The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

老いてますます盛ん!なんだけどちょっと… 仮面ライダー1号

 はい!また一ヶ月間が空いてしまいましたが、もうあんまり触れませんよ。慢性化してるからね(スイマセン!)。
 というわけで、もう4月です。3月は2本しか劇場で映画鑑賞ができなかったけれど、なんとか鑑賞本数もブログ更新スケジュールも今までのように戻していきたい。でも!3月に観た2本はもう少しだけ置いといて、今回は4月1日に観た映画の感想を。「仮面ライダー1号」を鑑賞。

物語

 かつて一世を風靡した悪の秘密結社ショッカー。しかし今はショッカーとそこから独立したノバショッカーに分かれて互いに争っていた。鍵となるのは立花麻由という高校生の少女。2つの組織に狙われた彼女を助けた仮面ライダーゴースト=天空寺タケルは彼女の秘密を探るため、教育実習生として彼女の高校、陵南大付属高校へ赴く。再びショッカーが彼女を襲い、ゴーストも立ち向かうが、麻由を助けたのは一人の男だった。彼こそが最初のライダー、仮面ライダー1号本郷猛…

 えーと、一応年末に仮面ライダーゴースト仮面ライダードライブのMOVIE大戦「ゴースト&ドライブ超MOVIE大戦ジェネシス」も、年明けの「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー」も劇場で観てはいます。この2つに関してはまた別に後で感想書きますが、とりあえず現役ライダーの最新作です。
 一応ライダー誕生45週年記念作品で、最初に発表された時は「仮面ライダー3号」に続く感じなのかな、と思ったんですが、これ「企画・藤岡弘、」でもあります。個人的にはどうせやるなら本当に藤岡弘、単独主演でゴーストとか今のライダー絡めない作品が良かったのですが、TVスポットなどから予想されている以上にゴーストはゲスト出演ではなく、ゴーストの映画でもありました。
 脚本は「鳥人戦隊ジェットマン」などの井上敏樹。TVシリーズの最初の「仮面ライダー」を始めとして数々の特撮作品を手がけた伊上勝の息子。今回は一応「仮面ライダーゴースト」の映画でもあるが、前回藤岡弘、が素顔で出演した「平成ライダー昭和ライダー」に比べると、登場作品が最初の「仮面ライダー」と「仮面ライダーゴースト」に限られ、登場ライダーも1号、ゴースト、スペクターの3人、ゴーストの敵組織である眼魔も登場しない事もあって、この手のイベントムービーとしては比較的よくまとまっていたほうだと思います。
 物語としてはおそらく本郷猛側から見ると「仮面ライダーBLACK RX」の最終回から繋がる形でしょうか。以前に藤岡弘、が素顔で登場した「平成対昭和ライダー」とはパラレル。

