが、今回の彼女と同一かどうか不明。前回紹介した「ニュー・アベンジャーズ」にも別のブラック・ウィドーがシールドのエージェントとして出てくるし、どうもたくさんいるらしい。
演じるはスカーレット・ヨハンソン。背が高くどちらかといえばスリムなグウィネス・パルトロウと対照的に背が低くむっちり体系。どっちがいいかは好みが綺麗に分かれそう。
ハッピー・ホーガン
トニー・スタークのボディーガード兼運転手。親友の一人。デアデビルの表の相棒とそっくり。
演じているのが監督のジョン・ファブローなのだがはっきりって前回のゲスト出演的なものに比べ出演シーンが大幅に増えてます。それも大概ブラック・ウィドウ絡み。さては監督権限使いやがったな!
コールソン
シールドの捜査官。前作にも出てきた人。後半特命を帯びてニューメキシコに飛ばされる。先述の外伝コミックスによると「シールド」と略称を考えたのはこの人。
ニック・フューリー
シールドの長官。アベンジャーズ構想のため動き回る日々。原作では主に白人なんだけど今回は「アルティメット」版の黒人バージョン。先代社長ハワードがシールドの創設に関わったと発言してるがその当時から長官だったのかどうかが興味深い。というのもフューリーはキャップと並ぶ第二次世界大戦の英雄でもあり、戦争中にアジアの魔女に不老の薬をもらって飲んでるはず。だからあれで結構なお年。この設定が映画版で生きてるかどうかは次の「キャプテン・アメリカ」で明らかになる!?
演じるはアジらせたら世界一、説教俳優サミュエル・L・ジャクソン叔父貴。ラストにほんの少しだけ出た前作と違ってもう少し多めに出演。とはいえ全体的な量ではハッピーに負けるのではないだろうか。マーベルユニバース映画版をつなぐパイプ役として他のシリーズにも出演予定。
ヴィランの方々
ジャスティン・ハマー
前作でスターク・インダストリーズが兵器産業から撤退したので軍と契約を結んだハマー社の社長。ルックス、自己顕示欲、技術者としての才能、全てにおいてトニー・スタークを矮小化したような人物。
サム・ロックウェルが飄々と演じている。たしかロックウェルは元々アイアンマン主役候補の一人だったはず。自身が「チャーリーズ・エンジェル」で演じた悪役が生きてたらこんな感じかな〜と思う。
「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」
ウィップラッシュ
本名イワン・ヴァンコ(英語発音でアイヴァン・ヴァンコと表記した方が韻を踏んでるし、凄みがあってかっこいいと思う)。父親が元スターク・インダストリーズの技術者でなんか逆恨みしてるらしい。リアクターを装備して電磁鞭を奮う。
後半はハマー社で兵器製作にいそしむ。アイアンマンの無人機量産型や自分用のスーツ*2を開発してたりする。正直前半の半裸に鞭の姿の方が格好いい。相棒はオウム。別にスーツや鞭に頼らなくても強い。
ミッキー・ロークが演じている。およそ技術者には見えないがロシア語も話して凄みは格別。
量産型のアイアンマンシリーズは陸軍用、海軍用、空軍用、海兵隊用、と主に4種類のヴァリエーションが登場。例によってコントロールを奪われ一般人を襲う。ジムに似てる。
おまけ
ジャービス&不器用アーム
今回も健在。ああ、可愛いよ不器用アーム。
アメコミ映画が面白くなるのは2作目からとはよく言われてるが(主人公のオリジンを描く必要がなくのっけから暴れられるから)前作の出来がスゲー良かったのでそれを越えられたかどうかは微妙。ウィップラッシュのキャラが複雑すぎたような気もする。アイアンマンスーツを巡る政府とのやり取りや量産型アイアンマンなんかは桜多吾作版の「グレートマジンガー」を思わせる。
あと個人的には前作、「インクレディブル・ハルク」と主人公をブローアップさせたような敵が続き、今回も前半はともかく、ラストは似たデザインの敵になってるのが少し不満。
後はそろそろ機械工学的な要素以外、例えばそろそろ魔術的な要素を少し出しても良かったような気が。敵役にマンダリンを出したりとかね。ユニバースが展開すればソーとか出てくるわけだし、ここらで何でもありの世界の免疫を観客に付けさせといた方が・・・
そういえば今回もエンド・クレジットの後におまけシーンがある。今回は前作の劇場公開時みたいに「クレジットの後に続きがあります」みたいな字幕は付かなかったので途中で退席したヤツは見損なったな。ざまあ。
そしてそのおまけとは、
ニューメキシコに飛んだコールソン捜査官が発見した物。それは落下してクレーターを作った一つの槌だった・・・
多分ほとんどの日本人には意味不明だけどこれはマーベルユニバース映画版にラインナップされている「ソー」の主人公ソー(北欧神話のトール)の使用する武器ムジョルニア(ミョルニルの槌)だ。というわけでまだまだ世界は広がるのであった。
一応今後の流れとして「ソー」「キャプテン・アメリカ」「アントマン」そしてヒーロー大集合の「アベンジャーズ」へとつながる。順調に行けば2012年の予定。それまでは死ねないな。