The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ(ヒーローに資格は必要か?)

 はい!新年最初の話題は映画でなく漫画です。皆さんご存知「週刊少年ジャンプ」。かつては800万部売り上げた【今調べたら653万部が最高記録でした(1995年)。謹んで訂正します】という世界で一番売れている漫画雑誌ですね。ちなみにこの売上上の黄金期は「スラムダンク」とか「幽☆遊☆白書」が連載されてた90年代前半らしいんですが個人的にはジャンプの黄金期といえばそのちょっと前、80年代前半から半ばにかけての「北斗の拳」「キン肉マン」「シティハンター」(全部アニメ化された際の主役の声が神谷明)、「魁!男塾」「聖闘士星矢」「ドラゴンボール」といったあたりが連載されていた時期ですね。
 ライバル誌であるマガジンやサンデーは中学に入った頃から読み始めたので何だかんだいってもジャンプが人生で最も古くそして最も長く読み続けている雑誌ということになります。そりゃ小さいころはおとなになったらもう読んでないと思ってたよ。でもね、未だにジャンプを読んで「ああ月曜日だなあ」と思い知るわけですよ。
 さて、そんなジャンプ。僕が現在単行本を買っているジャンプコミックスは「ONE PIECE」「ワンパンマン」「キン肉マン」「僕のヒーローアカデミア」の4つ。これに出れば「HUNTERXHUNTER」が加わる形。この内「キン肉マン」と「ワンパンマン」はウェブ連載(ワンパンマンは具体的にはよく分からず単行本で読むという感じ)。ジャンプ連載作品だと「ONE PIECE」と「僕のヒーローアカデミア」という事になる。
 この年末年始は「ONE PIECE」「キン肉マン」「僕のヒーローアカデミア」の3本の新刊が微妙に日にちをずらして発売されたので「頼むから一斉に発売してくれよ!」などと思ったのだが、無事すべて入手。「僕のヒーローアカデミア」の1巻は中々手に入れられず、僕が入手した時には発売2週間にして2刷だったのでやはり去年のジャンプ新連載漫画としてはかなりヒットしたと言っていいのではないだろうか。

 この作品は堀越耕平によるアメコミ風スーパーヒーロー物。人類の大半が「個性」と呼ばれる超能力をもつ社会で「無個性」として生まれ、しかし強くヒーローに憧れる少年、緑谷出久が憧れのヒーロー、オールマイトと出会い彼の「個性」を受け継ぎヒーロー育成の最高峰、雄英高校へ入学する!
 親しみやすい絵とデザイン、多分映画などでそれなりに人気・認知度も上がってきたのだろう(ぶっちゃけこの辺は肌ではよくわからない)アメコミヒーローものっぽい世界観などで僕も第一話から心をつかまれた口。今一番楽しみな作品でもある。
 ただ、ここ最近の日本のアメコミ風(あるいはアメコミをそれなりに意識したと思われる)ヒーロー漫画って「Tiger & Bunny」も「ワンパンマン」もこの「僕のヒーローアカデミア」(ジャンプじゃないしちょっと変形ではあるけれど椎名高志の「絶対可憐チルドレン」もそれに近い物がある)もスーパーヒーローの資格・登録制度とでもいうべきものが前提として存在している世界観であることが少し気になったりする。これが本家アメリカだとマーベルの一大クロスオーバー「シビル・ウォー」にしてもDCの「ウォッチメン」にしてもそういうヒーローへの登録・管理みたいなものへの反発が前提にあったりするのでこの辺、日米のヒーロー観のお国柄の違いが出ているのかもしれない。もちろんこれは僕が観測している範囲で日本のヒーロー漫画でもそうじゃない物もあるとは思うのだけれど。
 ちなみに少し前にアメコミ初心者に「ウォッチメン」を奨めるのは正しいか否か?みたいな話題があったのだけれど、僕は全然有りだと思いますね。というか下手に有名な看板ヒーロー物を奨めても膨大なのでわかりにくいし、逆に「ウォッチメン」は他のDCユニバースと世界を共有していないし、基本的にアラン・ムーアとデイヴ・ギボンズのあの一冊だけで完結しているので(今は色々関連作も出ているようだけれど)、むしろ最初に読むのに適した一冊、という気もする。あと僕はアラン・ムーアの物語はもちろん、デイヴ・ギボンズの絵がとても好き(そして彼の絵は読みやすい)なのでそのへんでも「ウォッチメン」はオススメですね! 本筋に戻ります。2巻では徐々に主人公と共に学ぶ文字通り「個性豊か」なクラスメイトたちが紹介されていき物語に膨らみが出てきました。でも最終的に爆豪くんはヴィランになってデクくんと戦うような…ちなみに僕のイチオシは蛙吹梅雨ちゃんです!