 事前に話題になっていた新造形の1号のデザインは元のデザインのスリムさから遠く離れ、モチーフであるバッタの脚力とは無縁な感じに。どちらかと言えばダンゴムシを連想さえする。てっきり最初は元の(旧1号とは言わないまでも)デザインのライダーとして変身して劇中で新しいデザインにパワーアップするのかな?と思ったのだが、最初からこのデザインで登場。ただ、本郷猛を演じる藤岡弘、が45年前に比べると当然だが太っているので(といっても全然スタイルはいいと思う)変身後と変身前のギャップが少ない、という意味では合っているデザイン。でもやっぱりこのデザインだと技の1号というよりは力の2号ッて感じ。
 本郷猛は21世紀のライダーとしては稀有なノーヘルでバイクに乗るライダーです(さすがに公道は走ってなかったと思うけど)。
 ショッカーとノバショッカーの違いはショッカーが旧来の再生怪人なのに対して、ノバショッカーが新しい怪人といったところか。ショッカー怪人としては毒トカゲ男とガニコウモル、シオマネキングの3体が登場。毒トカゲ男はともかく、ガニコウモルとシオマネキングはもうこの手の映画などではほぼ皆勤賞に近いのでは?東映はこの2怪人にはシリーズ功労賞を挙げるべきだと思いますね。ガニコウモルはTV後半ショッカーがゲルショッカーに変わってからの最初の怪人で、子供の頃見た時(といってもリアルタイムではなく再放送)はその役も造形も含めてとても怖かった記憶があるのだけれど、これは以前も書いたと思うけれど、現在の発色の良い画面で見ると凄くしょぼく見えてしまう。そろそろガニコウモル自体の再デザイン、新規造形をしてあげて欲しい。シオマネキングは今のデザインでも十分ショッカー怪人としてよく出来ていると思います。ただほぼショッカーの怪人としては出ずっぱりなのにあんまり印象に残らない怪人でもあるのだけれど。
 ショッカーの大幹部として大杉漣の演じる地獄大使が登場。大杉漣地獄大使は「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」に続いて二度目。デザインも特徴的なシルエットは残しながら黒いカラーリング。ちょっと大杉漣の顔の形と兜がフィットしてなくて隙間が見えるような感じだったのが残念か。ガラガランダにも変身、なんとライダーと並んで見得を切る
 ノバショッカーはショッカーの若手が独立した組織でこれまでの破壊工作による征服手段から経済を掌握することによる征服を企むが、まあ最終的にはショッカーとそう変わりません。これまでもいろんなショッカーを名乗る組織が出てきたし、その中にはショッカーを名乗るのもおこがましい物もありましたが、このノバショッカーは比較的小規模ながらかなりよくやった方ではないでしょうか。最初の方針に徹してればよかったんだよ……
ちなみに山口組の分裂とそれに伴う山口組と神戸山口組をショッカーに託してもっとも早く映像化した作品が本作である、という説を唱えてみたのですがどうでしょうか?
 ノバショッカー幹部はウルガ、バッファル、イーグラの3人。リーダー格のウルガは狼怪人に変身するが、バッファルはゲバコンドルを再デザインしたっぽい怪人に。名前からするとバッファローぽいのにね。そしてイーグラは長澤奈央が演じる女性幹部だが彼女だけ変身せず。名前からするとイーグル=鷲っぽいがサーベルをフェンシングのように扱う戦い方からすると蜂女なのだろうか。
 物語はヒロイン立花麻由の中に眠る英雄眼魂を巡って展開するのだが、この眼魂がいったい誰のものなのか映画を見ながら予想していた。「ゴースト」では英雄の魂が宿る眼魂を使って変身するのだが、そのラインナップが結構あやふやで確かに英雄というのもあれば、架空(実在したか怪しいロビン・フッド)の人物や、業績が過大評価されているもの(ねずみ小僧やビリー・ザ・キッド)、全然英雄じゃないむしろ弱そう(ツタンカーメン)など知名度優先な感じ。ただ逆に何でもありなラインナップではある。麻由はその影響で時折別人格が現れるのだ。最初は普通に大首領のもの。ショッカーとノバショッカーが争い、地獄大使にその眼魂を手に入れろ!と何者か(ゴーストの登場人物?)が告げるのだが、一番しっくり来るのが大首領の魂だろう。しかし今回は大首領のことはまったく触れられなかった。次に立花藤兵衛その人。立花麻由は名字で分かるようにシリーズでは欠かせなかったおやっさんこと立花藤兵衛の孫。後述するけれど、麻由の本郷猛への態度などからむしろ孫に宿ったおやっさんその人なのでは、とも思った。そしてその眼魂が出てくる直前に連想したのがチンギス・ハーン。世界を最も広大に征服した英雄といえばチンギス・ハーン。イーグラがまだ変身していないし、彼女がチンギス・ハーン眼魂を使って「ジンギスカンコンドル」になるのでは?!などと思ってしまった。
 そして実際に出てきたのはアレキサンダー大王!まあ確かにアレキサンダー大王ならチンギス・ハーン時比べても遜色ない英雄ではある。このアレキサンダー大王の眼魂でウルガがパワーアップ、しかし制御しきれなくなったウルガをライダーたち(&地獄大使)が倒す、という展開へ。アレキサンダー大王は奇しくも同じ日に観た「バットマンVスーパーマン」の方にもちょこっと出てきて面白いシンクロ。
 クライマックスの戦いで出てくる仮面ライダーWの眼魂を始めとしたW以降のライダーの眼魂を使っての変身は劇中ではどうやって手に入れたのかまったく言及されず、いきなり出てくる。TVの方でもなかったと思う。Web限定の前日譚ムービーか何かあるのだろうか。ただ、もうその辺は僕の中では気にならないというか、この手のイベントムービーでは気にしてもしょうがない、という境地にあるので普通に楽しかったです(Wとフォーゼが出てくるとそれだけである程度許せる、というのもある)。

