The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

ロビン・ウィリアムズの動く歴史遺産 ナイトミュージアム エジプト王の秘密


 バスで揺られて、お待たせしました。すっかりサボりぐせが付いたスーです。一度更新すると「これで、しばらく更新しなくて済むな」などと思ってしまう最近なので一週間、10日空くのは当たり前になりつつあるので、改めないとなと思っていたりすます。別にブログ更新が義務化してるとか苦痛とかそういう訳じゃなくて、一度書き始めると意外と一気に行くんですが、最初の一言を打つまでが長い。最近は自宅でもWi-Fi使ってスマホツイッターしたり、ネットを見ることが多くて、短文ならスマホのほうが書きやすいんだけれど、長文打つために自宅のパソコンに向かうのが一苦労だったりするんですよね。
 というわけで今回もそんな見てから放置してた一本。試写でちょっと早めに見たのにもう2週間ぐらい経ってます。「ナイトミュージアム エジプト王の秘密」を観賞*1

物語

 ラリーが石版の力で動く展示物の力を借りて企画したニューヨーク自然史博物館のプラネタリウム設立パーティー。成功かと思われたのもつかの間、展示物たちが不可解な行動を起こし大失敗する。どうやら展示物が動く源であるエジプトの石板が魔力を失って変色しはじめたのが原因らしい。事態を解決するためかつての警備員で石板の発見者でもあったセシルに掛け合うと石板の持ち主で自然史博物館にあるアクメンラーの父親であるファラオ、マレンカレが大英博物館に展示されているという。マレンカレに石板修復について尋ねるため、ラリーは息子のニックを連れて大英博物館へ。もちろんアクメンラーはじめ展示物の仲間たちも一緒だ。しかし大英博物館にはこれまた個性的な展示物がたくさんあって…

 1作目はTV放送で見て、その録画がまだ残っていたので、3鑑賞後にも見て確認。2はもしテレビの地上波で放送していれば見ているはずなのだが、ちょっとストーリーを調べたところ全くぴんとこなかったので多分見ていない。今回は直接的には1さえ見ていればとりあえず問題はないです。僕は試写で観たので実際の本公開でどうなっているか分からいけれど、よく最近の作品にあるみたいに本編上映前に最新作を見るために必要な最低限の前説映像みたいなのがあると親切かも。ディック・ヴァン・ダイク演じるセシルはじめ1作目の敵役だった老人3人組が最初のほうで再登場するが、この辺はちょっと1作目見ていないときついかも。

 舞台は大英博物館大英帝国が植民地を広げると同時に世界中からぶん取ってきた(ので最近は歴史遺産の元々の国から返還要求が出ていたりもする。最もこれは大英博物館に限ったことではないのだけれど。)歴史的な遺産が展示/研究されている。一番有名なのはやはりロゼッタ・ストーンか。これが入ってすぐに展示されていて、なんと普通に触ることができる。ヒエログリフの解読に役立った*2これは大英博物館のシンボルでもあるだろう。この「ナイトミュージアム」シリーズの魔法の石板のモデルは案外このロゼットストーンかもしれない。
 大英博物館は入場も無料で留学中の南方熊楠なんかがずっと入り浸っていたりしたそうだ。僕も一度は行ってみたい場所である。先に書いたとおり非合法な手段(というか略奪)で持ってきた物もたくさんあるのだが、それでも一同に集められ、系統建てて研究・展示されている意義は大きい。ちなみに歴史遺産、特に建造物は経年劣化して創建当時の色彩が失われているものもたくさんあるが、現在我々が見ることができるものの多くはその色彩が失われた状態であって、我々はそれを見て美しいとか素晴らしいと驚嘆する。結果として経年劣化したものを基準に感じて、創建当時の極彩色の予想図などを見せられると激しく違和感を感じてしまう。ギリシアパルテノン神殿はじめギリシアの建物は白いもの、というイメージがあるがこれも経年劣化で色彩が失われた状態であって、元は鮮やかに彩られていたらしい。しかし大英博物館の研究員が「ギリシアは白であるべき」という理由で残っていた彩色の後をクレンジングしてしまったというミスなんかもあるようだ。
 映画の中ではあまり歴史上の遺産!というよりはもっとテーマパーク的なレプリカのような物が多く動き出す印象。NY自然史博物館からは若きファラオ、アクメンラー他ロビン・ウィリアムズセオドア・ルーズベルトオーウェン・ウィルソンのジェデダイア・スミスとスティーブ・クーガンのオクタヴィアヌスアウグストゥス)。そしてパトリック・ギャラガーgleeのケン・タナカ)のアッティラ大王、ミズオ・ペックのサカジャビアに新キャラのラーとオマキザルのデクスター(ハングオーバー!!でも出てたクリスタルちゃん)を加えた選抜隊。ジェデダイア・スミスはあんまり日本人には馴染みがないけれど西武開拓の先駆者としてアメリカでは有名な人物。サカジャビアは同じ頃に白人に協力した「良きインディアン」として知られるネイティブ・アメリカンの女性。ただ当時は後の時代ほどインディアンと白人間は悪くなかった模様。そういう設定なのか、映画の中でもサカジャビアはルーズベルトと恋仲になりますね。
 登場人物の多くは歴史上の人物を象った展示物なのだが、これがモデルになった人物の人格と展示物としての現状を認識している人格とを併せ持っていてなかなか楽しい。ジェバダイアとオクタヴィアヌスポンペイの模型であたふたするシーンが有ったりするが、オクタヴィアヌスポンペイ噴火の前に死んだ人物だからこのことを知らないんだよね(ジェバダイアはどうなのかという話でもあるが)
 大英博物館側の展示物としては円卓の騎士であるランスロットの蝋人形やアクメンラーの父母であるファラオ夫妻が登場。このランスロット大英博物館を案内し、しかし魔法の石板を奪うことで物語を動かしていく。大英博物館を抜けだすと色々と騒動は大きくなり、ついにランスロットアーサー王とグィネヴィアと出会う…しかし彼らは舞台で演じている役者であって本物ではなかった。役者アーサー王エクスカリバーの代わりにアダマンチウムの爪を持つあの人であり、役者グィネヴィアはアーサー王ではなくカーク船長の恋人である*3
 つい先日「エクソダス」ではヘブライ人の長老を演じていたベン・キングズレーだが、こちらではエジプト人のファラオを好演。相変わらず人種/民族を問わない人です。「エクソダス」観に行った時は本編上映前にこの「ナイトミュージアム3」の予告編が流れそこでベン・キングズレーのファラオも出てきたので「エクソダス」本編でそのファラオに虐げられるヘブライ人の役で出てきた時は結構びっくりしたもんだ。他の展示物が歴史上の人物であることが多いのであるのに対し、このアクメンラーとファラオ夫妻は架空の人物。物語のキーである魔法の石板の持ち主ということで下手なツッコミを産まないために最初から架空の人物として設定されたのだろう。

