The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

英雄たちの伝説の始まり アベンジャーズ

 興奮絶頂!というわけで2回目を吹き替え版で「アベンジャーズ」観てきました。うん、これは楽しい映画だ。とはいえ、実は感想的なものは前回の感想でほぼ言っちゃってるんだよね。細かいことは置いといてとにかく「格好いい」。とにかく「楽しい」。まあそれだけでも何なので過去の自分のアベンジャーズ関連記事同様、キャラクターごとに書いていこうと思う。

物語

 アスガルドから姿を消したロキが謎の勢力チタウリと結託、地球に侵攻しその支配権を得る代わりにコズミックキューブをチタウリに渡す密約だ。
 シールドの基地にある研究所。そこではセルヴィグ教授によってコズミックキューブの研究が行われていたが突然キューブのエネルギーが増大し次元の扉が開く。そして出てきたロキはセルヴィグ教授やシールドのエージェントクリント・バートンを洗脳するとキューブを強奪し姿を消した。
 地球の危機を察知したシールド長官は「チーム」を結成する必要を痛感する。フィル・コールソン捜査官はアークリアクターで電力を賄うスタークタワーを建設したアイアンマン=トニー・スターク、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフはインドに隠れていたブルース・バナー=ハルクを。そしてフューリー自身は70年の眠りから覚めたキャプテン・アメリカスティーブ・ロジャースをそれぞれ説得。
 キューブの力を開放するためのイリヂウムを求めてドイツへ行ったロキは人々を圧倒するがそこに現れたキャプテン・アメリカとアイアンマンの前に敗れ連行される。しかしその時雷鳴が鳴り響き雷神ソーが現れアスガルドに連れ帰るべくロキを奪う。アイアンマンとソーが激突!
 個性の強すぎる各メンバーはそれぞれ一筋縄ではいかないがやがてロキの真の目的も判明する。彼らは団結することができるのか。そして世界は救われるのか?

 まず驚くべきことに、パンフレットによると「アイアンマン2」「インクレディブル・ハルク」「マイティ・ソー」の一連の事件がわずか一週間以内に起きた出来事、ということ。この辺は「アベンジャーズ」の前日譚、各映画の出来事をフューリーの視点から見た*1「The Avengers Prelude:Fury's Big Week」というコミックスで描かれているようです。

アイ・アム・アイアンマン (ShoPro Books)

アイ・アム・アイアンマン (ShoPro Books)

Marvel's The Avengers Prelude

Marvel's The Avengers Prelude

 それでは各キャラクターごとに。でもその前にここに至る経緯を簡単に。ご存知のようにアメリカンコミックスの多くはキャラクターの権利が作家でなく出版社に帰属します。それ自体がもたらす諸問題もあるのだけどここでは置いといてスパイダーマンならマーベルコミックスバットマンならDCコミックス、それぞれの出版社が権利を保持することによって成立したのが「一つの出版社から出る作品は同じ世界観を共有している」というもの。マーベルユニバースとかDCユニバースとか呼ばれる世界ですね。それによって全く出自の違うヒーローが共演したりします。宇宙人であるスーパーマンと常人であるバットマンが対等の立場でタッグを組んだりする。それで、X-MENで始まった話がファンタスティック・フォーを経てキャプテン・アメリカで終わる、などといった展開が起きたりします。クロスオーバーという作劇法ですね。
 で、ここまでがコミックスの話。マーベルコミックスは実写映画に置いてはそれぞれのキャラクターを個別に各映画会社に映画化権を売っていました。X-MENなら20世紀FOXスパイダーマンならソニーと言う具合に。当然、映画の中では他のヒーローが登場したりすることはなく一つ一つが独立した世界観になる。この点対照的なのがDCコミックスで、結局実現はマーベルに先を越されましたがDCコミックスは会社自体がタイム・ワーナーの子会社なので必然的に映画化はすべてワーナー・ブラザーズということになります。
 そして、これではイカン!と思ったマーベルが作ったのが自前の映画製作会社マーベルスタジオ。ここが幾つかの作品制作に携わった後、満を持して「アイアンマン」で完全自前の映画作品を作ったわけですね。これによって映画におけるマーベルユニバースが実現して今回の「アベンジャーズ」に至るわけです。
 今回のアベンジャーズでなにが感動的かというと、まずコミックスのキャラクターがほぼコミックス通りのいでたちで活躍し、しかもそれが全然安っぽくないということです。例えば「X-MEN」シリーズはマーベルの映画化の転機になった名作だけどコスチュームは原作に忠実とはいえずバットマン以来の黒っぽいラバースーツ風に変えられ、ウルヴァリンは結局マスクを被ることは無かった。比較的ダークヒーロー系はうまくアレンジしていたけれど原色のコスチュームで忠実だったのは星条旗カラーの文字通り全身タイツのスパイダーマンぐらいか。それが(ハルクは別としても)アイアンマン、ソー、そしてキャプテン・アメリカと原作のビジュアルに比較的忠実な映像化が実現したのは凄い嬉しかった。
 それでは行くよ!アベンジャーズ!アッセンブル!

