The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

人を、神を、そして機械を超えて アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン


 お待たせしました。「マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU」、フェイズ2もクライマックス!「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」です。初日に観てすっかり感想遅れてしまったけれど、それはちょっと感情の持って行き場が難しかったという部分もあったのです。もちろん面白かったけれど、前作のようにヒーローが集まっただけではもう喜べないというか、シリーズとしてではなく1本の単独映画としてみた場合には評価が難しそうとか色々自分の中で錯綜して、単純にすごかった!ヤッター!とならなかったというか。それでも十分に楽しめた作品ではあるでしょう。MCU11本目!「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」を観賞。

物語

 ヒドラが内部に深く侵食していたことが判明しS.H.I.E.L.D.(シールド)が崩壊して後、アベンジャーズは東欧の小国ソコヴィアにおいてバロン・ストラッカーの率いるヒドラ支部を攻撃する。そこにはかつてNYを攻撃したロキの槍が。ヒドラはここでロキの槍やチタウリの残骸から超人を作る計画を企てていたのだ。そのヒドラの産んだ超人の一人、ワンダの力によってアベンジャーズが全滅するヴィジョンを見たトニーは、槍の奪還後、その力を使ってロボットたち<アイアンレギオン>が自分たちの代わりに世界の平和を守る「ウルトロン計画」を実行する。しかしウルトロンはジャーヴィスを排除し人類こそ諸悪の元凶と判断するのだった…
 関係者が集まってパーティーを楽しんいたその時、突如としてウルトロンが現れ人類の殲滅を宣言。ロキの槍を持って逃亡する。勝手にウルトロン計画を進めていたトニーに不信感が集まる中、ウルトロンの目的地を予測してアフリカへ。ウルトロンもワンダとピエトロのマキシモフ双子と手を組む。ワンダのしわざで暴走したハルクとアイアンマンが戦い世界にアベンジャーズ不信が広がる中、ウルトロンは恐ろしい計画を企んでいた。アベンジャーズはウルトロンを止めることができるのか?

 監督・脚本は前作に引き続きジョス・ウェドン。シリーズ的には「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(以下CA/WS」から直接の続編として続いている。あの作品でシールドが崩壊し、エンド・クレジット後のおまけでバロン・ストラッカーとツインズが登場。ヒドラが関わってくる続編を想起させた。ところが本作ではいきなりそのストラッカーのヒドラと対決。「CA/WS」からの引きはあっという間に終わる。この間どういう経緯で再びアベンジャーズが集まり、ヒドラ支部を見つけ攻撃に至ったのか、という説明はなし。「アイアンマン3」ですべてのアーマーを破壊し引退したはずのトニー・スタークは何の説明も心理的葛藤もなく現場復帰している(ただし胸のリアクターはちゃんと取り外してある)。
 もしかしたら同じMCUの物語であるTVシリーズの「エージェント・オブ・シールド*1」や、前日譚コミックスでその辺のことが言及されていたりするのかもしれないが、映画だけ観た身にはちょっと不親切か。元々このMCUはそれぞれの作品を作っているときはあんまり他のタイトルとの整合性は気にせず制作していて後から整合性を考えていくそうなのだけれど(それでも根幹となる物語や設定は監督が違ってもきちんとかたまっているとは思う)、ちょっとこの始まり方はあんまりフェイズ2の各作品を踏まえていないような気もして残念。とはいえその辺までじっくり描いてしまうと上映時間が+1時間ぐらい必要な気もするので仕方ないとは思うけれど。
 本作は一見単純なようでかなり複雑な設定の物語である。今回は宇宙やアスガルドといった要素は直接関わってこないがそれでも原因となるロキの槍(厳密には槍に備え付けてある青い宝石のような部分)がインフィニティストーンの一つであることが判明し、来るべきサノスとの「インフィニティ・ウォー」への布石となっているし、「CA/WS」ほど複雑ではないものの政治的な要素もある(これはキャプテン・アメリカの単独主演3作目「シビル・ウォー」へと続く)。既存のキャラ勢ぞろい一方で新キャラも多く登場し(しかも今回限りではない)、物語は次へと続く形をとる。
 だから一本の単独映画として観た場合はもちろん、「アベンジャーズ」の続編としてみた場合でも、かなり歪でその限りにおいて本作を失敗作とみなすこともできる。僕が1作目の時のように単純に喝采をあげれなかった理由もその辺りにあり、かなり頭をつかう作品だと思う。
 もっとウルトロンの誕生する経緯や目的を単純にして分かりやすくしても良かったのではないかとも思うが、その辺はMCUのなかでの本作の位置づけの難しさなのかなあ、と思う。
 ただ、二回目を観て、本作は何度も繰り返し見ることや、あるいは何回にも分けて見ることを前提に作られているような印象を持った。劇場観賞よりも自宅でのソフト観賞に向いている。そんな作品。この辺はジョス・ウェドンがTVシリーズを多く手がけているところからきているのかもしれない。もちろん多くあるアクションシーンやVFXシーンは映画ならではのヴィジュアルと迫力でこれは劇場鑑賞しないのはもったいない!と思わせるものではあるのだが。

