The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

夢の廃墟 ドリームハウス

 さて、明日は久しぶりの007シリーズ新作の公開ですね!だから、というわけではないけれど、007ジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグの新作を鑑賞。ダニエル・クレイグレイチェル・ワイズナオミ・ワッツが出演している「ドリームハウス」を鑑賞。
 この作品、僕はダニエル・クレイグが出てる、ということを知ってそれ以外の内容を全く知らず観に行ったのだけど、最近事前に情報をを仕入れて観に行く作品よりも劇場でなんとなく選んで観た作品のほうが満足度が高い気がする。これなんて本当に主演の二人(ダニエル・クレイグレイチェル・ワイズナオミ・ワッツは出てきて初めて知った)を目当てで観に行ってどんな内容かもさっぱりわからない状態で観たのだけど十分面白かった。ジャンル自体が事前に分かってないので何が出てきても新鮮というのはあると思うが。

物語

 編集者ウィル・エイテンテンは会社をやめ、ニューヨーク郊外に購入した一軒家で家族との時間を大事にしながら作家生活を始めることになる。美しい妻リビーと幼い娘二人の家族と共に新しい生活に心躍らせるのだった。
 古い家をリフォームしながら新居での生活を満喫する一家だったが、娘が窓の外に人影を見たり不審な出来事が続く。ある夜物音に気づいたウィルは地下室で勝手に侵入しサバトもどきの儀式を行う少年少女を発見する。捕まえて問いただすと、かつてこの家で一家惨殺という凄惨な事件が起きていたのだ、という。
 事件を調べたウィルはかつて家に住んでいたのはウォード一家父親のピーター・ウォードが犯人とされ、彼は精神病院に収容されていたがすでに退院していることを突き止める。向かいの家に住むアンも何やら不審な態度を取る・・・
 やがて、ピーター・ウォードの行方を探るためウィルは彼が収容されていた施設を訪れるが・・・

 ジャンル自体分からない状態で観た、と書いたがもちろんある程度は予想がついていて、名前からしても、幽霊屋敷物かサイコサスペンスぽいものか、という予想していた。具体的なイメージは「悪魔の棲む家」。あちらは実際の(インチキ)事件をもとにしたホラー映画だがなんとなくあんな感じのものかと思っていた。結果として(同じく前情報を仕入れず観たこともあって)印象としては、あちらはポリティカル・サスペンスだったがユアン・マクレガー主演の「ゴーストライター」に近い。
 監督はジム・シェリダン。僕は「父の祈りを」を見たか見てないかよく覚えていない、といった程度の認識しかなく実質これが初鑑賞ということになるだろう。どちらかと言うとヒューマンドラマを得意とする監督なのだろうか。サスペンスの要素を散りばめながら最終的にはとても感動的なものになっていた。

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 主役であるウィル役はダニエル・クレイグ。今年は結局これと「ドラゴン・タトゥーの女」と「007スカイフォール」を含めて3本彼の主演作を鑑賞したことになる。彼を初めて認識したのは「トゥーム・レイダー」でその後スピルバーグの「ミュンヘン」という感じだが、あの当時はここまで存在感のある俳優になるとは思っていなかった。もちろんボンド役をゲットしたというのも大きいのだろうが「カジノ・ロワイヤル」以降は確実に変化している。
 今回は冒頭のスーツの格好で「おや、随分細く華奢になったなあ」と思ってしまった。今回は「ドラゴン・タトゥーの女」同様編集者という役柄だが、あの時はあくまでボンドではなく一般人であることを表すため役作りとして太ったらしいが今回は痩せたのかな、と思った*1。まあいってもクリスチャン・ベールのような極端な肉体改造ではないので、脱いでしまえば(もちろん今回も脱ぎます)そのセクシーさは変わらないのだけれど。
 今回は前半の頼もしい夫、父親と後半の打ちのめされる姿と対照的に演技している。
 
