浦沢招来! 仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム
というわけであいも変わらず長いこのタイトル「仮面ライダー✕仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム」を観てきたのであります。去年の「MOVIE大戦MEGAMAX」からもう一年か、と年々月日の経つのが早く感じますね。坂本浩一監督作品です。
「仮面ライダーディケイド」と「仮面ライダーW」のクロスオーバーから始まる、正直それほど出来のよくなかったこのシリーズも「MEGAMAX」で一大転換。それぞれのシリーズのいいところを取り入れた上で盛り上がるシリーズになって来た。やはりディケイドだとパラレルワールドという形でのつながりだったのがW以降は多少矛盾しながらも同じ世界観でのつながりになったのが大きかったんではないだろうか。
とはいえ少し不安だったのも確かで、「スーパーヒーロー大戦」は散々な出来(もう早めに言っちゃいますが今年のワースト1です)、それに続くフォーゼ夏の映画もゲストキャラクターが多すぎたためかちょっとテンポは落ち、なおかつTVの方ではフォーゼの後の新ライダー「仮面ライダーウィザード」がいまいち個人的に乗りきれてない。そんな状態で「アルティメイタム」を迎えたのでかなり不安ではあったのだ。ましてや今度はイナズマンにポワトリン、さらにアクマイザー3までリニューアルされて出てくるとなると一体どうなるんだろうか?という不安は拭いきれなかった。でも、公開直前になったら「マッドマックス2」風の装甲タンカーの映像が出てきて一気に興味が増幅されたのだった。そして完成されたそれは怪作ではあるが、力強いパワーに満ちた作品だった。
物語 仮面ライダーフォーゼ
弦太郎たちが学園と地球の平和を守ってから5年後。新・天ノ川高校の新任教師となった弦太朗は1年の担任教師に。クラスには超能力を使う生徒がいて、そのリーダー風田三郎は自分たちが新人類でありその実力を示すため、宇宙ステーションからの帰還船を爆破すると宣言。その帰還船には宇宙飛行士となったユウキが乗っているのだ。風田たちの裏で糸を引いているのは番場という男。彼こそが謎の存在と手を組み超能力者を利用しているヘラクレス・ゾディアーツだった!今やインターポール捜査官となった流星とともにかつての仮面ライダー部員を招集し敵地に乗り込む弦太郎。フォーゼはユウキをそして自分の教え子たちを救うことが出来るのか!
フォーゼ編は驚きの5年後設定。オリジナルビデオとかで絶対弦ちゃんたちの卒業エピソードをやると思っていたのでちょっとショックだったのだが、まだ希望はありそうだ(後述)。それぞれ自分の道を歩んでおり、流星は夏の映画で知り合った同門のインガとともにインターポールの捜査官に。美雨はファッションモデル、大文字はアメフトのプロプレイヤー。Jkは雑誌記者になり、友子はファンタジー作家としてベストセラーを出版。賢吾は大学で研究、ユウキは史上最年少宇宙飛行士に、そして弦ちゃんはなんと教師として再び天ノ川学院に舞い戻っていた(名前が新・天ノ川高校と代わり校長はかつて特別補修を担当していた佐竹(ラムネ!))!今や1人しかいないが「宇宙仮面ライダー部」の顧問も務め、生徒からも「弦ちゃん」と呼ばれ親しまれている。とはいえ先生というより友達として見られているようで、「真のティーチャー」になるにはまだまだ道は遠い、といったところ。
弦ちゃんの受け持つ1年A組には超能を持った少年少女がいてそのリーダーが風田三郎、つまり原作におけるイナズマンというわけですな。ちなみに僕はTVの方の「イナズマン」は見たことはないのだけれど、石ノ森章太郎の原作はちょこっと読んだことある。キカイダーなんかが出演したりしていたものだ。今回のイナズマンは石ノ森チックというか、他人と違うために虐げられたものの悲しみみたいなものが、強調されていてTVの方は知らないが原作の精神は生かされていると思う。デザインはTVのものの現代風と言うよりは原作デザインの実写化という感じで艶かしいヌーディーなもの。もちろんサナギマンも出てきます(というか事前の時点ではサナギマンは出てくるけどイナズマンも出るの?どうなの?という感じだったけれども)。イナズマン風田三郎自体はまあ普通の高校生といった風貌なんだけれども彼と一緒にいる3人の高校生が可愛い女子に巨漢と小兵というメリハリの効いた組み合わせで中々個性的。特に女子(小巻瑠美)役の山谷花純はアクション(といっても超能力という設定なので相手のリアクションに合わせてキメキメのポーズを取るだけなんだけど)は美雨の凛々しさとセットになっていて良かった。
