The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

創造主は去り神話は残った スター・ウォーズ/フォースの覚醒

 遠い昔 はるかかなたの銀河系で…

 1977年5月に最初の「スターウォーズ」が公開されて今年で38年。なんだまだ38年しか経っていないのか、と思うぐらい、誕生以来スターウォーズが映画のみならず様々な分野に及ぼしてきた影響は大きい。よく言われるのがアメリカは主にヨーロッパから植民していきた人たちが建国し、まだ日の浅い国家で、独自の神話がないので西部劇などとともにその代替となった、というもの。まあ日が浅いと言ったって1作目公開当時ですでに建国200年ぐらいは経っているのだけれど。また「スターウォーズ」自体、古典アメコミの「フラッシュ・ゴードン」の映画化企画の延長にあったのだが、ジョージ・ルーカスはジョセフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」などを読み込んで意図的に神話的な物語を作り上げたようだ。
 で、「新たなる希望」公開日1977年5月といえば、その翌月6月、まさにアメリカでスターウォーズがフィーバーしていた頃日本で僕が産声を上げた。ということは僕はその人生の殆どをスターウォーズとともに歩んだと言っても良い。というわけで本題。その当初9部作と言われて、でもその後6部作になって一応完結した「スターウォーズ」の新作「スター・ウォーズ エピソード7フォースの覚醒」を観た。

エピソード7 フォースの覚醒

 ジェダイを再建しようとしたルーク・スカイウォーカーは挫折し姿を消した。その間に帝国の残党がファースト・オーダーと名乗り勢いを盛り返した。それに抵抗するレジスタンス。
 共に決め手となるのはルーク・スカイウォーカーレジスタンスの腕利きパイロット、ポー・ダメロンは砂漠の惑星ジャクーにてルークの居場所の手がかりとなる地図を手に入れた。しかしそこにファースト・オーダーの軍隊が襲撃。大虐殺が起き、ポーは捕らえられた。スカイウォーカーの地図はポーのアストロメク・ドロイドであるBB-8に託された。
 墜落したスターデストロイヤーからジャンク部品を採集しそれを売ることで生きている少女レイは、その日アストロメク・ドロイドBB-8と出会う。
 一方、ポーは黒い仮面をかぶった〜かつてのシスの暗黒卿ダース・ベイダーを思わせる姿をした〜カイロ・レンに尋問されていた。しかしジャクー襲撃の際に自我に目覚めてしまったストーム・トルーパーはポーを助け共に脱走する。ポートストームトルーパー〜ポーによってフィンと名付けられた〜はTIEファイターで脱出。しかし、ジャクーに墜落してしまう。ポーは行方が知れずフィンは一人で砂漠を横断し市場でレイとBB-8に出会う。フィンとスカイウォーカーの地図を持つことがバレたBB-8を追ってファーストオーダーが襲撃、フィンとレイとBB-8はおんぼろの宇宙船でジャクーを後にするのだった。その宇宙船が伝説のミレニアム・ファルコン号とも知らずに…