アイアンマン

 本名トニー・スターク。ご存知ヒゲの社長。今回はアークリアクターを電力源とした、スタークタワーを建設。仕様スーツは前半が前回出てきた胸のマークが三角のマーク6で後半が再び丸に戻したマーク7。最初のマーク1の無骨さがウソのように歩きながらスーツを脱いだり、マーク7に至っては完全に自動。想定の400%のダメージを受けても平気。
 演じるのはもはや安定のロバート・ダウニーJr。プレイボーイぶりこそ鳴りを潜めたが皮肉屋は健在。キャップに「スーツを取ったら何が残る?」と嫌味を言われても顔色変えず「天才、金持ち、プレイボーイってとこかな」と言い返すところは堂に入っている。スーツの下のTシャツはブラック・サバス(「IRONMAN」)なのに自身のテーマ曲はAC/DCの「SHOOT TO THRILL」。ヒーローの中では最も古くからアベンジャーズ計画に関わりながら一歩引いて見つめている人物でシールドのキューブを兵器に転用する計画を最初に気づいたのもこの人。キャップとの絡みは多いがあんまりお父さん(ハワード・スターク)の話題は出なかったね。
 アイアンマンの登場人物としてはグウィネス・パルトロウ演じるペッパー・ポッツがメインではないけれど登場。こういうちょっとずつ馴染みのキャラクターが出てくると世界観のつながってることが実感できるね。
 

キャプテン・アメリカ

 本名スティーブ・ロジャース第二次世界大戦中に誕生した超人兵士。ヒドラの兵器とともに北極で冷凍状態だったが70年ぶりに復活。ほぼ軍隊という狭い世界にいたせいか、それほどカルチャーギャップを感じている様子はない。言っても70年間寝っぱなしの状態なので実年齢はメンバーの中でも一番若いぐらいなのだが、その生真面目ぶりと実績から必然的にリーダーの立場に。ヒーローとしての出自からも性格的にもアイアンマン=トニー・スタークとは水と油。前作ではショー用のコスチュームとそれを元にしたちょっとミリタリー風なコスチュームが登場したが今回はよりヒーロー然とした新規コスチューム(デザインはコールソン!)。本人も「いや、あの格好は古いでしょ」と言っていたがコールソンの「今は古いスタイルのほうがみんな安心するんだ」の一言で着用。盾はおそらく一緒に凍ってたビブラニウム製のもの(アイアンマン2でトニーが水平を保つのに使ったのはやはりコピーだと思われます)。
 キャプテン・アメリカとしての復帰第一弾はドイツで70年前は敵対していたのに今回はドイツ市民を救うために戦うのは皮肉か本望か。
 超科学の申し子だが彼自身が科学に詳しいわけではなくトニーとバナー博士の会話にはついていけず、シールドの立入禁止場所に潜入する際も力づくで扉を開けるのだった。
 実際に現代に馴染むのは単独主演第2弾での話か。

