天皇って何代目?
今日一番のネタ。
記事自体は短いので全文引用します(またURL変えられてリンク切れになっても困るし)。
2011.6.6 16:14
枝野幸男官房長官は6日の参院決算委員会で、現在の天皇陛下が第何代なのかについて「知らない」と述べた。天皇陛下は初代神武天皇から数えて125代目にあたる。枝野氏は今年が皇紀何年(2671年)にあたるかも答えられなかった。山谷えり子氏(自民)に対する答弁。
お前は何を言っているんだ?*1
まあこれはあくまで枕で本筋は別にあり、実際の質問のメインはその後にあるようなのですが、知っていたからなんだというのでしょう?日本の天皇家の場合、125代といっても最初の方は実在したか不明です。一般に欠史八代とか言ったりしてとりあえず神話上のものだろう、といわれています。このブログでも何度か触れていますが実在したとしても現在の皇統をきちんと遡れるのは26代目の継体天皇からです。いずれにしろ歴史上というより神話上のものなので学術的でないものを政治家といえども必ず知らなければならないというものではありません。
「皇紀」というのも初代、神武天皇が即位した年を元年として計算するものですが、神武天皇の存在が明らかではない以上、(正式に使われてた戦前はともかく)宗教上の意味以上のものは無く政治家が公式の場で使うにはむしろ不適切といえるでしょう。その意味では本当に知らなかったのか知ってて知らないと答えたのかは分かりませんが枝野長官の答弁は適切なものといえるかもしれません。
で、別にね、125代というのも色々と論議があるものではあるんですよ。つまりは神功皇后を数えるのか、とか大友皇子(弘文天皇)を数えるのか、とか死んだ後天皇号を贈られた早良親王とかはどうするのかとか。何といっても現在の皇統は北朝なのですが、記録上は南朝が正統として扱われるんですね。いや、今は南北朝正閏論争なんてどっちが正しいなんてことはないんですが一応南朝は通しで後醍醐天皇は96代、光厳天皇は北朝1代と数えます。でも北朝最後の第6代後小松天皇は通算100代目になります。系図上おかしくなるんですね。
そのほか先ほども言ったような諸問題がありますので確実に125代(ようは誤差がある)とはいえなかったりします。皇紀に至ってはもっと根拠が適当。
皇紀といえば西暦に660年足すと簡単に割り出せる、といいますが例えばゼロ戦の通称で有名な「零式艦上戦闘機」はロールアウトしたのが西暦1940年皇紀2600年に当たるので下二桁を取って零式と付けられたわけですね。豆知識。
で、多分こんなバカな質問をした山谷えり子氏(議員の靖国参拝にこだわってるくせにカトリックだったり思想がよく分からん)の狙いは「皇室に対する知識が無い=不敬」の図に持ち込むことだと思うのですがこれもどうかと思いますよ。うちのブログの歴史関連記事読んでる方なら分かると思いますけど、僕は消極的ながら反天皇制主義者(共和主義者といったほうが分かりやすいかも)です。でも両方とも答えられたもん!さらに言うなら歴代天皇の名前も神武、綏靖、安寧、懿徳、孝昭、考安、孝霊、孝元、開化、崇神、垂仁、景行、成務、仲哀、応神、仁徳・・・と結構暗記してるし。「皇室に対する知識がある=勤皇」なんて図式はまったく当てはまらないと思いますね。だって最近のウヨの知識の無さを見れば彼らが皇室に対して知識が深いとは思えませんもの。まあ、彼らこそ本当は不敬な輩、とはよく言われますが。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
で、天皇百代説、というのがありましてですね。まあ偽書の類なんですがざっくり言うと天皇は百代目で終わる、という説なんですね。まあ、ヨハネ・パウロ2世が暗殺される、でおなじみのマラキの預言みたいなものと同じなんですが先の後小松天皇が100代目です。ところが最近の説にのっとり継体天皇を初代とすると今上が100代目(もちろんこれも誤差あり)なんですな。どうでもいいけど。まあ、予言なんて言葉遊びみたいなものなので参考までに。
6月8日追記
産経は冗談じゃなかった!
日本人なら誰でも知っていると思っていただけに、このニュースは衝撃的だった。
衝撃的なのはお前らの方だ!最初の時はまだ取り上げただけで特にどうこう言ってなかったけど本気で思ってたわけね。産経読者もビックリだろう。日本人を勝手に代弁するなよ。「第何代天皇の頃」とか言われたって一部の有名な天皇以外はぴんと来ないよ。「室町幕府第何代将軍」とかの方がよほどわかりやすと思うんだけど・・・何のために時代区分(江戸時代とか室町時代とか。あるいは中世、近世とか)があると思っているんだろう。
とりあえず産経新聞が本気だった、と知ってドン引きしております。