The Spirit in the Bottle

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こんなに悪いヒュー・ジャックマンが見れるのは「チャッピー」だけ! チャッピー

 まったくサボりぐせが治ってなくて映画を観たあと感想を書くのを放って置いたらそれが一週間経ち、二週間経ち、気づいたらもう公開がほぼ終わってしまったという作品が続いています。書かずに置いといても映画の内容忘れるだけで、全然記事の内容が練られるとかでもないのにね。というわけで「チャッピー」「ピッチパーフェクト」と以前の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」補完編同様、思いつくまま箇条書きのスタイルで書いていきたいと思います。まずは「チャッピー」!

物語

 犯罪溢れる南アフリカ共和国。警察はロボット警官を投入することで事態の悪化に対処していた。警官ロボットの製造会社ではロボットの開発者デオンが密かに完全な人工知能を備えたロボットの開発に力を注いでいた。ある時ついにプログラムが完成し、しかし上の許可を得られなかったデオンは廃棄予定の22号ボディにインストールすることを画策する。
 一方、7日後の借金返済に追われていたギャング、ニンジャとヨーランディたちはロボットに強盗を手伝わせれればいい!とデオンを誘拐する。ニンジャたちのアジトで22号にインストールするデオン。22号は再起動しここに史上初完全な人格と知能を持ったロボットが誕生した。しかしチャッピーと名付けられた彼はヨーランディから愛されるものの、ニンジャからはギャングとしての心得を学ばされる。そしてデオンの不審な動きをライバルのロボット開発者ムーアが付け狙っていた…

  • 第9地区」「エリジウム」のニール・ブロムカンプ監督最新作。今度は再び南アフリカを舞台に。
  • 観ていていろんな映画がや作品が思い出されて楽しかった。基本となるのは「ロボコップ」だが、それ意外にもたくさんの作品が参照されているように思う。僕はまずチャッピーたちロボットのデザインに頭部は士郎正宗の「アップルシード」やゆうきまさみの「パトレイバーイングラム)」*1、「ショート・サーキット」、インド映画の「ロボット」やアシモフ原作の「アイ、ロボット」など。もちろん「鉄腕アトム」も。そして当然監督の前作「第9地区」のエビのロボットや「エリジウム」の人型ロボットなども。
  • 壊れたロボットにデオンが開発した人工知能プログラムをインストールするという過程でチャッピーが誕生するのだが、最初の数シーンで、「なぜか出動するたびに銃で撃たれるなどして破損して帰ってくる22号」という存在に感情移入してしまったのでこの22号とは関係なくチャッピーが誕生するのはちょっと残念。あくまでボディの再利用だけなのだな。ちなみに22号は修理のし過ぎで正規部品が足りなくなって他の同型機とは別の部品(ウサギの耳のような通信ブレードのオレンジ)を使っている、という設定なども「パトレイバー」の特車二課第2小隊のイングラム太田機を思わせて愛おしいです。

  • 「チャッピー」という名前は僕なんかは柴田亜美のマンガ「南国少年パプワくん」やその他で出てくる犬のキャラクターを真っ先に思い出すのだけれども多分、このチャッピーにも元ネタはあって多分それは映画のチャッピーと同じ犬ドラマか何かだったと思う。最初は犬扱いなわけだけど、「第9地区」でもあった犬とちょっとした交流をするシーンはいいですね。ちなみにチャッピーの声とモーションキャプチャーは「第9地区」のヴィカスことシャールト・コプリー。全然コプリーの顔は出てこないけれど、彼の人懐っこい演技はそのままです。
  • チャッピーが目覚めて最初の頃に「ヒーマン」を見てヒーローに目ざめるシーンなんかもあります。ヒーマンは「マスターズ/時空の覇者」として実写化もされています。


  • デオンを演じたのは童顔インド系英国人デーヴ・パテル。彼はチャッピーの産みの親だけれど、ヨーランディに比べるとちょっと科学者としての興味を優先させるところもあって、「鉄腕アトム」での天馬博士とお茶の水博士みたいな存在か。
  • ヒュー・ジャックマンがオーストラリア出身、元軍人のロボット開発者ムーアを演じていて、ぱっと見は「リアル・スティール」を思わせるが、今回はとにかく嫌なやつ。南アフリカの気候もあろうがロボット開発者という頭脳商売のはずなのに半袖ポロシャツと半ズボンで筋肉を誇示しながら社内をうろついたり、なんなら平気で人前でデオンを恫喝するような輩。彼が「ロボコップ」のED-209を思わせる、しかし人工知能ではなくあくまで人が操るタイプのロボット、ムースを開発し操る。
  • しかし演じているのはあのヒュー・ジャックマンである。「X-MEN」で世界的に知られるようになって以来、ヒュー・ジャックマンの出演作は全部ではないにしてもかなりの本数見ているが、ここまで憎たらしいヒュー・ジャックマンは見たことがない。先の「リアル・スティール」だってダメ人間だったけど魅力的ではあったし、「プレステージ」なんかでも同様。悪役であったとしても、それなりに共感できるところも多い役がほとんどだったはず。ましてやそこにヒュー・ジャックマン自身の魅力も加わって、ある意味完璧な人間の見本みたいなイメージすらあるのだが、そのヒュー・ジャックマンをあれだけ悪どく演出するところがある意味この映画の一番の見どころかも。
  • ほか会社の責任者としてシガニー・ウィーバーも出てきて最近はこういう偉い人の役でワンポイント出演することも多いですね。とはいえ「エイリアン2」で実写としては画期的なパワードアーマーを操縦した人としてリスペクトされて出演をオファーされた部分もあるのだと思う。


  • デオンがお茶の水博士だとすれば、アトムのパパとママに当たるのが、ニンジャとヨーランディ。実際に南アフリカで活動するラッパーグループで芸名そのままに出演していて、確か本当に夫婦だったのかな。ヨーランディは日本だと野沢直子を思わせますね。あるいはYOUとか濱田マリとかか。話変わるけどYOUと濱田マリって共に元ミュージシャン出身でバラエティでも活躍し、そして演じる役も共通しているところが多い気がする。女性主人公のちょっと年上の友人って感じか。この二人が共演したドラマってないんでしょうか?
  • ニンジャとヨーランディはちょっと特殊なタイプだけどこの夫婦?に甲斐甲斐しく仕える?アメリカというキャラが常識的な大人なんだけど嬉々として変人に付き従って感じが楽しくて、この映画のちゃんとした人間では一番好きなのはこのアメリカかもしれない。
  • チャッピーがPS4数台つなげて人の人格を何とかしようとしたり、でもそのデータがUSB一つに収まってしまうとか、ラストのびっくりな展開も含めてご都合主義ナ部分もあるけれど面白かったです。

  • 日本だと編集で色々揉めたらしいのだけど、その辺はソフトでどうにかなるのかしら。
  • 作品としては「エリジウム」より「第9地区」に近い作品だと思いますです。ブロムカンプは肉体変容の物語としてはそれこそ「ザ・フライ(蝿男の恐怖)」あたりをリメイクすると良い気も。それとも今後もオリジナルの話を紡ぐ続けるのか。


「マッドマックス」轟音上映の時に見かけたチャッピー頭部。

チャッピー

チャッピー

*1:色々異論はあるのでしょうが僕にとっては「パトレイバー」はまず第一にゆうきまさみの作品です