 次、「ONE PIECE」はまあ毎度色々話題に事欠かない作品で、今回もいわゆる読者質問ページで王下七武海の女体化(厳密には元が女性のキャラは男性になっているので性の逆転か)があってそれで物議をかもしてますね。ただ、このページはあくまでサービスだし、分かりやすく性の逆転化を描くために誇張されている部分もあると思います。
 あと主人公のルフィははっきり言って感情移入が難しいキャラであることは昔から分かっていて、それは主に作画上は黒目で瞳に光が無いこと。そして演出上はルフィだけ何を考えているか分からない、具体的に言うと内面がセリフ化されない(泡吹き出しがない)キャラだから。これは作者が意図的に試みていることでルフィは基本的に考えるより先に行動に移すキャラクターであるからなのだけれど、それゆえに何考えてるかわからない、不気味、という印象を持つ人もいます、こういうかなり計算されたキャラ設定と作者の無邪気な部分が絶妙に入り混じった作品なのでその辺が人によって好き嫌いが激しい原因の一つかな、と思ったりします。あとそういう面(主にジェンダー面)で遅れているから「ONE PIECE」は海外では「NARUTO」に人気で負けている、と言う意見なんかも見たのですが、これはそんなに関係ない気がします。「NARUTO」は確かに海外(欧米)では「ONE PIECE」を超える人気作ですがそこは「ニンジャもの」というオリエンタルイズム溢れる部分も多いでしょうし、もちろん「NARUTO」に劣るとは言え「ONE PIECE」だって絶大な人気を誇ります。そして僕が読む限り「ONE PIECE」も「NARUTO」もジェンダーの観点から言えば大きく違わない気がします。
 最新76巻ではやはり覇気に目覚めたウソップ、という描写が一番格好いいです。多分見聞色の覇気でしょうけど見聞色の覇気とスナイパーという最強の組み合わせですね。
 現在連載中の部分では本筋からちょっと離れていますが八宝水軍のサイとドンキホーテファミリーのベビー5の話が良かったですね。後は足長のブルーギリーの肩にイデオが乗って戦うという描写が見れれば僕は満足です。
ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 76 (ジャンプコミックス)

 
 そして「キン肉マン」!完璧超人始祖編も佳境。正義超人たちにほとんど出番がないまま悪魔六騎士VS始祖の戦いが続きます。最新49巻は砂地獄サンシャインVS完璧・捌式シングマンと焦熱地獄ザ・ニンジャVS完璧・玖式カラスマンが展開されます。そして次々と判明する世界各地の遺跡・建造物の謎!そうそのほとんどは古代の超人に関係するものなのです!「キン肉星王位争奪戦」の時は日本の城郭を舞台に国盗りの形式で戦ったわけですが、「キン肉星でやれよ。日本の城を壊すなよ」とか思ったものですが、もしかしたら元々天守閣という概念も超人界に由来するのかもしれません。
 サンシャインは「悪魔にだって友情はあるんだ!」の名台詞や2世での渋い親父姿が印象的ですっかり浪花節の似合う悪魔超人としてキャラ立ちしてますが、ここでは過去の、人間ジェロニモに敗北した、という古傷がえぐられます。シングマンにまで「に…人間に?」と哀れみを食らう始末。

 一応悪魔騎士の首領格なんですよねえ。しかしそんな過去の弱みも利用するのが手段を選ばぬ悪魔の所業!見事シングマンを倒しました。ちなみに「マッ!」と叫んで必殺技を放つシングマンと黄金の角柱で身体が構成されているサンシャインの戦いはジャイアントロボゴールドライタンの代理戦争でもあります(ウソです)。

 そしてザ・ニンジャ!相手はガイドブック「超人閻魔帳」にも掲載された読者応募超人カラスマン!名前そのままかよ!とウェブ掲載当時多くのツッコミが入りました。カラスマンは技は主にマスク?の嘴で突っつくという地味かつでも痛そうな物。金閣銀閣が元々ゴールドマンとシルバーマンがそれぞれの同胞を鍛えるための道場跡地だったことが判明。新たな歴史の秘密が解明されました。この時のそれぞれの道場門下生が後の悪魔超人と正義超人になるわけです。
 ここでやっと正義超人が具体的な行動に出てとりあえず近いからということでニンジャの戦う銀閣へ。超人血盟軍の名残でブロッケンJr.が激を飛ばします。でもブロッケンJr.とザ・ニンジャって不思議な存在でこの二人は「キン肉マン」のなかでも屈指の人気キャラクターなんだけれど、直接キン肉マンと試合をしたことはないんですよね。ザ・ニンジャは黄金のマスク編では一見超人だったし、その後超人血盟軍入りしてからもキン肉マンとの絡みはなかったです。同じ悪魔超人のアシュラマンキン肉マン及びテリーマンとは何度も戦っているし、バッファローマンは「7人の悪魔超人」シリーズ最終戦は「キン肉マン」のベストバウトと言われれば必ず上位に挙がる名試合。そういう主役との絡みが無いのがニンジャなのですね。ブロッケンJr.はニンジャよりはもちろんキン肉マンとの接点は多いですがそれでも直接戦ったことがないキャラです。またふたりともどちらかと言えば女性人気が高く、傷つきいたぶられる姿が似合う超人でもあります。この辺は等身大な人間に近い超人だからでもあるのでしょうな。 49巻ではそんなちょっと「キン肉マン」の本流から離れたブロッケンJr.とザ・ニンジャの交流が見ものです。こんな熱く友情を語っているけれどこの二人はかつてウォーズマンの体内で死闘を繰り広げたキャラでもある。


 そして記念すべき50巻は悪魔騎士の真打ちアシュラマン遂に登場!
 ちなみに「プレイボーイコミックス」だった2世と違って「ジャンプコミックス」で旧シリーズからの通しで展開している本作、明らかに内容も絵柄なども青年誌連載だった頃から少年誌向けに変化しています。ウェブ連載なのでどの辺の読者が想定されているのかわかりにくいんだけれど(大きくは2世から継続のファンや僕のような小さいころに夢中になっていた現在大人のファンだと思う)、個人的にはもっと今の子供達にもアピールして欲しいんですよね。「アメトーーク」とかで深夜に芸人さんが取り上げるのもいいんだけれど「ジャンポリス」などで今の子供にもアピールして読んでもらいたいですね。作品は文句なしに面白いんだし、これで子供を取り込めれば本格的に肉ブーム再び来ますぜ!

あーこころに愛がなければスーパーヒーローじゃないのさ〜

参考記事

 毎週とても詳しく「週刊少年ジャンプ」について書かれています。月曜日はジャンプを読んで、こちらのブログを読むまでがワンセット!