The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

小覇王の選ぶSF映画ベストテン!


ラズチャック・ラフネックスにようこそ!
 もう11月かよ!今年はいつにもまして時の過ぎるのが早く感じるな!
 というわけで年末が近づくと色々とその年のベストが発表されます。当ブログでも映画のベストに加え、例年「アクションヒロインベストテン」などやっておりますが、それらの先駆けとなるのがワッシュさん(id:washburn1975)の恒例のベスト企画です。今年はSF!

SF映画ベストテン - 男の魂に火をつけろ! 〜SF映画ベストテン受付中〜

 普段観る映画もSFといえるものが多いですし、大画面大音量の劇場で観るにふさわしい作品がSFには多いです。これは願ったりかなったりだぜ!
 と思ったものの、よく考えるとこれが意外と難しい。と言うのはSFというのはかなり大きなジャンルなのですな。怪獣映画もファンタジーもアメコミスーパーヒーローも大概はSFに数えられます。現代を舞台にしたアクション映画でも例えばジョン・ウーの「フェイス/オフ」などはかなりSFちっくな設定が下敷きにあるのでSFとしてしまっても決して間違いではないでしょう*1
 なのでかなり広い作品群がそこには含まれていて、10作選ぶとなるとこれがかなり難しい。それでも5つぐらいは比較的簡単に出るのだけれど。
 そこでとりあえず自分の側で例によって少し枷をつけてみた。まずは「センス・オブ・ワンダー」。SFというと現実ではまだ不可能な物を見せてくれるジャンル。普通に生きてきたのでは味わえないような感覚や、これまで持っていたこちらの価値観を揺さぶられるような作品を重要視してみました。
 そしてもうひとつは過去にホラーや続編のベストなどでSF映画といえるものも選んでいますが、既に過去のベストテン企画で選ばれた作品にはちょっとご遠慮願おうか、ということ。これはもし僕のベストを参考にする人がいたのならなるべく幅広く観てほしいから過去にすでに選んだ作品は今回は外そうかな、と(もちろん例外といえるものもあり)。それでも十分偏った作品選択にはなるだろうけど。
 それでは以下SF映画ベストテンです。

  1. スターシップ・トゥルーパーズ(1997年、ポール・バーホーベン監督・米)
  2. 猿の惑星(1966年、フランクリン・J・シャトナー監督・米)
  3. トランスフォーマー ザ・ムービー(1986年、ネルソン・シン監督・米)
  4. マトリックス(1999年、ラリー&アンディ・ウォシャウスキー監督・米)
  5. ロボコップ(1987年、ポール・バーホーベン監督・米)
  6. ゴジラ(1954年、本多猪四郎監督・日)
  7. 第9地区(2009年、ニール・ブロムカンプ監督・南アフリカニュージーランド
  8. 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編(1981年、富野喜幸(現富野由悠季)監督・日)
  9. バーバレラ(1968年、ロジェ・ヴァディム監督・米)
  10. スタートレック(1979年、ロバート・ワイズ監督・米)

 うん、意外とメジャーばっかりですね。年代のバランス的には結構とれているかな。そして自分でも意外なことにスピルバーグスターウォーズもない!それでは作品ごとに簡単な解説。

スターシップ・トゥルーパーズ

スターシップ・トゥルーパーズ [Blu-ray]

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 ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」の映画化!原作は右翼的愛国主義とパワードスーツという2つの要素で日本でも知名度の高い作品だったけど、エド・ニューマイヤー脚本、フィル・ティペットのSFX、そしてポール・バーホーベンの監督という「ロボコップ」同様の最強の布陣で挑んだ一作。日本のファンが楽しみにしていたパワードスーツ要素は全面カットしたがその代わりバイオレンス描写が爆発。バグとの戦いで機動歩兵の腕がもがれ首が吹っ飛ぶ。対する地球連邦軍の作戦は叫んで突撃!繰り返すほどに犠牲は増えるのだった!
 「ロボコップ」でもおなじみの大げさなCMが劇中に頻繁に差し込まれ、現実を笑いものにする。普通に見ればこれが決して右翼的なプロパガンダではなく、むしろそれらを笑い飛ばしたものだと分かるはずだが、公開当時はそういう理由で毛嫌いした人も結構いた。単なる宇宙人でもなく人類とは全く異なる生態、価値観の生物との全面戦争というものを正面から描いた脳を揺さぶられる怪作。

