The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

孤高の幻獣ハンター ハンター

 南半球の世界というと体感的には余り馴染みは無いのだが映画、という側面で見るとオーストラリアはメル・ギブソンラッセル・クロウ、最近はヒュー・ジャックマンクリス・ヘムズワースといったスターを生み出したところ。他にも「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマンだったりニコール・キッドマンだったり。一方ニュージーランドは最近めまぐるしく活躍しておりピーター・ジャクソンの活躍で一躍注目されている。ロケ地としての利用も多く日本であるはずの「ラスト・サムライ」もロケ地はニュージーランド。その他最近観た「デビルズ・ダブル」の監督リー・タマホリニュージーランドの先住民マオリの出身。マオリはボバ・フェットやストームトルーパーの遺伝子を生んだ民族でもある。

 さて、今回観た「ハンター」。宣伝とかは地味だったのだがそれこそ地味に評判が良かったので上映終了近くになって急いで観に行ったのであった。舞台はオーストラリアのタスマニア島タスマニアというとイメージとしてはTRPGや小説などでお馴染みの「ロードス島戦記」の暗黒の島マーモ(の位置)。また、ただでさえ独特なオーストラリアの生態系の中でも「タスマニア・◯◯」といった更に独自な生物が存在するイメージ。

物語

 フリーランスのハンター、マーティンに来た依頼はバイオテクノロジー企業レッドリーフからのもの。タスマニアにて1936年に絶滅したタスマニアタイガーを捕獲し生体組織を採取すること。目撃条件がありレッドリーフが独占的に遺伝子を所有するためには最後の一匹と思われるそれを見つけ、サンプルを取った後絶滅させなければいけない。マーティンは大学のタスマニアデビルの研究者を装いタスマニア島に降り立つ。拠点となる宿は電気もなく管理人は体調不良の母親ルーシーと子供たちだけ。
 ルーシーの夫で子供たちの父親であるジャルは環境保護運動家で地元の伐採を生業とする労働者たちと揉めて数ヶ月前に森の中で消息を絶ったという。数日森に篭っては降りてくる、という生活を続けたマーティンはやがて一家と親しくなっていくが・・・

「ハンター」というと最近だとWWEスーパースター、トリプルHの正式リングネーム(本名ではない)がハンター・ハースト・ヘルムズリーだったり冨樫義博の漫画「HUNTER X HUNTER」が最初に思い浮かぶのだけれど(そういえばスティーブ・マックイーンにも「ハンター」というタイトルの映画がありましたな)僕の場合英語でHUNTERといった場合賞金稼ぎ=バウンティハンターのほうが先にきてあんまり猟師の方はイメージしない。この作品を「HUNTER X HUNTER」風にいうならさしづめ「幻獣ハンター」といったところだろうか。
 タスマニアを舞台にした映画というとずっと昔にTVで見た「タスマニア物語」という邦画があって、要するに「北の国から」とか「オレゴンから愛」とかの都会の子供が田舎で揉まれて成長する系の話*1だと思ったけれど、アレの最後でしょぼいストップモーションアニメのタスマニアタイガーが出てきたように記憶する。前半身と後ろ半身で別物のような模様のある不思議な有袋類だ。
 良い評判は聞いてたものの特に事前に内容をチェックすることもなくウィレム・デフォーが出ててタスマニアタイガーが出てくる、位の知識で観に行った。映画は始まってから終わるまで一定の調子で特に大きく盛り上がることもなく淡々としているが不思議と緊張感が持続する独特のテンポで描かれていた。事前の予想ではずっとタスマニアの森にこもりっぱなしなのかな、と思っていたのだがそんなんことはなく、定期的に麓に降りてくるのが良かったと思う。
 また、ウィレム・デフォー以外のキャストは誰が出てくるか全く知らなかったので、サム・ニールとフランシス・オコナーが出てきた時は嬉しくなってしまった。意図せず好きな役者を見かけると嬉しいよね。サム・ニールはずっとオーストラリア出身だと思ってたのだがイギリス生まれニュージーランド育ちの人だったのね。この人を初めて意識したのは「ジュラシック・パーク」なのだがそこでの役柄よりも「ピアノ・レッスン」のほうが印象強く地元の有力者で外からやってきた主人公を邪魔する、という感じ。まあ「マウス・オブ・マッドネス」が彼の出演作では一番好きだが。デフォーとサム・ニールは「デイブレイカー」でも共演してましたね。一緒の画面に映ってたかは覚えてないけれど。
 フランシス・オコナーは「A.I.」のお母さんや「悪いことしましョ!」のヒロイン。およそ10年ぶりに見かけたけれど相変わらずキュート。アヒル口、というのとは少し違うけど口角が魅力的。
 デフォー演じるマーティンと親しくなる姉弟もキュートでヒッピーに育てられたっぽい雰囲気で天衣無縫ながら頭の良いところも見せてくれる。

 で、僕は映画を見ている最中ずっと勘違いしていたのだがタスマニアタイガータスマニアデビルは別物だったのですね。てっきりタイガーの別名というか俗称がデビルかと思っていたのだけどデビルは現存する生物で劇中でもマーティンが撃ったカンガルーに群がる黒いずんぐりした生物がタスマニアデビルですね。
映画ではタスマニアタイガーには独特の毒があってレッドリーフ社はその独占を狙っている。どこまで本当かわからないがそのために最後の一匹になっているタイガーを絶滅させなければいけない。この辺は多少SF的要素が入っている。ラストに出てくるタスマニアタイガーはCGなのかな、少し不自然ではあった(劇中で出てくる過去の映像としてのタスマニアタイガーは 見た目はそれほど恐ろしげでは無いのに口を大きく開けると童話とかに出てきそうな邪悪な狼という感じでそれなりに魅力的であった)。ちなみに先程からタイガーといっているがフクロオオカミといのが正式名称らしく後ろ半身に虎のような縞模様があるものの種類は有袋類でその名の通り狼に似ている。
 映画は地元のマーティンのタイガー探索と並行して家族との交流、そして地元労働者との軋轢が並行して描かれる。なかなか結果を出さないマーティンに会社が追手を差し向ける、なんて部分もある。でもあの結末はちょっと悲しかったかな。
 後はやはりタスマニア大自然が見所。実際にロケをして撮られているらしく風光明媚なだけでなく厳しさも実感させられ、その広大な自然の前には人間なんてちっぽけなものだと思わされる。 

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*1:僕はこういう話は全然ダメ受け付けない