The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

xXxは家族だぜ! トリプルX:再起動

 テレビ東京の「午後のロードショー」で「ワイルド・スピード」一挙放送(といっても3作目まで)!と言う企画をしているので、これまでなんとなくテレビでやっててもながら見でイマイチ内容を把握していなかったこのシリーズを新作「ワイルド・スピード ICE BREAK」公開までにシリーズを復習しようかと思っています。ほぼ何も知らない状態で「SKY MISSION」は観たからそこまでの6作だ!
 この「ワイルド・スピード」シリーズといえば主演のヴィン・ディーゼルで、シリーズの本数から言っても「リディック」シリーズと並んで彼のライフワークともいえるだろう。そんなヴィン・ディーゼルが一躍大スターとなった作品といえば「リディック(ピッチ・ブラック)」「ワイルド・スピード」両作と並ぶのが「トリプルX」でその最新作が今年公開。「トリプルX:再起動」を観賞。観たのは一ヶ月ぐらい前でもうそろそろ公開も終わりそうなんだけど、とにかくスカッとする作品なので是非観て欲しい。

物語

 NSAのギボンズ人工衛星の落下という手段によって殺された。人工衛星を自在に操るという「パンドラの箱」を使用した作戦と思われたが、その事件についての会議の最中、賊が侵入し「パンドラの箱」を奪い去る。NSAのマルケはかつてギボンズが作った「xXx(トリプルX)」を再び組織する。最初に起用されたのは最初のXであるザンダー・ケイジだ。ザンダーは一癖も二癖もある仲間を招集し「パンドラの箱」を奪ったジャン一味に挑む。しかしその過程で別の真実が見えてきて…

 原題は「xXx:Return of Xander Cage」で「ザンダー・ケイジの帰還」。シリーズ一作目は僕も劇場で観たと記憶するが、その後の2作目「トリプルXネクスト・レベル(2005)」はヴィン・ディーゼルは出演せず、アイス・キューブが主演。これが興行的に失敗したため(僕もレンタルで見たと思う)、シリーズ打ち止め状態だった。それが10年以上経って再びヴィン・ディーゼルを迎えて復活。文字通り「ザンダー・ケイジの帰還」となった。
 ストーリーは単純明快。「パンドラの箱」という分かりやすい名前の装置をマクガフィンとしてこれの取り合いをメインとする。この「パンドラの箱」は地球の衛星軌道上にある人工衛星を国関係なく自在に操る、というものだが、その「自在に」の部分も「任意の地上に人工衛星を落とす」という分かりやすいもの。ストーリーで悩むことは一切ない。
 というかですね。多分この映画こんなアクションシーンが撮りたいな、ってのが先にあって、各アクションシーンを上手くつなげるのを目的としてストーリーが考えだされたのではないかと思うレベルで単純明快。物語に関しては観客(というかこの場合僕)がこうなるだろうな、と予想すると見事にその通りに進行する。映画を観る時に、物語を予想しながら観るのは別段ふつうのコトだが、いつもならその予想を裏切られたことに対して快感を覚えるのだが、今回は別。全く自分の思った通りに進行するので逆にストレスが皆無。気持ちいいほどストレス無く観れました
 これはその単純な物語を凄いアクションが補完してくれているので、その意味では前回書いたような「ミュージカルの手法」のミュージカル部分をアクションに置き換えた物と同質かもしれない。
 キャスト的にも冷たい表情の悪そうな奴はやっぱり悪いやつだし、笑顔が素敵な奴はやっぱり良い奴だったというわかり易さ。後述するけれどドニー・イェントニー・ジャーの出演が今作の目玉であるのだけれど、もうこの二人最初の登場シーンで素敵な笑顔を見せてくれるので、(物語上悪人じゃなかったと判明するのはもっと後だが)この時点で「ああこの人達悪いやつじゃないな」と思ったらやっぱりそうだった、という安心仕様。
 キャストも主演のヴィン・ディーゼルはじめ、味方の側は多種多様な人種・嗜好の持ち主を集めているのに、悪い奴はいかにもWASPといった風情のエリート白人だったり強面で融通のきかないタイプの軍人だったり。この現在を反映したわかり易さ(同時に色んな意味でストレスがない)が映画の魅力となる。