 映画はもう原作とは別に続編が作られ、予算は一作目には及ばないものの、2作目は密室SFホラー、そして3作目でやっとパワードスーツも登場。その他フルCGによるTVシリーズや外伝も作られた。

 動画は3作目から。地球連邦軍の総司令官が歌い未来の地球で大ヒットした「今日は死に日和」!
 君も軍に志願して連邦市民になろう!
 

猿の惑星

 ピエール・ブールの原作を映画化した超有名作。宇宙飛行士が不時着した惑星は人間が言葉も喋れぬ原始人で類人猿が言葉や文化を持ち人間を狩る猿の惑星だった!
 価値観の転倒、ということではこれ以上にない傑作。元々は第二次大戦時に日本軍の捕虜経験がある原作者ブールの体験を元にしていて猿とは日本人のこと、ともいわれているが映画化されたそれは明らかにアメリカ国内の人種差別を象徴していた。それまでに作られた最も優れた白人と黒人の関係を描いた作品とまで言われた傑作。人気を博し直接の続編が4作、アニメとドラマのTVシリーズ、そしてリメイク作が2作作られた。以前の「続編映画ベスト」の方では「猿の惑星 征服」をランクインさせました。詳しくは以前書いた記事の方などで。

「猿の惑星 創世記」の黙示録

こちらはリメイクというか「地球が猿の惑星になるまで」描いた2011年版の感想だけど前半部分でシリーズについてもかなり長めに書きました。現在「猿の惑星 創世記」の続編が製作中!

猿は猿を殺さない(嘘です)!

トランスフォーマー ザ・ムービー

トランスフォーマー ザ・ムービー [DVD]

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 2007年以降スティーブン・スピルバーグ制作、マイケル・ベイ監督による実写映画版も作られ、現在4作目が製作中の人気シリーズの原点。日本のタカラのトイ、ダイアクロンミクロマンを元にアメリカで設定をこしらえ制作発売されたおもちゃ、トランスフォーマーシリーズとそのTVアニメ版。そして「闘え!超ロボット生命体トランスフォーマー」と「トランスフォーマー2010」を埋める物語として作られた映画版が本作(アメリカでは同じTVシリーズのシーズン1、2とシーズン3(2010)の間を埋める物語)。
 西暦2005年を舞台に進路上にある惑星を食らいながら前進する星帝ユニクロンセイバートロン星にせまる。一方セイバートロン星の奪還を目論む正義のサイバトロンと悪のデストロンの戦いも続いており、総司令官コンボイは破壊大帝メガトロンとの直接対決に勝利するも息絶える。受け継がれたリーダーのマトリクスは新しい若きサイバトロン戦士に託された。一方敗れたメガトロンはユニクロンによって新破壊大帝ガルバトロンとして生まれ変わる。サイバトロンはセイバートロン星を、そして宇宙をユニクロンの魔の手から救うことができるのか!?
 惑星サイズのトランスフォーマーユニクロン(おそらくモデルは「ファンタスティック・フォー」のギャラクタス)という途方も無い相手を敵キャラに迎え東映が潤沢な予算の元精密かつダイナミックな動画で度肝を抜いた。日本では劇場公開はされず(代わりに発売されたのがファミコンソフトの「コンボイの謎」)子どもたちをやきもきさせたが、ウィットに富んだセリフと大胆な動き、娯楽要素満載ながらほのかに神話性を漂わせる作品でなんでこれが公開されなかったんだと思う作品。日本語版ももちろん素晴らしいのだが、オリジナルの声優も豪華で、ホットロディマスにジャド・ネルソン、ガルバトロンレナード・ニモイ、そしてユニクロンにはなんとあのオーソン・ウェルズ(これが遺作)!スタン・ブッシュの歌う主題歌「THE TOUCH」は「ブギーナイツ」の中でマーク・ウォールバーグも歌ってた。

バーウィップグラーナ・ウィーピニボーン?バーウィップグラーナ・ウィーピニボーン!
 

