The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

再録 G.I.ジョー 忍者とニンジャは別物です。

祝!「G.I.JOE」ソフト発売。と、言うわけで今回は「G.I.ジョー」の記事を採録しようと思ったんだけど、ちょっと変えて、「G.I.ジョー」に出てたイ・ビョンホンをめぐる騒動について。
 この時期、たまたま「G.I.ジョー」と「グッド・バッド・ウィアード」とイ・ビョンホンが出演する作品を見たけど両方とも「ナルシストで殺人も平気なキャラ」と言う点で似ていた。僕は普通に格好いいと思ったんだけど、そうは思わなかった人たちがネットの中にはたくさんいた模様。それでこんな記事を書いた。<初出2009年9月8日

 「G.I.ジョー」の記事を書いた時、ストームシャドーイ・ビョンホンが演じたことについて、

 

どうでもいいが韓国人である彼がニンジャを演じているということで必要以上に騒いでいるバカが多数いるようだ。人生損してるね

 

 と書いた。コレは主に2ちゃんねるの映画板でのことなのだが、はっきり言ってただの娯楽映画に過ぎない(社会的なテーマ性など「チーム☆アメリカ/ワールドポリス」の10分の1もないだろう)この作品でどうしてそこまで騒げるのだろうと不思議に思うのだが、少し調べてみた(肝心の2ちゃんのコピペが出来ないのは後容赦下さい。過去ログの見方が分からん)。

 

 まずは前提条件、

  1. G.I.ジョー」はアメリカ映画で、かつ娯楽映画です。
  2. 原作はアメリカの子供向けトイ、コミックス、アニメです。
  3. キャラの設定などはトイ、コミックス、アニメでそれぞれ微妙に変わっています。
  4. 確かに今回の映画版で、ストームシャドーの設定は原作と違うようですが、それはストームシャドーに限ったことではありません。
  5. 忍者とニンジャは別物です。

 

 では本題。まずは、コレが発端らしい。

【おわび】イ・ビョンホン武道館イベント写真について | Chosun Online | 朝鮮日報

 

 ようはこの日の丸を否定する行為が嫌韓ネトウヨの導火線に火をつけたらしい。しかし、本人がやったわけではないし、謝罪してるのに何の問題が。

 

 で、次が類似するこの話題、

映画『スピード・レーサー』の韓国人は反日? - Ameba News [アメーバニュース]

 

 つまり、本来日本人の設定の役を韓国人に変えた、ということらしい。なるほど、それなら兄が韓国人なのに妹の名が日本人風だったのか納得はいく。(僕の書いた「スピード・レーサー」の記事はこちら

 ただ、もし本当に設定として日本人であることが重要ならば、製作者側が拒否すれば良いだけの話だ(韓国人であるRAIN(ピ)にオファーした時点でどうでもいいことだったのだろう)。むしろ真田広之が日本人オーナー役をやっていたから、国際色豊かにするために韓国人にしたのは正解だったのではと思う。

 そもそも、そんなことに噛み付くなら、大前提のマッハGO!GO!GO!」を「スピード・レーサー」にして主人公,三船剛をアメリカ人スピード・レーサーに変えたことに文句を言えよ、と思ってしまう。

 

 ともかくそんなことが重なった上で、

◆原作ファンや製作陣の意志に屈せず自尊心を突き通した同胞イビョンホン!大韓人として誇らしいニダ!|クールジャパンに韓激!

 

 で、「スピード・レーサー」同様役柄を変更させた、ということで叩かれている。でもこれも製作側の問題でしょ。日本人設定が重要ならそれを貫けばよいし、イ・ビョンホンへのオファーを取り下げて日本人にオファーすればよい。そうしなかったって事はその程度の問題でしかないって事じゃないの?

 確かに日本人の役を変更させたということはどうなのか、とも思う。でもそれは日本人、韓国人(ついでに中国人)の区別をしないハリウッドの映画製作者に対しての抗議なのかもしれないし、自分が変えていかなければという矜持なのかもしれない。

 途中の、

「ビョンホン」という単語は子音が多くて外国人が英語で発音するには非常に難しい名前だ。イ・ビョンホンは米国スタッフらの間で自分の名前が「ビョンホン」ではなく「ビョン」(訳注:病気の意味)と呼ばれても、彼らの発音しやすい英語の名前は作らなかった。(中略)

 

というのにいたっては、別に何の問題でもない。むしろ今後アジア人がハリウッド進出するに当たって見習うべきじゃないの。

 

 後は日本ってそんなに「G.I.ジョー」ファンって多かったのか、と思うくらい原作の設定を変えた(そのわりにバロネスとか他のキャラクターの設定変更には無頓着)ことに対する(製作者ではなくイ・ビョンホンへの)怒りが多かったのだが、前述の通り、原作でもそれぞれ媒体によって設定が違う。今回のはそれに新しく実写映画版の設定が加わっただけだろう。ほとんどは「G.I.ジョー」にかこつけてるだけだと思う。

 

 そもそもニンジャは日本のものとは限らない。

 まずは、

  1. 乱波、透波、風魔など地方ごとに呼び名の違う異能集団としての忍者(史実としての忍者)
  2. 1を基にして江戸、明治期に立川文庫や講談などに登場する忍者(講談としての忍者)
  3. 1、2を基にするファンタジーとして世界的に膾炙されたニンジャ(ファンタジーとしてのニンジャ)

 

 の3つに大別されると思うが、ストームシャドー、スネークアイズの2人は明らかに3番目だ。日本的である必要性は必ずしもない。どうせ、今回叩いている奴は日本人が演じる日本人としてのニンジャが出てきても「間違った日本を助長しやがって!」とか叩くに決まってるけど。

 

 

 僕は別にイ・ビョンホンのファンでもなんでもないし、映画は普通に楽しめたもののそれほど記憶にとどめるべき作品とも思わない。それだけに何でこんなに騒ぐのかが不思議でしょうがないわけだが、2ちゃんのスレなど一度流れが嫌韓に傾くとちょっと逆らっただけで在日認定を受けてしまう(おそらく当ブログもそういう扱いになるはずである)ので反論が難しくなる。(おかげで「G.I.ジョー」のスレはすっかり廃れた)

 とにかく、根拠の薄い叩きはただのレイシストの所業だ。でも嫌韓とかネトウヨって自分がレイシストだっていう自覚は無いんだよな。困ったことに。

 

 別に、韓国や中国が無理なことを言ってきたらそれはちゃんと論理に基づいて批難すればいい。でも「向こうが差別的だからこっちも差別してやる」では子供の喧嘩以下だ。

 

 

 後、直接関係無いが、日本が朝鮮半島を(台湾にしても)植民地化したことについて、「日本が植民地化したことでインフラが整ったりして近代化した。日本に感謝すべきだ」とか言うのは止めたほうがいいよ。そりゃそういうことがあったのは認めてもいいけど、本来ならそれは本人たちの手で成し遂げるべきことだし、日本だって植民地経営する上で必要だからやったに過ぎないんだから。

 そもそも、そういうことは現地の人から自主的に感謝の言を聞くからうれしいのであって自分から言い出したら恥ずかしいだけだから。

 なぜか不思議だったのは、イ・ビョンホンをけなす奴って監督やその他の設定の変化には文句を言わないんだよね。ただひたすらイ・ビョンホン責め。目的が見えみえ。
 リンクが死んでたらスイマセン。

おまけ「G.I.ジョー」の記事にも載せた「ネルフ対G.I.JOE」

G.I.ジョー [DVD]G.I.ジョー スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]