ソー

 アスガルドの雷神。オーディンの息子。「マイティー・ソー」では虹の橋ビフロストが壊れてしまい、地球(他8つの世界)への行き来はできなくなったが。不肖の弟ロキを連れ帰るべくオーディンより片道のパワーだけはなんとかなった模様(帰り道はキューブのパワーを使う予定)。当初は雷とともに現れさっそうとロキをさらって帰る予定だったがアイアンマンたちと激突、またキューブがないので仕方がなくシールドに合流した。ロキのことを悪く言われて「弟だぞ!」と文句を言うが「彼は大量に殺してる(70人だったか)」と言われたら途端に「養子だ」とトーンダウンするヘタレっぷりも披露。以前よりは多少考えるようになっているが基本的には考えるより先に動くタイプで今回も早速ロキにしてやられた。完全に親兄弟の絆を断ち切ったロキに比べて最初はあくまで兄としての立場から慈悲を持ってロキを連れ帰ろうとしていたが、後半はさすがに本気を出した。
 登場した時のノースリーブスタイルは女性へのサービス、ではなくおそらくロキ捕縛という任務に対して本気を出さないためのパワーをセーブした状態なのだろう。ロキを弟ではなく一個の敵とみなした後は完全なパワーを発揮するため前回の姿へと戻る。
 今回は最初からソーとしての力を発揮するためムジョルニアも本領発揮。ぶん回して投げつける。直接ぶっ叩く。天に掲げて雷を呼ぶと多彩な使用方法が見られる。
 ほぼ一人、全く科学的な話についていけず。地球での恋人ジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマンが写真で出演)は安全のためシールドの計らいでノルウェーの研究所に行ったそうである。
 演じたのは引き続きクリス・ヘムスワース。金髪ロンゲと人懐っこい笑顔が特徴的。

ハルク

 本名ブルース・バナー。「インクレディブル・ハルク」の後インドで密かに医療行為を行なっていたがその様子はずっとシールドに監視されていた模様。最初はハルクとしてではなくあくまでガンマ線の専門家としてキューブから発するガンマ線を探知する役割を背負っていたが、シールドはハルク対策もしていたようである。実はロキの狙いは彼を暴れさせて各ヒーローを仲違いさせること。実際最初の変身では大暴れするが、二度目はバナー博士としての意識をある程度保ったまま変身(ちょっとなぜそうなったのかはよくわからない)、その怪力で縦横無尽の活躍をした。
 ご存知のようにバナー役は「インクレディブル・ハルク」のエドワード・ノートンからマーク・ラファロに変更。それに伴いハルクの容姿もちょっとさらさら髪の優男風だったハルクから短髪ゴリラ顔に変更。しかしこれがコミックスの印象に近く、なおかつユーモラスになっているため、過去の二作のハルク映画作品に比べて今回が一番うまくハルクを描いていると言われているのは周知の通り。特に後半のNYでの戦闘では大活躍しながらユーモアを一手に引き受けている感があり、共闘した後唐突にソーをぶちのめしたり、調子に乗ってるロキをビタンビタンと打ち付けて「神にしちゃあ大したことないな」と言ったり行動のすべてが面白い。キャップがそれぞれのメンバーに指示を出す時にオチ的に「ハルク、・・・暴れろ(スマッシュ)!」と言うのもいい。とにかく過去の実績不良ぶりがウソのように絶好調なハルクが観れる。
 中の人が毎回変わることで不運続きなハルクだが、今回はマーク・ラファロモーションキャプチャーで変身後のハルクも演じている(インクレディブル・ハルクでは動きもアニメーションで、アン・リー版ではアン・リー監督自身がモーションキャプチャーでハルクを演じてたそうです)。とは言え実はその昔のTVシリーズ「超人ハルク」以来ハルクの声に関してはルー・フェリグノがほぼ一貫して演じているのである。
 

ブラック・ウィドウ

 本名ナターシャ・ロマノフ*2アベンジャーズの紅一点。「アイアンマン2」でトニー・スタークの秘書(のちペッパーの秘書)として登場した後は再びシールドのエージェントに戻った模様。今回はバナー博士の説得やロキとの対談など心理戦も見せつつ最後はやはり戦闘でもプロフェッショナルなところを発揮。
 収監されたロキとの対談ではさながら「羊たちの沈黙」のレクターとクラリスと言ったところだが(そういえばロキの義父であるオーディンハンニバル・レクターことアンソニー・ホプキンス(今回は出てない)であったな)、最終的にナターシャがロキを出し抜くところがクラリスより一枚も二枚も上手なところか。ただ、彼女はここでは決してウソの経歴を述べているわけではないと思う。本当の所を述べつつそれさえもロキから証言を引き出す手段にしているところが彼女のプロたる所以なのだな。
 演じるのはスカーレット・ヨハンソン。髪も若干短くなりよりスタイリッシュに(しかしマーベルのヒロインは赤毛が多いな。スタン・リーの趣味だろうか)。前回はあくまで脇役だったが今回は堂々主役の一人としてその存在感を見せつける。
 日本語吹き替え版で彼女を演じたのは米倉涼子で「アイアンマン2」から代わっている。いわゆるタレント吹き替えで今回タレント吹き替えに当たる3人の中では一番最後まで違和感が残ったのであった。なんといってもブラック・ウィドウは「アイアンマン2」から続いているし。メインキャラなので台詞も多い。別に米倉涼子が悪いとは言わないがせめて後述のマリア・ヒルにしておけば新キャラだからシリーズのつながりが切断されることもないし、マリア・ヒルは出番はそれほど多くないながら強い印象を残すキャラなので誰も損しなかったと思うので返す返すも残念。
 