マトリックス

 それまでもブッダを演じたりして分かる人は分かっていたが、僕らのキアヌ・リーブスが救世主であることを全世界に知らしめた大ヒット作。現実は現実ではなく、平凡な毎日を送っているこの現実は本当は仮想だったのである!
 ランディ(現ラナ)とアンディのウォシャウスキー兄弟が監督作2作目にして全世界の度肝を抜いた傑作アクション映画。ウィリアム・ギブソンや日本の「攻殻機動隊」などの影響を受けつつ、それでも独自のアクション映画として新機軸を開いた。救世主として覚醒した主人公ネオは仮想世界の物理を凌駕し、空を飛ぶ!続編が2篇とアニメーションやゲームによる外伝も作られたが、正直一作目には遠く及ばなかった。なんとなく書いていて思ったが、「パシフィック・リム」のがっかり感は3作目で完結編の「マトリックス・レボリューションズ」を見終わった時の感想に近いかも。やっぱりただ激しくドンパチやればいいってわけでもないのですよ。
 レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの主題歌「Wake Up」も作品を象徴していて素晴らしかった。

 目覚めろ!
 

ロボコップ

 一位の「スターシップ・トゥルーパーズ」の制作陣が作ったバイオレンスヒーロー映画。オランダからやってきたポール・バーホーベンのアメリカ進出第一弾であり世界中にばら撒いた血塗れの名刺でもある。ロボコップのデザインは東映の「宇宙刑事ギャバン」のデザインが許可のもと参考されている。マーフィーには多分にキリストのイメージが投影されその悲劇性が強調される。ロボコップ誕生のきっかけとなるオムニ社のヤンエグ、ミゲル・フェラー(後アメリカ副大統領)や凶悪犯罪者クラレンスも見どころ。
 来年あたりにリメイク版が公開されますね。大分デザインがスタイリッシュになっているようだけど。果たしてオリジナルを超えられるか。

「君の名前は?」
「マーフィー」
 

ゴジラ

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ(昭和29年度作品)

【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ(昭和29年度作品)

 我が国を代表する怪獣映画といえばやはりこれ。いま見ても全く飽きない物語とキャラクターと社会性。「七人の侍」とともに日本映画の黄金期1954年を代表する一本。
 図らずも核や放射能の問題は未だ解決を見ず、むしろ根はいよいよ深くなっているようなところも。無駄なところが全くない、ある意味完全な映画といえば僕はこの「ゴジラ」がまっさきに思い浮かびます。現在アメリカで夢よもう一度、新しい「GODZILLA」が製作中。さてどうなることでしょうか。

  

第9地区

第9地区 [Blu-ray]

第9地区 [Blu-ray]

 今回のランキングの中では一番最近の作品。南アフリカヨハネスブルグ上空にやってきた巨大宇宙船の中にはたくさんのエイリアンが乗っていた!行き先をなくした彼らは宇宙船の下にある第9地区で生活しているが南アフリカの人間との軋轢も大きい。エイリアンを新しい第10地区に移住させる計画の責任者となったヴィカス・ファン・デ・メルヴェはクリストファーと名乗るエイリアンの家探しをした際謎の液体を浴びてしまう。やがて彼の身体には変化が訪れて・・・
 「猿の惑星」がアメリカの人種問題を象徴していたのなら、こちらは南アフリカ共和国アパルトヘイトを象徴したような物語。最初は劇中のヴィカス同様エイリアンに共感を示すのは難しいけれど物語の進行とともにきちんと感情移入できるようになっていく展開は見事。また物語だけでなくヴィジュアル・センスも素晴らしく、まさに「センス・オブ・ワンダー」といえるような作品。 

 

