The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

より強力になった消耗する漢の魂! エクスペンダブルズ2

When God said, "Let there be light", Chuck Norris said, "say please."
(神が「光あれ」と言ったところ、チャック・ノリスに「『お願いします』だろ?」と怒られた)

 この世には「Chuck Norris Facts(チャック・ノリスの真実)」というジョークがある。「ドラゴンへの道」や「地獄のヒーロー」などで知られる、アメリカのアクション俳優チャック・ノリスのその特異なキャラクターからリスペクトを込めて語られる彼を題材にしたジョーク群である。Wikipediaの当該項目に詳細に(異様なまでに充実している)記されているのでぜひ一度読んでほしい。冒頭に掲げたのはその中でも、シンプルにして一番わかり易いものとして僕が大好きなチャック・ノリス・ファクトの一つ。そしてそんな伝説的アクションスター、チャック・ノリスが満を持してあの消耗品軍団に加わった!シルベスター・スタローンが制作したアクションスター大集合映画の第2弾「エクスペンダブルズ2」を鑑賞。

 このアメリカ版のポスターを見ていると・・・

 なんとなく、このポスターを思いだしますね。
 前作の感想はこちら。

漢の魂を消耗せよ! エクスペンダブルズ

 前作はスライが脚本と監督も兼任したが、今回は脚本も監督も別に任せている。そのためかどうかほぼ物語などあってないようだった前作に比べ程よくドラマ性も増している。味方側のキャラクターはミッキー・ロークを除いて続投。ただ、ジェット・リーが序盤で(死亡するわけではなく)退場したりちょっと歪な出来ではある(絶対クライマックスで戻ってくると思ったよね!)。それでもその歪さがむしろ魅力となるような作品。今回は前回カメオ出演だったアーノルド・シュワルツェネッガーブルース・ウィリスがクライマックスで大活躍する他、先述のチャック・ノリスデウス・エクス・マキナ、あるいはワイルドカードとして場をさらう。そして前回はオファーがあったのに出演を断ったというジャン=クロード・ヴァン・ダムが敵の親玉として登場。さらに80〜90年代のラージャー・ザン・ライフなアクション映画の雄が揃った。
 監督はアクションとドラマが適度に融合した作品を撮るサイモン・ウェスト。僕が劇場で見たのだとアンジェリーナ・ジョリー姐さんの「トゥーム・レイダー」が有名かなあ。近々ニコラス・ケイジ主演の「ゲットバック」という作品も公開されますね。

 もう完全に役者と役柄の区別も曖昧な自己経歴のパロディも満載で、シュワは「溶鉱炉に落とすぞ」とか言われるし、あのちょっとハンサムなリチャード・キール状態だったドルフ・ラングレンは「フルブライト留学生としてMITに留学」というドル自身の経歴がそのままガンナーの設定に突如として反映されたりもう完全なカオス状態。その極みがやはりチャック・ノリスで彼は孤高の一匹狼傭兵として「続・夕陽のガンマン」のテーマ曲とともに登場。敵に囲まれたスライたちをたった一人で救い出し、ジョークをつぶやく。

Stalone: "I heard another rumor that you were bitten by a King Cobra?"
(スタローン 「俺はアンタがキングコブラに噛まれたと噂で聞いたが?」
Chuck Norris: "yeah I was, but after 5 days of agonizing pain...the cobra died"
チャック・ノリス 「ああ、その通りだ、5日間もがき苦しんだ後に...コブラは死んだ」)