ホークアイ

 本名クリント・バートン。「マイティ・ソー」ではシールド基地に侵入したソーを狙い撃ちにしようとしてほんの少し登場。今回はセルヴィグ教授の護衛役としてついていた(本人曰く「近くにいるより遠いほうが全体を見渡せる」)。ロキの登場によって洗脳されてしまい組織の編成(シールドに敵対するものを彼の顔で統合した模様)、ドイツにおけるイリジウム強奪やシールドのヘリキャリアーを襲撃したりした。その弓の腕前はマーベル世界一で矢の種類も多種多様。USBプラグを付けた矢をコンピューターに向けて放ったりする(受けた側のコンピューターが衝撃で壊れる気もするが有無を言わせぬ格好良さ)。いちいち専用の弓をポーズを付けて展開するのも格好いい。洗脳が解けた後半はそのスキルを発揮して主に援護射撃で大活躍。別に弓以外使えないわけではないだろうが、接近戦でも弓矢で戦うさまはこだわりを感じる。過去にナターシャとは色々合った模様。
 演じるのは最近活躍が目覚しいジェレミー・レナー。軍人とか諜報員とかばっかりの気もするが一応ホークアイもそれらに連なる役どころ。今回はマスクは付けないが(専用コスチュームはあるよ)意外と原作に近いかマスクが似合うと思うので次は是非。日本語吹き替え版は雨上がり決死隊宮迫博之。「マイティ・ソー」ではほんの一瞬だったので声優が変わった事による違和感は無し。普通にうまくて今回の中では一番の成功だろう。
 

ニック・フューリー

 シールドの司令官。一見ワンマン司令官ぽいが上からは責められ、下は問題児だらけで結構大変な中間管理職であることが判明した。彼はあくまでアベンジャーズを結成する人であってメンバーではない。
 予告編ではさっそうとバズーカを放つ姿が印象的だが実はこれ、もうNYはダメだ、と思った上層部が核を打ち込もうとしてその司令を受けた戦闘機を撃ち落とすのが目的なのだな。うーん相変わらず核の描写が甘いなあ。ただシールドはキューブを使って新兵器の開発をしたりしており、それが原因でヒーローたちの不信を買ったりする。
 演じるのはこれまでのシリーズでちょっとづつ出演してきたサミュエル・L・ジャクソン。勿論今回が一番出番が多くてそして例によって演説も。日本語吹き替え版は竹中直人で最初から彼ならまあ悪くはないがやはり違和感があるが徐々に慣れていく感じ。吹き替えキャストでは竹中直人米倉涼子宮迫博之の順でクレジットが出てくるのはやっぱりなんか違うなーと思ってしまう。
 

マリア・ヒル

 今回初登場のシールドの副司令。情熱的なブラック・ウィドウに比べて常に冷静なクール・ビューティーという感じ。とは言え実はアクションもあり実質ヘリキャリアの指揮も取る出番は短いながら印象に残る役。演じているのはコビー・スマルダーズという人で僕はこれが初めてだが今後人気出そう。先述した通りは初登場のキャラであるし、どちらかと言えば冷静にしゃべるタイプなのでこちらを米倉涼子がやれば良かったのに、と思う。
 