アイアンマン

 トニー・スタークは「アイアンマン3」で全部のアーマーを廃棄したはずのなのだが、特に何の説明もなく再びアーマーを装着。その辺の経緯や葛藤は特になし。ただ「アベンジャーズ」では胸のアークリアクターのお陰でロキに(というかロキの槍)洗脳されずにすんだが、今回はワンダ=スカーレットウィッチのマインド攻撃を食らってしまう(逆に前回操られてしまったホークアイは免疫ができた、というか事前の察知によって回避)滅びのヴィジョンを見てしまう。お陰でウルトロン計画を進めてしまい、大変なことに。とは言え宣伝で言うほど「アイアンマンが原因」とシリアスでもなく、いつもの飄々した様子で余裕を見せる。ただ、女性絡みの方はペッパーとの関係が確立されて他の女性に手を出すわけにも行かずおとなしめ。
 今回は2つの通常アーマーの他に対ハルク専用のアーマー「ハルクバスター=ヴェロニカ」が登場。これは衛星上から発射された外部装着のものを通常のアーマーの上から装着。ハルクを上回る巨体となりハルクの抑止で活躍する。このヴェロニカにはブルース・バナー博士自身も制作に参加していると思われ、バナー博士が常に自分が暴走してしまったら、ということを考えているのが分かる。ちなみにヴェロニカという名前は「インクレディブル・ハルク」のヒロインでもあったベティ(リブ・タイラー)から、アメリカの青春コミック「アーチー」の主人公アーチーを巡るガールフレンド、ベティとヴェロニカから引用だそうです。

キャプテン・アメリカ

 前回「CA/WS」でシールドが崩壊し、独自の道を歩んだはずだがあんまりその辺は描かれない。アベンジャーズのリーダー、精神的支柱として活躍する。トニーとは性格、育った時代の違いもあって認め合いつつもあんまり仲はよくないがそれでも「アベンジャーズ」での険悪な感じだった時に比べると口論をしていてもちょっと漫才ぽい感じに。
 キャップのデザインはアイアンマンほどでなくても変遷はしていて今回はおそらくスターク提供のものだと思われるアベンジャーズ仕様。「CA/WS」前半のステルスタイプのものほどシックでもないが「アベンジャーズ」のもの(コールソンデザイン)ほどシンボルすぎず一番バランスがとれた感じ。それでももうちょっと明るくてもと良かったかな。スーパーマンキャプテン・アメリカ星条旗カラーはシンボルとしての意味合いが強いので。マスクはステルスタイプに続き耳が露出したタイプ。しょうがないけど身体はコスチューム着用なのに顔はマスクを外して素顔って場面が多いのはちょっと残念。

ソー

 アスガルドから来た暴れん坊。今回は直接アスガルドがらみの事件ではないためアクション方面では活躍するものの、精神的な葛藤は少ない。元々神様なので地球人よりおおらかな人でもある。ただ、トニーのパーティーでアベンジャーズメンバーによる「ムジョルニア持ち上げ大会」で他の人物が何やっても持ちあげられないのにキャップが手にした時ほんのちょっと動いた時の「ビクッ」とした態度が中々人間性を感じられて愉快(後述するが楽しいシーンに見せかけて実は伏線となる重要なシーンである)。ムジョルニアの力もあって意外と単独行動で縦横無尽に地球を飛び回る。

