どこでもありのまま カーズ2
ここ最近(でもないのだが)アメリカの3DCG長編アニメの出来はすばらしいものがある。去年の僕のベストには「トイ・ストーリー3」と「ヒックとドラゴン」が入っているし今年は「塔の上のラプンツェル」が素晴らしかった。勿論、ロバート・ゼメキスのリアルCG路線のようないまいちな作品もあるのだが、それでも概ね傑作ぞろいといっていいと思う。で、そのトップランナーといえばピクサー作品だが、そのピクサースタジオ25周年記念作品の「カーズ2」を観た。
実を言うとこの作品は最初観る予定ではなかった。まず、僕は前作、2006年の「カーズ」を見ていない。また、公開されてから聞こえてくる評価がけっしていいものばかりではなかったからだ。とはいえ前作を見ていなくても観に行きたいと思える要素もあって一つは我らがPerfumeの「ポリリズム」が楽曲の一つとしてジョン・ラセター監督直々の要望で採用された、ということと同時上映の短編が「トイ・ストーリー3」のその後で劇中でも高い人気を誇ったケン(とバービー)のその後を描いたものである、ということもあって観に行ったのだった。今回は2D吹き替えでの鑑賞。
ハワイアン・バケーション
冬休みのボニーの家族のハワイ旅行の情報を掴んだケンはバービーと一緒にボニーの幼稚園のバッグに潜り込む。しかしボニーは別のバッグを持っていってしまい。ケンとバービーはボニーの家に。落ち込むケンを見たウッディたちはケンとバービーのためにオリジナルのハワイアン・バケーションをプレゼントしようと試みるのだった。
わずか6分の短編ながらキャラクターの個性が生きていて楽しい一編。ウッディたちボニーに引き取られたおもちゃが幸せに暮らしているのが確認できるし、何と言ってもケンとバービーのその後が見れるというだけでこちらも幸せになってくる。季節をネタにした(冬なのにハワイ)オチも素晴らしい。「トイ・ストーリー3」は完璧な出来だったが、この軽い短編を見て終わりにするというのもまた良きことかな。
見たまえ、この満面の笑みを浮かべるケンとバービーを!
カーズ2
で本編の「カーズ2」。観る前にこのシリーズについて知っていたのは、どうやら意思を持った車の話、ということだけ。まあ、「きかんしゃトーマス」とか「チャギントン」とかと同じような系列の話かと思っていたのだ。見ると決めてからもあえて前作はチェックせず臨んだ(時間がなかったのもあるけれど)。
物語
太平洋上のとある油田基地。イギリスの諜報員フィン・マックミサイルが悪のザンダップ教授の企みを暴くため乗り込むが見つかってしまい九死に一生を得た。
アメリカ、ラジエーター・スプリングス。おんぼろレッカー車メーターの親友ライトニング・マックィーンが凱旋帰郷。友人や恋人とゆっくり過ごす予定だったがガソリンに代わる新燃料「アリノール」を使ったレースに参加することに。そして今度は親友のメーターも一緒についていくことになった。
最初のレースは東京。華やかな場でも変わらないメーターはマックィーンを困らせる。トイレでアメリカの諜報員とザンダップ一味の争いに巻き込まれたメーターはフィン・マックミサイルとその助手ホリーにアメリカの諜報員と間違われてしまう。次の日、レース中にホリーとの会話によってレースの邪魔をしてしまったメーターはそのままフィン・マックミサイルと行動を共にすることに。メーターとマックィーンの二人は再び仲を取り戻せるのか。そしてレースには大いなる陰謀が隠されていた・・・
面白かったです。冒頭から怒涛のスパイアクションでビックリ。また、完全に機械だけの世界で人間は存在しないんだね。てっきり「きかんしゃトーマス」みたいに補助役(?)の人間がいるものと思ってた。というかそうすると世界観的に色々と疑問は沸くんだけど(車の英国女王とかローマ法王とかいるんですよ!)、まあそれは無粋か。擬人化された車キャラのデザインがトーマスやチャギントンと違って(というと語弊があるが)かわいらしいというか日本人にもすんなり入り込めるデザインである。ライトじゃなくて窓を目にしてるからかな。
そして、物語はレースもさることながらむしろメインはスパイアクション。それを証明するかのように英国諜報部員フィン・マックミサイルの声はマイケル・ケイン(日本語版は大塚芳忠)があてている。マイケル・ケインは「諜報員ハリー・パーマー」シリーズでおなじみですね。そういえば「ダークナイト」の続編邦題が「ダークナイト・ライジング」に決定したみたいですね。監督は「ボーン」シリーズが好きだというし当然のことながらフィン・マックミサイルのキャラにはジェームズ・ボンドも入っているのだろう。てかボンドカーがそのままキャラクター化した感じ。
また、1作目の主人公マックィーンは実質脇に下がってメーターが主役である。僕は後でパンフを読んで知ったのだが1作目ではスパイ要素のない物語で明確にマックィーンが主役のようなのでそれで拒絶反応が起きた人も多かったのではないかと思われる。僕は1作目観てないので気にならなかったけど。
そのメーターなのだが、どこまで行ってもマイペース。そしてそのマイペースは普通の人と違っている。要するに「ハング・オーバー」シリーズのアランに似たキャラクター。こちらの機嫌の良い時や心に余裕があるときは面白い友人だが、少し余裕のない時にはこの上なくイラ付く存在でもある。本来ならそういうキャラは脇にいて輝くものだが、堂々と主役に据えている。だからメーターのキャラにのれるかどうかで作品自体の好き嫌いも決まってしまうのではないか。そのメーターの声(日本語)は芸人の山口智充だったのだが全然気にならなかった(というか最後までわからなかった)。
あと、どうやら、1作目は「変わること」がテーマで2作目では「変わらないこと」がテーマだそう。自分を見失わないように、でも状況によって上手く変化をつけること。それが重要なのだろう。
敵キャラたちの特性が欠陥車、というのは世界観(生まれるのか作られるのか)がよく分からないけどどうなんだろう、という気はする。あと、「トランスフォーマー」でチェルノブイリが出てきたり、今回は新燃料の話だったりとどうにも昨今の日本事情と被ったりしてこじつけして語ろうと思えば幾らでも出来るけれど、その辺の堅っ苦しい話題は避けます。
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Perfume
ここよりPerfumeタイム!
えー、先ほども述べたとおり「ポリリズム」が楽曲として使われているのですが、まあレース開催地の最初が東京でそこで流れるんだろうな、というのは予想通り。でもラスト、エンドクレジットできちんと流れたんですね!現在のところこれが吹き替え版だけなのか、あるいは日本限定なのか、それとも!全世界共通なのかはいまいち確認が取れていないのだけど、例えばこれまでの「007ワールド・イズ・ノット・イナフ」でLUNA SEAが、「バイオハザード」のどれかで倖田來未が、そして「エクスペンダブルズ」で長淵剛が主題歌を担当したりしたこともあったけどこれは日本公開版だけ。それに比べると実際に劇中で使われた音楽だし、違和感も無かったのでとても良かったと思う。まあ、当然ファンのひいき目もあるけどね!
これら一連のPerfumeの「カーズ2」CMや映像を是非、ソフト化の際には入れて欲しいです!
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