フィル・コールソン

 みんな大好きコールソン捜査官。「アイアンマン」と「マイティ・ソー」でヒーローとシールドのつなぎ役として大活躍。「Strategic Homeland Intervention, Enforcement, and Logistics Division.戦略国土調停補強配備局」という長い名前を「S.H.I.E.L.D.」と略称を考えたのは彼の偉大なる功績。実は映画オリジナルのキャラクターでしかしその人気からコミックスに逆輸入された。
 今回はアイアンマンを呼び出し、キャップの新コスチュームをデザインし(!)、そしてその生命を持ってヒーローたちを団結させるきっかけになった。元々キャプテン・アメリカの大ファンでヴィンテージ物のキャップトレーディングカードを持っていた。するとやはり「アイアンマン2」でトニーが新元素開発のために水平を保つためにキャップのシールド(おそらくコピー)を使ってた時に発した「これは?」は「キャップのシールドをなんてことに使ってるんだよ、コノヤロー!」ということだったのだな。
 演じるのはクラーク・グレッグで映画オリジナルということは彼のキャラクター人気のかなり多くの部分を彼の演技によっている。彼自身アメコミオタクであるようである意味ではヒーロー以上のヒーローを演じたのだから本望であろう。とはいえ彼の死に関しては劇中でははっきりしない部分も多く、もしかして・・・!*3
 

セルヴィグ博士

 「マイティ・ソー」でジェーン・フォスターの恩師として登場。そしてラストではロキに憑依されてたかのような描写も。シールドの研究所でコズミックキューブの研究をしているがやはりロキに洗脳されキューブを使って大きな次元の扉を開ける装置を開発。洗脳されてはいたが意識はあったそうで科学者としての倫理観のストッパーが外れた、という感じか。それでも良心は残っていて装置には安全装置をつけていた。
 演じるのはステラん・スカルスガルド。趣味はエンヤをかけながら女性を殺すこと・・・ではないけれど最近北欧絡みの映画ではよく見る。息子は長身イケメン俳優で(バトルシップ出てた)現在エレン・ペイジと交際しているとかいないとか。
 

ロキ

 アスガルドから姿を消した邪神ロキは別の次元に逃れそこで恐るべきチタウリと密約を交わした。彼らの軍隊を借りて地球を侵略し地球の支配者となる代わりにキューブをチタウリの「あのお方」に譲渡するのだ。「マイティ・ソー」では同情できる部分を多分に残しシェークスピア劇のごとく(劇中でも揶揄される。これは「マイティ・ソー」の監督ケネス・ブラナーシェークスピア俳優・演出家としても有名だからだが同時にトム・ヒドルストン自身もシェークスピア俳優である)複雑なキャラクターだったが今回はそこ(狡猾さと悲劇)に更なる要素、傲慢とヘタレが加わって悪役ながら憎めないキャラクターとなった。
 ドイツに出現した時のスーツ姿が格好良くともに育った兄弟でもファッションのセンスはぜんぜん違うんだねー。もっとこの姿のロキも見たかったよ。そして本来ハルク用だった牢獄(?)に収監されるがソーをうまくあしらって(というかここではソーが猪突猛進すぎるw)脱出。しかしコールソンを死に至らしめることで全員の怒りを買い、結果として団結したアベンジャーズにやられるのだった。
 悪役としては唯一顔のあるキャラクターでその分、悪の魅力を一身に背負っている。とはいえ強いだけでなくどこか抜けていてユーモアも多い。特にトニーとの会話や、神として傲慢に振舞った後ハルクにビタンビタンとたたきつけられ呆然とする様が楽しい。僕は今回のロキを見て「トランスフォーマー」シリーズ(アニメのいわゆるG1)のスタースクリームを思い出した。日本語版のスタースクリームは美形でありながらどこか間が抜けていてしかしその自信過剰ぶりや毎回親玉(破壊大帝メガトロン)に取って代わろう、という行動などがとてつもなく複雑で魅力的なキャラである。今回のロキは実写版「トランスフォーマー」のスタースクリームよりスタースクリーム感満載だった。もちろん前回述べた通り悪役として「荒野の七人」のカルベラっとも似ている。悪役ではあるが彼自身も「アベンジャーズ」の主役の一人と言って申し分ないだろう。
 演じるのはトム・ヒドルストン。格好いいけどちょっとお間抜けででもそこがいいよ!
 

