The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

古代東西接近遭遇 ドラゴン・ブレイド

ああ、今年ももう2月が終わりだあああ!一回しかブログ更新してねえ!と思ったら今年は閏年で2月は29日まである!のでせっかくなので更新しましょう。今日は米国アカデミー賞発表の日だしね。レオナルド・ディカプリオがやっと最優秀主演男優賞を捕ったのと、部門は分からないけど「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がV6、6部門にわたって獲得した、と言うのは漏れ聞いております。詳細はまだ知らないけど。
 2月は本当風邪か花粉症か、あるいはもっと酷いやつか(あえて名は秘す)、倒れてるか吐いてるかOPPかという状態が慢性的に続いていたのでいつもよりも何事にもやる気が失せていたのだが、それでも幾つか映画は見たりはしていたのである。というわけでジャッキー・チェンのアクション史劇「ドラゴン・ブレイド」を鑑賞。

物語

 紀元前50年、シルクロード前漢との国境付近。国境付近の治安を守るフン族出身のファは反逆の疑いで西域の雁門関に送られる。そこでは様々な民族が城西の建設に従事していた。そこへやって来たのは遥か西ローマ兵の集団。彼らは執政官の弟プブリウスを守りシルクロードを東へやって来たのだ。集団のリーダールシウスとファは対決をするが、そこへ砂嵐が襲来。ローマ兵も雁門関に逃避させファとルシウスは奇妙な友情を感じることに。城塞の完成期限が早められ、間に合わないと絶望するが、ルシウスはローマ兵の建築技術を総員しこれを成し遂げた。やがてルシウスたちを追って執政官ティベリウスが軍を率いてやってくる…

 ジャッキー映画を劇場で観るのはアクション引退を宣言した「ライジング・ドラゴン」以来。そしてジャッキーは当然のようにその後もアクション映画に出ているのだった。とは言え、本作はそれほど本格的なアクション映画というよりはあくまで史実を踏まえた史劇という趣のほうが強いかと思う。特にローマ兵としてジョーン・キューザックエイドリアン・ブロディが出ていてジャッキーは彼らと一騎打ちを行うのでその辺はあくまでドラマの中で必要なアクションと言った感じか。
 「紀元前50年頃にシルクロードの中国国境付近で行方不明になったローマ兵の集団」というのは確かに存在する史実で僕は「銀河英雄伝説」の田中芳樹のエッセイか何かでその存在を知った。そこで「ロ―マ兵が傭兵として中国で活躍する物語とかの題材になる」、みたいなことを言っていたと思うのだが、本作はその史実に基づいている。たしか執政官クラッスス、その息子であるプブリウスなども名前は史実のとおりであったと思う。ローマ帝国漢帝国と言うと紀元前後の東西を代表する大帝国なわけだが、もちろんちゃんとした交流が当時あったわけではなく、互いに国として認識はしているという程度。五賢帝の最後に位置するマルクス・アウレリウスアントニウスが大秦王安敦の名で使者を漢に送ったことが中国側の歴史書「後漢書」に記されている。
 最初はシリアスな雰囲気の作品かとも思ったが、ジャッキーがフン族のお姫様(というか女戦士)を諌めている内に胸に触ってしまったり、して惚れられるあたりからいつものコメディタッチなジャッキー映画になる。アクションは控えめだが、一騎打ちする時に剣にアタッチメントを取り付けて手元の紐と結ぶことで飛び道具として剣を使うところなんかが目新しいところか。
 それよりはロ―マ兵がきちんと重装歩兵としてスクラムを組む描写なんかの方が個人的には見どころかな。ジャッキーはフン族という設定。

 逃亡するローマ兵の一段を指揮するのはジョン・キューザック演じるルシウス。ルシウスというと「テルマエ・ロマエ」の主人公ルシウス・モデストゥスが思い出されるわけだけれど、もちろん別人(というか古代ローマではよくある名前か)。ただあの漫画でもローマ兵が優れた建築技術を持った集団であることが描かれていたけれど、本作ではその辺もしっかり描かれている。
 ジョン・キューザック含めローマ人はあんまり古代ローマ人という雰囲気でもないのだけれど、この映画は西域を舞台にしている事もあって様々な民族が出てくるのでその中では特に違和感は感じない。

 とにかく格好いいのはエイドリアン・ブロディ。長髪とヒゲとギョロ目が格好良く、「ホビット」のトーリン・オーケンシールドを思わせる。悪役ではあるが理解はできて格好いいと思わせるに十分。ジャッキーを向こうに回して霞むところがない。
 映画はコメディタッチの軽い史劇という感じなのではあるけれど、ありそうでなかった漢帝国ローマ帝国の遭遇という物語は歴史に興味なかった人を振り向かせるには十分かな、と思う。

 ジャッキーももう無理はしないで、このぐらいのアクションもある映画(アクションがメインの映画ではなく)で我々を楽しませてくれると嬉しい。