 さて、先に「スターウォーズと同級生」みたいなことを書いたけれど、あたりまえだけど、つまりそれは旧三部作はリアルタイムで観られなかった!ということでもある。旧三部作はすべて地上波放送された時に見たのが初。映画を意識して観たのは1985年の「ゴジラ」で7歳とかの頃。劇場で洋画を観るようになったのは1988年ぐらいからじゃないかと思う。またうちの家庭は決して映画好きとかでもなかったので地上波でやっていなければ特にビデオで見せてくれるとかでもなかった。つまり「スターウォーズ」をその時代的な背景を意識してみることはまず無理だったわけで、「スターウォーズ」に影響を受けた、あるいは「スターウォーズ」の技術革新の恩恵を受けた作品と「スターウォーズ」をほぼ同時に見た可能性が高い。要するにスターウォーズだけを突出して「凄え!」と思って見たわけではないのだ。
 多分僕よりも10歳以上、上の世代だと、リアルタイムで技術的な部分含めその映画史上の価値も踏まえて「凄え映画だ!」と観れたのかもしれない。あるいは10歳以上、下の世代だとエピソード1からの新三部作を少年期から親しんで受け入れて、また本当に子供の頃から旧三部作含めソフトで鑑賞できる世代なのでスターウォーズの浸透度が違うだろう。もしかしたら自分はスターウォーズ公開と同じ年に生まれたため、シリーズに親しみにくい世代なのかもしれない。
 もちろん、僕の好きなシリーズに「マッドマックス」と「悪魔のいけにえ」があり、今回ほぼ同時期に最新作が公開されている「ロッキー」などこの時期に公開されて好きなシリーズもあるので世代でスターウォーズに馴染みがないとは一概には言えない。スペースオペラという題材自体は大好きだけれども、大学時代に「スタートレックTNG及びDS9)」という、より自分に向いている、大好きなSFシリーズと出会ってしまったことも大きいかもしれない。
 要するに僕にとってスターウォーズはその他のたくさんの映画シリーズ同様楽しいし、好きだけれど特に突出して大好きなシリーズではないということだ。そのせいか分からないがこのシリーズに対しては一般のファンとは別の思いがある。「スターウォーズ」はジョージ・ルーカスという一人の男が築き上げた広大な宇宙の神話だ。特に「帝国の逆襲」以降の5作はいわゆるメジャー出費作品ではなくすべてルーカスフィルムが資金を出した世界一金のかかったインディーズ映画シリーズでもある。もちろんすべてルーカスが一人で作り上げたわけではないが、誰の作品かといえば間違いなくルーカスだろう。「ロッキー」もシルベスター・スタローンが脚本を書き、自分が主演することを条件にメジャーに売り込んでシリーズの中では監督も手がけていてスライがロッキー世界の創造主と言っていいが、スターウォーズとは作品世界の規模が違う。「指輪物語ロード・オブ・ザ・リング)」はスターウォーズにも影響を与えているが映画は原作者が亡くなった後に作られている。一人の男がこれだけスケールのでかい話を一から創造し、映像化して、かつ大ヒットさせたというのはやはりスターウォーズを置いてないだろう。
 だから僕はスターウォーズという作品はまずルーカス有りきだと思っている。ルーカスが3作全て監督を手がけた「エピソード1〜3」の新三部作は正直ドラマ部分の演出があまり評判は良くない(特にファントム・メナス)。僕も公開当時は楽しみながらも文句を言っていた気がするのだけれど、今は逆に「ルーカスのいない出来の良いスターウォーズより、ルーカスががっつり君臨する出来の悪いスターウォーズの方が良い」と思うようになっている。作品が大ヒットして長く続くと「作品はファンのものか製作者のものか」というジレンマが発生するが、僕自身がこのシリーズにそこまで思いいれていないためか、「スターウォーズ」に限っては絶対ルーカスのもの!と思っている。ルーカスは創造主、無慈悲で自分勝手で気ままな絶対の神!*1
 スターウォーズは映画6本(新作入れて7本)以外にも膨大なオリジナル小説、ゲーム、コミックスなどが存在するが、ルーカスは自分以外が手がけた作品にはほとんど興味が無いらしい。新三部作制作の時に銀河共和国の首都惑星の名前を決めるときに「すでにオリジナル小説で名前出てますよ」とスタッフに言われて「なんで創造主である自分が他人の作った設定に従わなければならないのか」と怒った、という話を聞いたことがあるのだが(結局「コルスカント」という小説の名前を発音だけ「コルサント」に変えて採用)、これなどスターウォーズ世界の神として君臨するルーカスのわかりやすいエピソードであろう(実際のエピソードかは分からないが)。
 何度も作られる「特別編」も昔からのファンには評判が悪いが、あれも他の映画シリーズならともかくスターウォーズならいいんじゃないか、という気もする。もちろん実際のスタッフやキャストに配慮しなきゃならないことはたくさんあるけれど。
 やっと本題。今度の新作にはルーカスは殆ど関わっていないらしい。残りは家族サービスに費やすということで、ルーカスフィルムをディズニーに売ってしまったのだ。当然そこにはスターウォーズの権利も含まれる。権利を手に入れたディズニーがこんなヒットコンテンツを寝かせておくはずがない。そして6部作で完結した映画は当初の予定通り9部作に改められ、あれよあれよというまに新作が作られた。ルーカスは作られる予定のTVシリーズでは関わるらしいが本作では基本的に関わっていない。
 