チタウリ

 異次元の戦闘種族。ロキの書いた作戦に手を貸して地球を侵略しキューブを狙う。物語を通してその軍隊以外には登場せずほぼロキが前面に出ているが一応悪の黒幕。僕は原作ではチタウリをよく知らないがこれは「アルティメッツ」(仕切り直しされたマーベル世界におけるアベンジャーズ)に出てくる敵集団で、本来のマーベル世界では「スクラル」に相当するらしい。スクラルは緑色の爬虫類っぽい顔立ちの戦闘種族で宇宙の列強の一つでもある。変身する事ができて地球の要人に化けていたこともある。ただ、今回の映画に出てくるのは一人を除いて個人の意志があるのかは不明でもっぱら兵隊アリのような印象が強い。予告編で強い印象を残す巨大な蛇のようなものも含めてロボットなのか生命体なのか(実際はその中間と言ったところか)不明。
 というわけで地球の脅威でありながら全体的に印象の薄いチタウリだが、最後の最後にやってくれた!劇中で何度か登場する「あのお方」がラストに登場。紫色のゴリラのようなルックスのあの人は・・・そう!サノスである。一大クロスオーバー「インフィニティ・ガントレット」でアベンジャーズのみならず結集したヒーローたちを蹴散らしたおそらくマーベル最強の悪役。ドズルとギレンとガルマが合体したような壮大な悪役である(娘はキシリア似)。この悪役が登場するということは来るべき「アベンジャーズ2」ではより壮大な(アスガルドの神々とはまた別の)マーベルの神々(ギャラクタスとかウォッチャーとか)が登場する話になるかもしれないと期待に胸がふくらむ!
 

スタン・リー

 マーベルマスター、スタン・リーはすべてが終わった後のNYでテレビの取材に答えて「ニューヨークにスーパーヒーローだって?そんな馬鹿なことあるか」とうそぶく老人として登場。もちろんこんなセリフもNYを舞台に数々のヒーローを送り出したスタン・リーだから成立する一大ギャグ。
 ところで今回「アベンジャーズ」においてはあんまり現実世界の出来事を反映したある種政治的な見方はしたくなかったが、ラストのNYの光景は当然911の時のNYがモデルだろう。NYに拠点を持ちNYをホームグラウンドにするヒーローが多いマーベルならではともいえる。

 
 予告編でも一番盛り上がるヒーローたちがそれぞれ背中を預けながらカメラがグルっと一回転して彼らを映すシーンは劇中ではスコアも手伝って予告篇以上に盛り上がる。このシーンは脚本ではもう少しおとなしめだったけれど現場で盛り上げてケレン味を追加したそうだ。何がヒーローを盛り上げるかよくわかってる!今回素晴らしいのはこれだけのキャラクターが登場しながら全員好きになれてさらにそこからイチオシのキャラを見つけることができることだろう。僕は(もちろん全員好きなのを大前提にして)ソーとハルク!

Avengers Assemble

Avengers Assemble

Ost: Avengers

Ost: Avengers

 
 さて、気は早いが続編の話題。とはいえ「アイアンマン3」に関しては来年のGW公開だそうだからもう撮影は始まっているのかな。ヴィランはおそらくマンダリン(10個の魔法の指輪を操る悪役で1作目に出てきたゲリラ組織「テンリングス」にその名を残す。当然関係してるはずである)で日本でもその頃は魔法の指輪を使うヒーロー「仮面ライダーウィザード」が活躍して日米魔法の指輪対決となるか?!そしてキャプテン・アメリカは「ザ・ウィンター・ソルジャー」が、ソーは「ザ・ダーク・ワールド」がそれぞれ作られる予定。前者では現代に復帰したキャップの本格的な活動だけでなくかつての相方バッキーも復活するとかしないとか!そして新キャラクター「アントマン」も噂だけは散々あったけどやっと映画化される模様。監督はエドガー・ライト
 でも、今回「アベンジャーズ」を見た人は思うのはマーク・ラファロ主演で単独ハルク映画を!ということではないかなあ。僕も彼主演で改めてハルクの映画が観たい!
 そして、再び2015年に「アベンジャーズ2」が公開!・・・という噂なのだけれどそう順調に行ったら素晴らしい。もちろん他のマーベル映画もあるしまだまだマーベルユニバースは終わらない!

*1:アイアンマンの時もシールド視点のコミックスありましたね

*2:以前ロシア人の名前は男性か女性かで苗字が変わり本来なら「ロマノフ」でなく「ロマノワ」が正しい、と書いたがナターシャはロシア出身であっても現在はアメリカ人かも知れないし、パンフレットその他の公式でロマノフになってるのでそのまま記します

*3:アベンジャーズ2」ではビジョンというコールソンそっくりのアンドロイドが登場するらしいよ。みなまで言うな!