機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編

 日本のアニメにおける革命的な作品といえば「機動戦士ガンダム」ですね。その劇場版の3作目。ジオン公国が地球連邦に独立戦争を挑んで数ヶ月。人類の半分が死にいたり人々は自らの行為に恐怖した。サイド7に住む少年アムロ・レイはジオンの強襲のさなか父親の開発した連邦のモビルスーツガンダムに乗ることで否応なく戦争に参加することになる・・・
「めぐりあい宇宙編」では再び宇宙に戦場が移り、サイド6、ソロモン、ア・バオア・クーとTVシリーズ後半の出来事が描かれる。TVシリーズの方では病気で参加できなかった安彦良和作画監督としてフル参戦したことで作画の出来はTVとは比べ物にならないくらいクオリティーがアップ。そして一部物語もTVシリーズとは変わることで作品世界の設定に深みが増し、また続編(Zガンダム)への含みを残しシリーズが続く可能性を高めた。

 後にアフレコをやり直したバージョン(一部音楽も)も発売されたがやはり個人的には最初のバージョンが至高。最後のエンディングに至る音楽の入り方が違うと印象がかなり変わってくるので注意されたし。
 

バーバレラ

バーバレラ [Blu-ray]

バーバレラ [Blu-ray]

 監督と女優が夫婦の場合、監督がただひたすら自分の奥さんを魅力的に撮る、という作品があるがその最たるもの。とにかくジェーン・フォンダが可愛くエロい。以上!

エロい!
 
 

スタートレック

スター・トレック オリジナル・クルー劇場版BOX (7枚組) [Blu-ray]

スター・トレック オリジナル・クルー劇場版BOX (7枚組) [Blu-ray]

 僕の一番大好きなSFTVドラマ「スタートレック」シリーズの最初の映画版。シリーズから選ぶことは一番最初に決めていたのだが、どれを選ぶかでは少し迷いました。最新の「スター・トレック イントゥ・ダークネス」にするか、それとも娯楽性の高い「カーンの逆襲」か。最初に劇場で観た「ファースト・コンタクト」にするか、など。でもやはりロバート・ワイズ監督の格調高い1作目にしましょう。物語自体は元々TVシリーズとして作られる予定だった「スタートレック フェイズⅡ」のものが流用され、更にそれは「宇宙大作戦」の「超小型宇宙船ノーマッドの謎」と似ており、公開当時はSFアクションを期待していた向きには不評だったのですが今は特にそういうこともありません。また坊主美人ということでは東の夏目雅子、西のパーシス・カンバータと並び称される(と言うか僕が勝手にそう呼んでいる)パーシス・カンバータが演じたデルタ人アイリーア中尉の神秘的な美貌も見どころ。

 今回は映画作品に限るということなので選びませんでしたが、まあ本当はスタートレックから一本選ぶなら映画シリーズではなくTVシリーズから選びたいところですね。TNGの「浮遊機械都市ボーグ」やDS9の「あの頂をめざせ」「夢、遙かなる地にて」などおすすめエピソードはたくさんあります。

暗き過去からの復讐 スター・トレック イントゥ・ダークネス 感想とも解説ともつかぬなにか

スター・トレック イントゥ・ダークネス」の感想ですがシリーズ全体についても触れています。
 
 今回はいわゆるスペースオペラサイエンス・フィクションとしての作品が殆どでいわゆるファンタジー作品はありません。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどファンタジー作品も通常SFとして扱うことが多いですが、今回は除外しました。ファンタジー色の強い作品はいずれそういうランキングが作られてそこで燦然と輝くことでしょう。また「スターウォーズ」が一作もありませんね。個人的にはスターウォーズももちろん好きなのですが、そこまでのめり込む程ではないのです。やはりどちらかと言えばスタートレックの方を優先したいですね。前回の記事の「ロッキー・ホラー・ショー」や去年のホラーの方でベストになった「ゾンビ」「マッドマックス」などもSF作品と言えないこともないですが、やはりちょっと違う気もします(「エイリアン」は入れるかどうかかなり迷いましたが)。後はアメコミなどスーパーヒーロー系も今回は除外。あの系列はそれだけでランキング作ったほうが面白いかなー。
 もちろんこのランキング外の作品でも好きな者はいっぱいあります。このランキングはあくまで2013年11月現時点でのSF映画ランキングです。映画観る際のご参考になれば。

昨年のホラー映画ベストはこちら!

小覇王の選ぶホラー映画ベストテン!


総員撤退!

*1:もっともあの作品は元々未来を舞台にした物語だったのをジョン・ウーが現代を舞台にしたのだという