ファンタスティック・フォーと松井玲奈と私
先日(8月18日)はTOHOシネマズ新宿で「ファンタスティック・フォー日本最速試写会」というのがあって、運良くその試写会に当選したので早速観てまいりました。TOHOシネマズ新宿と言うと建物の上にゴジラの頭が乗っているあれですね。今はちょうど「ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション」の巨大ポスターがゴジラが覗きこむように貼ってあって、見ようによってはトム・クルーズがゴジラに食べられそうになっているように見えなくもない。
試写会は「アメコミファンのための」という肩書がついていたようで、ツイッターのアメコミファンを中心に集めたようです。ゲストが来る、となっていて吹替でスー・ストームを担当するらしい堀北真希か?等と言われていたのですが、実際に来たのは…
SKE48の松井玲奈さんでした!
僕はAKBグループでは松井玲奈さんが一番好きなので堀北真希さんが来るより嬉しかったかも。まあミーハーなので堀北真希が来ていればそれはそれで狂喜乱舞したと思うけれど。今回は直接作品に関わっているわけではなく、正直なんで松井玲奈さんなのかは分からないけれど(それで憤っている人もいましたね)、まあ僕個人としてはSKE48卒業前に松井玲奈さんを生で見れて大満足でした。肉眼で見る松井玲奈さんはとてもお美しゅうございました。余は満足じゃ。ちなみに司会は杉山すぴ豊さん。
映画本編の前にコミコンでの20世紀FOXのマーベル映画の出演者たちが集合した様子やそこに乱入?してきたスタン・リー御大の映像なんかも。
ところで日本での「ファンタスティック・フォー」の認知度ってどのくらいのものなんでしょう。「すべてはこの4人からはじまった」というコピーにあるとおり、現在のマーベルコミックス隆盛の基礎を作ったのはこの「ファンタスティック・フォー(1961年)」のコミックスでした。いわゆる「シルバーエイジ」と呼ばれるコミックスのルネッサンスの始まりとなるのはDCコミックスの二代目「フラッシュ」の登場からとされているのですが、それを決定づけたのは紛れも無く「ファンタスティック・フォー」の創刊。スタン・リーとジャック・カービーのコンビによるこの作品がマーベルをDCと並ぶアメコミの2大出版社にのし上げました。悩める(それも地球がどうしたとかそういうことではなく日常生活の悩み)ヒーローの登場は画期的でこのあと、「スパイダーマン」や「ハルク」などが誕生してマーベルの隆盛が始まります。これぞシルバーエイジ。
これまで僕が衝撃を受けたアメコミのエピソードというのはいくつかあって、ジム・リーの「X-MEN」創刊号だとか、あるいはアラン・ムーア原作、ブライアン・ボランド作画の「キリング・ジョーク」、「スパイダーマン」の「スパイダーマンを集める少年」などが挙げられるけれど、ダントツで一つ挙げろ、と言われた場合、「ファンタスティック・フォー」の1966年の48号から始まるシルバーサーファーとギャラクタス襲来の一連のエピソードの一択。僕が読んだのは中学生の時に友達の持っていた光文社版の白黒のコミックスですが(その本自体はもっと前の発行)、その面白さにびっくりしました。物語はもちろん、ジャック・カービーの絵も魅力的で一気に虜になったものです。ファンタスティック・フォーというヒーローチームそのものファンというわけでは特にないのですが、このエピソードだけは特別ですね。
その後、アニメ化もされて、日本では「宇宙忍者ゴームズ」という名で放送されたのでこの名称で覚えている人も多いのではないでしょうか。南利明が方言丸出しでドクター・ドゥームの声を当ててたりしたんだよな。僕もきちんと見たことはないんだけど。ちなみにダチョウ倶楽部のギャグ「ムッシュムラムラ」はここでのガンロック(シング)の戦闘時の決め台詞が元ネタです。
で、90年代に入ると悪名高いロジャー・コーマン版があって、前シリーズ20世紀FOXの映画と続きます。ロジャー・コーマン版は一説には映画化の権利に付随するキャラクターの商品化権の方がメインで契約期間中に映画を作らないとそっちの権利も切れてしまうので突貫で作ったともいわれていますね。あまりの酷さに公開を見合わせて御蔵入りになったとか、最初から公開する気はなかったとか諸説あります。今でも動画サイトなどで見ることは出来ますが、まあ90年代に作られた劇場作品と思わなければ(70年代に作られたTVドラマぐらいに思って見れば)それなりに楽しい作品です。
2005年と2007年に作られた「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」と「同 銀河の危機」は今回と同じ20世紀FOX作品でキャストも豪華です。特にスーとジョニーのストーム姉弟にジェシカ・アルバとクリス・エヴァンス。今では信じられませんがこの頃のクリス・エヴァンスはこのジョニーに代表されるチャラチャラした若者のイメージが強くてまさか、マーベルでも屈指の人格者ヒーロー、キャプテン・アメリカを演じてそのイメージを翻すとは想像もつきませんでした。今ではかつてジョニーであったことを想像することのほうが難しいですね。
映画はとても明るく、どちらかというとこの後に作られた「アイアンマン」とかと同じ雰囲気を持っていて良くも悪くのコミックスらしさに溢れた作品でこれ自体は単独の世界の物語ですが他にヒーローが出てきてもおかしくない感じではありました。実際続編ではシルバー・サーファーが出てきましたしね。「銀河の危機」は先程述べたシルバーサーファーとギャラクタスのエピソードが元になっているのですが、いかんせんギャラクタスを正面から描かずエネルギー体のような形でごまかしたのは残念!2作でこのシリーズは終わりました。
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ただ、今現在マーベルを映画化するときに参照にされるコミックスというのは2つ選択肢があって、ひとつはシルバーエイジの頃のオリジナルのエピソードをべースとする場合。サム・ライミの「スパイダーマン」や以前の「ファンタスティック・フォー」はこちらですね。そしてもうひとつはコミックスの方で一旦仕切りなおして設定やデザインを現代風にして展開した「アルティメット」シリーズをベースにする場合。「アメイジング・スパイダーマン」2作や今回の「ファンタスティック・フォー」はこちらです。MCUの方でもシールドのニック・フューリー長官が黒人に設定されているのはこのアルティメットの方です。この辺ファンがどのコミックスに接して育ってきたか、どちらに思い入れがあるかで評価も変わってくるのではないかと思います。とりあえず僕は今回の映画結構好きです!