 人間主人公ラリーは相変わらずのベン・スティラー。ファミリー路線とそうじゃないのを交互に出演しているがこれはそのファミリー路線の決定版といえるだろう。今回は後述するラーとの二役で頑張っている。ラリーの息子ニッキーとのやりとりがそのままラリーの父代わりでもあるルーズベルトとのやりとりと重なり、親としての成長もテーマだった1作目と比べると、今回は子供の巣立ちをどう見守るか、という感じ。ニッキー役は1作目とは別人のようです。
 ロビン・ウィリアムズは昨年の8月に亡くなって、これが遺作となった。自殺とみられていて原因は色々考えられるものの特に明確にはなっていない。この映画では登場するたびに劇中の設定もあって(石板の魔力が原減少すると動きがおかしくなる)ちょっと身体の不自由な、まるでパーキンソン病の症状のような演技も見せ(実際パーキンソン病に罹患していたともいう)、全体的にちょっとあぶなっかしいというか儚げな雰囲気も見せる。この作品はあくまでファミリー向けコメディ映画であり、これがもしその死を知らずに見ればただ愉快なだけだが、先にその死を知ってしまうと涙なしには見れない。享年63歳と若かったのだな。ロビン・ウィリアムズ出演作品は数多いが僕は「ジュマンジ」が一番好きかな。「ジュマンジ」はなんとなく本シリーズと共通するところがある気もします。


 この作品、普通の人間は片手の指で足りるほどしか登場しないけれど、一応のヒロイン(サカジャビアを除けば)レベル・ウィルソン演じる大英博物館の警備員ティリーが超キュートです。レベル・ウィルソン史上に残る可愛さ。といっても僕はレベル・ウィルソンの作品は「バチェロレッテ」しか見ていないのだけれど(と思って調べたら「ゴーストライダー」や「ブライズメイズ」にも出てた)、あの作品主人公3人がどんなに「あの子が結婚するなんて!(バチェロレッテの副題)」とひがんだところで、レベル・ウィルソンが性格も外見も一番キュートだったものなあ。新入り原始人ラーと恋に落ちる。このラーはかなりおバカな原始人で自分そっくりで父親だと思い込んだラリーを慕うという設定でベン・スティラーが2役で演じているが、これベン・スティラーというよりトム・クルーズにしか見えないんだよね。

ナイトミュージアム エジプト王の秘密

ナイトミュージアム エジプト王の秘密

 ロビン・ウィリアムズに捧げる本作。作品のカラーとは別に彼の登場シーンは涙なしには見れない。

 ちなみにこの映画の設定を聞いて多くの人が連想するであろうNHKみんなのうた」の大貫妙子の「メトロポリタン美術館」。なんだかトラウマソングとして有名らしいけど、僕は子供の頃も普通に楽しそうだと思ったなあ。(みんなのうたの映像はなかった)
Comin’Soon

Comin’Soon

*1:実は「ジャージー・ボーイズ」に引き続きイーストウッド作品「アメリカン・スナイパー」1ヶ月以上放置中

*2:実際はシャンポリオンはじめ学者にやる気を起こさせたという感じで実際の解読にはあまり役に立たなかったらしい

*3:もうネタバレもクソもないのだが、一応カメオ出演なのでこんな感じで