 監督はJ・J・エイブラムス。TVドラマのプロデューサーとして名を成し、「ミッション・インポッシブル」「スタートレック」とシリーズ物を引き継いでヒットさせた人物でもある。新生スタートレックの2作目「スター・トレック イントゥ・ダークネス」は2014年の僕のベスト作品。ただ、あの時も書いたが、この人はどちらかと言うとそのプロデュースの手腕(スタッフ・キャストの調整役など)が評価されていて、監督としては堅実な演出をする人だと思う。ある意味でこのスターウォーズ新作も似た役割を期待されての登板だろう。スタートレックの時と違って彼自身スターウォーズの大ファンらしいがインタビューなどではファンとしての情熱は封印した、というようなことを語っていた。「イントゥ・ダークネス」公開中に彼のスターウォーズ監督就任が決まった時は、「どれスターウォーズ新作の監督の手腕をみてやるか」みたいな感じで「イントゥ・ダークネス」を観に行く人がいたりしてちょっとイラッとした。
 物語もアクションも特に不満はない。砂漠の惑星から始まって主人公が外から来たキャラクター(ドロイド)と出会い、宇宙に旅立って敵と戦い、師匠にあたる人物を眼の前で倒される。このお馴染みの展開とほぼ一緒。最初からこの新しい3部作の1本目はエピソード4やエピソード1と似た作りになるのは予想がついたが、大きく外れていない。逆に言うとある程度登場人物が出揃った時点で物語は先が読めてしまった。海外のサイトでスターウォーズのファンがエイブラムスへ「スターウォーズでやってはいけないことを教えてやる」みたいな物があって、そこでのファンの物言いが非常にムカついたので、エイブラムスには好き勝手やって欲しかったが、どうもそういうわけにはいかなかったようだ。だから映画としては及第点。殆どの人を満足させる作品になっていると思うが、かと言って良くも悪くもこれといって突出した部分はない作品だと思う。超大作を無難にまとめた、という意味では課せられた宿題は見事にこなしたが、エイブラムス個人の思い入れだとか、ルーカスの敷いた路線から少し外れてオリジナルな部分を刻もう、みたいなものは感じられなかったのは残念。
 
 スターウォーズは数多くの登場人物がいる群像劇でもあるが、基本的にはスカイウォーカーの血統の物語で更に各3部作は主人公が3人で構成される。旧三部作ならルーク、レイア、ハン・ソロ。新三部作ならアナキン、パドメ、オビ=ワン。そして今度の三部作ではレイ、カイロ・レン、フィンの3人が主人公といえるだろう。新三部作ではアナキンはダークサイドに堕ち、旧三部作ではルークがダークサイドに堕ちそうになりながら踏みとどまるが、今度は最初から堕ちた人物が主人公の一人となる。もっともカイロ・レンはシスの暗黒卿ではなくこの作品ではまだ揺れ動いているのだが。

