The Spirit in the Bottle

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インクレディブル・犯行!!! グランドイリュージョン


 先日、「セブン・サイコパス」の感想記事をあげた時に、「『グランドイリュージョン』にもウディ・ハレルソンが魅力的な役で出てますよー」という情報をTwitterでいただいて「これは是非観ねばなるまい」とちょっと遅ればせながら「グランドイリュージョン」観賞してきたのだった。
 ウディ・ハレルソンが出ている、という以外はほとんど前情報は仕入れず、マジックに関する映画らしい、他にはジェシー・アイゼンンバーグとマーク・ラファロも出てる?というぐらいのふわっとした情報のみでの観賞だった。

物語

 ストリートマジシャンの4人の若者たち、クローズアップ・マジックのJ・ダニエル・アトラス、メンタリストのメリット・マッキニー、脱出マジックのヘンリー・リーブス、ピックポケットのジャック・ワイルダーはそれぞれタロットカードに書かれた謎の招待状を受け取り一つ場所に集合した。そこで彼らの見たものは…
 1年後、4人は「フォー・ホースメン」を名乗り、ラスベガスでスーパーイリュージョンショーを開いていた。彼らは客席から1人選ぶと銀行を選ばせる。選ばれたフランス人客はパリにある銀行を指定。4人は客を瞬間移動装置と称する機械に乗せた。一瞬にして彼の身体はパリの銀行大金庫へ移動。それだけでなく、保管されていた320万ユーロの紙幣をベガスの会場に移動させ客の頭上に降らせるのだった。
 俄かに信じ難いが、パリの銀行から320万ユーロが失われたのは事実。FBIの捜査官ディランはインターポールのフランス人アルマとフォー・ホースメンを取り調べるが全く証拠は出ない。4人は釈放され、ディランとアルマは元マジシャンでマジックの種明かしを生業とするサディアスに助言を求める。サディアスは見事にトリックを暴くが、それまだ第一章過ぎなかった…!

 まず、びっくりしたのは、サー・マイケル・ケインモーガン・フリーマンの2人の名優が出ていたことである。ケインは大富豪、フリーマンはマジックの種明かしをするサディアスとなんとなく、「ダークナイト」シリーズの役柄を反転させたような感じ。ケインはノーラン作品では大概主人公を見守る親代わりのような役で出ているが、今回は最初似たような役(イメージとしてはブルースの代わりにウェイン家の資産を管理運用するアルフレッド・ペニーワース)かと思わせて実は…という展開だし、モーガン・フリーマンもマジックという分野での技術畑の役割。しかも最初は敵対するケインとフリーマンだが、後半では手を組むのだ。ただし主人公たちの敵として!
 他にもジェシー・アイゼンンバーグは「ソーシャル・ネットワーク」のマーク・ザッカーバーグ役の延長にあるような早口の天才肌役。マーク・ラファロは短気なFBI捜査官とこの辺はどことなく過去に彼らが演じた役柄を反映させたようなキャラクター。逆にウディ・ハレルソンはそのイメージを逆手に取った相手の精神状態を操る繊細なメンタリスト。
 そして、メラニー・ロランはフランスからやってきたインターポールの美人捜査官!相変わらず超綺麗です。メラニー・ロランが少女漫画キャラクターのような雰囲気だとすれば、対象的なのがヘンリー役のアイラ・フィッシャーで肉感的でワイルドに攻め、フォー・ホースメンの末っ子キャラとしてデイヴ・フランコが画面を絞める。ちなみにデイヴ・フランコはオズことハリー・オズボーンことジェームズ・フランコの弟です。


 原題の「NOW YOU SEE ME」は「今あなたが私を見ていますね」みたいなテーブルマジックの時に客のミス・ディレクションを誘う決まり文句みたいなものだと思う。マジックのパフォーマンスを映画で見せるってことでクリストファー・ノーランプレステージ」あたりを連想したのだが(そういえば「プレステージ」にもケインは出ていたな)、難しいのは映画ではなんでもできる以上、スクリーンの中でどんなに凄いことを見せたとしても「どうせ、CGだろ?」とか思ってしまう危険性だ。マジックのパフォーマンスもライブだからこそ凄い!というものもあると思う。しかし、その辺の心配は杞憂に終わった。実際、撮影ではCGも使われてはいるようだが、少なくとも鑑賞中は不自然には思わず、派手ではあるが、普通に実在のマジックとして見れるものであった。

 監督は「インクレディブル・ハルク」「タイタンの戦い」のフランス人監督ルイ・レテリエ。きしくも「インクレディブル・ハルク」の監督が「アベンジャーズ」の新ハルクを演出したことになる。他にも製作が「トランスフォーマー」シリーズ、「スター・トレック」シリーズ、そしてマーク・ウェブの「アメイジングスパイダーマン2」でも脚本を担当するアレックス・カーツマンロベルト・オーチーのコンビ。さらに音楽も「アイアンマン3」手がけたブライアン・タイラーというわけでこの作品自体は全然アメコミ、スーパーヒーロー物とは無縁であるが、アメコミ映画を多く手がけたスタッフ(一部キャストも)が集合している。そのせいか何処か大胆で大仰な仕掛けはコミック的でもある。ラファロとフランコのバトルシーンでフランコがトランプカードを投擲武器として使うとこなんて「おお!ハルクvsガンビット!」なんて変な風に興奮してしまったよ。
 だからというわけではないが、僕がこの映画を見て連想したのはモンキー・パンチ原作で我が国では国民的人気を誇る「ルパン三世」。ジェシー・アイゼンバーグ他のフォー・ホースメンは性格面では異なるものの人物の立ち位置ではルパン三世一味を彷彿とさせ、マーク・ラファロの執念深いFBI捜査官やメラニー・ロランがインターポールから出向しているという設定などは銭形警部を連想する。何よりもその犯罪としての手口がまさにイリュージョン、大掛かりで派手、かつ実際には一人も死亡者を出さない*1スマートぶりがまさにルパン三世*2。劇中の大オチもアニメ「ルパン三世」第2期の最終回あたりを連想してしまう見事なオチ。

 古代エジプトの秘密組織というちょっと伝奇的な要素もちりばめつつ、超常的な要素は出さず、あくまで実際には起こりうる出来事、マジックとして描いているのが良い。マジック「魔術」であっても「魔法」ではないのだ。まあ、種明かしされても、「いやそっちの方が難しいだろう」ってツッコミも入れたくなるけどね。
 まあ、あとは観た人誰もが思うだろうけど、ルイ・レテリエ監督、マーク・ラファロ主演のマーベル・シネマティック・ユニバース一篇として「インクレディブル・ハルク」の続編が観たい!ハルク自体は少なくとも実写映画では主役よりもそこからちょっと引いた位置にいた方が輝くキャラクターだと思うんだけど、こんな楽しい映画見せられたら期待しちゃうよね。極上のエンターテインメント。超オススメ!
 

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*1:途中あることが起きてもなんとなく死者はいない、といういい意味での予測がついた

*2:実際はルブランのルパン(三世の祖父)と違ってルパン三世は殺しの世界でもトップを争う凄腕なのだが、現在のアニメなどでは「盗んでも殺しはしない」キャラとなっているようだ