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もう一つ見所は弦ちゃんが逃亡した三郎を追っていわゆるパルクール(「007カジノ・ロワイヤル」冒頭でボンドが見せてくれたヤツ)な追跡劇を繰り広げるところ。どこまで本人たちがやってるのか分からないが(少なくとも弦太郎の方は福士蒼汰くんがほとんどやっているよう)、変身後のプロのアクションだけでなくこういう生身部分でも素晴らしいアクション(それも物語にきちんと準じたもの)を見せてくれるのが坂本監督の強みだと思う。
仮面ライダー部の面々は夏の単独映画に比べると添え物感は否めないがそれなりに見せ場を作ってくれて特に友子はゴスっ娘要素は消えてしまったようだが、流星とはうまく行っているようで何より。現役の部員は足立梨花演じる大木美代子。この人も原作イナズマンからのネーミングですね。ところで足立梨花って以前「ゲゲゲの女房」とかに出てたよなあ、結構芸歴長い印象だなあ、とか思ってたらやっぱり弦ちゃん初めとした初代仮面ライダー部の面々より年齢は上だそうです。こういうところが役者は面白いね。その他アンガールズ田中の大杉先生や長澤奈央演じる宇津木先生も登場。長澤奈央も短いながらアクション見せてくれます。
物語は弦ちゃんが三郎を説得するためフォーゼドライバーを溶鉱炉に投入、三郎がサナギマンからイナズマンに超力招来しヘラクレスゾディアーツを倒す。なするとそこに黒幕であるアクマイザーのイール(イビル)が登場。ユウキの乗っている帰還船を狙うがその窮地を救ったのは仮面ライダーなでしこことSOLUだった!全然関係ないがこの間、真野恵里菜の握手会に遭遇して僕は握手会に並んだわけではないがその様子を見ていて、とても可愛かったですよ!
そして弦太郎と流星、なでしこの三人はイールを追って5年前の世界へ・・・
物語 仮面ライダーウィザード
現在。誘拐されたゲートを探してアクマイザーと出会った晴人と凛子、瞬平の三人はアンダーワールドへ。そこでは美少女仮面ポワトリンという謎のヒロインがご近所の平和を守っていた。繰り返されるポワトリンの誕生日。そしてポワトリンの正体、上村優こそがゲートだと判明する。優のアンダーワールドを強力日するため誘拐された4人の子どもたちと出会い、優を目覚めさせ現実へ引き戻そうとするが、優は現実より自分がヒーローでイられるアンダーワールドを選択。邪魔させまいとガーラ(ガブラ)が現れ、ウィザードと戦う。果たして晴人は優を目覚めさせることが出来るのか?!
ウィザード編でフューチャーされるのは驚きの「美少女仮面ポワトリン」。そして更におどろくべきことにここから先は「脚本・浦沢義雄」です*1!浦沢義雄と言えばそのシュールで何でもありな作風が特徴。最近では「海賊戦隊ゴーカイジャー」でジェラシットという名キャラクターを生み出した。以前も書いたけれど、この人はアニメ「忍たま乱太郎」のメインライターもやっていたりするのだけれど(そういえば三池監督の実写版「忍たま乱太郎」も脚本は浦沢義雄なんだよね、まだ見てないけど)、やはりその芸風が生きるのは最初から物理的な制約が少ないアニメより現実ではありえないことを映像化する実写特撮。今回は当然「ポワトリン」のTVシリーズのメインライターだったということで起用されたのだろう。雑誌などで彼のインタビューを読んだのだが、自分の作品を見返したりすることはほとんどなく、設定なども忘れてしまうらしい。その自分の作品に対する執着の無さにある意味びっくりしてしまうのだが、その思い入れの無さが彼の場合良い方向に作用するのだろう。誰もが驚く大オチについても人選自体は彼が選んだわけではないそうだが他の人ならもっとウェットな感じになっていたのではないだろうか(比較的ドライな終わり方をするのも彼の作風)。
「ポワトリン」自体は1990年放送とのことなのでリアルタイムで見ていてもおかしくないのだがそこはやはり女子向けという感じで僕は見ていなかった。なので存在は知っていたが細かいことは不明。一応「ロボット8ちゃん」から始まる、「東映不思議コメディー」シリーズ(「どきんちょ!ネムリン」までは見てたことを覚えてる)で「魔法少女ちゅうかなぱいぱい!」から路線変更した3作目、とのこと。
今回は上村優と名前を変え、冴えない日常に絶望したとある人物のアンダーワールドでの姿という設定。現実世界での出来事ではない。演じているのは入来茉里というショートカットの似合う美少女。テレビで活躍する芹那に似た感じの人ですね。
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物語 ムービー大戦アルティメイタム
すべてはアクマ族のアクマイザーのしわざだった!地上の人類を滅ぼすために装甲車に上村優を拉致するザタン(ザビタン)率いるアクマイザー。5年前に戻り高校生の弦太郎からフォーゼドライバーを一時的に拝借した弦ちゃん、流星、なでしこが晴人に合流。更に現実世界でコヨミを救った火野映司こと仮面ライダーオーズが4つのライダーリングを4人の少年にはめることで、W、アクセル、オーズ、バースが揃い踏み。ここに8人ライダー対アクマイザーの一大決戦が始まった!