ハルク

 本作の恋愛担当。「アベンジャーズ」クライマックスではハルクの力を完全に制御したかにみえたが、常にそのようにうまく行くとは限らないようで、変身解除にはナターシャの力が必要だし、バナー博士に戻った後は深い嫌悪感に襲われる模様。
 今回特に深い説明はなく、ブルース・バナーとナターシャは恋仲となっている(といっても互いに気持ちは通じているけど曖昧なままにしている、という感じ)があれである。ハルクといえば一応「インクレディブル・ハルク」もMCUの一作で、そこではベティという恋人がバナーの帰りを待っているはずなのである。もしかしたら絶妙になかったことになっているのかもしれないけれどあの作品は続編への要素も残していて、特にハルクの血液を頭に浴びてボコボコ頭が変化していたMr.ブルーはコミックの方ではリーダーというヴィランとなる人で、明らかに超人化しているはずなのでなんとかMCUに再登場させてほしい。ハルク自身はバナーの時は暗いし、かといってハルクになると徹底的に暴れまわるだけなのでそのビジュアルもあって実写単独主演映画ではどうにも成功という感じではないし、僕自身ハルクは他のヒーローと一緒に登場してその対比で輝くヒーローという気がするのだけれど。「インクレディブル・ハルク」で残された要素もあるしなんといってもバナー役マーク・ラファロが素晴らしいので、なんとかもう一本単独主演かそれに近いハルク映画を作って欲しいですね。「インクレディブル・ハルク」からはハルクだけでなく役者そう取っ替えでも構わないので。
 本作の最後でまた姿を消すハルクであるが、続編ではどうなるのか?その辺も含めて次も楽しみ。

ホークアイ

 「アベンジャーズ」でロキに操られたため最初は敵であったが、今回は最初から頼もしい味方として登場。それだけでなく唯一の妻子持ちであったことも判明し、チーム随一の常人としての面目躍如。肉体的には怪我も負うけれど精神的には一番タフなところを見せて、そして予告編などでも伺える若きヒーローのを導く先輩として活躍する。

ブラック・ウィドー

 登場するたび髪型が違うナターシャももMCUではお馴染み。そして今回もちょっとずつ過去が判明。ソ連時代のスパイとして教育され、そのために不妊手術を受けていたことも分かる。あくまでナターシャ自身のコトであって全女性に当てはめていっているわけではないんだろうけど、そのことで自分を怪物扱いするのはちょっと議論が起きるところ。ところでナターシャのMCUにおける生年は「CA/WS」でアーニム・ゾラの述べるところによると1984年。これは演じるスカーレット・ヨハンソンと同じなのだけれど、これだとソ連崩壊時点で7歳とかそのくらいになって劇中の回想やKGBにいたという経歴とは矛盾する。それで、実際はもっと年配だけど何らかの超人手術を受けてウィンター・ソルジャー同様、冷戦時は定期的にコールドスリープ処理されていたとか、あるいは歳を取りにくいように処置されたとかが考えられる。コミックではたしかWW2時に少女で、その時にキャップやウルヴァリンと出会ってたエピソードがあったような。

