The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

世紀末救世主伝説 ザ・ウォーカー

 前回の「モンティ・パイソン ライフ・オブ・ブライアン」の記事。改めて見直したら、やはり記憶違いがちらほら。十字架を背負って刑場まで歩くキリスト(らしい人)を助けるのはブライアンではなくてテリー・ジョーンズ演じる謎の白い人だった。ブライアンは折角恩赦が出たにのにエリック・アイドルがブライアンを名乗って助かってしまう。助けに来た(はずの)「ユダヤ解放戦線」やら「ユダヤ人民戦線」やらはまったく役に立たないのが皮肉が利いてて笑える。
 
 で、今回はデンゼル・ワシントン主演の「ザ・ウォーカー」を鑑賞。振り返るとデンゼル・ワシントン主演映画を劇場で見るのは何気に初めてだなあ。
   
 これは「文明崩壊後の世界」を描いた作品。「アフター・ホロコースト」とかいうんですか。「マッド・マックス2」とか最近だと「ドゥームズデイ」とか。日本人には「北斗の拳」というのが一番分かりやすいだろう。てなわけでネタばれありで物語紹介。
 

物語

 世紀末。聖書神拳伝承者デンゼルは西へ向けて世界が崩壊して以来30年も旅を続けていた。たどり着いた町では世紀末覇者ゲイリーが奥義書狩りをしていた。彼はデンゼルの力に目をつけ仲間にしようとするが彼が聖書神拳の奥義書を持っていると知り奪おうとする。デンゼルとゲイリーの奥義を巡る戦いが始まった!

 と、これはかなり無理のある紹介ではあるんだけど、まあ「北斗」風に。この物語では聖書がマクガフィンになっていてその点で一見日本人には理解が難しそうだし、宗教的にキリスト教が上位に来る話かと思う。まあ、そんなことはないんだけど。
 物語中ではどうやらキリスト教がらみの宗教紛争がきっかけとなり大戦争が起き、結果文明は崩壊してしまう。その後人類はこの引き金となった聖書をほぼ完全に焚書してしまう。デンゼル演じるイーライはおそらく最後の一冊となった聖書を預言に従い西へと運ぶ。一方、チンピラを使い暴力的ながらも一つの町を復興させたカーネギーゲイリー・オールドマン)は聖書の言葉を住民のよりどころとすればより効率的に町を支配建設できると考えイーライの持っている聖書を狙う。
 僕は不覚にもラストのオチまでイーライが実は盲目、ということに気付かなかったんだけどよく見ると確かに夜、敢えて明かりから離れて聖書を読んでいるシーンがあったり、襲ってくる敵を居合い抜きのごとく惨殺したり(だからこの作品は「座頭市」と比べられる)そういうシーンはたくさんあった。
 イーライは聖書の内容を完全に暗記していて彼自体が生きた聖書のようなものである。銃が当たらなかったり、撃ちぬかれても平気なように見えたりと彼の預言者あるいは神の子を暗示させる描写がされている。だが、オチを知った後だと素直に本をカーネギーに渡して無難に旅を続けた方が良いんじゃないの?相手チンピラとはいええらいたくさん殺しちゃってるね、とは思うが。その辺もケンシロウっぽい。
 後は町の雑貨屋(?)がトム・ウェイツの独特のキャラもあってまんま初期「北斗の拳」に出てたバーテンみたい。
 その他、「パニッシャー・ウォーゾーン」のレイ・スティーブンソンジェニファー・ビールスなどが出演。ラストにマルコム・マクダウェルが出てくるので仰天した。あんた、この手の映画何本目だよ!
 ラストはサン・フランシスコはアルカトラズ島にある人類の文化を再現させる施設にたどり着く。そこでイーライはマルコム・マクダウェル相手に口述筆記する。失われた聖書はそこで復元されブリタニカ百科事典などとともに保管される。マルコムたちはあくまで貴重な文化遺産として聖書を扱っていて、カーネギーたちとは一線を画しているので日本人的には一安心。
 一応、ヒロインに当たるのはジェニファー・ビールスの娘役、ミラ・クルス。ちょっと色っぽさとかアクション・ヒロインとか言うのとは違うかな。
 一番笑ったシーンはイーライが「本はテレビの後ろに隠してある」といった時、周りのチンピラが「テレビって何?」となったところ。文明崩壊後30年経ってるから若者はテレビなんて知らないわけだ。
 パンフレットでは「ブラック・エンジェルス」の平松伸二先生のインタビューが載ってます。後、「座頭市」とか文明崩壊映画についても色々と述べられているけれどなぜか「北斗の拳」については記述なし。何ででしょうね。
 関係ないが個人的に「北斗の拳」を実写映画化*1するならシンとかラオウとかじゃなくてジャッカルとか牙一族とかの話を基にしたほうが絶対面白いと思う。
 
 ところでデンゼル・ワシントンて55歳にもなるんだね。全然若く見える。観てる時「30年って子供の頃から旅してんのかよ!」とか思ったんだけど、役者実年齢に基づくと25歳ぐらいで出発(K-マートの店員だったらしい)だからおかしくない。それでも全米徒歩横断ってそんなにかかるの?って疑問は残るけど。
 

*1:過去にされてるけど無視