前作で「宇宙鉄人キョーダイン」を悪役にしてしまったことについてはやはり、批判もあったようでぼくはそれほど思い入れが無かったため特になんとも思わなかったがやはり好きな人にはダメ!という人もいたのだろう。一方「アクマイザー3」の方は再放送で見ていて、それなりに思い入れがある作品である。だから夏映画に引き続き「昔のヒーローキャラクターが悪役として登場」と聞いてそれがアクマイザー3と聞いた時は確かに不安だった。ただ、アクマイザーの設定は要するにアニメの「デビルマン」と一緒で人間の味方をした怪人、という設定なので「もし、そのまま人間の味方にならなければ」というIf設定だと思えばいいのかもしれない。それぞれザビタン=ザタン、イビル=イール、ガブラ=ガーラと名を変え登場。デザインはTVシリーズのものを基にしつつ、現代風というかフィギュアのS.I.Cシリーズのような感じ。イールの声は関智一、ガーラは三ツ矢雄二が担当。で、僕は事前に情報を知らなかったのでザタンの声をデーモン閣下がやっているとは知らなくて、「大塚芳忠さんに似てるけどちょっと違うな、誰かな」などと思いながら見ていた。デーモン閣下といえばその昔1989年の「バットマン」でジョーカー=ジャック・ニコルソンの声を担当していてそれは今でもオフィシャルなのでソフトとかには収録されているのだけれど、正直これはあまりうまくなかった。当時は「同じ悪魔的なものを感じる」とか言っていたのだが個人的には(悪魔としての)デーモン閣下とジョーカーは似て非なるもの、だと思うのだがあの頃に比べると今回は違和感は感じなかった。全然話は変わるがTBSは早くジョーカーの声を大平透さんがあてた「バットマン」を放送してください。永久保存版にするんで。
そのような経緯で前回のキョーダインの悪役化に比べると今回はびしっとスジの一本通った設定変更に思えた。
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CMを見てアドレナリンが上がった装甲車バトルは明らかに「マッドマックス2」のクライマックスがモデル。登場人物が全員素顔なし、というのが残念だったがこちらは中々の見せ場。そして最後のクライマックスへと続く。ただ、個人的にはラストのCGバトルはもう少し抑制の効いたもののほうが良かったかなあ。
伏線自体は色々と貼ってあって後から、なるほど〜と思う描写も多い。簡単なところでは5年前(というか現代)でアクマイザーにとらわれる4人の少年少女は後の怪人同盟風田三郎たちである。と言うことはここで爽やかに終わってもこの少年たちには今後5年間苦しい時代が待っていることに・・・この辺もドライな終わり方をする浦沢脚本らしいところ*2。タイムスリップ物の要素もあるということで写真なんかの要素は面白かったがもう少し話の中に取り込めれば更に良かったと思う。
まあ、でも最後は全てをひっくり返す、大オチが待っていますがね。いや、あのオチは最高ですよ!
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ところで、「スーパーヒーロー大戦2」やるみたいですね。最後に予告編が流れました。「ギャバンを絶対に許さない」とかいうセリフの時点で大いなる不安を抱かざるをえないのだけど・・・今度はギャバンもですか。いや多分観に行くとは思うんだけれど…ね。