 レイは砂漠の惑星ジャクーで一人寂しく過ごす少女。登場した直後のシーン(スターデストロイヤーの残骸からジャンク部品を調達し、砂漠をスピーダーで駆け抜ける)は「風の谷のナウシカ」を思わせ、レイのキャラクターもナウシカや「もののけ姫」のサンを彷彿とさせる。ヒロインではあるが主人公3人の中では最初に来るキャラでルークに当たるだろう。演じるデイジー・リドリーは写真で見るより実際に動いている姿のほうがはるかに魅力的ですね。
 レイはジャクーで誰かを待っているのだが(そのためルークやアナキンがタトゥイーンから出ることを強く希望していたのに、逆にジャクーに戻りたがる)、どうやらそれがルークらしいことが暗示される。劇中ではまだはっきりしないが、おそらくレイはルークと強い縁があって多分娘だろう。彼女には強いフォースがあって、しかも劇中まったく誰かからレクチャーを受けた様子がないのにストームトルーパーを操るという難易度の高いワザを見せる(ちなみにこの時フォースに翻弄されるストームトルーパーはゲスト出演したダニエル・クレイグだそうです)。ルークのライトセーバーを手にした時に訪れるフラッシュバックではなんとなくジャクーに置いて行かれた時に赤子というわけでなくそこそこ成長しているので、もしかしたら本人も忘れているけれど小さい頃にジェダイの訓練を受けていたのかもしれない(「ファントム・メナス」時点でのアナキンの年齢でもジェダイの訓練を受けるには遅すぎると言われていた。青年だったルークは例外中の例外)。ところでなんでジャクーという新たな惑星にしたんでしょう?タトゥイーンじゃダメだったのかな?それともきちんと意味があるのか?
 レイはアストロメク・ドロイドBB-8の言葉を通訳なしで理解する。旧作ではルークもレイアもR2-D2の言葉はニュアンスはともかく明確にはC-3POの通訳なしでは理解できなかったはずなので、これも一種のジェダイとしての力の覚醒なのかな、と思ったのだが、どうやらフィンとかも理解していたようなのでちょっと疑わしい。後述するけれどBB-8はR2-D2より動作が激しくより子供っぽい性格なので、感情は読み取りやすいけどレイは明確に単語レベルで理解しているんだよね。ちょっと気になるところではある。もっともC-3POに当たるドロイドが登場しないのでいちいち通訳を挟む描写を入れたらドラマが停滞するので、思い切って省いたのかな、と言う気もする。

 元ストームトルーパーであるフィンはスカイウォーカーの血統にない人物ということで旧作ではハン・ソロやオビ=ワン・ケノービにあたる。一番最初に公開された予告編に登場した人物でもあって、僕は最初「ストームトルーパーって全員ジャンゴ・フェットのクローンじゃなかったの?」と思ったのだが、ファーストオーダーでのストームトルーパーは(クローンもいるかもしれないが)小さい頃にさらってきた子供を洗脳して教育して兵士に仕立てたものらしい。フィンはちゃんとした名前もなく識別番号で呼ばれていたが、初陣であるジャクー襲撃で一般人を殺せず、そのまま自軍に疑問を持ってレジスタンスの戦士ポーの脱走に手を貸す。そしてジャクーではレジスタンスの一員だと偽称し宇宙への逃走を図る。フィンが元トルーパーという設定は(映画で語られたことはなかったと思うので公式かわからないが)ソロが元々帝国の士官学校在籍の幹部候補だった、というのを思わせる。フィンとレイの関係は縁があって出会った仲間であって、恋愛関係に落ちるとかではないのだが、その仲間としての関係性は今までで一番好きだな。
 主人公3人の最後の一人カイロ・レンはかつてルークに教わったジェダイ候補だったがルークを裏切り(お陰でルークは隠遁)ダークサイドに堕ちた人物。鍔部分からもブレードが伸びる赤い光のライトセーバーを使う。その正体はハン・ソロとレイアの息子ベン(これはおそらくオビ=ワンがタトゥイーンで隠遁生活を送っていた時の名前からとったのだろうが正式名称がオビ=ワンなのかは不明)。つまり彼もスカイウォーカーである。彼は母や伯父よりも祖父(ベイダー)に惹かれ暗黒面に堕ちた。ただこれまで登場したシスの暗黒卿に比べるとかなり精神的には脆くまだ善と悪の間で揺れ動く人物。顔を仮面で隠しているのもベイダーのように怪我を負ったわけではなく過去の自分と訣別、という意味合いのほうが強いのであろう。癇癪持ちで、何か物事に躓くとすぐライトセーバーをぶんぶん振り回して基地の機材にあたるのはかなり若いところ。多分ファーストオーダーでは日常茶飯事でその様子を見たストームトルーパーが「まただよ」みたいな仕草をするシーンがあるのも楽しい。

