The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ハンナと般若は似ているようで違う ハンナ

 ハンナというと個人的に一番最初に思い出すのはアメリカのアニメ製作会社「ハンナ=バーベラ」。名前の響きや作風から女性が創立者かと思ったら「ウィリアム・ハンナ」と「ジョゼフ・バーべラ」という男性二人組みによる創立であった。
 後はチャップリンの「独裁者」でチャップリン演じる独裁者と間違えられた床屋が最後に演説で語りかける床屋のチャーリーの恋人「ハンナ」。
 というわけで今後「ハンナ」といわれたら3番目に思いつくことになるであろう映画「ハンナ」」を観た。 

物語

 フィンランドの森の中で父親と二人きりで暮らしてきたハンナはあらゆるサバイバル技術や各国の言語を仕込まれて生きてきた。グリム童話父親の朗読する百科事典だけが外への接点だ。隔絶した外の世界と切り離された環境で16歳になったハンナは外へ興味を持ち始める。父親のエリックは「決心が付いたらこの装置のボタンを押せ」ととある装置を差し出す。ハンナが装置を押すとそれはCIAのマリッサ・ウィーグラーへとつながり、マリッサはエリックたちを追い始める。
 エリックは先に旅立つ。ベルリンのグリムの森で再会する事を誓って。一方ハンナはCIAに捕まりモロッコの地下基地に捕まるがマリッサ(の偽物を)殺して脱出、途中でイギリス人家族と知り合いながらベルリンを目指す旅が始まる。


 ストーリー的にはかなり適当。そもそもエリックが何をしたかったのかよく分からない。ハンナと幸せに暮らしたいのならなぜわざわざ敵に自分達の存在を知らせるようなことをしたのか?そもそもサバイバル技術等を教えて何がしたいのかよく分からない。
 設定上ゲーム「メタルギア・ソリッド」シリーズの影響を受けているように感じるが、特にモロッコの地下基地(研究所)からの脱出シーンで顕著。まあ、ああいうシチュエーションだとどうしても似てしまうのかもしれないが、研究員の一人がハンナに見つかり自らロッカーに入るシーンは絶対「MGS」だろう。少なくともこの研究員はゲームをやっているね!
 ハンナの出自に関わる設定もよく分からなくて妊娠中絶を望んでいた母親が胎児の遺伝子実験に参加したのに出産後脱出、ということらしいが途中で愛情に目覚めたのか。とにかく父親であるエリックに関する描写が弱い。説得力が無い。ちなみに父親を演じているのはエリック・バナで感情をあまり表に出さないけど感情的という感じの描写にいつ巨大化してハルクになるんじゃないかと思ってしまった。

ハンナ=シアーシャ・ローナン

 で、やっぱりこの映画はシアーシャ・ローナンですよ!この映画の撮影中に実際に16歳になったというシアーシャちゃんはほぼすっぴんでその透明な美少女振りを発揮しておられます。まあ、この子が暴れる映画ということで物語なんてあってないようなものかもしれない。
 途中、イギリス人の少女ソフィーに頼まれてスペイン男子達とデートに出かけるシーンで少しけばめのメイクをするが(ソフィーの趣味だと思われる)それ以外はほぼすっぴん。「ラブリー・ボーン」で見せた「普通の少女らしさ」とは別の「特別な少女っぽさ」を際立たせている。
 「ラブリー・ボーン」の時はその美少女ぶりに一目惚れしてしまったけれどアクションではなったのでアクション・ヒロインには選ばなかった。でも今年は文句なしにアクション・ヒロインのナンバーワンだね!

般若=ケイト・ブランシェット

 悪役となるCIAの職員を演じているのはケイト・ブランシェット。ケイトさんは顔つきは怖いがとてもかわいらしい部分もある人でこの人の演じる役は大きく4つに分類される。

  • 善で格好いいケイト
  • 善で可愛いケイト
  • 悪くて可愛いケイト
  • 悪くて怖いケイト

の4つ。で、今回は悪くて怖いケイトさんでした。「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」とかのケイトさんは悪いけどとても可愛かったのに。彼女がなぜそこまでしてエリックとハンナを狙うのかもよく分からない(半ば職務というより個人的にな動機のようだ)。あと彼女自身が直に追っ手となるならあの格好はないよなー。せめてパンプスとタイトスカートは止めたほうが。
 
 この作品、スタッフ・キャストのほとんどはイギリス・オーストラリア人。舞台こそヨーロッパ(&モロッコ)だがそのせいかあんまり英米の映画作品の感じがしない。欧州大陸風の香りがするから不思議だ。個人的な印象論でしかないが米英(最近はオーストラリア含む)のアクション映画は荒唐無稽だとしても地に足が付いているのに対して、大陸系はリアルな設定でもフワフワ宙に浮いている感じ。「ハンナ」は後者っぽかった。
 
 全体としてはそもそもの物語に無理を感じるし、ラストのオチもそれほど上手いとは思わないがこれはシアーシャちゃんを愛でる映画なのでこれでいいのだ。

ラブリーボーン Blu-ray【2枚組】

ラブリーボーン Blu-ray【2枚組】