The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

カイゲン令下の日本

 例によってお久しぶりでございました。前回更新してから2ヶ月。3月は電気のない生活を久しぶりに満喫し(月の電気代わずか600円!)、4月もなんだかぼーっと生きていました。

 そんな中、世の中は新元号が発表され、「平成最後の~」とか「平成を振り返る」系の番組ばかりになってしまい、消極的天皇制反対主義者*1の自分としては何を大騒ぎしているのやら、と冷ややかに見ていたりします(制度としての天皇制には反対ですが、今の天皇東宮、皇族の方々には特に嫌悪感情はなく、寧ろ好感さえ持ってます。がそれとこれとはまた別の話)。

 元号という制度そのものは中々面白いので残したっていいのですが、残すなら今の一世一元でなく、昔のように吉事、凶事あるごとに頻繁に変えよう!派。もちろん公的な場での使用は禁止の方向で。そもそもが元号なんて珍しい亀が出現しためでたい!天災が続いた不安だ!で変えるようなものなんですよ。平成は改元が合った1989年=平成元年は分かりますが、それ以外は全く分かりませんね。例えば阪神淡路大震災オウム真理教事件が起きた1995年は印象深い年ですがそれが平成何年なのかと言われればパッとは思いつきません。特にここ十年ぐらいはもうほぼ西暦だけで生きているので今が平成何年なのか分からないです(もちろん計算すれば出てくるよ)。ここ数年の退位の話題でどうやら今年が平成30年らしいというのはかろうじて認識していますが、まあそんなもの。僕は極端な例としても大部分の人が日常では西暦をメインにしている人がほとんどでしょうし、国際的な仕事をしている人なら尚更でしょう。旧暦とかと共に公的書類や機関での使用はやめてあくまで儀礼や祭事用にするべきだと思います。

 ちなみに今コレを書いている時点で4月30日の夜なのでブログアップする頃にはもう新元号の「令和」になってるかもしれませんが、この元号自体は特にいいとも悪いとも思いません。「令」の文字には今は「令嬢」などで使われる「うるわし、美しい」などの意味と「命令、指令」などの意味がありますが、前者の意味だそうです。ただ殆どの場合現在は前者の古典的な使い方はしない漢字ですし、穿った見方をすれば本当の狙いは「国民に命令する」という意味を持たせ、古典的な意味でその表面を覆っているのかなあ、などと思ってしまいます。他にはラ行から始まるのは言いにくい気がするなあ、とは思いますが、まあどっちにしろもう日常では使わないし。

 でもその選定過程には疑問が大有りで一世一元の現在、そして民主主義国家であるはずの今の日本でこの後特に何事も無ければ20年30年とわたって使うであろう元号(当然その使用期間には単に首相が代替わりする、というだけではない政権交代もあるでしょう。なければ逆に問題)を時の政権が自分たちの想いを乗せて制定し発表するというのはかなり逸脱した行為だと思います。また「令和」は史上初日本の古典である「萬葉集」から採用された二文字ですが(歌ではなく序文に当たる部分であり、さらにその文章の元ネタは漢籍だそうですが)、これもルール違反だと思います。もちろん明確に漢籍から採用するべし、という法律があるわけでもないのですが何しろ余程のことがなければ新天皇は死後*2、もしくは今回と同じように譲位後に令和天皇諡号が送られ歴史的にはそう呼ばれるわけです。それを勝手に時の政府が自己の思いを乗せ制定し、それでもまだこれまでのルールに則って決められたのなら良いですが、首相が勝手に「国書からが良い」などと言い、決められた名で呼ばれるのは自分なら我慢できませんね。そもそも元号が中国から来た制度なのだから中国に倣うのがそんなに嫌なら元号なんて廃止すればいいんですよ。

 一世一元になったのは明治からなので実に浅い歴史しか無いのですが、その「明治」はいくつかの候補の中からくじで決められたといいます(明治維新の王政復古は元を倒し漢民族の王朝を建てた中国の明王朝を規範とし、明治は「明王朝の治世」を意味している、なんて俗説もあります)。現在日本が国民主権の国家であるなら少なくともいくつかの候補の中から国民投票で選ぶ、ぐらいしたっていいと思うのですが天皇の退位表明から一年以上間があったというのにこの時期になったこと。事前の候補などが一切国民に知らされなかったこの不透明さは正直この国の後進性を象徴する出来事であったと思います。選定過程を秘密にして何の問題があるのか。実際に使用される一ヶ月前に決まったわけですがなぜもっと早く決められなかったのか。そして決まった後で30年間秘密とか言いながら後からボロボロ情報が漏れてくる(おそらくは官邸側からの意図的なリーク)のも情けないところ。「令和」の他にも候補だった元号案が分かりましたが、どうも他の候補案と令和は対等ではなく「平成」の時にそうだったと言われているように暗にすでに政府が良しとした「令和」に導くための疑似餌だったような気もします。個人的には明治同様くじで決めるのが長く使うというなら一番良かったと思うのですが。

 そしてこの改元フィーバーで菅官房長官が「令和おじさん」と呼ばれて持て囃されたり、政権支持率が上昇したりしています。新元号発表の時の官房長官が一躍注目を浴びるのは平成の時の小渕氏、のちの小渕首相の時でも起きたことなので事前に分かっていたことですが、それまで記者会見などで記者を恫喝した男である菅氏をこんなことで持ち上げるのはどうかと思いますし、数々の疑獄がある安倍政権がまるでリセットしたかのように支持率がアップしたりというのは正直日本国民は朝三暮四のサル並みかと思ったりします。

 現状まるで新時代が始まったかのようなフィーバーぶりですが、正直何も変わらないどころかどんどん悪くなっていると思います。それでもまあ30年続いた一時代が終わることは確かなので節目ではあると思いますが。しかし今後が良くなるか悪くなるかは有権者次第。

 1月2月に観た映画のリストと簡易感想を書こうと思いその枕として元号騒動について書き始めたら思いの外長くなってしまったので、独立した記事にしました。映画についてはまた後日記事をあげます。それではまた。

明日は「アベンジャーズ エンドゲーム」観ます。

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*1:積極的に廃止しろとも思わないが、現行の制度(女性天皇及び女系天皇を認めず、かつ新宮家創設もしない)で後継者がいなくなった時点ですみやかに共和制に移行しよう派

*2:前述の通り自分は天皇制には反対の立場ですので天皇皇室といえども一般の人に対するそれと変わらぬ言葉遣いをします