 ウィルの美しい妻リビーを演じているのはレイチェル・ワイズ。僕が過去に見た中では「ハムナプトラ」「同2」でブレンダン・フレイザーの奥さん、「ラブリーボーン」ではマーク・ウォールバーグの奥さんを演じていたりするわけだが*2、いやー美しい。本気で結婚したいです。劇中ウィルが「永遠に美しいままでいてくれよ」「それは無理よ」みたいなやり取りがあったりするのだが(後で分かるがこれはとても皮肉めいたやり取り)、その気持はわかります。でも多分今後も年をとっても美しいと思うね。
 で、実はダニエル・クレイグレイチェル・ワイズはこの映画での共演がきっかけで本当に結婚しているのだな!超美男美女カップル!ちなみにレイチェル・ワイズは「007スカイフォール」の監督サム・メンデスと交際していたこともありました。
 
 もう一人、キーマンとして登場するのはエイテンテン一家の向かいに住むアン。アンを演じているのはナオミ・ワッツ。この人も遅咲きのイメージがあるが代わりと言ってはなんだが年を取るごとに美しくなっているなあ。この主要3人がいずれもイギリス出身で監督もアイルランド出身ということからてっきりこの映画イギリスが舞台だと思っていたんだけどニューヨーク郊外ということでした。
 ウィルとリビーの幼い娘二人を演じているのはテイラー・ギアとクレア・アスティン・ギア名前で分かる通り実際の姉妹で「インセプション」にも出ていたらしい。多分レオナルド・ディカプリオの子供役だろう。あの時も今回も存在が危うい役だなあ(映画の中での存在感がないという事ではない)。

ここからネタバレ!

 物語は途中からウィルこそがピーター・ウォードであり、ウィル・エイテンテンという名は彼が精神病院での生活において自分を拒否するために管理するために付けられたコード「W-1-1-l 81010」から付けられたことが判明する。退職したというのは病院を退院したということであり、彼はその足で事件のあった我が家(現在は空き家)に戻り、幻想の中幸せな家族生活を送っているつもりになっていたのだ。
 この事実が明らかになる件は意外にあっさりしている。初めて訪れた施設で「5年前にも見せましたが・・・」とか言われてすぐに判明するのだ。しかしそう考えるとこれまでの流れ、外の世界にでて社会と接触するのはウィルのみであり、リビーや娘たちはウィル以外と接触がない、のが分かる。物語はそこから過去の事件の解明までするのだが・・・
 このウィルの家族の物語が幻想であったというところまではサイコサスペンスと言える。しかしここから奇妙な展開を迎える。これまではウィルの視点で描かれてきた物語がラストのクライマックスではなぜかリビー視点で展開されるのだ。つまりウィルの見た幻想が独立した自我を持ったといえるのかもしれない。とはいえこれを簡単に幽霊と言ってしまっていいのかは微妙だ。リビーは事件をほとんど物理的な影響を与えることができず傍観することしかできない。この無力な幽霊(便宜上)というのはやはりレイチェル・ワイズが出演した「ラブリーボーン」のシアーシャ・ローナンと共通するかも知れない。
 このラストにおいてはこれまでのスリラー、サスペンスではなく、超常的なものになっているので少し作りが歪ではある。でもこれがあるとないとではやはりラストの感動が違うのだなあ。僕はいいと思う。

 最終的には元の事件の真相が判明し、泣けるラストにもっていくのだが、まあ、レイチェル・ワイズと結婚してて可愛い娘もいてお向いにはナオミ・ワッツがいるような*3環境で家族殺しとかやらないって最初からわかっていたよ!

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*1:撮影時期はほぼ同時のようだけどこちらのほうが若干早いのかな

*2:劇場では見ていないけど「アレキサンドリア」の実在した古代の女性数学者も魅力的でした

*3:彼女とピーターの関係がぼかされているが個人的には浮気相手とかいうより幼馴染とでも言うべき間柄なのかな、と思う