 もうこの辺で完全に持っていかれましたね。笑いとスプラッタとアクションをこれでもかとつぎ込んだ結果全てが過剰すぎてこっちの耐久力もいい感じに消耗される。それに前作の時点ではいまいち知名度的に劣る部分があったランディ・クートゥアテリー・クルーズもいい感じにキャラがこなれてきて馴染んでいる。それでは適当に見所を。
 冒頭はネパールの武装組織に囚われた中国人の金持ちを救い出す任務に精を出すエクスペンダブルズ。もう、隠密行動とかなるべく犠牲者は出さずに、とかいう観念はゼロでDIY感満載なお手製ジープで堂々正面から乗り込み、視界に入るものは(入らなくても)全員ぶち殺す(しかも大概身体から血が溢れる)。それぞれ軽口を叩きながら活躍する。またこのミッションの後半で活躍するのが新人のスナイパー。彼はクリス・ヘムスワースのロキじゃない方の弟、リアム・ヘムスワース。「ハンガー・ゲーム」では田舎でくすぶっていたここでは大活躍。スライに見込まれ先輩たちに囲まれて嬉々として走りだしたりするのだった。未来のアクションスターとして前途有望かと思われたが・・・
 ヒロインとして登場するのはCIAのエージェントであるブルース・ウィリスのテコ入れで加入したマギー・チャン(役名)。演じるのはマギー・チャンではなくユー・ナン(余男)という中国出身の人。角度と表情によってセクシーな美人の時とちょっとブサイクに見える時の差が激しい。関係ないけど漢字のイメージからすると女性の名前に「男」の文字を使うのは変な気がするんだけどどうなんだろう。以前「新・少林寺」を見た時も女の子の名前に「男」が使われていてちょっと不思議に思ったことがある。彼女に対してはブルース・ウィリスが「もし彼女を少しでも傷つけたらお前ら全員ただじゃ置かねえぞ」みたいなことをいうので実はウィリスの恋人、とかいう展開かなーと思ったのだが違いましたね。そういう展開だったら面白かったのになー。
 アクションスターの若手代表はジェイソン・ステイサムで、前回に引きつづきスライの相棒的ポジション。またすっかり忘れていたし、誰も気にしていないかもしれないがステイサムの彼女として登場したカリズマ・カーペンターも引き続き登場。前作のDVに苦しむ痛々しい姿とは違って今回は明るい美女ぶりを発揮しておられます。そのステイサムが一番格好いいのは中盤のウクライナの村で司祭の格好をしたまま戦闘をするシーンが抜群に格好いい。僕はそれほどステイサムのアクション映画を見ていないのでこのシーンに近い描写が過去作品ですでにあるのかどうか分からないが、もしまだならこのヴィジュアルと戦闘スタイルを元にしたアクション映画を一本作って欲しいと思うくらい。
 敵の親玉を演じるヴァンダムはサングラスを取った時のちょっと異様なぐらいの眼差しが怖い。しかし結果悪役として美味しいところをさらっている。
 シュワとウィリスはクライマックスの銃撃戦ではフル参戦するのだがここでも「ダイ・ハード」でお馴染みの「イピカイエー」が飛び出したりウィリスがシュワに「おまえは『また戻る』って言いすぎだ」というなど現実と映画の区別が渾然一体。
 今回は比較的ドラマもしっかりしていたし、暗いところでのアクションが多くてよく分からなかった前作に比べると明るいところでのアクションが多くて楽しめた。

 今回は吹き替え版で鑑賞。そもそもここに登場しているスターたちの作品の多くはTV放映の吹き替えで楽しんだ。また今回はオールスター映画にふさわしく吹き替え陣もそれぞれのフィックスと言ってもいいキャスト。スライはささきいさお*1だし、シュワは玄田哲章。ヴァンダムは山寺宏一、etcといったこちらもオールスター、豪華な吹き替えを劇場で見れるのはまたとないチャンスである。
 さて、気が早いが続編を妄想してみよう。早速観た人の間では次はあの人を加えて欲しい、といった感想が飛び交っている。ただ、この「エクスペンダブルズ」シリーズの雰囲気ってアクション映画の中でも独特な雰囲気で誰でも合う、という感じはしない。例えばハリソン・フォードキアヌ・リーブスなんかはアクション映画の傑作に出ているけれどあんまりエクスペンダブルズな感じではない。この辺言葉にするのは難しいのだけれど、なんとなく分かってもらえると思う。そう考えると、まだ出ていない大物俳優で雰囲気も合致するのはスティーブン・セガールウェズリー・スナイプスマイケル・ビーン辺りかなあ、と思う*2。個人的にはハルク・ホーガンとかこの上なくエクスペンダブルズな匂いがするけどね。最近のスターではロック様はそれっぽいかな。
 そして今回は敵役ということで最期は死んでしまうヴァンダムだが、ヴァンダムといえば双子!もしくはクローン!ということでいずれかの設定で次回作にも又出ていただきましょう。敵役といえば前回の(筋肉的)ラスボスのストーンコールド・スティーブ・オースティンも全身サイボーグになったとか適当な理由つけて再登場して欲しい。
 ヴァンダムとストーンコールドと言えばどうせならロブ・ヴァン・ダムも出るといいですね。そしてHHHやジョン・シナも・・・と言ってるうちにどうせならプロレスラーのオールスターで映画作ればいいのに、とか思ってしまいました!
 
 ラストも「チャック・ノリス・ファクト」で〆!

With Chuck Norris in The Expendables 2, they wanted to change the title to The Invincibles, but Chuck Norris said no, because Chuck Norris loves irony.
チャック・ノリスを得た彼らは、『エクスペンダブルズ2』から『インヴィンシブルズ』へとタイトルの変更を望んだ。しかし、チャック・ノリスはノーと言った、チャック・ノリスは皮肉を愛するからだ)

チャック・ノリス アクション DVD-BOX

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*1:個人的にスライの声はささきいさお、ただしロッキー・バルボアだけは羽佐間道夫という感じ

*2:メル・ギブソンリーサル・ウェポンの頃はともかく今となっては違う気がするなあ