それではファンタスティック・フォーのメンバー4人を予習的に簡単に紹介。
リード・リチャーズ
ミスター・ファンタスティック。身体がゴムのように伸びる伸びる。今回は設定としては20歳そこそこの科学青年といった感じ。演じているのはマイルズ・テラー。僕は多分この人の出演作品はこれが初めてだと思うのだけれど「セッション」でJJJとやりあった人ですね(まだ見てない)。ポスターなどから受ける印象はとにかく地味でガキ、という感じ。リードには大人の印象が強いので一番心配要素でした。ただリード役ってとても探すのが大変だと思う。というのはバットマンにしてもスパイダーマンにしてもヒーローとして活躍するときはマスクをかぶっていることがほとんどなので、それほど素顔のピーター・パーカー、ブルース・ウェインのイメージは強くないです。だから実写化してもキャストのルックスが似てる似てないはあんまり問題にされないように思える(それでもバットマンにマイケル・キートンがキャスティングされた時は大騒動になったけれど)。でもリードは素顔で私生活もヒーローとしても過ごすわけで、かなりイメージが付いている。丸顔やホームベースタイプの顔は難しいだろう。長方形で髪型もボリュームがあってサイドがメッシュのように白髪化していて……
マイルズ・テラーの顔は輪郭はいいけど、ちょっと幼く、ぬぺっとしていて、ヒーローの精悍さとは程遠い感じがして一番の不安要素だったんだけど、まあ主人公だけ合って一番描写が長いのでそれなりに段々見慣れてきます。
日本でゴム男といえば「ONE PIECE」のルフィだけど、リードの戦い方は手足を伸ばして相手を包み込んだり縛ったり、という感じでルフィのゴムの反動をつけてその勢いで敵をぶっ飛ばす、というのとは基本的に戦い方が違うので比べるのはちょっと違う気がしますね。
スー・ストーム
チームの紅一点。透明人間&フォースバリアを展開するインビジブル・ガール、またはインビジブル・ウーマン。演じるケイト・マーラはルーニー・マーラの姉。ジェシカ・アルバのような華やかさはなくポスターや予告編からはとにかく地味、という印象しか伺えないんだけど、実際の映画ではとにかくその美貌が印象的でした。全編に渡って美しくそれでも華やかさとはちょっと違うんですが、何でしょう、幸薄そう、というかそういう感じで、でも芯の強そうなスーを演じてましたね。
ジョニー・ストーム
人間松明ヒューマントーチ。先述のようにかつてはキャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスが演じていたのでありました。監督の前作「クロニクル」からのスライド出演でマイケル・B・ジョーダンが新しいジョニーに。人種が原作の白人から黒人に変わったことで一番危惧されたキャラクターだけれど、僕自身はむしろ事前に唯一安心できたキャスト。と言うのはマイケル・B・ジョーダンの幾つかの出演作で見る彼の快活なキャラクターはジョニーにピッタリと思っていたから。他がどうにも暗め、地味めだったので一番の安心要素でした。
ベン・グリム
岩石人間。ヒーローネームも「ザ・シング(物体)」などちょっとあんまりな感じで(モスラかよ*1!)、またチームの中で唯一元の姿(通常人間態)に戻れぬことでファンタスティック・フォーの悲劇性を一身に集めるキャラクター。今回はリードの同級生で幼なじみという設定になっていて(たしか原作でもそうじゃなかったかな)、一番若返り、演じるのはジェイミー・ベル。ベルは子役出身で顔も身体も正直小さく子供っぽい印象だったのだけれど、小さいながらもずんぐり力持ち、という印象になって登場。変身してからはおそらくモーションキャプチャーにCGを乗っける形だと思うので特に問題はなし
その他、今回もドクター・ドゥームがヴィランとして登場。ただ、これは前作でもそうなんだけれど、ドクター・ドゥーム自身はマーベルでも屈指の名キャラクター、ヴィランなんだけれど、実写化にはあんまり向いていないのかなあ…
冒頭20世紀FOXのマーチが流れるサーチライトの部分では「X-MEN」シリーズでは「FOX」の「X」の部分だけちょっと残像が残る印象的な演出が有りましたが、今回は「FOX」の「F」が残る演出があります。
あと始まってすぐに「2007年」というリードとベンの子供の頃のシーンがあるんですが、2007年ってついこの間じゃん…というショックが大きかったです。
それではまた公開後に!
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