 カイロ・レンをダークサイドに導いた師匠はファーストオーダーの最高司令でスノークという名で今回はホログラムで登場する。彼が新たな3部作の最終的な倒すべき相手となるのかはまだ分からないが、その容姿は人間ではなくエイリアンで、しかし「死霊伝説」の吸血鬼みたいな容姿でちょっと魅力に欠ける。巨大な姿なのはホログラムだからで本当に巨人ではないと思うがその辺は次回以降か。というかですね。この辺エイブラムスの生真面目な部分かなあ、と思うのだが、別に現時点でこのスノークの姿なんて見せる必要は全くないわけですよ。エピソード8,9が制作されることは確実なわけだし、そこで見せれば良いのであって、それこそかつての皇帝パルパティーンのようにフードを深く被って素顔を隠すなりカメラワークをうまく駆使して見せないなりして次回以降の楽しみとして取っておけばよかったと思うんだよね。なんかその辺工夫が足りないなあと思ってしまう。
 似たようなのに、カイロ・レンがレイの前でマスクを脱ぐシーンがある。その前にすでにカイロ・レンがレイアとソロの息子であることは提示されているので別にその素顔に特殊メイクによる何かが施されている期待とかはしていないけれど、彼が素顔を晒すシーンってある意味映画の一番の見せ場だと思う。にも関わらずまったく盛り上がらない。特に何の変哲もない(と言うと演じたアダム・ドライバーに悪いが)イケメンの顔が普通に出てくるだけ。ここは劇中レイには素顔を見せても、観客に見せるのはクライマックスのソロとの対峙シーンまでととっておくべきだったんじゃないか。エイブラムス監督作品では「イントゥ・ダークネス」のベネディクト・カンバーバッチのジョン・ハリソンが自分がカーンだと名乗るシーンがあるがあのシーンはカンバーバッチの演技力か凄いゾクッと来るシーンだったのに残念だ(もちろんあのシーンも事前にカーンの存在を知っていたかどうかで観客の感じ方は変わってくるとは思うのだけど)。
 カイロ・レンは本作こそまだまだ青い面を見せるのだが、本作ラストで吹っ切れ、さらに(劇中ちょっと具体的な怪我の様子は分からないが)かなりの傷を負ったことで次回作ではよりベイダーに近い存在(一部サイボーグ化)として悪の魅力を発揮するのではないかと思う。
 カイロ・レンとともにファーストオーダーの軍を仕切るハックス将軍にドーナル・グリーソン。「ハリー・ポッターと死の秘宝」でロンの兄貴、ウィーズリー兄弟の長男ビル・ウィーズリーを演じていて現在32歳。カイロ・レンを演じたアダム・ドライバーも32歳で司令官としては共に若い(カイロ・レンは設定的にはもっと若いはず)。この二人に限らずファーストオーダーの顔出しの兵士は全体的に若く、ピーター・カッシングがグランド・モフ・ターキンを演じた帝国軍や今回のレジスタンスと対比され若い集団となっている。これはファーストオーダーが約30年前に銀河帝国が崩壊した後、ルークが失踪した後おそらくこの10年ぐらいに結成された組織であるからだろう。結成のきっかけ自体がおそらくカイロ・レンによるルークへの裏切りだと思う。ファーストオーダーのモデルはISILであるとか言われてもいるが、個人的には組織化されているがスキンヘッドのネオナチという感じかなあと思う。

