The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ロッキー・バルボア 死闘の軌跡


 テレビ東京午後のロードショー*1で「ロッキー」シリーズ一挙放送!というのをやってたので見てしまった。
 僕の中ではどちらかといえば「ロッキー」といえば「バルボア」よりも「ホラー」の方なんだけど、一応それなりに見ていて1作目と3、4は結構な回数、2と5は過去に一回だけは見ている。そして最終作の「ロッキー・ザ・ファイナル」は今回初めてという次第。それで軽くシリーズを振り返ってみた。

ロッキー

 売れないボクサー、イタリアの種馬ロッキー・バルボアがひょんなことから世界チャンピオン、アポロの対戦相手に選ばれて奮闘する。1975年の「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」に触発されてスタローンが3日で書き上げたという脚本でスタローン自身の主演にこだわったため製作は低予算。スタローンの顔がすべすべしてて美しい。どことなく子犬のような目も魅力。後々まで登場するレギュラー陣は既に登場済み。トレーナーのミッキーは1966年のTVシリーズ「バットマン」のペンギンでおなじみバージェス・メレディス。妻となるエイドリアンやその兄、ポーリーも登場。また世界チャンプであるアポロもとても魅力的なキャラだが、僕自身は長いこと「スターウォーズ」シリーズのランド・カルリシアンと区別が付かなかった。
 映画は低予算だが、ステディカムなども用いており、ロッキーがランニングするシーンでは撮影機材に気付かず、回りの一般人が本当にボクサーがロードワークしてるものと勘違いし、林檎を投げるシーンが有名。
 後はエイドリアン(タリア・シャイア)がかなりダサい。ポーリーが罵倒するのも分からないでもない。でも一度受け入れると一気に積極的になるのがかわいらしい。
 ここでのロッキーは勝つことより、最後まで倒れないことが目標。
 本作と「ジョーズ」、「スターウォーズ」がアメリカン・ニューシネマにとどめを刺して、80年代のハリウッドビッグバジェット映画への道筋を作ったか(とはいえこの3本自体はニューシネマの血を強くく受け継いでいると思う)。
 

ロッキー2

 アポロとの再戦。ロッキーはエイドリアンと結婚し、子供も誕生。アポロを倒し遂に世界チャンピオンとなる。
 スイマセン、これだけ見逃しました(録画に失敗)。過去にも一回しか見てないんで割愛。
 

ロッキー3

 世界チャンピオンとなり、一気に生活が豪華になるロッキーたち。とはいえロッキー自身はそんなに変わらないのだがエイドリアンの有閑マダムぶりが凄い。ペットショップで燻ってた頃が嘘のようだ。人気絶頂でロッキーはプロレスの王者サンダーリップス(ハルク・ホーガン!)と異種格闘技戦をやったりしているが実は弱い相手としかマッチメイクしていない事実が判明。真の強者クラバーに破れ、失意の底に。そして再び挑戦する。
 1作目の裏返しで、クラバーを主人公だとしてみると実は1作目と似た構図だったりする。クラバーを演じるのはミスター・T。ちなみにこの数年後ミスター・TとホーガンはWWEの「レッスルマニア」でも共演しておりますな。
 レギュラー陣からミッキーが退場(とはいえその後もジェダイのようにロッキーの支えとして登場したりする)。また、アポロが明確に親友という扱いになり、ラスト二人がスパーリングの止め絵で終わる部分は秀逸。

ロッキー4

 ソ連よりボクシングマシーンイワン・ドラゴ来襲!親友アポロをリングで殺されてしまったロッキーはソ連に乗り込んでドラゴと戦う!
 副題は「炎の友情」。シリーズの中でもTV放映率が高く、馴染みの一本ではあるのだが続けてみるとかなり異色であることが分かる。ドラゴを演じるのは不発の核弾頭ドルフ・ラングレン!そのマネージャーにレッド・ソニア、ブリジット・ニールセン(後、スライと結婚、後離婚)。子供の頃はウォーズマンとバラクーダの組み合わせを思わせたがどっちが先だ?
 家政婦ロボットとかまで登場し、ロッキーの豪勢生活ここに極まれり。アポロが退場。
 