クイックシルバーとスカーレットウィッチ

 ピエトロとワンダのマキシモフ双子。この二人は「X-MEN」の宿敵マグニートーの子供で、デビューはマグニートーの組織した「ブラザーフッド・オブ・イビル・ミュータンツ」の一員としてヴィランとしてデビュー。その後アベンジャーズに参加したりX-MENに参加したり。スカーレットウィッチはアベンジャーズのキャラクターと言うイメージが強いがクイックシルバーX-MENのイメージも強い。それで権利関係がどうなっているのかクイックシルバー20世紀FOXの「X-MEN フューチャー&パスト」にも登場した。今回は「GODZILLA」では夫婦だったアーロン・テイラー・ジョンソンとエリザベス・オルセンが双子として登場。ジョンソンはもうかつてキック・アスだったころの面影は薄く、頼りがいのある美青年として最初から強い。一方精神を操るワザを持ちながら、自身が精神的にも危うい感じのワンダは本作によって救われる人でもある。
 マグニートーの子供という設定は「X-MEN」でも登場しなかったが、マグニートー自体(というかミュータントという設定が)が登場しない本作でももちろんなし。ただコミックでも最初から親子と判明したわけではないし、さらに最近は「実は親子じゃなかった」という展開にもなったりしているそうで。当然本作では生まれながらのミュータントではなくスターク社の兵器で家族を失った双子がヒドラの人体実験で超能力を得たという設定。劇中の描写だとヒドラのソコヴィア支部は現地の住民からそこそこ支持されていたような感じがするなあ(ヒドラである、と明らかにしていたかはともかく)。
 本作ではピエトロが「ちょっとだけワンダより早く生まれた」と兄アピールしていたのだが、長年の印象ではワンダが姉でピエトロが弟というイメージ。元々英語では単に「ブラザー」とか「シスター」とかいうことが多く、映画など観ていても明らかに年齢差がある場合でないと兄弟姉妹のどの関係なのか分からないことも多々あるのだが(「悪魔のいけにえ」のソーヤー一家の家族関係はそれで悩まされた)、この双子のどっちが先か、というのも長いコミックの中でその時々で変わっていったりしていて、とりあえず現在はピエトロの方が兄、という感じになっているそう。でもその設定を知ってなおワンダが姉、というメージは強いけれど。
 クイックシルバーの音速で動く、という能力のイメージは単に他のキャラからみて目にも留まらぬスピードというだけになっていて、超スローで時間が止まっているように感じる中、悠然と動くクイックシルバーという「X-MEN DoFP」に比べるとちょっと映像的な楽しさは薄い。

ヴィジョンとジャーヴィス

 ジャーヴィスは「アイアンマン」の頃から不器用アームとともにトニーを支える人工知能。その落ち着いた喋りと、でもどことなくあたたかみのある態度で声だけながら密かな人気を博してきた。コミックでは元々はトニーに仕える人間の執事で映画化する際に、おそらく「バットマン」のブルース・ウェインに使える執事アルフレッドと設定がかぶってしまうことを案じてサポートする人工知能という設定に変更されていた。今回はより高度な人工知能であるウルトロンに駆逐されてしまったかのように思われたが、ウルトロンが自分のために用意したボディに宿ることで新たにヴィジョンとして生まれ変わった。これまでポール・ベタニーがアイアンマンの出てくる作品には欠かさず声だけとはいえ出演していたが、今回は晴れて役者として姿を見せる。
 当初は「ロキに殺されたコールソンがヴィジョンとして復活する」などの噂も流れ(コールソン役のクラーク・グレッグの顔をしたヴィジョンのトルソーなども出回っていたような気がする)ていたが、実際はベタニーであった。先述したジャーヴィスの設定もあって、当然ヴィジョンも原作ではジャーヴィスとは関係なく、本作でもジャーヴィスの要素を受け継ぎつつ新しい別の存在となっている。ウルトロンが作り上げたというのは映画にも共通する要素。アンドロイドであるが、まだ日本のロボットアニメなどの影響がなかった時期の誕生なので同じ人工物系でもウルトロンやアイアンマンのアーマーとはかなり趣が異なる。
 真っ赤の顔に緑の身体、M字に剃りの入った額などちょっと独特すぎる容姿だが、デザインは結構コミックに忠実で、少し前のアメコミの何でもありなデザインを感じさせる。彼が(ウルトロンの要望で作られたことやトニーに対する不信感もあって)最初は受け入れられないが、彼が何事も無くムジョルニアを手にとってソーに渡すシーンで「あ、こいついいやつなんだな」と一発で分かるシーンは見事。前述の「ムジョルニア持ち上げ大会」が単なる箸休めでなく見事に機能した。
 本作でもちょっと匂わせている気もするんだけれど、コミックではヴィジョンはワンダと恋仲になるので続編ではそういう部分も期待したい。

ウルトロン

 今回の悪役。トニーが計画したアイアンマンのドローン版「アイアンレギオン」を統率するものとしてロキの槍(セプター)のちからを使って誕生した。しかし誕生してすぐに「平和のためには人類は邪魔」となって反逆。一応主となるボディがあるが、それ意外にも全部のボディ=ドローンが同時にウルトロンである。原作ではトニーではなく、この後の作品「アントマン」に登場するハンク・ピム博士(初代アントマン)が作った人工知能だが、他は概ね原作を踏襲しているか。
 メインとなるボディはかなり大柄でマッチョだが、一番最初のボロボロのやつが一番凄みがある。性格的には人工知能といってもかなりお茶目で人間的。これは創造主であるトニーの性格を受け継いでいる部分もあるそうだ。演じているのはジェームズ・スペイダーで声だけでなくモーションキャプチャーも担当している。スペイダーはなんとなく「性格の悪い冷たいイケメン」というイメージがあるのだが、ちょっと見ない間に気のいいオヤジ的なルックスになっていて少しびっくり。ただ今はおっさんになったかつてのイケメンはウルトロンの人間的だが同時に機械的に冷たい、という矛盾しながら同時に存在する内面をうまく表現していたように思う。

