The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

舞台は怖くないしカメラマンは人に好かれる努力をしよう! 死霊高校

 9月の半ばとなって新作が次々と公開される中、入れ替わるようにもうすぐ公開も終わりという作品を鑑賞。今回はまったく事前にどんな作品かという予備知識がない状態で観た作品です。まあタイトルから「高校を舞台にしたホラー映画なんだろう」というのは見当がついたけど、最初は邦画?とか思ったぐらい。「死霊高校」を観賞。

物語

 学校の演劇「絞首刑」で主演予定だった生徒が突然休み、代わりに主演を務めたのがチャーリー。彼が絞首刑にかけられるシーンで本当に底板が落ちて首をつって死亡。以降この高校ではこの芝居は演じられなくなった。
 20年後、久方ぶりに「絞首台」が演じられることになった。アメフト部だったリースはやはり主演女優であるファイファーへの好意から主演を務めるがなかなか芝居は上達しない。悪友ライアンにそそのかされ本番前日にセットを壊せば延期させられると夜の学校に忍び込む。リース、ライアン、ライアンの彼女であるキャシディ、そしてリースたちを見かけて学校に入ってきたファイファーだが、学校に閉じ込められ、やがて何かが彼らを襲う…!

 原題は「The Gallows」で劇中で演じられる舞台の名前「絞首台」がそのままタイトルになっている。僕はてっきり「死霊館」と関連ある作品かと思っていたのだが、いわゆるPOVな作品(ただ「インシディアス」のスタッフによるものでもあるそうだ)。まあ今の高校生なんて特にちゃんとしたカメラを回さずともスマホとかがすぐ身近にあるわけで、この作品もちゃんとしたカメラの他、各種スマートフォンなどで撮られた映像も多い。ただ例によってあとで回収されたものってわけでもないのだな。

 キャストは主要4人が役名と役者のファーストネームが共通し、ほぼ全員新人に近いようだ。主人公に当たるリースは基本善人なのだが、どうにも優柔不断。前半はかなりイラッと来る。まあ基本調子に乗っている若者視点の物語なのでみんなイラッと来る部分はあるのだけれど、一番イラッとするのは主にカメラマンを担当するライアン。
 POVのカメラマン役ってカメラの後ろ側に居ることが多いため、直接画面にはそんなに映らないけれど、セリフは多く、観客と一番近い存在でもある。だからPOVの場合聖人君子とはいわないまでもある程度普通の良識を備えた人物にカメラを担当して欲しい(めまぐるしく持ち手が変わる作品は別)。特にべらべら喋るタイプのカメラマンは。このライアン、前半はほぼずっとカメラマンで、しかし言動がいわゆる典型的なジョックスでとにかくクソ野郎過ぎてさっさと死ね!としか思わなかった。だから他の3人はともかくライアンに関しては最後まで観客(少なくとも僕)の共感は得られないまま死んだと言っていいだろう。

 作品そのものは時折、映画というよりホラーゲームのプレイ動画を見せられているような気分になってしまいはしたが、なかなか面白かった。物語のオチとしては色々疑問もあり、超常現象としての部分と、あれ?これもしかしたら超常現象関係なくない?って思うような部分が混在してて不気味な終わり方だった。20年前の事件とつなげるにしてもちょっと無理筋じゃね?って思う部分などがあってまあ低予算のホラーとしてはその矛盾してたり納得行かないところも。でもホラーの不条理さ加減はその矛盾するところもいい味になってたのではないかなと思います。

 実はこの作品は「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」とはしごしたのだけれど、ウィーンのオペラ座とアメリカの地方の高校の演劇と規模は全然違うが共に芝居の本番中に事件が起きる話なのだな。ミステリーやホラーなどでは舞台の本番中に事故・事件が起きるなんてシチュエーションはゴロゴロしているのだけれど、現実にはそういうのはあるのだろうか?とか思ってツイッターでつぶやいたら色々教えてもらった。もちろんそれほど多くはないけれど確かにそういう事件もあるのですな。

「パフォーマンス中に死亡した芸能人のリスト」(Wikipedia英語版)

そして日本だとこちら。

 宝塚歌劇団で1958年に起きた事故の被害者。国内で唯一舞台機構が原因で上演中の事故で亡くなった方だそうです。結構内容がエグいので注意。
 あとは「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」タイプの舞台を見に来て暗殺されたケースでは有名なこれがありました。

 ちなみに上映前に流れた映画の予告編は邦画の「劇場霊」でした。でも現実には劇場での事故・事件はめったにないからみんな安心して観劇するといいよ!(当たり前だ)