The Spirit in the Bottle

旧「小覇王の徒然はてな別館」です。movie,comics & more…!!!

彼女は「若く、美しい」か? 17歳

 本当に内容を全く確認せず観た作品。と言うかチケット買った段階ではなんとなくエマ・ワトソンも出ているガールズムービーみたいなのが公開されていた気がして、僕としてはそれと勘違いしてチケットを買ったんですね。で、いざ当日劇場へ行ってスクリーンに入る前に入口に掲げてあるチラシを見て「あれ?エマ・ワトソンは出てない?」と思い、いざ始まって「あれ、フランス映画だったのか」などと思ってしまった次第。「17歳」を鑑賞。

物語

 夏、家族と避暑地で過ごすイザベルはドイツ人の青年と知り合い初体験をする。数日後彼女は17歳の誕生日を迎える。
 秋、イザベルは名前と年齢を偽って売春をしていた。客として出会った初老の男性とは両親に連れられていった劇場で再び出会い、また関係をもつ。彼の名前はジョルジュ。ジョルジュはレアの上客として何度か関係を持つが、あるときジョルジュは行為中に心臓発作で死亡してしまう。動揺したイザベルはその場を立ち去るが。そして冬・・・

 ちなみにエマ・ワトソンが出てたらしいガールズムービーは未だに謎です。「ブリングリング」ではないようだし・・・幻だったか。
 この映画はフランソワ・オゾン監督作品。主演はマリーヌ・ヴァクト。劇中では17歳の高校生で、売春をする際は20歳と年齢を偽っている、という設定だけど、彼女の実年齢は1990年生まれの23歳。まあ劇中では普通にベッドシーンが有り、それ以外にもヌードが普通にあるのでそういうもんでしょうなあ。ジェマ・アータートンジェシカ・チャスティンに似たタイプの可愛いというより美人という感じ。実際売春のためスーツを着てホテルに赴く際は本当に大人っぽい。が、それ以外では普通にまだ少女という感じである。
 原題は「Jeune et Jolie」でフランス語に疎い*1僕はてっきり2人の女性の名前かな?とか思ったのだが「若くて美しい」みたいな意味だそうだ。
 夏の出来事を序章として、秋、冬、そして春とイザベルの17歳の一年間を描く物語だが最初の南仏の華やかな印象は最初だけ、後はどちらかと言うと灰色ぽい描写が続く。両親は母親とその再婚相手の義父だが、義父がイザベラに相当気を使っているのが分かる。また、フランスの家庭らしく、彼氏やセックスについてはかなり大ぴらな感じである。

 フランス映画らしく、淡々とした描写の中に時々エロが覗く感じ。先述したとおり事前知識が全くない状態で観たので特に思い入れることもない。ただ色々気になる描写もあって、映画的には、イザベルの弟(小学校高学年ぐらい)がちょっと悪趣味な覗き趣味っぽい部分があって、彼の視点で姉のヌードを見たりとかどうも姉を女として意識してるようなちょっと不気味な描写があるのに、後半はほとんど関わってこない。僕は姉妹がいないのでよく分からないけれど、ちょっと年長の姉を身近な異性として意識すること自体はそんなにおかしいことではない、と思う。どうせなら、完全にこの弟のナレーションベースにして彼の視点から姉の行動を語る、というような作りにしたほうが良かったのではないか、と思う。
 後は映画の内容というより、フランスの社会性とでもいうのか。イザベルは自主的に売春をしており、また、ジョルジュの死に、一応責任があると思う。にも関わらず、映画の中では一貫して彼女は性犯罪の被害者として扱われる。これがイイ悪いではなく、フランスはそういうことが徹底している社会なんだろうなあ、と思った。もしも日本だったらイザベルに大バッシング起きる展開だよこれは。
 ただ、ジョルジュとイザベルの(金銭関与の)情事がまるで良かったものかのように描かれているのはちょっとあれだし、どんなに言い繕ってもジョルジュはやっぱりくずですよね。

ラスト近くにシャーロット・ランプリングが出てきて異彩を放っていたのが印象的。
 イザベルは「若く美しい」。だが、彼女の遺したものはそれでは済まされない。社会は成熟し、それは決して美しいだけではないのだ。

17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義

17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義

 今回は超短め!(だいぶん前に観たので結構忘れているのです・・・)

*1:大学1年の時フランス語履修してたけど、試験日が「FF7」発売日の次の日で案の定ゲームのやりすぎで寝坊して試験に遅れ単位を落としたのさ