その他

 ニック・フューリーはゲスト出演的な形で中盤に登場。マリア・ヒルも全編にわたってアベンジャーズをサポート。他にヘイムダルがソーの、ペギー・カーターがキャップの、ワンダによって見せられた幻想の中に登場する。ソーからはステラン・スカルスガルドのセルヴィグ教授も再び登場。ソーを予言を得るための伝説の泉へと導く。しかしセルヴィグ博士本来の専門分野がいまいちわからない。
 ファルコンはトニーのパーティで登場し、ラストに新生アベンジャーズのメンバーとして参加するがメインでの出番はなし。一方ウォーマシーンのローディは本編クライマックスにアベンジャーズの援軍として登場しアイアンマンと気のあったタッグを見せる。
 
 これまでMCUに登場した女性キャラクターでは、「マイティ・ソー」に出てきた戦女神シフ(ジェイミー・アレキサンダー)が一番好きだったのだが、その後「エージェント・オブ・シールド」を見てそこで出てくるキャラ、スカイ(クロエ・ベネット)がトップを奪うかも、という感じだったのだが、ここでもう一人素晴らしい女性キャラクターが登場。その名はヘレン・チョ博士。傷を負ったホークアイを治療し、ソーが参加するならとパーティーにも参加したミーハーなところもあるが、そのまま二次会にも参加しウルトロンの宣戦布告に立ち会い、その後の対策会議にも出た重要なキャラクターである。彼女がヴィジョンの元となったボディをウルトロンの命令で(ワンダによってマインドコントロールされていた)、作りあげた。
 演じたのはクラウディア・キムという人で調べたところ、これはハリウッドで活動する際の英語名で「キム・ソヒョン」で知られている韓国の女優/モデルらしい。この「エイジ・オブ・ウルトロン」が映画本格出演らしくて(主戦場やTVドラマだったようだ)、僕もこれで初めて知ったが、美しさと知的さと芯の強さを感じさせる人で一目惚れしてしまったです。「ウルヴァリン:SAMURAI」のタオ、「X-MEN DoFP」のファン・ビンビン(彼女は「アイアンマン3」の中国版にもでていたそうだけど)に続くアジア系マーベル女優として頑張って欲しい*2。チョ博士というキャラクター自体は多分映画オリジナルでコミックスではマーベルユニバースでも有数の天才少年、アマデウス・チョがモデルなのかなと思うが詳しいことは不明。でも亡くなったわけではないのでヘレン・チョ博士には今後も登場して欲しいです。
 そしてスタン・リー御大ももちろん登場。同じ年だったもう一人のリー、クリストファー・リーが今年亡くなってしまったのでスタン・リーには元気に長生きしてほしいと心から願います。EXCELCIOR!

 今回は初回をIMAX3D、二回目を吹替3Dで観賞。楽しみにしてた作品でIMAX3Dがある場合は、やっぱり初回はIMAX3Dで!と思って選択することが多いんだけど、正直こういう台詞の多い作品は2回め以降に普通のスクリーンで2Dで観た時のほうが楽しめる気がするなあ。「ゼロ・グラビティ」や「マッドマックス怒りのデス・ロード」みたいなセリフの少ない作品はあっていると思うけれど、セリフの応酬があるような作品には不向きか。僕の場合日常生活からメガネ装着者なので3Dはメガネ・オン・メガネになってしまうのも辛いところ。通常の3Dはクリップ式のものを購入してるのでいいんだけれどIMAXは特に重いしなあ。疲れてクビを傾けるととたんに画像がブレるのもきつい。後は3Dって(特にIMAXは)最初の紹介映像や3D用の予告編は3D効果がギンギンに効いてて凄い!って思うんだけど本編始まるとそれほど気にならなくなるんだよね。今回は「ジュラシック・ワールド」の予告編が流れてこの予告編は3D効果が凄かったけれど本編はそれほどでもない気がする。やはりIMAXは2Dが一番。でなきゃせめてIMAX3Dなら吹替を優先して欲しいですね。
 吹替は基本的に「アベンジャーズ」からそのまま。ニック・フューリーの竹中直人もナターシャの米倉涼子ホークアイ宮迫博之も継続。ちょっとだけの出番でもあるファルコンもちゃんと溝端淳平が演じています。タレント吹替といってもこの辺は(多少の違和感はあれど)慣れの問題もあるし宣伝のために一作だけと言うよりはきちんと継続して出演してくれるなら文句はありません。ただ吹替のクレジットでトニー・スターク=藤原啓治やキャップ=中村悠一などを差し置いて真っ先にこの4人が出てくるのはちょっと感心しませんな。