 そして!なんといっても今回の見所は旧三部作の主人公3人がきちんと登場しているところである。特にハリソン・フォードハン・ソロは主役級の活躍でありエンドクレジットでも最初に登場する。もちろん相棒はチューバッカ!過去のオビ=ワン・ケノービやクワイ=ガン・ジンの役どころで、フィンやレイを導きつつカイロ・レン〜実の息子であるベン〜を助けるため対峙するものの殺され命を落とす。過去のとおりなら死んでなお若者を導くが、ソロはジェダイではないしさてどうなるか。
 レイア姫キャリー・フィッシャー。シリーズにおいては色々と揶揄されやすい人だが、これを観る限りうまく年をとったという気がします。元々「新たなる希望」でのドーナッツを2つ頭に乗っけたようなお姫様スタイルは似合わなかったが、以降の反乱軍の戦士、革命家としての格好は凛々しく美人だった。「ジェダイの帰還」でのジャバ・ザ・ハットに囚われた奴隷姿はある種のアイコンでもある。この人もスターウォーズ出演以降は人生色々あって大変だったのだが元気な姿が見られて何より。
 そしてルーク・スカイウォーカー!最後ま出演しているのかどうか噂が錯綜していたが、もちろんマーク・ハミルが出演している。マーク・ハミルは最近では「キングスマン」にも出ていてそこではすっかり太った姿を見せていたのだが、本作では減量してジェダイの威厳を取り戻している。この人もスターウォーズ出演以降は色々あって、声優として大活躍している。代表作は「バットマン」のジョーカー!悪役が多く、「ダークサイドに堕ちた役ばかりやってる」などといわれたがここでジェダイに復帰。とはいえ本作では最後の最後に姿を見せ一言も喋らないので本格的な出番は次回以降か。
 スターウォーズといえばドロイド。本作では数はそれほど多く登場しないが、主役級の活躍を見せるのが新キャラのBB-8。レジスタンス1の腕前であるパイロット、ポー・ダメロンのパートナーであるアストロメク・ドロイド。BB-8は身体が球体で、その上に鏡餅ポイ感じで頭が乗っている。身体を回転させて動き、頭を回すだけでなく上下に振って意思表示するので、R2-D2よりも活動的だし感情表現の幅は広い。体の大きさもR2-D2より小さく全体的に子供っぽく描写されている。レジスタスカラー(オレンジと白)も相まって映画のマスコット的なキャラなのでかなり可愛いと思える演出。ただ、僕はちょっとあざとすぎて鼻につくところもあったかな。BB-8の魅力はさておいてちょっと残念だったのは今回はC-3POR2-D2の出番がかなり少ないこと。二人共かなり後半にならないと登場しないし、R2-D2に至ってはルークの失踪とともにスリープ状態になった、ということで再起動するのはほぼラストだ。スターウォーズという神話はこの年を取ることのない2体のドロイドがその英雄たちの活躍を語り継ぐという一面もあると思うので(「ジェダイの帰還」でC-3POがイウォークたちにここまでの物語を語り聞かせていたように)、できるだけ多くのシーンに立ち会って欲しい。
 そして書く順番は間違ったけれど、一番魅力のあるキャラはポー・ダメロンではないかと思いますね。事前に新キャラクターとして名前だけは聞いていて、「呆駄目論」とかどんなアホなやつなのか?と思ったら一番スマートで格好良かったのでびっくりしました。途中で姿を消して特になんの説明もなく物語に復帰するけれど、この辺は「主人公てのは殺されても姿を見せない時は生きてるものと相場が決まってらあな」という網走直次郎(永井豪・あばしり一家)のセリフの通りでいいんじゃないかな(まんまこの通りのセリフではなかったともうけれど)。ポー・ダメロン役のオスカー・アイザックの次回作は「X-MEN アポカリプス」で最古にして最強のミュータント、アポカリプス役です!

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 オリジナル・サウンドトラック(初回スリーブ仕様)

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千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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 本作はとりあえず3部作の最初、過去の6作のおさらいも含め新たなファンを呼び込みつつ、古いファンも納得させるという意味ではJ・J・エイブラムスは職人としてやり遂げたと思います。ただ次は(次の監督がエイブラムスなのか別の人なのか分からないけれど)過去の物語の枠組みに囚われず新たな神話を紡いでほしいなあと思います。創造主が去った後に受け継いだものがやることは跡をなぞるだけではないはずだから。

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色々書いたけれど個人的にはアクバー提督が出ていてあの飄々とした姿が健在だっったので満足です!
May the Force be with you.
やけに格好いいポー・ダメロンのポートレートで締め!

*1:ファントム・メナス」で出てきたミディ・クロリアンの設定をファンが抗議することで「シスの復讐」の時には有名無実化させた、と誇らしげに書いている書籍を読んですごい嫌な気分になった