 ヴィン・ディーセル演じるザンダーはエクストリームスポーツの第一人者で、とにかく危険なアクションが大好きという役柄。性格的には反体制で我が道を行くタイプだが映画の中では体制側に付いてしまうということでジョン・カーペンターの「ニューヨーク1997」「エスケープ・フロム・LA」のスネーク・プリスケンに近い*1。このザンダーの基本的には体制嫌いだし、普段は孤独だけど仲間は家族として大事にするというキャラクターはそれこそリディックやドムに通じるものがあるし、なんなら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で声を担当したグルートもこのヴィン・ディーゼルキャラに含めたっていい。強面だけどどこか人懐っこいヴィン・ディーゼルの容姿もこの路線のキャラクターづくりに一役買っているだろう。タイトルに偽りなく全編にわたってこのザンダーのキャラクターでもって映画を引っ張っている。
 ドニー・イェンは「パンドラの箱」を奪う犯罪グループのリーダー、ジャンを演じている。映画としてもザンダーのライバルでありザンダーとは心理戦も行う。が!実は彼はこの10年の間にギボンズのもとで活動したトリプルXであり、彼自身の確固とした目的があって動いていた人物。後半はザンダーと競いつつ共闘。たしかヴィン・ディーゼルとドニーさんが直接格闘するシーンは無かったと思うんだけど、代わりに波乗りしたり敵基地まで競争したりする。先述したけど、もう最初から笑顔が全開で悪人要素が感じられないのですよ。一応ジャン一味の中でも最後まで真意が不明ということになっているんだけど。
 他にジャン一味としてデンマーク生まれのインド人女優ディーピカー・パードゥコーン峰不二子的な魅力で一応ヒロインと言っていいのか。後はジャン一味の戦闘員としてトニー・ジャーマイケル・ビスピントニー・ジャーは「マッハ!」などで主演したタイの至宝。今回は脇役だけどその分気負うこと無くとにかく元気いっぱいと言う感じで好演。ハリウッド映画はこれが初なのかな?と思ったら「ワイルド・スピード SKY MISSION」にも出ていた模様。」覚えてないぞ!見なおさなきゃ!マイケル・ビスピンは現役の総合格闘家ということで僕は初めて知ったのだけど、ジャン一味の中では目立たないものの隠し味的な活躍を見せる。

 ジャン一味に立ち向かう(すぐ共闘するけど)、トリプルXチーム(紹介順逆にしたからジャン一味が主役みたいになっちゃった)はザンダーの他にアフリカで密猟者を懲らしめているアデル(ルビー・ローズ)にDJをやっていて口八丁手八丁のモテモテ男ニックにクリス・ウー。ルビー・ローズはパンク娘で銃火器の取り扱いが得意なスナイパー。クリス・ウーはEXOという中国と韓屋で活躍するグループの一員らしいです。他に常に自暴自棄的なドライバー(特攻野郎Aチームのクレイジーモンキーみたいな感じ)テニソンにロリー・マッキャン。
 そして最初はNSA側の職員だけど一緒に活動していくうちにxXxの仲間となっていくメガネ娘ベッキーにニーナ・ドブレフ。一番一般人だけどオタクな部分で変人ででもかわいいタイプ。とにかく味方として出てくるキャラが人種もキャラクターも色とりどり。この辺は古臭いタイプのアクション映画じゃなくてきちんと21世紀の作品になっていると思う。
 そして!本当に危機一髪の時に登場するのはアイス・キューブ!「トリプルXネクスト・レベル」の主人公ダリアス・ストーン!この「エクスペンダブルズ2」でのチャック・ノリスのような装いで登場するのが、不遇な2作目の主人公というのが泣けるじゃありませんか!これだけは僕も読めなかったよ。同時に「xXxは家族だぜ!」という映画のテーマもより強く。

 映画の冒頭ではサミュエル・L.ジャクソン叔父貴がもう叔父貴以外の何者でもない感じで登場して新人スカウト(スカウト相手はネイマール!)に勤しんでいる。その直後に人工衛星が落ちてきて強い印象を残して退場するのだが、いや、もうこの時点で死んだなんて露ほども信じなかったですよ。悪馬尻直次郎曰く「主人公てのは殺されても姿を見せない時は生きてるものと相場が決まってらあな!」(byあばしり一家)てなもんですよ。そして案の定ラストは生きてて(ネイマールも!)姿を見せるのである。なぜか意味ありげに片目をサングラス状にしたメガネをかけて(特に隻眼になったとかではない模様)たりしたけれど、これは「キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー」でのニック・フューリーへのオマージュか。

 アウトローたちによる擬似家族の強い絆、というのは「ワイルド・スピード」でもみられて、ちょっとしたあこがれでもある(現実にはこういう擬似家族が犯罪行為に走るととてつもなく残酷な結果をもたらすことが多々ある)。本作ではその多幸感が半端無く観終わった後の満足感は物語の単純明快さもあってとにかく元気になれる。こういう映画も必要なのだ。
 xXxは家族だぜ!

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トリプルX ネクスト・レベル [Blu-ray]

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トリプルX:再起動

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トリプルX~オリジナル・サウンドトラック

トリプルX~オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,オービタル,4LYN,ネリーFEAT.トーヤ,リル・ウェイン,N.E.R.D.FEAT.ケリス&プシャ T,パスター・トロイ FEAT.ミス・ジェイド,ビッグ・タイマーズ,ミスター・チークス FEAT.ミッシー・エリオット&P.ディディー,ポスタボーイ FEAT.ラシャド,ダニ・スティーヴンソン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2002/09/25
  • メディア: CD
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 WWEでのジ・アンダーテイカーのトリビュートソングとしてこのサントラアルバムの中のギャヴィン・ロスデイルの「Adrenaline」が使われていて何度も聴いてたなあ。

*1:ワイルド・スピード新作にもカート・ラッセル出演んするね!