 さて、事前に聞いていた本郷猛と言うより藤岡弘、本人の説教臭い授業シーンなど一部で「宗教」と言われているような部分も確かにあったのだけれど、まあ藤岡弘、が企画はもちろん脚本にも関わっているようなので、その辺は歪ではあるけれど許容範囲。個人的にもやっとしたのが本郷猛とヒロイン立花麻由の関係性。
 先述した通り立花麻由は立花藤兵衛の孫娘で、両親はすでに亡く本郷猛はおやっさんからの遺言でその行く末を託された。で「大人になるまで見守る」ということだったのだけれど、本郷猛は彼女が中学の時点でどこかに行ってしまう。義務教育終了の時点でもう大人と思ったのか?それでは現在はちょっときついっすよ本郷さん。物語開始時点では本郷猛はタイにいるんだけど、特にその説明はない(おそらく海外のショッカー残党を追いかけていた、とかではあるのだろう)。
 そして戻ってきた本郷猛は高校生になった麻由から「猛」と名前で呼び捨てにされる。劇中でもクラスのモブの生徒から「猛って…」みたいなツッコミもあるのだけれど、これがかなり不自然。この高校生による約50歳年上の相手への呼び捨てがあまりに不自然なので先述した「見た目は女子高生だけど、実は中身はおやっさんその人」とかまで想像してしまった。これがアメリカとかだったらそう不自然ではないんだけど、別に本郷猛が立花麻由を海外で育てた、とかいう設定もないようだし。日本だと「ルパン三世 カリオストロの城」でクラリスがルパンへの呼びかけに使った「おじさま」とかのほうがまだ自然かな‘(あれはあれでちょっと気持ち悪くもあるんだけど)、普通に「猛おじちゃん」とかで良かったじゃないでしょうか?
 その後の描写を見ても制作側はこの50歳近く年齢差のある二人の関係を保護者と被保護者の擬似親子というよりは恋人同士のように描いていると思う。もちろん児童向け作品なので直接的な描写はないけれど。
 別に年齢差のあるカップルがいても良いんだいけれど、それならせめて麻由の設定を高校生ではなく大学生にできなかっただろうか?立花藤兵衛の孫という設定ならもっと上の年齢でも全然問題なかったと思うんだよね。麻由は制服を着ての登場シーンも多いんだけど、これは僕の個人的な考えだけど、学校の制服と言うのは「まだ子供」であることの象徴だと思う。だから高校生同士ならともかく、大人と制服を着た高校生の恋愛(准恋愛)は本来庇護する大人が子供に手を出している風に見えてしまう。これが大学生なら、まだ社会に出ていないという部分では高校生と変わらないけれど、常に私服なのでそういう印象が小さくなる。藤岡弘、自身は70歳という年齢の割には見た目も中身も若いとは思うので若い女性(と言ったって20代)との恋愛ものがあったって全然不自然とは思わないけれどさすがにちょっと…。立花麻由を演じた岡本夏美はルックスも声も武田梨奈をに似た感じで良かったです。
 藤岡弘、って70歳なんだよね。今「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部がアニメ放送されているけれど、その第3部「スターダスト・クルセイダーズ」に出てくるジョセフ・ジョースターが69歳。子供の頃連載で第3部を読んでた時は「こんなマッチョな老人はいねえよ!」とか思ってたんだけど、普通にいるね。シルベスター・スタローンも69歳だし、シュワも68歳。チャック・ノリスに至っては76歳だ!そういやビンス・マクマホンも今年70歳。世の爺さんは元気だ。

 ゴースト側の出演は物語の邪魔にならない程度に爽やかで良かったと思います。前回(MOVIE大戦ジェネシス)でも竹中直人ワンポイント怪演が目立ったけれど、今回も似た感じ。ちなみにTVシリーズの方のラスボスは蘇って再び世界を征服せんとする豊臣秀吉竹中直人、と言う説を僕は唱えています。

仮面ライダー Blu-ray BOX 1

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