The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

アイスアイスベイベー! ハッピー・フィート2 踊るペンギンレスキュー隊

 前作も見てないし、スルー予定だったのだけどdoyさんの記事を読んだら衝動的に観たくなって観てしまったのが「ハッピーフィート2 踊るペンギンレスキュー隊」。

 僕はペンギンという動物が野生の動物の中では一番好きなので多少気になってはいた。ちなみに2番目は猫で3番目がゴリラ。ただファンシーな可愛い動物というより動物界の孤高の高貴さを持つ生き物としてリスペクトしている。だからあんまりキャラクターよりなペンギンものは興味がわかなかった。
 でもdoyさんの記事で「ミュージカル部分やテーマがとても『glee』っぽい」と書いてあったので「これは見ねばなるまい」と思ったのだった。ちなみに2D吹き替え版で鑑賞。

物語

 南極。皇帝ペンギンの住む皇帝ランドでは今日も歌とダンスで賑わっていた。ダンスの得意なマンブルの息子エリックはなぜ踊らなくてはならないのか分からない。マンブルの友人アデリーペンギンのラモンを追ってアデリーランドへ着いたエリックはそこで空飛ぶスヴェンと出会う。マンブルはエリックを連れ帰るがそのころ皇帝ランドは氷山の衝突によって外に出られない孤立した状態になってしまっていた。マンブルはスヴェンたちに助けを求めるが・・

 前作を見ていないがマンブルが前作の主人公なのだな、というのは分かる。そして彼が成長して生まれたのがエリックというわけだ。世代交代しているので特に前作を見ていなくても問題ないと思う。歌の部分はオリジナルと既存の歌を両方使用。近頃の吹き替えでは嬉しいことに歌の部分もきちんと日本語で(と言っても時折英語交じり)歌ってくれるのが嬉しい。
 
 エリックの導師となるのは父親であるマンブルではなく空飛ぶペンギンマイティー・スヴェンである。彼は実はペンギンでないのだが空を飛びたい、というエリックを肯定する。てっきりスヴェンが悪者になるのかと思ったら決してそんなことにならない展開は見事。というかこの映画悪役が登場しないんですよ*1。全員良い人(ペンギンその他)でもスペクタクルだし盛り上がる。敵味方に別れなくてもキャラの個性(他人と違ってもいいんだ、というのはこの作品のテーマの一つでもあると思う)で十分物語のメリハリを付けられる。
 
 はじめマンブルが出てきた時幼鳥状態の姿と一緒だったので突然変異とかアルビノとかそういう設定が一応あるのかなと思ったりした。マンブルはエリックの「なぜ?」に言葉では答えられないがその行動をもって教えていく。まさに背中で語るタイプの父親ですな。
 
 映像はいわゆるデフォルメが効いたタイプではなくどちらかと言えばリアルな描写だろう。「ガフールの伝説」風か。リアルの極地は人間の描写で普通に実写。人間たちもノリがいい。
 
 で、ペンギンたちを表の主人公だとすれば裏の主人公がオキアミのウィルとビル。群れの中で生きることに疑問を持ちオキアミ史上初の自意識を持った個人ウィルと群れの中で埋没することを変に思わない常識派ビル。この二匹のオキアミが自分たちが他の動物のエサになる存在だと知り、様々な冒険をしながら一種の悟りを開く。ウィルは哲学者で冒険家。冒険という意味ではペンギンたちよりよほど主役級。
 
 楽曲ではクイーンが大きく取り上げられててセーターを着たラブレイス(イワトビペンギン?)がなぜかクイーンの「伝説のチャンピオン」で人間とコミュニケーションを取ったりする。そして最後は南極中を揺るがすクイーン&デヴィッド・ボウイの「アンダー・プレッシャー」の大合唱。これが従来の精神的な重圧、だけでなく文字通り氷山に圧力を加える、という意味で使われる。そして上部のペンギン(&ゾウアザラシ)の歌声&ダンスに反応して氷の下ではオキアミたちも呼応する。これが見事。そういや「アンダー・プレッシャー」をサンプリングしたヴァニラ・アイスの「Ice Ice Baby」なんてのもありましたね。

 

吹き替え

 今回は日本語吹き替え。事前に知ってたのは子役の鈴木福くんが出ているということだけ。エリックの声でよくあっていた。マンブルの声は劇団ひとりで前作からは変わっているようですね。劇団ひとりは「コラライン」の時も吹き替えていたけれどあの時は出番は少なくてしかし多少違和感は残ったのだが、今回は実にうまい。原語ではイライジャ・ウッドが当てています。そしてオキアミのウィルとビルはバナナマンの二人。設楽が冒険家ウィルを、日村がビルを演じている。こちらもうまいです。このオキアミたちは原語だとブラッド・ピットマット・デイモンなのだなあ。
 で、実はそんな芸人キャストが多かったのでてっきりラモンの声を当てているのはガレッジセールのゴリだとばかり思っていた。だってなぜかアデリーランドは琉球弁風なのだもの。実際は当てていたのは天下の山寺宏一でラブレイスも当てています。この二人原語でもロビン・ウィリアムスが一人で当てているんだね。スヴェンは山路和弘で「〜ざんす」でいかがわしさとカリスマ性を表現。
 
 実はこの映画、監督が「マッド・マックス」のジョージ・ミラーだったのですね!僕は全然知らなかったのだがそういえば映像には少し凄みがある。まあ「ベイブ」の人といえばそんなに違和感はないけれど。悪党こそいないけれどペンギンやゾウアザラシ、オキアミたちはただ楽園に生きてるわけではなく互いに食って食われる間柄。そのへんの緊張感は伝わっているように思う。
 でも早く「マッドマックス フューリーロード」撮りましょうよ!

ハッピー フィート [Blu-ray]

ハッピー フィート [Blu-ray]

*1:一応海鷲が悪役とは言えるのかな。ただ倒すべき敵とかでは全然ない)