The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

海の記憶

 福島市で育った僕にとって物心ついた頃、海といえばそれは相馬の海だった。母親の実家で僕が生まれたのが会津地方の喜多方市だったのでそちらに行く時は途中猪苗代湖で泳ぐことも多かったのだがあちらはあくまで湖。海に行くといえばそれは相馬の海に行くことに他ならなかった。
 相馬といえば「相馬野馬追い」。そして江戸時代を通して一度も国替えのなかった鎌倉時代から続く名門相馬氏*1の所領。ということで勇壮な武士の土地、というイメージがあった。
 成長し、移動範囲が増えるに従って、海は相馬だけでなくいわきだったり、松島だったりバリエーションは増えていく。現在だと東京湾相模湾が身近な海だ。とはいえやはり泳いだりした記憶が一番多いのは相馬の海である。
 
 2006年の夏、僕は買ったばかりの原付で友人(その友人は今でも福島市に住んでいる。無事です)と福島市から相馬へ日帰り旅行へ行った。大体片道40kmほどの距離だ。霊山の山の中を越え、目的地である相馬にたどり着いた時はちょっとばかり感動したものだった。気持ちいい風の吹く中、海っぺりを原付で走るのはとても気分がよく、冗談交じりに「海岸沿いに暴走族が増えるのも分かる」などと言ったものだった。
 それから数日して今度は松島へ行った。今度は片道70kmぐらい。仙台を抜けて松島へ。さすがにこちらは観光名所だけあって(仙台が8月7日の七夕まつりだったことも影響したかも知れない)人が大勢いたので無計画に出発した僕達はそんなに堪能はできなかったのだがそれでも美しい松島の絶景を見ることは出来たし有意義な旅だった。
 それからしばらくして僕は今度は原付で東京まで行く計画を実行する。とはいえ国道4号線をひたすらまっすぐ行くだけの旅なのだが。そのときも一度相馬に出て6号線を下る、という計画もあった。
 
 今回意外だったのは福島原発の電気が東京電力の管轄で関東東京に配電されていることを知らない人が多くいたことだ。決して福島や東北の電気ではないのである。その昔、「もし福島県が独立をするのなら原発を盾に東京を人質にとればいい」などと冗談で言っていたものだ。
 現在、浜通り福島原発が大変なことになっている。正直な話、科学に疎い僕にはどうなってるのか理解するのは難しい。前線で対策に従事していられる方達に頑張って欲しいと思う。でも一番恐ろしいのは全てことが終わった後に、あの土地が「危険な地」と忌むべき土地になってしまうことだ。端的に言うと土地と住民が差別の対象になってしまうこと。思い返せば自分達にも浜通り(の特に原発がある地域)出身者を「粗野で犯罪が多い地域」などと転校生などをからかった記憶がある。今さらだが強く反省したい。多分、原発と無関係ではなく、親やニュースによる刷り込みがあった。事故が起きる前でさえそうであったのだ。今後おき得ないとはいえない。当然だが今後この地域が差別にあうなどの事態があってはならないことである。これは日本全体に強くお願いしたいことだ。
 月曜日、通常通りジャンプなど漫画雑誌が普通に販売されていてほっとした反面、レジ横に売られていたスポーツ新聞の扇情的な見出しに怒りを覚えた。危険を知らせるのはいい。だがただ単に恐怖を煽っている状態になってはいないか。ましてや「天罰」などと言っている輩にいたっては!都民の皆さんにお願いしたいのはまず次の選挙で石原慎太郎を拒否して欲しい、ということだ。これが首都の首長であるということは非常に恥ずかしいことである。
 
 
 両親や兄と相馬の海で泳いだ記憶、友人と海岸を走った記憶、松島の美しい風景。それらが鮮明に甦る。二度と同じ光景は見れないかもしれない。でも必ず復興する。
 

今もこれからも、すてきないい町 - 深町秋生のベテラン日記

 深町先生の記事。極端な話僕の記事は無視してもいいのでこちらを読んでください。
 
 次回の更新からは特に何か起こらない限り通常通り、映画や漫画についての話題に戻りたいと思います。
希望をもって。

*1:明治になってからお家騒動を起こしたりもしてるのだが