The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

冬が来ないのは問題、かと言ってクールでもダメらしい

 今年最初の時事ネタ、というか産経ウォッチ。年が明けても相変わらずの産経クォリティです。

【書評】『誰も語れなかった沖縄の真実』惠隆之介著+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 書評です。元の書籍は読んでませんがこの書評だけでも充分読むに値しない本だということは分かります。まず色々と日本語がおかしい。

 沖縄の人は沖縄のことを何もかもワシントンまかせ、東京まかせにして自分たちは基地負担の過重を叫んでいれば優遇措置が幾重にももらえると思っているのかどうかについて、そうなってきた歴史を通観する著者の目は鋭い。

 はっきり言って意味不明です。でもこの一番の突っ込みどころは次の部分でしょう。

 まず、もともと冬がないから物の見方が一面的で、左翼教条主義に染まりやすいとの指摘が面白い。

 面白くないよ!そこは突っ込むところだろう!この論理が通用するなら赤道付近の国家はすべて共産主義国家ですし、僕なんて雪国生まれですが思想は左翼ですよ、ええ。大体、最初の社会主義国家がロシアに誕生したことをどう説明するつもりでしょう。「冬か夏かという問題ではない。季節の変化がないのが問題なのだ」ということだとしてもそんなことで左翼教条主義(というのもイマイチ意味不明だが)に染まりやすいなら、まずはデータを出せ、としか言えないです。

 つぎに、長く続いた尚王朝の圧制による自主性の消失と島津藩と清に両属する外交の歴史が沖縄人の心に大きく影響していると手厳しい。

 尚氏王朝が圧制を敷いた、というのはあんまり聞かないですね。勿論善政ばかりでもなかったでしょうけどそれはどの国、政体でも同じ事です。少なくとも同じ琉球人による王朝の支配が「自主性の消失」の原因なら日本だって「大和王朝の圧制による自主性の消失」とかいくらでも言えます。島津藩の支配とそれに続く明治政府、そして米軍が原因というならまだ分かりますが。そのへんはしっかり分けて島津藩以降には責任がないかのように書いてあります。

 最後に、著者は警告する。復帰後は日米双方からのご機嫌取りがあり、その過程でご機嫌取りに依存する勢力が肥大しているが、いま、日米双方に沖縄を見限ろうとする気持ちが生まれつつある、と。

 あー、ご機嫌取りですか。そう見るんだ。日米双方ねえ。アメリカはともかく日本は国内問題でしょうが、なんでそこでアメリカの味方をするんでしょうか。結局この手の問題では産経新聞などは沖縄を日本とみなしていないことが分かります。体の良い植民地か何かと思っているのでしょう。本州はじめとした日本政府が沖縄より上位に来る宗主国とでも勘違いしているのでしょう。でなければこんな発言は出来るはずが無いです。極端な話沖縄だけではありません。東北や北海道にも中央より差別されてきた歴史がありますが未だに愛国者様の中にはその手の意識が強い人も多く見受けられます。
 最後は書評ではなく20年前のアメリカの新聞からということになってますが、こんなの典型的な「もっと酷い待遇の人がいるんだから我慢しなさい」という非常に低レベルの話でしかありません。

【戯言戯画】荒川静香さん 「クール」は氷上だけにして - MSN産経ニュース

 僕は絶叫アナウンス嫌いです。個人的にはスポーツにはその人の技術だけを見たいです。背景やドラマは必要ありません。どんなに苦労して悲劇的なドラマを抱えてようが負ける時は負けます。負けた相手にだって当然家族やそれまでの人生を抱えています。解説者は冷静に解説に専念して欲しいので荒川さんの態度はむしろ賞賛に値します。数年前にTBSが世界陸上で非難を受けたことを忘れているのでしょうか。
 むしろ、ちょっと冷静な解説をしたぐらいで「血が通ってない」呼ばわりしてしまうこの記者のほうが冷酷に感じます。
 
 産経が政治的態度や特定の政党を支持する、と明言して偏向記事を書くこと自体は構わないと思ってます。ただしその場合は分かりやすく表明してくださいね。それでも嘘はいけません。

「虚偽報道による名誉毀損」で産経新聞社と同社記者を提訴しました: 辻元清美ブログ: つじともWEB
「コンドーム持っているでしょう」発言など 根拠のないデマと辻元議員、産経提訴 (1/2) : J-CASTニュース

 この記者は一部で有名な阿比留瑠比記者ですね。僕自身は辻本議員を支持はしませんがこういうデマは看過できませんね。ゴシップ誌だってもう少し取材するでしょうに。
 原発にしても米軍基地にしても必要だと思うならそう思う人が地元に呼べばいいんですよ。「自分のところには来るな。でも必要だからお前のところで何とかしろ」ではなんの説得力もありません。沖縄や福島は東京を守るための壁ではないのです。