 前作は「日本よ、これが映画だ」のキャッチフレーズが議論を呼んだけれども、本作はディズニーに移りさらに日本での宣伝はおかしなことに。とはいえ個人的には「愛」を前面に出すこと自体は間違いではないので別に良い。「世界を滅ぼすのはアイアンマン」というコピーも大げさだがまあ良い。それよりも気になるのは「ハルクをなるべく出すな」という方針である。

 この映画で「愛」を打ち出すならむしろ主役はハルクではないか?確かにハルクは緑色の半裸の巨人というルックスで一般人受けはしにくいのかもしれない。でもナターシャと互いの疵を舐め合い、理解し合い、しかし最後は別れることを願ったハルクはある意味今回の主役だ(もちろん普通に主役の一人なのだが葛藤と意味において「愛」を打ち出すのであれば)。それなのに「宣伝で出すな」とはどういうことか?
 以前「ウォッチメン」のときでも日本での宣伝ではDr.マンハッタンをなるべく出さない宣伝がうたれたが、こういう肌の色が特殊なキャラを出すと日本人は馬鹿にするとでも思っているのだろうか?こういう宣伝はある種変則的な人種差別だと思いますがね。 

 映画は現在のアベンジャーズの面々が一応それぞれ決着を付け、新生シールドの誕生と新しい戦士たちによる新しいアベンジャーズ(キャップ、ウィドーの他はウォーマシーン、ファルコン、スッカーレットウィッチ、ヴィジョン)の誕生をもって終わります。そして恒例のエンドクレジット後のお楽しみはついにガントレットを用意したサノスが…
 気になるのはソーがセリフの中で「続けざまに4つのインフィニティストーンが現れた」と言っていることですね。現在確認されているインフィニティストーンは4つ。4次元キューブ、エーテル、オーブ、そしてロキの槍(セプター)。しかしオーブを巡る物語「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー」は基本的に地球の枠外で繰り広げられました。時期的には「マイティー・ソー/ダーク・ワールド」の後の物語ですが、「GotG」で起きた事件がソーに(というかアスガルドに)認識されているということに。ソーの口から「GotG」の顛末が地球人に伝えられたかどうかは分かりませんが。
 いちおうここでMCUフェイズ2は終わり…とはならず、この後に「アントマン」というちょっと(文字通り)小粒なヒーローが控えています。この「アントマン」をもってフェイズ2が終了し、最終ラウンドであるフェイズ3が始まるようです。とりあえず「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」「マイティ・ソーラグナロック」「ドクター・ストレンジ」「ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー2」などそうそうたるタイトルが待機しています。本作で言及された地名「ワカンダ」もブラックパンサーというヒーローが君主として治める国家で「ブラックパンサー」というタイトルも用意されています。
 おそらく2008年の「アイアンマン」からちょうど10年となる2018年に「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」前後編を持ってMCU一旦終了という形になるのではないでしょうか。

 流れとしては「シビル・ウォー」でヒーロー同士の対決という地球の物語がクライマックスを迎え、その後インフィニティストーンをと宇宙の命運を巡るサノスとの戦いへつながる流れか。
 何度か書いたように本作自体はちょっと歪でかつ橋渡し的な作品でもあるので人を選ぶかもしれません。でもちょっとでも興味がある方は観ておいて損はないと思います。

*1:自分は現在地上波で放送中のもので追っかけ中

*2:一応「AoS」スカイ役のクロエ・ベネットもアジア系