ロッキー5

 ドラゴとの戦いを終え帰国したロッキーは医者からの勧告を受け引退を決意。しかもポーリーのミスで会計士の不正により破産。フィラデルフィアに戻ったロッキーはミッキーのジムを受け継ぎ自分と似た境遇のトミー・ガンのトレーナーとなる。トミーは勝ち続けるがいつまでもタイトルに挑戦させてもらえないこと、また自分が「ロッキーのクローン」などと呼ばれることに嫌気がさし、彼の元を去るのであった・・・
「最後のドラマ」という副題が付いていたがその後「ザ・ファイナル」が発表されたため現在ソフト等ではなくなっているようだ。
 ロッキー自身はこの映画の中では試合をしない。彼は師匠ミッキーを追いトレーナーとして生きる決意をする。また、息子との交流も見所。息子の役者は「ロッキー4」から変わっている。スライの息子セイジ・スタローンだ。
 これ見てるとトミーの気持ちも分からないではないんだよね。そりゃどんなに頑張ってもロッキーのコピー、クローンとしか見られなきゃ反抗するよね。演じたトミー・モリソンは現役の(!)プロボクサー。しかし劇中の女性の趣味は悪い。
 トミーのタイトルマッチをTVで見ているロッキーは裏切られたにも関わらずトミーを応援する。しかしトミーは勝利をロッキーではなく悪徳プロモーターに捧げるのだった。
 ラストは直接ロッキーを倒さなければ埒が明かないと思ったトミーとそれを拒んだロッキーによるストリートファイト。今見ると普通に面白かった。「ロッキー1」で名シーンの一つであるフィラデルフィア美術館の階段を上った先にはロッキーの銅像が。本来ならこれで完結のはずだったが・・・
 

ロッキー・ザ・ファイナル

 ロッキーの活躍も今は昔。愛妻エイドリアンを亡くし妻の名前を付けたイタリア料理店エイドリアンズを経営している。現在のチャンプは秒殺が売りのメイソン・ディクソン。彼は秒殺の連続によって観客から嫌われていて、またフルラウンド戦ったことがないためその実力も疑問視されていた。
 あるとき、TVで全盛期のロッキーと現チャンプが戦ったらどちらが勝つか、というシミレーションが放送され話題になる。また、ロッキーは過大評価さている、という論評も。それを見たロッキーは現役復帰を決める。それを知ったディクソン側は話題づくりのため、ロッキーにエキシビジョン・マッチを申し込む。
 
 エイドリアンが死亡しているという設定のため、タリア・シャイアが出演を渋ったりとかしたのかな?と思ったのだがどうやら純粋に脚本上の問題でむしろタリア・シャイアは出たかったそうだ。劇中では50歳という設定だが当時スライは60歳、かなり無理があると思ったのだがそこは鍛えてあるのでそんなに違和感は無い。あと向うのボクサーは意外に40代半ばぐらいまで現役続けたりしてる人が多いようで早々無理な設定というわけでもないようだ。「ロッキー1」の頃の美しい顔がしわが刻みこまれ30年の月日を感じさせる。
 ロッキーの息子ロバート(「5」まではロッキーJrだったが)を演じてるのはピーター・ペトレりことマイロ・ヴィンティミリア。ロッキーの銅像は撤去されたらしい!ロッキーがその昔注意した不良娘とその息子との交流みたいなのももあるのだが、ここではパス。
 ラスベガスでのエキシビジョン・マッチはフルラウンドをを戦い抜き、互いにリスペクトしあう。そしてエイドリアンの墓に向かうロッキーで幕を閉じる。
 一般に傑作といわれるのも納得な出来。
 
 こうしてシリーズ通して見るとやはり「4」だけが特に異色で他は1作目のテーマをいろんな方向から語り直している様に思える。こうしてみるとロッキーの粗野なキャラは意外と一貫しているなあ。
 後は吹き替えが羽佐間道夫松金よね子など通して一貫されているのも良かった。



ザ・ベスト・オブ・ロッキー「ロッキー・ザ・ファイナル」サウンドトラック

ザ・ベスト・オブ・ロッキー「ロッキー・ザ・ファイナル」サウンドトラック


 うん、やっぱりこのシリーズ好きだわ。

*1:もしかしたら今地上波で一番信頼できる洋画枠かもしれない